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著作権分科会国際小委員会(第3回)

日時:   平成17年1月19日(水曜日)
10時30分〜13時
場所:   三田共用会議所CDE会議室

議事次第

  開会
  議事
(1) 放送条約の論点(放送の保護、ウェブキャスティングの保護の在り方等)
(2) 「デジタル化による世界の放送事業の変遷」について報告
(上智大学・音助教授)
(3) 「国際小委員会」検討状況報告(案)
(4) その他
  閉会

配布資料一覧

資料1   「デジタル化による世界の放送事業の変遷」 資料
資料2   放送条約テキストに関する論点
資料3   放送条約テキストに関する参考資料
資料4   橋本委員提出意見「放送条約の定義についての提案」
資料5   条約テキスト
(※  著作権分科会国際小委員会(第2回)ヘリンク)
資料6   文化審議会著作権分科会「国際小委員会」の検討状況報告(案)

参考資料1   著作権分科会国際小委員会(第2回)議事録
(※  著作権分科会国際小委員会(第2回)ヘリンク)


午前10時30分開会

道垣内主査 よろしゅうございますでしょうか。まだお見えでない委員もいらっしゃいますけれども、議題も盛りだくさんでございますので、時間どおり始めたいと思います。
 ただいまから文化審議会著作権分科会の国際小委員会第3回を開催いたします。
 傍聴者の件でございますけれども、議事の内容の公開を一層進めるという今期の著作権分科会の方針に基づき、本日も公開で議論をすべく、既に傍聴の方には入場していただいております。
 本日の公開ということにつきまして、特にご異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

道垣内主査 それでは、本日の議事も公開ということで、傍聴の方にはそのままいていただくということにいたします。
 本日の審議に関連いたしまして、上智大学の音先生に「デジタル化による世界の放送事業の変遷」という題でプレゼンテーションをお願いしております。
 まずは、事務局から音先生のご紹介と、ついでにお手元の配布資料の確認をお願いできますでしょうか。

事務局 それでは、本日プレゼンをお願いしております音先生の経歴を紹介させていただきます。
 音先生は、90年、上智大学大学院博士課程を終了後、日本民放放送連盟研究所に勤務されております。その後、99年から現職の上智大学文学部新聞学科助教授に就かれています。また、2000年から2001年までコロンビア大学客員研究員として研究されました。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料の確認をお願いいたします。
 資料1が、音先生のプレゼン資料「デジタル化による世界の放送事業の変遷」です。資料2が「放送条約テキストに関する論点」、資料3が放送条約テキストに関する参考資料、資料4が橋本委員御意見の「放送条約の定義についての提案」、資料5が条約テキスト、資料6が分科会「国際小委員会」の検討状況報告案(案)です。また、参考資料として前回議事録を付けています。ご確認をお願いいたします。

道垣内主査 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 前回のこの委員会におきましては、放送機関の支分権の在り方などについてご議論いただきましたけれども、今回はそれに引き続きまして放送条約の保護の考え方、対象という点についてご議論いただきたいと思います。具体的には議題の1と2に分かれておりまして、1は条約のテキストにおける放送の保護の考え方、規定の在り方ということでございます。議題の2がウェブキャスティングの取扱いなどということになっております。
 議題1につきましては、事務局からの説明の後ご議論いただくということですが、議題の2につきましては、上智大学の音先生からのプレゼンテーションをいただいた上でご議論いただくということにしたいと思います。
 では、議題の1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

事務局 それでは、お手元の資料2、資料3をごらんください。資料2は、条約テキストにおける課題としまして、1に書いています。また、将来の課題ということで、ウェブキャスティングの取扱いについては2に書いています。
 条約テキストに関する論点につきましては、1の中で1.2.3.に分かれています。1.は放送条約における保護の趣旨、2.は保護の対象となる行為類型、3.は保護の対象となる主体についての論点を述べています。また、これらに関する参考情報は資料3に書いています。
 それでは、論点に入る前に参考資料について説明をさせていただきたいと思います。資料3をごらんください。今回の放送条約の保護の趣旨について議論する前に、これまでの隣接権についての考え方について整理させていただきたいと思います。隣接権の趣旨につきましてはさまざまな議論がございますが、その中でローマ条約の成立時、あるいは国内の隣接権創設時における議論の内容を紹介させていただきます。
  1の1はローマ条約の成立時における議論です。放送事業者に隣接権を付与する趣旨としましては、ここに書いてある3つの事項が指摘されております。1点目は、放送事業者は著作物の伝達者として重要な役割を担っており、いわば著作者の補助者ということもできること。2点目は、放送事業者は多くの時間と技術と資金を投じて番組を制作しており、公共放送としての社会的な使命を担うことから保護する必要があること。3点目は、実演家、レコード製作者、放送事業者の三者間の権利の調整が必要になりますので、これらの者を隣接権者として位置づける必要があるという指摘がされております。
 続きまして、国内における議論です。ローマ条約が締結された後、ローマ条約を参考にしながら国内にて議論が行われております。具体的には、パラグラフ3をごらんいただきますと、著作隣接権の保護の在り方として、「著作物を公衆に伝達する媒体としての実演家、レコード製作者及び放送事業者の行為に著作物の創作行為に準じた精神性を認め、労働保護あるいは不正競争防止の観点から一歩進んだ、無体財産保護的な保護を与えるべき」との提言がなされております。
 放送事業者に関する保護の趣旨につきましては、1枚めくっていただきまして、4つの事項が述べられております。1点目は、放送事業者の著作物の公衆への伝達の役割です。2点目は、放送事業者は放送番組の制作において創造的な要素が考えられること。3点目は、電波の希少性から公共的な役割を担う放送事業者の企業の維持が求められること。4点目は、他の権利者との調整のため、団体による集団的な権利の管理が求められることです。
 次に、1986年に有線放送事業者を隣接権者に取り入れたときの議論です。それ以前は、難視聴地域に対して番組提供を行っている有線放送は著作隣接権者として保護されていませんでした。その後、都市型のケーブルテレビ事業の出現によって、これらの者を著作隣接権者として取り込むべきかどうかについて議論がなされております。そのとき指摘されたポイントは2つ、1点目は、有線放送番組の制作、編成に著作物の制作に準ずる創造性が認められること。2点目は、番組の編成などには多くの時間と労力を要しており、これらを保護する必要があるということです。
 次に、現在の放送の実態です。1枚めくっていただきますと、現在の事業者数について書いていて、出典は総務省の「情報通信白書」です。これは放送法に基づく事業届出・設備許可の数ですので、必ずしも著作権法の対象の事業者とは一致しません。
 一点訂正をお願いしたいと思います。民間放送事業者の中の4つ目の、電気通信役務利用放送事業者の2003年が「0」になっておりますが、これを「3」に訂正してください。失礼いたしました。
 このうち特にケーブルテレビ事業者、有線放送事業者については、2003年、571と記載されておりますが、これは設備が500以上の事業者が対象になっておりまして、著作権法においてはそれ以下のものについても対象になりますので、数はもっと多いかと思います。
 次に、今回、放送条約における保護の対象について議論いただきますが、各国の法制度がどのようになっているかについて説明したいと思います。日本におきましては、第2条で、放送、有線放送が規定され、放送事業者、有線放送事業者が隣接権者として保護されています。ドイツは、日本と同様に放送事業者、有線放送事業者が隣接権者として保護されています。フランスにつきましては、視聴覚伝達企業、衛星放送、有線放送が著作隣接権者として保護されています。
 英国については注意が必要ですが、アメリカと英国は英米法によって隣接権者ではなくて、著作者として保護されております。具体的に放送、有線放送、インターネット同時放送は、「放送」の定義に含まれます。第6条の(1A)がありますが、「以下の事項を除き、あらゆるインターネット送信は『放送』の定義から除かれる」とありまして、そのうちの(a)が、「インターネットその他の手段によって同時に行われる送信」と規定されており、同時のインターネット放送は「放送」の対象となっております。しかしながら、これはあくまで著作権者としての保護です。アメリカも同様に番組が送信と同時に固定された場合には著作物として保護しています。
 1枚めくっていただきまして、カナダですが、イギリス、アメリカと同様に、「放送を行う事業者は著作権を享有する」と規定されております。
 次に、各国の条約提案です。日本は放送についてのみ提案しており、「音・映像などの送信する行為をいう」と規定しております。
 次に、ヨーロッパの提案ですが、今回の論点の一つであります「放送事業者が放送と同時にコンピュータ・ネットワークで送信を行う場合には、放送とみなす」というのが第1条の2に書いてあります。
 さらに、アメリカの提案ですが、アメリカはウェブキャスティングを提案しておりますので、そのウェブキャスティングとその他の放送の区分をする必要があります。放送、有線放送、ウェブキャスティングについては、それぞれ無線、有線、コンピュータ・ネットワークといった送信形態に留意して定義を行っています。
 次に、第9回SCCR会合にて、我が国がウェブキャスティングについて提案を行っております。具体的には、ウェブキャスティングは本条約とは切り離して、次の課題として議論すべきというものです。その理由は、情報伝達主体である「伝統的な放送事業者」と「インターネット放送事業者」は概念の違いがあるためです。
 具体的には、1点目は、従来の放送の概念が一方向、同時、同内容の送信というのに対し、インターネット放送はこの概念に該当しないこと、また、オンデマンドやストリーミングといった送信形態がある中でどこまで対象にするのかといった概念の整理がしっかりなされていないこと。2点目は、インターネット放送、インターネット放送事業者の定義と概念がはっきりしていないこと。3点目は、他の権利者との調整が必要であるということ。ウェブキャスティングの定義の仕方によっては個人活動も含めた無数の権利者が生まれますが、他の権利者との調整が必要であるということです。4点目は、権利者の権利執行の在り方について検討する必要があるということです。以上が日本の提案理由です。
 次に、条約テキストにおける課題について説明します。資料2をごらんください。
 まず、「保護の趣旨」ですが、保護の対象となる行為、保護の対象となる主体を議論するにあたって、本条約の「保護の趣旨」を整理することは有益であると考えています。
 ルーマ条約等、これまでは、著作物の伝達者としての役割から放送事業者に隣接権を付与したのですが、今回、これに加えて、「送信する信号への関わり」を要件として求めています。すなわち、保護の要件として、放送番組の制作・編成を求めています。
 条約テキストでは、2条(b)において、放送事業者の定義として「コンテンツの収集及びスケジューリングを主導し責任を有する法人」と規定されており、「送信する内容に一定の責任を持つ」ことが求められています。本日の委員会では、これまでの議論や「放送事業者に隣接権を付与する趣旨」から考えて、こういった要件を付加することが妥当なものかどうか、また、放送事業者の規定として何らかの修正する必要があるかどうかが第一の課題です。
 次に、単純再送信の取扱いについての課題があります。現在、条約テキストでは、あらゆる手段による単純再送信は保護の対象から除外されています。このような送信形態は「放送への一定の関わり」がないものとして保護の対象から外してよいかが第2の課題です。
 現行の著作権法でも、第9条の2において、有線放送事業者を隣接権者として取り込んだ際に、ただ単に放送番組を受けて、それを難視聴地域に送信する有線放送事業者は、保護の対象から外れています。したがって、以上の考え方は著作権法でも既に導入されているのではないかと考えております。条約テキストの「単純再送信の取扱い」が第2点目の課題です。また、条約テキストでは、単純再送信について何ら定義がされておりませんが、対象範囲の明確化のために何らかの定義が必要かどうかが関連した論点です。
 次に、保護の対象となる行為類型についてです。条約テキストでは、現在、放送、有線放送、ウェブキャスティングの3つが定義されています。これはウェブキャスティングを将来どうするかによって、これらの定義も変わってくるかと思います。我々はどういった行為を保護の対象にするのかをきちんと議論した上で、今後の条約テキストにおける書きぶりについて議論する必要があるのではないかと考えています。現時点においては、保護の対象の考え方、あるいは、放送の区分の在り方について留意すべき事項があれば、ご意見をいただけば幸いです。
 1枚めくっていただきまして、保護の対象となる主体についてです。保護の対象となる行為について議論を行った上で、次に保護の対象となる主体についてご議論いただきたいと考えております。1点目の課題は、条約テキストにおいては法人に限定しております。現行著作権法では、「放送事業者」というのは「放送を業として行う者」とありまして、業して反復継続性が認められれば、法人に限らず対象となりますが、条約テキストでは、法人に限定されています。放送を行う場合の投資の必要性、権利者間の調整、特定の必要性などから、放送条約の保護の主体を「法人」に限定することが適当かどうかについて議論いただきたいと考えています。
 保護の対象となる主体のもう一つの課題として、ヨーロッパの提案があります。従来、放送行為と放送の対象は一対一の関係になっており、ある特定の行為を行う者を保護するというのがこれまでのやり方だったのですが、本条約では、ヨーロッパから「放送と同時にウェブキャスティングを行う放送事業者を保護の対象にしてほしい」との提案がありました。これに対してどのように対応したらよいかが第2の課題です。
 次に、有線放送事業者への著作隣接権の付与の考え方についてですが、これまでの国際的な議論では、有線放送事業者とは、各国、ケーブルテレビ事業者を想定しています。これまで日本は保護の対象としては放送事業者のみを提案しておりますが、これは有線放送事業者を排除するというものではなく、将来、議論が煮詰まったところで有線放送を入れるかどうかについて検討するというものです。そういったことから、有線放送事業者を本条約の保護の主体とすることが適当かどうかということと、有線放送事業者としてこれまではケーブルテレビを想定して議論を行っておりますが、その他留意すべき項目はないかについて議論いただければ幸いです。
 以上が、条約テキストに関する論点の説明です。

道垣内主査 どうもありがとうございました。
 議題の1につきましては、今ご説明いただきましたように、大きく3つに分かれて、それがさらにその中で枝番がついていますので、論点としては6つあるということだと思います。時間の関係で申しますと、11時15分ぐらいまでこの議題を終えないと、あとの時間がなくなるということになりますので、その間、効率的にご議論いただければと思います。
 いかがでございましょうか。
 できれば、上の議題、論点からの方がいいですけれども、必ずしもそれにこだわりません。
 上原委員。

上原委員 今、主査から上の方からということですので、1のところについて若干ご意見を申し上げたいと思います。
 資料2の(1)の保護の要件のところでございますが、今までも申し上げてきたと思いますが、放送事業者の定義自体が今まで全く行われてきてない、今回、放送ということで、これを決めざるを得ないだろうという話の中で、こういう規定が出てきております。保護の要件の放送事業者の規定の部分でございますが、ローマ条約において定義自体はございませんが、ローマ条約の解説を見ますと、第3の再放送のところで、「放送事業者に言及している部分に関して、外交会議の一般報告書は、ある締約国において技術設備が郵政官庁の所有に属しているが、放送の素材がフランス国営放送や英国放送協会のような機関によって作成され、かつ、提供される場合、放送事業者と見なされるべきは後者の機関であって、郵政官庁でないことを明らかにしている」という文章が出ております。つまり、基本的にはローマ条約制定時におきましても、このような形で明確なものは出ておりませんが、実態としては放送内容側にそれなりの責任があるものを想定して客体として考えていくということになろうかと思いますので、放送事業者の定義をするなら、ワーディング自体をどこまで書き込むかというのは別として、そのような規定は必ずしも無理があるということではないと考えております。
 それから、(2)の単純再送信の定義づけのところでございますが、これにつきましては、1つはウェブキャスティングの問題がございまして、前回も申し上げましたように、この条約テキストにおきましては各国のいろいろな案を散りばめて並べたものでございますので、放送、有線放送、それから、ウェブキャスティングがパラで並んでおります。そうした関係もありまして、単純再送信のことが非常にややこしい書きぶりになってきておりますので、ここの部分はウェブキャスティングについては、前回の議長サマリーでは別途扱うという話になっておりますが、そうしたものが抜けてきて、さらに有線放送の問題が詰められていく中で再度、単純再送信の問題が議論されてくると考えております。
 この点につきましては、本日配布の条約の参考訳の方には入っておりませんが、条約テキストには、それをつくりました議長の説明コメントがございまして、この3.09で議長が細かく説明しております。これについてはどこまでいくのかということについて、重畳して権利が与えられることをできるだけ避けるためには、理論的には単純再送信は全部外すんだという考え方を示しておりますが、現状の地上波の実態の関係で議長へ問い合わせをしましたところ、「そういう問題があるので混乱を来す可能性があるから、この部分については議論が起こった場合には説明コメントは削除し、改めてその部分は別途コメントしたい」という状況になっていると思います。
 以上でございます。

道垣内主査 ありがとうございました。
 今、1の(1)と(2)、両方についてご発言がありましたけれども、この点いかがでしょうか。
 橋本委員、どうぞ。

橋本委員 保護の要件というのが、今の状況がさほど簡潔になっていないんですけれども、単純再送信の扱いについて、現実に事業としてどういうふうに行われているかと。本当に単純再送信だけをやっている事業者と、力がついてきてから新たに番組の制作を行って、チャンネルを立てていく、そういう未来に向けての事業者としてのプランがあるわけです。私が放送条約の全般の議論の中で非常に気になっているのは、既存のものを固定しているという前提で議論が行われているきらいが強いのではないかということでございます。
 例えば、単純再送信の部分だけを取り上げて、それしかやっていない業者しか存在しないという前提で議論を行うというのは間違いがあると思います。単純再送信もやっているけれども、自分たちで著作物として制作したものを流している放送形態というのが、当然のこととして真価が出てくるわけですから、要は、事業者のところでの定義でも単純再送信を扱うというような、一つの行為としての定義をどういうふうにつくり上げるかというところで、通常の放送事業者の行為の保護、あるいは、放送事業者自体の保護ということと少し異質なイメージ、違和感を覚えております。
 だから、ポイントとしては、この部分は単純に放送事業者という内枠の中で議論というよりは、どちらかというと、そういう行為も、例えば有線放送のように多チャンネルを放送する事業者については、それが存在している問題であると、あるいは、別建てで議論されるべき問題であるということで理解するのがいいのではないかと思っております。条約の議論の中でこれがどういう位置づけでされているのかというのはよくわからないんですけれども、並列的に出てくると少し違和感があります。

道垣内主査 わかりました。
 確認ですが、今のご趣旨は行為の類型の方を見るべきであって、主体を一括して除外したり入れたりするべきではない、そういうお話になるんでしょうか。

橋本委員 そうです。要するに、その両方を行うであろうということが、有線放送事業者においては通常のことだったりするわけです。単純再送信行為と、自分たちでつくる、あるいは、自分たちが独自に行う放送行為というのが両方存在している方が、事業実態として正しいのではないかと。

道垣内主査 こういう項目建てになっておりまして、2と3で行為類型と主体を扱っておりますが、全体の趣旨から出てくる具体化の仕方がどうあるべきかということだろうと思います。

橋本委員 そうです。つまり、単純再送信行為は保護の対象ではないけれども、自分たちが制作したり関与している、さらに責任を有するチャンネルの形とするか、別の責任、追加の責任、あるいは、方法があるというのが実態に一番近いのかなというふうに思います。

道垣内主査 ありがとうございました。
 山本委員、どうぞ。

山本委員 今回、論点として「保護の趣旨」が挙げられています。今までこの辺のところは議論しませんでしたけれども、今回ここからきっちりやるんだというふうに理解させていただくと、まさにここをしっかりやらないと方向が全然違うように思います。何で放送事業者に隣接権が与えられるのかというのを、著作物の伝達者だからというふうにとらえると、著作物を伝達しない番組の放送について保護が与えられるのはおかしいという話になると思います。
 それから、「準創作性」あるいは「準創造性」という言葉を使われていますが、そこに保護の根拠を認めるのであれば、その概念自身が創作性とどう違うのかというのは別にしましても、(1)で書かれているような放送事業者を保護する必要があるのかどうかというときに、「業」という言葉はそもそも必要ないだろうと思われます。
 それから、単純再送信であろうとなかろうと、準創造性のあるコンテンツが保護されるべきですから、単純再送信でも保護の対象になって当たり前だという議論になるでしょうし、次のページの「保護の主体」のところですけれども、保護の対象を法人に限定する必要はないというような議論になると思います。ですから、こういう論点として「保護の趣旨」というのを挙げていただいたからには、ここで、何を保護しないといけないのか、保護の趣旨から議論をした方がいいのではないかと思います。

道垣内主査 山本委員のお考えとしてはいかがですか。

山本委員 私の理解としては、保護の趣旨としては準創造性というよりは、もっと端的に創作性のあるものを保護するという趣旨のものとして、「準創造性」という言葉には置き換えていますけれども、実態的には「創作性」だろうと。そういうものとして保護する制度として考えていくべきだと。

道垣内主査 そうしますと、「送信する信号への関わり」というだけではまだ足りなくて、もっと創作性なり、そういうものがうかがわれる行為が必要だということですか。

山本委員 コンテンツをつくるというところで、基本的には創作性が、少なくとも今放送されているような放送番組には創作性は認められるだろうと私は理解しております。その観点から考えて、先ほど申し上げましたように、「業」という要件は必要ないだろうし、「法人」という要件は必要ないだろうし、単純再送信も保護されるべきだろうと、そういうような考え方を私はとっております。

道垣内主査 そうしますと、「送信する信号への関わり」というだけではまだ足りなくて、もっと創作性なり、そういうものがうかがわれる行為が必要だということですか。

山本委員 コンテンツをつくるというところで、基本的には創作性が、少なくとも今放送されているような放送番組には創作性は認められるだろうと私は理解しております。その観点から考えて、先ほど申し上げましたように、「業」という要件は必要ないだろうし、「法人」という要件は必要ないだろうし、単純再送信も保護されるべきだろうと、そういうような考え方を私はとっております。

道垣内主査 ありがとうございました。
 どうぞ、上原委員。

上原委員 山本委員から根本的な問題が出たのにあれですが、先ほどの橋本委員のお話で、単純再送信のところは橋本委員のおっしゃられたとおりの議論になっております。単純再送信を除くというのは、単純再送信を行っている者を保護の対象から除くということではございませんで、放送事業者、有線放送事業者、もしウェブキャスターが入るのであれば、ウェブキャスティングを行っている者のうち、行っているキャスティングの中で単純再送信を行っている部分については保護が及ばないという議論が行われております。そこは、現在の保護制度としては、橋本委員のご心配、ご懸念はないかと思います。

道垣内主査 どうもありがとうございます。
 この趣旨を、山本委員がおっしゃったように詰めないと、ほかの論点も出てこないわけですが、ほかの論点を議論する中で趣旨についてのご発言をいただければと思います。
 どうぞ。

田嶋委員 (1)について申し上げますと、放送事業者が送信する内容に責任を持って送信行為を行っているのは当然でございます。したがって、仮に、具体的に定義を書くとすれば、実態に即して、こういう書き方にはなっていくのだろうと思っております。
 (2)について申し上げます。単純再送信というのがどのような再送信であるのか。これはWIPOでの議論を聞きましてもまだ固まっておりません。その意味で、上原委員がおっしゃいましたように、著作権常設委員会の議長も、条約テキストの中で、現時点での書きぶりをいろいろ工夫されている部分かと思います。ただ、日本の今の民放のネットワークの有りようなど、実態に照らして考えますと、民放事業者としては、単純再送信の内容や取扱いについて、今後、議論がどのように進んでいくのかというのは、大変注意をして見ている部分でございます。キー局の番組を地方の局が放送する場合に、それが単純再送信であるということで、送信行為の保護から外されてくるということがあれば、日本の放送の実態に則して考えますと、大変困った問題が起こってくるからでございます。以上です。

道垣内主査 ありがとうございました。
 ほかの方、いかがでしょうか。
 はい、松田委員。

松田委員 山本委員の説は十分な理由があるなと私も聞いておりましたけれども、もし山本委員のような考え方を日本の法制やテキストに使ったとしたらどうなるかということですね、実務的に。確かに創作部分があるということを実証して、個々の番組を特定して、違法な複製等を差し止めるということが場面として考えられたわけですが、今の実務はそこまで要求されていないわけですね。
 というのは、どこどこの放送局のどういう電波で送信したものについては複製しないでくださいと、番組を特定しないで隣接権が行使できるようになるわけです。その大きな差が生じることになりますけれども、それはどちらがいいかはにわかに私も判断つきませんが、大きな実務的な変更はそんなところに起こるのではないかということをまずご認識願いたいと思います。

道垣内主査 どうぞ、石井委員。

石井委員 これは意見というより、事務局に確認なんですけれども、きょうの議論はどのような条約テキストにすればいいかという議論であって、これで日本国内の法制をこうするんだということではないんでしょうか。それと、条約が変われば、それに合わせて日本の法制もそのように変える。例えば条約の範囲を超えて日本で保護をするということは可能だと思うんですけれども、そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

事務局 そのとおりです。国際的な議論において日本はどのように対応するかというのを検討する場だと考えております。国内的にはまた別途検討が必要だと思います。

道垣内主査 上野委員、どうぞ。

上野委員 先ほど山本委員が趣旨についてご指摘になられましたが、著作隣接権がなぜ与えられるかという理由につきましては、たしかに従来から2点あるといわれてまいりました。1点目は著作物の伝達、2点目は準創作性であります。つまり、著作隣接権者は、著作物を創作してはいないけれども、著作物を伝達しており、そこには準創作性があるというわけです。
 しかし、この2点をもって現行著作権法制度を完全に説明することはできないと思います。例えば、実演家は、著作物を実演する者だけでなく、「これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む」とされていますから、著作物の伝達という要素がない者にも著作隣接権が与えられています。さらにレコード製作者は、「レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう」と定義されていますから、著作物の伝達も準創作性も両方ないもの、たとえばわたしが街の雑踏の中にマイクを放置して録音した場合であっても、レコード製作者の定義にふくまれて、著作隣接権によって保護されることになります。
 このように著作物の伝達も準創作性もないような主体が著作隣接権の主体として保護されている反面、著作物の伝達も準創作性も両方あると認められそうな主体、たとえば出版社などが現行法上の著作隣接権の主体になっていないわけであります。
 このように考えてまいりますと、著作隣接権制度というのは、そもそも一つの一貫した考え方によって完全に説明することが難しいところなのではないかと思います。そうだといたしますと、立法という場面におきましては非常に自由度の高いところではないかと思います。したがいまして、著作物の伝達や準創作性といった理屈というよりも、結局のところは、保護すべきかどうかということを政策的に判断すればいいのではないかという気がいたします。ただ、その際には何らかの立法的対応をとった場合にどういう波及効果が生じてくるかということをあらかじめ検討しておかなければならないとは思います。
 以上です。

道垣内主査 今おっしゃったのは、演繹的に保護の趣旨を詰めて、そこはおのずから2と3の答えが出てくるというものではなく、2とか3の話を具体的な状況に応じて考えていくほかないと、そういうことになるんでしょうか。

上野委員 そうですね、どういう権利を与えるかとか、どういう主体に権利を与えるかといった立法論につきましてはそのように考えます。

道垣内主査 はい、わかりました。
 会長、どうぞ。

齋藤分科会長 一言だけ。
 隣接権制度云々はつくられたんですけれども、きょうご紹介がありましたように、隣接権者は著作者の補助者という位置づけが当初あったかもしれませんが、固有の制度としてどっちが上でどっちが下だという趣旨のものではないような気がいたします。これは全般です。
 それから、趣旨というか総論的なご議論がありましたが、この条約はジュネーブで、しかもWIPOで作成するという大枠からまず考える必要があろうかと思います。ジュネーブの会議の場面におきましても、大陸法とLA法の関係者のせめぎ合いというのは常にあるわけです。例えば、きょうの資料の中にありますアメリカの1条についてのb案は、あえて「現存する著作権及び著作隣接権の諸条約」と、こういう形で著作権に触れたいわけですね。
 英国の制度のご紹介がきょうございましたが、資料3の4ページには「著作権者として」とございますけれども、「放送を作成する」というのは、“ボーン・カスティング”で、“ボーン・カスツ”と“s”がついたものかもしれませんね。ですから、これは放送されたもの、放送番組の意味かもしれません。そうしますと゛イギリスにおきましても著作物として保護しようと。イギリスの場合は1988年に第1部と第2部著作権を分けていたものを廃止しまして、一本にしましたね。ですから、これは普通の著作物として扱うということかと思います。
 ただ、WIPOのベースとしては、ベルヌ条約とローマ条約ははっきり分けるという姿勢で臨んでいますから、その結果として、WCTとWPPTというものが出てきたわけです。その延長上に放送条約が位置づけられるわけでありますから、ローマ条約と条約を分けるという枠組みは外せないのではないかと思います。違う発想はもちろんあります。英米法からの発想としては、WCTの前身のベルヌ条約の議定書をつくる段階で、レコードの保護も入れるという考えもあったわけで、それを何とかなだめてというか、WPPTに移したという経緯がございますので、討議の場面を具体的にお考えになって、具体的に日本がどう対応するか。国際的な枠組みづくりの段階でございまして、国内はまだ別ですが、ここはひとつ考えていく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

道垣内主査 ありがとうございました。
 具体的な行為類型主体の論点について、こちらになければ日本の立場としては困るとか、あるいは、その方がよいと。あるいは、実態に即していえばどうなのかということについて何かございますでしょうか。例えば法人である必要があるのかどうかというと……。
 はい、どうぞ。

上原委員 主体の部分につきましては、先ほど法人の部分について申し上げたところでございますが、条約テキストの定義において法人になりましたという、法人になっていった経緯がございまして、かつてはあまり法人になっていなかったところでありますが、ウェブキャスティングを入れたいアメリカに対して、各国からウェブキャスティングが出た場合、すべての人が何らかの形でいろいろなものを流したら全く無責任な、いろいろな海賊行為まで保護の対象になってしまって、エンフォースがぐちゃぐちゃになるのではないかということが途上国等から大変強く投げかけられていたわけです。
 これを受けまして、アメリカが提案を訂正いたしまして、リーガルエンティティとすることによって、そこは少しさばけるだろうという提案に変えたところを、条約テキストは書き写して使っているというところから、ここは法人になっております。ところが、前回以来申し上げていますように、ノーバインディングではありますが、議長サマリーではウェブキャスティングは法的拘束力がない別のペーパーに変えようという方向で進んでおりますので、ウェブキャスティングが外れた場合、ここを法人とするというところについての本来のSCCRの場であった議論の前提が崩れますので、改めてここは別途の議論になろうかと思われます。
 そういう意味では、大陸法あるいは今までの流れに従って考えますと、必ずしも法人に限定することが必要とは思われないのではないかと。ウェブャスティングが入ってきたところでこういう議論が出てきたということでございます。日本法でもそうですし、あるいは、ローマでも決まってはおりませんが、放送の定義から読んで、放送を行っている者というふうに考えれば、そこは法人というものは入っておりませんので、この部分は今後、ウェブキャスティングの扱いと同時に議論がされていくところであろうと思いますし、そこは日本法の今の流れで進めていただいていいのではないかと考えます。

道垣内主査 では、山本さん。

山本委員 今の法人の問題を考える上でも、先ほど申し上げた趣旨のところをもう一度お話させていただきたいと思います。先ほど申し上げました、何ゆえに隣接権を保護するのかという点で、いろいろな考え方があり得ると思います。隣接権制度は根本的に見直す必要があるとは思うのですが、その問題とは別に、現在の隣接権制度を前提にして、それを変えないということにしても、放送事業者の隣接権を何ゆえ保護するのかというポイントを決めることは重要だと思うのです。
 ですから、隣接権はそのままで、松田委員がおっしゃったように、現在、実務上は創作性がどこにあるかというのは問題にされないという制度はそのままであっても、今後の条約に対するアプローチとして、どういう「保護の趣旨」に立つのかによって違ってくると思いますので、その点は決める必要があると。そういう意味で、準創作性というものがあるから保護するのだという立場をとるべきであると私は思います。
 もう一方の考え方として、放送事業者に対する隣接権の制度というのは、実質的には著作権関連の事業者の保護のための制度という側面、業法の趣旨がかなり強いのではないか。現在までの放送条約に関しての議論も、放送事業者にとってこういう権利が必要だからというところから議論が始まっているところもありまして、業法なのか、準創作性があるものを保護するのかという視点は重要ではないかと。そういうふうに考えますと、保護の主体の点に戻りますと、法人である必要性はないということになるのだろうと思います。

道垣内主査 ありがとうございました。
 今期と言いますか、この国際小委員会は最後に結論を一つ出すということには必ずしもなっていなくて、最後の議題にありますように経過報告ということで親委員会に報告いたしますので、論点としては今のようなことでよろしゅうございますでしょうか。詰めた議論は、また条約が本当に動き始めて、態度を決定しなければいけないというときには必要なわけですが、時間の関係もございますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 次の議題はウェブキャスティングの取扱い等ということでございます。これにつきましても、まず事務局からご説明いただいた後、音先生からの説明を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

事務局 お手元の資料2をごらんください。2のウェブキャスティングの取扱いについて説明します。先ほど説明いたしました日本の提案は(1)に書いております。概念の整理、定義の整理、事業形態の整理、個人活動・事業活動の区分などといった課題が残っているかと思います。
 第2点目として、放送行為の概念の整理があります。ウェブキャスティングの定義は「コンピュータ・ネットワーク上でアクセス可能にすること」と規定されています。これを採用すると現行の放送の概念を拡大することになりますので、定義の内容として問題ないかが第2点目です。
 第3点目としまして、今後、ウェブキャスティングに関する検討をする必要があるかと思いますが、以下に掲げる事項についてどのように考えたらいいか整理が必要と考えます。まず、行為の態様、アクセス可能な状態にする行為も含めるかどうか、オンデマンドも放送の形態に含めるかどうかです。現行条約テキストではオンデマンドは外れる方向で規定されています。次に、保護の対象として法人活動に限定すべきか、個人活動を除外すべきかです。さらに、対象を限定するために、事業内容、設備内容、顧客規模などの要件を定める必要があるかどうかです。これらについてもコメントいただければ幸いです。

道垣内主査 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、音先生のプレゼンテーションをお願いいたします。

音助教授 上智大学の音でございます。お招きいただきましてありがとうございます。
 途中までペーパーの方でお話させていただきます。申しわけございません。
 私に与えられましたテーマは「デジタル化による世界の放送事業の変遷」ということで、この部会の皆様のご関心とすり合わせをしまして、大きく3点に関してお話させていただこうと思って参りました。
 1点目は、デジタル化で放送を中心とするメディア産業がどういうふうに変化してきたのか、または、しつつあるのかという点でございます。2点目は、デジタル化の担い手、デジタル化が進んでいくときに、先ほど事業者か個人かというお話もございましたけれども、事業を行う環境と担い手とのかかわりというもの。3点目が、今のお話にございましたウェブキャスティングとのかかわり、この3点につきまして、私の専門はメディア産業論、メディア政策でございますので、その視点からお話をさせていただこうかと思います。
 資料の1枚目をめくっていただきまして、私たちに身近な日本の様子を簡単に申し上げておこうかと思います。日本における放送のデジタル化といいますは、衛星放送がまず最初でございまして、1996年にCS、通信衛星のデジタル放送が開始されました。「スカイパーフェクTV」という名前でご存じの方が多いかと思いますけれども、このCSデジタル放送の一つの特色といいますのは、多チャンネルのサービスが実現したということだと思います。
 サービス内容に関しましては、急速に多チャンネル化したことによりまして、自社制作の番組をつくるところももちろんございますけれども、番組調達をする事業者の方が圧倒的に多かったようでございます。ただ、やや産業論的な視点またはメディア政策的な視点からいたしますと、放送事業者に対する大幅な競争原理の導入がなされたということと、外国資本が日本のメディア事業の中にも入ってきたということが言えるかと思います。言うなれば新たな放送事業者の発展形態がここで提唱されたと。
 もう少しかみ砕いて申し上げますと、日本の放送産業というのは、NHKが先導的な役割を果たして放送サービスを展開してきたという事情があるわけですが、CSデジタル放送に関しましては、NHKさんは最初からかかわらない形、もう少し踏み込んで申し上げれば、日本の資本でいいますと商社とか、つまりメディア事業ではない人たちがプレイヤーとなってサービスを展開してきたという事情がございます。このことは、後ほど申し上げます海外とのかかわりの中でご記憶いただければと思うんですが、日本の場合ですと、公共放送であるNHKが先導的役割を果たしたというのがそれまでの放送サービスであったのが、そうじゃない、ある種の発展の仕方が提示されたというふうに見ることができると思います。
 他方におきまして、BSのアナログ放送が1984年から試験放送、そして、1989年に本放送をNHKさんは始めたわけですけれども、2000年からBSもデジタル放送が始まりました。そこでの一つのスタイルというのは、HDTVの放送をしましょうということだったわけですけれども、もう片方におきまして、これはこちらの部会とのかかわりということでお話できるかと思うんですが、キャスクカードというものをそれぞれのCDに入れまして、通信と放送の融合ということもかかわるのですが、受信者を限定して隔離していくことができるという枠組がこの時点でできたということでございます。
 BSデジタル放送に関しましては、地上放送に替わる新たな基幹放送になるのではないかというようなお話もあったのですが、平成の景気の悪さということもありまして、当初、1,000日で1,000万台の普及ということが高らかにうたわれたのですが、現実問題としては最初の展開があまりうまくいきませんで、次のページに普及の数字が出ておりますけれども、伸びがあまりよくなかったということがございます。
 ただ、次に申し上げます地上デジタル放送のかかわりで、2003年12月から地上放送が立ち上がって3波共用機、つまりBSと地上とCSが一緒に写すことができる受信機が出てきたものですから、今、BSデジタル放送の伸びは非常に進んでおりまして、1カ月に約40万台の伸びが記録されております。恐らく本年中には1,000万台を超えるのではないかと言われています。他方、先ほどご紹介いたしましたCSのデジタル放送に関しましては、370万軒ぐらいの加入がございますけれども、伸びがちょっと鈍化してきているという事情がございます。
 次に、地上のデジタル放送に関しましては、先ほどご紹介しましたように2003年12月に東京、大坂、名古屋で地上デジタル放送が開始されまして、2006年までにすべての地域で地上デジタル放送を開始することになっています。2011年にアナログ放送を停波し、完全デジタル移行ということが言われております。このデジタル化によりまして、一方ではHDTV放送ができる。ただ、もう片方でそれを3つに分けて、今までの標準の放送、3チャンネル提供することができる。加えまして、デジタルですので、データ放送、または、これも今いろいろな形で準備をされていらっしゃいますが、携帯向けの1セグ放送というものがサービスとして準備されつつあるというのが現状でございます。
 つらつらとこんなサービスがということを申し上げましたが、地上デジタル放送に関して申し上げると、日本の特色は、1つはHDTVであるということ、それから、これに絡めて多様なサービスを提供することが可能であるということなんですが、今後、サーバ型の放送とか、インターネットの連動等が言われております。ただ、ビジネスモデルの問題が大きなところなのかなと思います。ここまで日本のお話をしてから、海外との比較という形で次に話を進めさせていただきたいと思います。
 次の2枚はスケジュールと普及の数字でございます。日本のデジタル放送に関して整理をさせていただきますと、1つは、デジタル化をすることによって放送事業者の経営基盤が大きく揺らぐのではないかという指摘がございます。有り体に言ってしまいますと、デジタル化の投資、多チャンネル化、多メディア化、市場化によって、放送産業のある種の再編がなされるのではないかという不安ということでございます。もう片方で、通信と放送の本格的な融合がデジタル化の次にくるのではないかというのが、産業の期待として言われているということができると思います。
 今申し上げたことは、諸外国のデジタル化に関しても同様の問題が出てきております。次のところで放送産業の推移を載せておりますけれども、日本の放送産業はずうっと右肩上がりで成長しておりました。それから、次のページに載せてありますのはちょっと古い数字で恐縮でございますが、2003年5月に『月刊ニューメディア』という雑誌が全国の民間放送局にインタビューをした結果でございまして、ローカル放送局の再編が必至になるのではないかという見方をする方が圧倒的に多いというような資料がございます。
 ここからが本題になるかもしれませんけれども、諸外国における放送デジタル化の様子でございます。このあとヨーロッパ、アメリカ、それ以外のところを含めて申し上げたいと思いますが、まずは、その次のページの「諸外国における地上放送のデジタル化の状況」という一覧をごらんいただきたいと思います。世界的に見ますと、一番最初に地上デジタル放送を始めましたのはイギリスとアメリカで、1998年でございます。その後、ここに掲げてあるような国々がデジタル化を進めておりまして、全部で14カ国が地上放送のデジタル化を進めているところでございます。
 上の2つ、アメリカとイギリスの事例をご紹介するのがよろしいかと思うのですが、ご存じのとおりイギリスの放送サービスは公共放送であるBBCが中心に発展してきたという経緯がございます。アメリカはご存じのとおり公共放送、TVSは力がございませんで、三大ネットワーク、つまり商業放送を中心に発展してきたという経緯がございます。イギリスにおけるBBCのポジショニングというのは、デジタル化に絡めて議論され、イギリスの情報化の基幹的な位置づけが国会の中でも確認されて、デジタル化が進められたという経緯がございます。
 大きく分けますと、ヨーロッパは、当初からHDTVではなくて多チャンネル化が中心でした。もう片方では多機能なサービスを提供しましょうということです。アメリカに関しましては、HDTVがサービスの中心であるという考え方でございました。イギリスでは、BBCが比較的積極的にデジタル化に関してのサービスの提供をやり、多チャンネル化で世代別、それから、イギリス社会のことをご存じの方多いと思いますけれども、階層を意識した形でのチャンネルサービスを提供するということで、立ち上がりは非常によかったように思います。
 表の右側に世帯カバー率というのが出ておりますが、この数字はちょっと曲者でございまして、今このぐらいのところまでサービスを提供することができますよという数字なのでございますけれども、実際にどのぐらい受信しているのかというと、イギリス、アメリカとも見通しが明るいという状況ではございません。特に、後で申し上げますアメリカは相当厳しい。つまり、イギリスは、公共放送がやや先導的な役割を果たしたということで、初期の段階ではサービスが伸びていったんですけれども、その後の伸びが若干緩やかになってきておりまして、アナログ放送の終了時期というところで、2006年から2010年のいずれの時期に完了ということが当初検討されていたんですが、現段階では2012年ぐらいまで引っ張ってしまうのではないかということが言われています。
 他方において、このデジタル放送は、この部会でもきょうのお話の中心になろうかと思いますけれども、デジタルの情報ですので、ウェブとのかかわりとか、コンピュータとの関連が非常に強うございますので、BBCはホームページの内容を充実させることを一生懸命やりました。一時期はBBCだけで2万ページのホームページのサービスを提供するということをやっていたんですが、最近そのサービス内容を絞り込んでいるような様子がございます。あちらの業界紙等を読んでおりますと、BBCのサービスを少し絞り込んで、つまり、先導的な役割をBBCはある程度やったので、民間事業に少しその部分を任せてはどうかというような議論が出ているようでございます。
 それから、これもウェブキャスティングの話にかかわると思うんですが、ウェブ上の話というは国境を越えてサービスを提供することが簡単にできるものですから、BBCの外郭と言っていいと思うんですけれども、国際的なBBCのサービスを提供していくもの。日本で言いますと、BBCニュースは日本でBBCのサービスを見るということなんですが、この分野に関してはもっと積極的にやっていこうということがBBCは非常に強い。つまり、国内の産業的な意味合いでBBCが先導的な役割を果たしつつ、もう一方でウェブに関しては、ある程度見えてきたのであれば、中身を絞り込むという状態が出てきている。さらに、国際ローカルに関しては積極的にやっていくというところが今のイギリスの状況でございます。ただ、地上デジタルに関しましては、より一層の普及政策を展開しなくてはいけないということが出てきていると。BBCの次の免許の更新にあたって、このあたりの動きがもう少し本格的になってくるのではないのかなと思います。
 同様に、世界に先駆けて地上デジタル放送を始めたアメリカは、先ほど申し上げましたとおり、民間放送、商業放送が中心の放送サービスを積極的に進めてきております。アメリカは、連邦通信委員会(FCC)が放送政策を所管しているわけですけれども、民間放送事業がデジタル化を進めてサービスを提供するということがございますので、FCCの政策によりまして、2006年末までにはアナログ放送を終了して、完全デジタル移行という計画は立てたんですが、右側の「実施状況等」のところをごらんいただくとおわかりのとおり、デジタル放送が提供できるような状況はほぼ整った、99%のエリアまでデジタル放送ができるようになっていったんですが、受信機がどのぐらい伸びているのかといいますと、相当厳しいところがございます。
 加えて、デジタル放送の番組を提供する、先ほどHDTVを提供するというお話をいたしましたけれども、HDTVの番組をつくって、それが商業放送として、つまりコマーシャルがちゃんとそれに入るのかどうかというと、放送事業者はビジネスをやっておりますので、そのあたりは厳しいところがあるようでございます。
 もう1つ、アメリカの事情としてこれは重要だと思うんですが、ケーブルテレビでテレビ番組を見ている人たちが68%いると。つまり、ケーブルテレビがデジタル化しなければ、HDTVの意味がないという事情がございます。ということで、2006年末というのが延びそうで、今いろいろ議論しているんですが、2009年ぐらいまで延ばすかわりに、もう少し積極的な策を家電メーカー並びに関連の事業者に申し込んでいくというようなことで話が進みそうだという見方が強く出てきているように思います。
 これに絡めて、先ほどちょっとご紹介いたしましたケーブルテレビがこれにどう対応するのかということがポイントでございまして、地上デジタル放送を必ずケーブルテレビが受けなくはいけないという、マストキャディールールというものがFCCの中で議論されています。これが通るとデジタル放送は相当進むであろうというふうに見ることが思います。もう片方で、アメリカの事情、ややざっくりな申し上げ方で恐縮でございますけれども、先ほどのイギリスとは対極にありまして、商業放送が中心ということと、90年代の外資系のベンチャービジネスが積極的に展開してきたという経緯がございます。
 ということで、ケーブルテレビがデジタル化しているというケーブルテレビの回線、それから、もともとの電気通信の回線というもの、つまり、この話はブロードバンド化とリンケージしていくということが言えるであろうと。それから、これに絡めてさまざまなサービスが出てきます。例えばケーブルテレビのセットトップボックスでプウラウド・アンド・プレーというようなデジタルテレビのチューナーができまして、つなげばすぐサービスが受けられるというものが発売されたりという形で、新しいサービスが用意されることで変化の兆しがないわけではございません。
 この委員会の絡みで申し上げますと、例えばティーボとかリプレインというようなデジタル型のビデオ機器ですね、テレビの録画、こういうものと連動させることによって、地上デジタル放送をより積極的に普及できるのではないかという議論が片方であります。このときにコンプライトをどうするのか、つまり録画の制限をどうするのかということが非常に大きな問題になってきております。私、技術的な問題はあまり詳しくないのですが、FCCからある特殊な電波信号を一緒にデジタル放送に入れることによってコピーの制限をすることが決められて、それに対してメーカーサイドはオーケーを出しているんですが、民間団体から「これは違法なのではないか」という裁判所への働きかけがございまして、この裁判が2月から始まることになっています。ですから、このあたりもまだ少し見えないということがございます。アメリカの場合は、98年に地上デジタル放送を始めたんですけれども、先行きはまだまだいろいろな動きがあるのかなというのが実際でございます。
 イギリス、アメリカの事情をちょっと長めにお話させていただきましたけれども、これは最後のお話でございます。私が地上放送のデジタル化を海外との比較の中で見て感じておりますのは、アメリカにしてもイギリスにしても、それから、この表に出でおります諸外国にしても、最初のデジタル化にかかわるプレイヤーたちは、放送の公共性ということからいたしまして、地上放送事業者がそのプレイヤーになっているんですが、それぞれの国の新規参入者の位置づけがどのあたりにあるのかによって、その後の展開が違うのではないかというのが私の個人的な感想でございます。
 つまり、新規プレイヤーたちはどこで活躍するのかと言いますと、コンテンツをどういうふうな形で集めて、それを次の段階、つまりブロードバンド上にどういうふうな形で展開できるのかというところにつながっているのかなと思います。先ほどのイギリスの例で申し上げますと、BBCは確かに先導的な役割を果たしたわけですが、次のブロードバンド状況がある程度見えてきたところで、そこに新たなプレイヤーたちが出てきて展開していると。
 お手元の資料のちょっと先をごらんいただきたいと思いますが、これは「通信白書」からデータを持ってまいったものでして、インターネットの普及、ブロードバンドの普及状況が数字で出ております。私は大学に籍を置いているものですから、理系の学部がある大学はインターネット環境はいいものでして、その次の日本のものからご紹介させていただくと、NHKさんはインターネット上でニュースの配信をやっております。これはきのうのものをピックアップしてきたんですけれども、こんな形でニュース項目ごとにサービスを受けることができます。NHKオンラインという形のサービスでございます。
 その次はTBSのものをご用意させていただきました。やや雑談風な言い方の方が感覚がつかめるかもしれませんが、夜の11時ぐらいというと、私は家に帰るか帰らないかよくわからないぐらいの時間でございまして、『ニュース23』というのは、家に帰ってリアルタイムで見るというよりは、翌朝ネット上で見るということをよくいたします。というようなことがウェブ上ではできるという状況に今きているということであります。
 今回これをどういうふうな形で提示しようかなと思いましたところ、ブロードバンド環境であれば全くストレスなく見ることができるんですが、これを固定化してここに持ち込もうとするとなかなか問題がある、それはなかなかできないような形で技術的に保護しております。これはこのあとのものに関してもほとんどそうでございまして、世界的にも見ても、同じような形でコピーができない処理がされております。
 次のところでBBCのきのうのものを用意したんですが、画像のところをクリックすると動画が動くという形になっております。
 その次のところはCBSニュースです。例えば「シックスティミニッツ」というようなニュースマガジン形式の、アメリカでは非常に視聴率の高い番組がございますが、それの一部もこういうふうな形で見ることができると。
 ここまで申し上げましたのは、既存の大手の放送事業者が自分たちのコンテンツを、特にニュースをこういうふうな形で流している。以前ここの会合にお呼びいただいたときに韓国の例をご紹介させていただいたかと思いますが、韓国はドラマをそのまま流すということをやっております。先ほどの地上デジタルとのかかわりで申し上げると、地上デジタルを展開し、その地上デジタルでひょっとするとある種のメディア再編があるのかもしれませんけれども、ある種のメディア統合等も含めて状況が落ちついた次の段階にくるのがウェブの問題なのではないかと。それが先進国の様子かなというふうに見ることができると思います。
 それから、これも前回ご紹介させていただきましたが、その次のところは「フィードルーム」という、もともとはCBSのプロデューサーがつくった零細な企業なんですけれども、アメリカのローカル放送局のニュースを寄せ集めるサイトでございます。ちょっと小さくて恐縮ですが、例えば右肩のところは、ブラッド・ピットとジェニファー・アニストンの離婚が最近の若者たちの間で話題になっていまして、その2人の写真画であります。つまり、ローカルニュースと言いながらもこういうようなニュースも入っているものが流れています。その下はオスカーとなっています。こういうようなものをベンチャー企業がやるという状況が大分出てきております。
 つまり、それぞれの国のメディア産業の背景の違いによって、こういうところに新規参入者をどういうふうに入れていくのかというところの政策がちょっとずつ違ってくるのではないか。つまり、先導的役割をだれにさせるか、または、先導的役割をどなたかにしていただいた後に、どのぐらい市場がオープンになっていくのかというあたりが国によって違うのかなと思います。
 最後は中国のものを幾つか並べてあります。一番最初は『人民日報』です。次がCCTVです。このように、アジア諸国の中でもこういう形のものが大分出てきている。韓国はもちろんのことでございます。
 時間がきましたので、簡単にお話をまとめさせていただきたいと思います。地上放送のデジタル化を契機として、放送コンテンツの提供する環境の再編成、それから、整備というものが起こっているのではないか。その環境をどういうふうに整備していくかということが議論として非常に大事なのではないか。加えて、そのときのコンテンツの提供先が、今までの放送と決定的に違うのは、ウェブということで言いますと、それがそのまま海外に流れていってしまうということでございます。コンテンツの流通環境というのは、国際的に展開するときにどうしたらいいのかということを一緒に考えていかなくてはいけないであろうと。例えば先ほどのBBCの場合は、国内はウェブ上の展開は少し締めながら、海外に対しては広げていくという形の政策をとりつつあるということがあります。
 言うなれば、今までは国内型産業であったものを、海外に展開できるようなことが技術的にできたときに、それを制度的にどうしていくのがいいのかということを検討する必要があると思います。少なくとも現状までの様子を見てみると、地上放送または地上放送事業者というのは、先導的な役割を果たしてきたことは間違いない。ただ、その事業者がクリアであるということは、自由競争の点からするとおかしいわけですから、そこをどういうふうな形で広げていったらいいのか、そのあたりの検討がここで議論されていると並行する形で問われることになるのではないかと思います。
 以上でございます。

道垣内主査 どうもありがとうございました。
 カラフルなパワーポイントのファイルを用意していただいたのに、コネクターがうまくいきませんで、申しわけございませんでした。
 それでは、今の音先生のご報告に関しての質疑応答をいただいて、その後、先ほど事務局から説明していただいた資料2の項目についての議論ということにさせていただきたいと思います。この資料をごらんになりながらお聞きいただいたと思いますけれども。放送業界の方はよくご存じのところだったかもしれません。
 よろしゅうございますか。
 これを適宜ご参照いただきながら、議題の2のウェブキャスティングの扱いの議論をしたいと思います。先ほど説明いただきましたように、3つの問題に分けて、最後は少し枝葉に分かれていますけれども、いかがでございましょうか。
 資料4をご準備いただいていますので、橋本委員から少しお話いただけますでしょうか。
 よろしいですか。では、橋本委員、お願いいたします。

橋本委員 私が提出させていただいた資料4との関係もあるので、一言、お話をさせていただきたいと思います。
 今の放送条約におけるウェブキャスティングの取扱いという、この話題自体には全く違和感がなく、これはいわゆる放送という概念とは異なる行為であると考えております。ただ、放送自体を考える、放送行為の概念のところで「コンピュータ・ネットワーク上で実質的に同時に公衆に対してアクセス可能にすること」というのは、アメリカでされている表現であろうと思いますけれども、技術的にいうと、前にも言いましたように、「インターネットとインターネット・プロトコル」という、インターネット自体の表現、表記と、「インターネット技術」と言われるものは、明確に違うということが根底にあるわけですね。
 私が何を言いたいかというと、現在、日本でもイギリスでもイタリアでもフランスでも行われている、ブロードバンド上の放送事業として整備している技術を「マルチキャスト技術」と言います。通常のウェブキャスティングといったときには、基本的にはオンデマンド、「ください」で「送出します」という一対一の関係で送出が行われるものを、「送信」と呼んでいる資料として認識していると思うんですけれども、マルチキャストという技術を使うと何が可能になるかというと、100万人がそれを見たいといったときに、通常のオンデマンドで100万の送出を行うのに対して、1つの送出ですべてに対応できるという技術でございます。したがって、2メガだったら2メガ、4メガだったら4メガの放送を同時に再送信して、100万人が見にきても1本だけのストリーミングで対応できるという技術でございます。
 これは明らかに放送そのものの形態であろうということで、我が国では電気通信役務利用放送法という法律の中にそれを含めて、放送事業として認定するということを、放送法で行為として行っている現実があります。アメリカは、このマルチキャストの全国レベルのサービスはネットワークの都合上まだできていないということがございます。ヨーロッパは一部の地域においては可能になっているということで、各国温度差が相当ございます。これは技術の進化による可能性の広がりというふうにご理解いただければと思います。
 私が定義についての提案として1枚の資料を用意させていただいたのは、(マルチキャストを)「含めない」という文脈で、「コンピュータ・ネットワークを活用して提供されるもの」という表現形態になっていたものですから、「コンピュータ」というのはある意味で明確な定義づけができていて、「ネットワーク」というのも明確な定義づけができているんですけれども、「コンピュータ・ネットワーク」と言った瞬間に、少なくとも私は何のことなのか、どこまで含めているのかというのが全くわからない表現になっていると思います。
 そもそもコンピュータ・ネットワークがいろいろな場面で使われることは非常に少なくて、もし「除外する」という意味合いを強めるのであれば、「インターネット」も、これも適正かどうかいろいろご意見あるところかと思いますけれども、「ジ・インターネット」という、いわゆるオープンに複数のネットワークをパケットが経由して届いて構成される、そういったインターネットの資格そのものを除外しているということが妥当ではないかと思って用意をさせていただきました。
 何と区別したらいいかというのは、先ほど申し上げたマルチキャストという技術をベースにしたサービスのことを大前提に置くわけですけれども、マルチキャストですら、現状、何をどういう形で放送として登録できているかというと、私の資料の2の2に書きましたように、「クローズかつ管理されたネットワークで行われている『有線放送』。だから、放送として認定します」ということなんですね。どのネットワークを経由してパケットが届くかわからない、いわゆるオープンなネットワークであるインターネット網でのウェブキャスティングとは、質的にも実態的にも技術的にも明確に区分されるべきであるというのが私の考えでございます。
 これは、ヨーロッパにおいては実例も相当ありますので、それなりの理解は得られると思いますけれども、アメリカについていうと、将来的に整備するネットワークでは可能となると思いますが、現時点のネットワークでは難しいと思いますので、どういうことになるかはわかりません。しかし、インターネットでだれも責任を負えないような形での送出というのを除外すれば十分であって、クローズなネットワークで行われている有線放送、たまたまIT技術という最も進歩した技術基盤を用いているだけの有線放送については誤解がないようにしていただくのがよろしいかと考えました。

道垣内主査 どうもありがとうございました。
 全体としては12時15分ぐらいまでを予定しておりますので、ご自由にご意見をいただければと思います。
 はい、上原委員。

上原委員 2つに分けてお話させていただきたいと思います。
 最終的には橋本委員のご意見に絡むことになろうかと思います。放送行為の概念、資料の(2)に書いてあるとおり、「コンピュータ・ネットワーク上で実質的に同時に公衆に対してアクセス可能にする」という定義自体が放送概念との関係でどうかという問いも、資料の一番下に挙げていることでございますが、WIPOのSCCRの議論の中で、ミーティングの第7回に「SCCR7−8」という資料が出ておりまして、「テクニカル・バックグラウンドペーパー」と呼ばれております。これは放送とウェブとの間のテクニカルあるいはソーシャルの違いを分析したペーパーでございまして、これに基づいて議論が行われ、その後の展開についてもある程度の方向が出ているというものでございます。
 その中の47番以降の項目のところで、ウェブキャスティングとストリーミングが扱われております。1つには、ウェブキャスティング、ストリーミング、基本的にはストリーミングであってもウェブ上の送信はオンデマンドであると。つまり、一たんアクセスがきて、それから
そこに入れるというところに技術的な違いがあるので、そこで切るのは妥当であろうという分析がされております。
 特に49番という項目を一度ごらんいただいたらよろしいかと思いますが、この辺で先ほど橋本委員がお話になられましたマルチキャスティングにも触れておりまして、マルチキャスティングの場合、基本的には中間のサーバを巻き込むことによって、ユーザと直接アクセスするサーバとの距離は縮まる。したがって、大本から出てきて、中間サーバへいくまでは、橋本委員がおっしゃったように1本でいくわけですが、ユーザ側から言えばサーバにアクセスするということで、そのアクセスがとまると最終サーバからのユーザへの送信はとまるということにおいては、放送と違うということがここに書かれております。それが、今、WIPOの中では、事務局が準備した資料として検討され、話し合いがされ、その後それに対する大きな修正がなされていないところから、一つの概括的な理解になっているところというふうに考えていいのではないかと思います。
 そういう意味で、放送行為の概念のところで言いますと、アクセスをするかしないか、その行為をするかどうかという技術的な違いのところで、今までの放送と切ろうとしているところが、WIPOのペーパーでも出てきております。日本の著作権法では、そこを自動公衆送信装置を通すか通さないかということで明確に切っているわけでございまして、わかりやすいところでございますが、ほぼそれと同様の傾向に流れているということがございます、概括的な概念として。そういうところから言いますと、新しい可能性が出てきたときには、それに合わせた定義をしていかないと理解ができませんので、送信行為だけでウェブキャスティングをつかもうとすると、かえってすみ分けができないというところから、「アクセス可能な状態にする行為」というふうに定義することが、送信行為から広がるから問題があるというふうには、にわかには言えないのではないか。むしろ、できるだけすみ分けわけがわかりやすいような形で定義されていく方が現実的ではないかと考えます。
 そういうところで申し上げますと、今、橋本委員がおっしゃられたクローズドな環境の中で行われるマルチキャスティングであっても、それはプロトコルを使った、今までの放送とは実質的には違った形態のものであるということで一たん仕切った上で、改めてそうしたものをどういう土俵の中で考えていくのかということを展開していくことが重要なのではないかと思っております。その点につきましては、前に山地委員から「日本はウェブキャスティングを別にやると言ったんだから、どういうふうなものをどう考えるのということを先導的に示していくべきだ」というご意見がありました。そういうものの中できちんと扱われていくことが望ましいのではないかと考えております。
 また、本件を別の方角から申し上げますと、前回も申し上げましたように、現在、インド、ブラジル、エジプトなどの影響によりまして、条約の成立が見えにくい状況になっております。インドは有線放送を入れることすら反対しております。従来の放送だけでやるんだと言っています。これは最終的には大きな政治的対立が解ければプログラムの中に入ってくるんでしょうが、条約というのはミニマムスタンダードを決めるものでありまして、世界中の加盟国において広く認められている範疇のものについてのみ決めていって、そこまでいかないものについてはまた次の段階でフォローしていくという形をとるものでございます。
 したがって、今の橋本委員のお話は日本国内的なお話としてはわかる部分もあるんですが、現実には理念上の世界においてはそのような提案を日本がしていこうとするならば、SCCRの7、8、8で日本があの提案をしているわけですが、7、8あたりの提案のWIPOのペーパー、日本の提案とのずれが生じる問題であり、また、このような途上国に全く理解できない問題を展開していくことによって、インドは「だから話を進めていかない」ということで、条約が全く見えなくなってしまうということになると思います。したがって、戦術的にも決して有利ではない。
 また、もしここでこの条約ができませんと、WIPOの1996年のWCT、WPPT以降、著作権に関する条約は一つもできておりません。また、その他の知財、つまりパテント等におきましても、新条約、あるいは、条約改正の率の低いところでございまして、ほとんどできない状況になってきております。つまり、ここで条約ができる可能性をつぶすような戦術をとってしまうと、将来的にWIPOがインターナショナルノルムセッティングをする能力を失わしめる可能性があります。そうだとすると、将来、新しい媒体として出てくるウェブの世界にも、またマルチキャスティングの世界にも、世界的にどう考えていくのかという場を失うことにすらなりかねないということで、戦略的にも必ずしも得ではないのかと考えますので、橋本委員のご意見については、その内容、ご趣旨についてはわからないわけではございませんが、現段階ではこのような形での提案をしていくことはマイナスではないかというふうに考えております。
 以上です。

道垣内主査 はい、どうぞ。

橋本委員 技術的な検討並びに49番という番号を、先ほどおっしゃったペーパーをぜひ拝見させていただければと思います。

上原委員 WIPOのホームページに載っています。

橋本委員 そうですか。では、それは勉強しておきます。
 一点だけ。マルチキャストもユーザ側からアクセスしているというお話がありました。ちょっと技術的になって恐縮ですけれども、ある配信のところまでのマルチキャストの先がPPPoE(PPPオーバー・イーサ)というやり方で、インターネットの通常の通信の仕掛けでとりにくるもので行われているマルチキャストは大変多いです。そういう意味でいうと、それを使わないで放送と同じ形態で、もう既に決まったルーティングで自動的に流れる、つまりテレビのスイッチを押すのと基本的には同じ行為で行っているマルチキャストがあるんですね。私どものグループではそれを提供したんですが、何度言っても議論がかみ合わないのが、アクセスをするかしないかということであるならば、アクセスをしていないという仕掛けが現実に存在しているんですね。
 要は、「そうは言っても」という議論の中に技術的な間違いがすごく多くて、それは議論を混乱させている点があると思います。私としてはその主張を押す立場にないものですから、表現その他も含めて条約加盟国それぞれの立場を踏まえて、最終的には決定されることだと思いますので、主張したということをもって、皆さんの了解を得られたということで、最終的な文言については特にこだわるものではございません。

道垣内主査 放送条約を進めるために、どこを除いて動きやすくするのかという話と、ウェブキャスティングをどういうふうにとらえて、それに妥当な、それにふさわしい権利等を与えるのとかという話とは違う話だろうと思いますけれども、このペーパーでいうと(3)のところが、どうあるべきか論で、(1)はどう対応するのかということだと思うんです。
 本当は後者の方が大切な問題で、仮にそこで議論した結果、全く同じ扱いでよいとなれば、本来は一緒にできるはずだけれども、戦術か戦略かわかりませんが、理解がまだ十分でない国との関係ではとりあえず諦めた方がよいということもあり得るということかと思います。
 どうぞ、山地委員。

山地委員 まず、ウェブキャスティング自体については拡大化の傾向は間違いないことなので、日本の現状の著作権法による通信と放送の切り分け、あるいは、総務省が言っている電気通信役務利用放送事業法と事業者の現在の概念のままでいいとは到底思えません。したがって、日本としてウェブキャスティングの検討は必須だと思います。ただ、日本の現行著作権法は、私の知識では欧米とかなり違うところがあって、よく言えばずうっと進んでいる、論理的にも非常にきれいにできていると思っています。いい悪いは別にして、通信と放送のところをかなり明確に分けている。ですから、その体系のままでイギリスやアメリカが言うような方向で、安易にウェブキャスティングを持ち込むというのは非常に危険だと思っているので、(1)に書いてあるように従来の日本の主張を曲げるべきではなくて、放送条約とは切り離して、元からきちんと議論すべきだと思っています。それがまず1点です。
 それから、(3)についてです。先ほどの議論にもありました1、行為の態様について、もし検討するんだとすれば、これも含めるべきだと。つまり、アクセス可能な状態にする行為を含める、つまりオンデマンド形態を放送の形態に含めるということで検討すべきだと思っています。理由は、今、橋本さんのおっしゃったことなんですが、現実にきょう日本で行われているブロードバンド接続をマルチキャストの技術を使ってやっているところは数社あって、それは少なくともセットトップボックスまでは常に全チャンネルの信号がきていると聞いています。しかしながら、そうではない形態も技術的に十分考えられるわけです。その方が経済的にもいいということもあるでしょう。したがって、そういうものが出てくるということも想定した上で検討すべきだと思います。
 それから、細かいことを言うと、セットトップボックスまできていればいいのかというのも議論の余地はあるように思います。STBというと、テレビの上に乗っているということかもしれませんが、概念的にいうとそれがだんだん遠くなって、アパートだマンションだとなると、それが電信柱の上にいったり、気がついたら10キロ先にいっていたりというふうになったときに、手元まできている手元というのはどこなんだというようなこともあり得るので、今、数社がやっているのはそうなっているから、それはそれでいいじゃないかというのは、せっかく議論するんだったら、そういう譲歩をしてしまうともったいないと思います。
 それから、次に3です。条件を入れるかどうかなんですが、これはなぜウェブキャスティングの議論をするかということによると思います。つまり、なぜやるか、何か新たな権利をもらわないと、現実問題としてそういう事業ができない、そういうサービスをやっていけないので、その権利を与えるためには例えば放送の中にウェブキャスティングを取り込んだ方がいいんじゃないかというような議論だと思うんですね。
 法的には、通信のままでも一時的固定とか、音楽に対して報酬請求権的な権利を与えるということは、やってできないことはないのかもしれませんけれども、それは立法技術上は非常に難しくて、実際にそれをやるんだとしたら、今できている放送という概念の枠組みの中にウェブキャスティングを取り込んでいくというアプローチの方がいいんだろうと思うんですね。希望を言う人も多分そのことを頭に置いて、ウェブキャスティングを放送にしてくれということをおっしゃっているんだろうと思うんです。
 もしもそういういろいろな権利を与えるのだとすれば、公共性とか公益性とかある程度の条件をはめるということはやむを得ないのではないかと思います。権利者からも、自分の権利を弱めるようなことをするのであれば、条件をある程度かけてくれというような議論は当然出てくると思われますので、その検討はすべきだろうと思います。
 2の保護の対象は3の結果に依存するんではないかと思うんですね。個人を外すか、法人だけにするか、個人も入れるかというのは、3と絡んでいることがあるんだろうと思うんです。非常に零細なウェブキャスティングであって、100人とか数百人しか相手にしないとか、三ヶ月やったらつぶれてしまうとか、やめてしまうとか、そういう不安定と思われるものに対してまで各種の権利を与えていいのかと、そんな議論がバックグラウンドにあるんだろうと思うので、3番の結果を見ながらというか、2と3とは絡めて議論をせざるを得ないのではないかと思います。

道垣内主査 どうもありがとうございました。
 いかがでしょうか、山本委員にウェブキャスティングはとうなるかということをお聞きしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

山本委員 ウェブキャスティングは当然保護されるべきで、放送などと区別されるような根拠は何もないと思います。ただし、ここで問題になっているのは、先ほど齋藤会長からお話があったように、ベルヌ条約とローマ条約との枠組みがあって、その枠組みの中の放送条約の中に取り込むかどうかという問題だと。つまり、ウェブキャスティングに対して隣接権を与えるような対象にするかどうかという問題だと思うんです。
 だとすると、先ほど申し上げましたように隣接権の制度が今の形でいいのかどうかという疑問が根本的にあるときに、ウェブキャスティング、つまり、隣接権の対象を広げるようなことは決して望ましくないのではないか。申しわけないですけれども、実態的には業法になっているような隣接権の制度をウェブキャスティングに広げるというのは、この時点においては望ましくないのではないか。そういう意味から言いますと、今の政府の方針のようにウェブキャスティングについては放送条約から分けて議論するという姿勢の方がいいのではないかと私は思います。

道垣内主査 はい、ありがとうございました。
 よろしゅうございますでしょう。ほぼ予定の時刻でございますので。議論もまだ十分ではないと思いますけれども、大体この辺で。
 議題の3でございますが、この「国際小委員会」の検討状況についての報告書を作成して、それを分科会で報告する必要がございます。これにつきまして、資料6がございますので、それに基づいて事務局からの説明をお願いいたします。

事務局 資料6をごらんください。
 1月24日に行われます分科会におきまして、道垣内主査から報告していただく予定になっております。1、2、3とありまして、4の検討内容について説明いたします。今回、3回にわたってご議論いただきました放送条約、アジアとの連携の在り方について記述しております。
 まず、放送条約でありますが、(1)でこれまでの国際的な動向について事務局から報告し、いろいろご検討いただきました。また、本日、上智大学の音先生から「将来のデジタル化による放送事業の変遷」についてご説明いただきまして、将来の課題について検討を行ったという記述をしております。
 (2)は条約テキストの論点について議論を行った結果でございます。まず、保護の対象の考え方につきましては、今回の議論を踏まえまして記述させていただきたいと考えています。2の放送事業者に与えられる支分権の在り方につきましては、ネットワーク上での侵害に適切に対応できるように、利用可能権とか再送信権など必要な権利が付与されることが求められる。その際には、過去の我が国の提案、他の権利者とのバランスにも配慮する必要があると書いております。また、放送の二次利用に関する権利について、アメリカなどから禁止権の付与の提案がございますが、これについては、法的効果も考慮しつつ慎重に対応すべきであるとしております。
 また、その技術的手段等の内容につきましては、デジタル環境下においてこういった法的措置が望ましいということと、暗号解除については技術的手段の趣旨、他の条約との関係にも留意しながら、対応を検討する必要があると書いてございます。また、権利管理情報につきましては、将来のデジタル放送にも資することから、法的措置が望ましいとしております。
 将来の課題につきましては、本日の議論を踏まえまして、記述させていただきたいと考えております。
 2のアジア地域の連携につきましては、現在討議が行われていますEPA、FTAにおける著作権制度の対応の在り方とか、文化庁で行っておりますAPACEプログラムの在り方、欧米あるいはアメリカ等の連携の在り方についてご議論いただきました。こういった課題が将来の検討事項ではないかと考えております。
 今後のスケジュールとしましては、3月以降にこういった内容についてご議論いただきたいと考えております。
 以上です。

道垣内主査 いかがでございましょうか。1ページ目から3ページ目にかけてが放送条約についての議論の取りまとめになっております。少しニュアンスが違っておりまして、項目によっては「配慮する必要がある」とか「慎重に対応すべきである」とか「望ましい」とか「検討が必要である」とかいう書き分けになっておりますけれども、そのような点が特に問題かなと、ご議論いただくとすれば、「どうでしょうか」ということだと思います。
 何かご意見ございますでしょうか。

奥邨委員 言葉の確認ですけれども、「法的措置」の「法」というのは条約という趣旨であるということで理解していけばよろしいのでしょうか。

事務局 はい、そのとおりです。条約におけるリーガルバインディングな措置ということを考えております。

道垣内主査 よろしゅうございますでしょうか。
 今回の委員会の議論は、これから取りまとめるということになりますが、それについてご意見を伺う機会はございませんので、それにつきましては主査に一任ということにさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)


道垣内主査 どうもありがとうございます。
 それでは、事務局と相談いたしまして、そのような文章にして報告をさせていただきたいと思います。
 本日の委員会で今期は最後の小委員会となりますので、森口文化庁審議官から一言ごあいさつをいただきたいと思います。

森口審議官 今期最後の国際小委員会の閉会にあたりまして、一言、お礼を申し上げたいと思います。
 今期は、昨年の9月3日に第1回の委員会を開催しまして、以来3回ほど討議を行っております。国際的な著作権課題としまして、放送条約の対応の在り方を中心に活発なご議論をいただいたわけでございます。改めまして感謝申し上げたいと思います。
 今期の審議につきましては、先ほどお話がございましたように、1月24日の文化審議会の著作権分科会におきまして、道垣内主査からご報告をお願いすることになっております。
 それから、来期につきましては、残された検討課題であります「フォークロアの保護の在り方」とか「デジタル化への対応の在り方」、こういった点につきましてご審議をお願いしたいと思っておりますので、引き続きご協力をお願いしたいと思います。
 著作権の国際課題につきましては、本日の議論にもございましたように、欧米の間でもいろいろ意見が違いますし、特に最近においては途上国との関係で、必ずしも内容ではなくて、いろいろな関係の中で著作権の問題も取引材料の一つにされていくというような状況もWIPOではございまして、本日ご議論いただきました放送条約もこの先予断を許さない状況でございます。そういう中で、そういう国際的な問題も含めまして、委員の方々にはご協力をお願いしたいと思っておりますので、今後ともぜひよろしくお願いしたいと思います。
 繰り返しになりますが、最後に、多忙な中この小委員会にご協力賜りました委員の方々に改めてお礼を申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

道垣内主査 それでは、これで本日の小委員会を閉会させていただきます。

事務局 本日はありがとうございました。
 次回の国際小委員会は3月の開催を予定しております。日程、場所等につきましては、後日改めて連絡をさせていただきます。
 昼食を用意しておりますので、お時間のある方は同じ階の三田ルームまでお越しください。
 以上でございます。

道垣内主査 どうもありがとうございました。

午後12時30分閉会

(文化庁長官官房国際課)

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