戻る
資料3


「放送機関に関する新条約」についてのWIPOにおける検討状況について
(第9回WIPO著作権等常設委員会について)


1. 第9回著作権等常設委員会について
     WIPO著作権等常設委員会については、著作権及び著作隣接権にかかる事項を検討するために1998年に設立されたものであり、概ね年2回の頻度で開催されている。現在、本委員会においては、放送機関の保護に関する新条約等の事項について近い将来の条約化を目指した作業が行われている。第9回目の会合となる今回総会は、6月23日〜27日にかけてWIPO本部(ジュネーブ)において開催され、当庁からは、吉尾国際課長、中園国際課国際著作権専門官が出席した。


2. 今回常設委員会における主な論点(放送条約関連)
 
(1) 保護の対象
ローマ条約の保護の対象であった(伝統的)放送に加え、ウェブカスティング(インターネット放送)を新たに保護の対象に加えるべきか否かについて議論が行われた。
 
1) 伝統的放送と有線放送
各国とも保護に異存なし。

2) インターネット放送
各国から以下の考えが示された。
日本 本条約の保護の対象とはせず、今回の議論とは切り離して別途WIPOで検討を実施。(アフリカグループ、アジアグループ,中南米グループ同旨)(別添1参照
米国 保護の受益者とする。(定義、付与する権利については更に検討)
EC 保護の対象とはせず。(放送事業者の行う同時同内容の送信は含む。)
NGO 多くが日本提案を支持。


            3)
放送前信号
各国から以下の考えが示された。
米国 “effective and adequate legal protection”を付与。なお、pre−broad cast signals を送信する者も保護の対象とする。(保護の方法については各国に委ねている。)
EU、ウルグアイ “adequate legal protection”を付与。保護の方法については各国に委ねている。)
日本 国内において検討中。
スイス 、アルゼンティン、IU、民放連 排他的許諾権を付与。


      (2) 付与すべき権利等
 
1) 議長より、これまでの議論を踏まえるとともに、次回の議論の結果を反映することを前提に、現段階で考えられる「放送事業者に付与される権利」の候補として以下のものが提示された。
   1)固定権   2)複製権   3)譲渡権   4)再放送権   5)有線放送権   6)インターネットによる再送信権   7)異時放送権   8)利用可能化権   9)公衆伝達権   10)技術的保護手段   11)権利管理情報に関する義務   12)暗号解除に関する義務(別添2

2) 上記議長の提案に対する各国の反応は以下のとおり。
日本 国内で検討中。
米国 1)〜11)の付与について異存なし。ただし、譲渡権、利用可能化権については、「無許諾」に限定している。また、暗号解除については、10)で読み込めるとしている。
EC 1)〜11)の付与について異存なし。
印、ブラジル他 権利については全体的に留保。


3.
今回会合の結論(放送新条約関係)
「放送機関の保護」は次回SCCRの主要な議題となる。
次回SCCRにおいて、情報提供の会合が開催される。
次回SCCRは2003年11月3日から5日に開催される。


4.

今後の考えられるスケジュール


平成15年9月22日〜10月1日         第38回WIPO一般総会


          ○ 国内における検討継続

平成15年11月3日〜5日         第10回SCCR(今後の日程の確定)


          ○ 我が国の交渉に臨む対処方針の確定


平成16年5月         第11回SCCR(我が国の立場を説明)


平成16年9月         第39回WIPO一般総会(外交会議日程の確定か?)


平成16年         外交会議の開催(?)

        
:外交日程






ページの先頭へ