(1) |
アメリカ |
|
連邦国家であるアメリカ合衆国では、教育に関する事項は基本的に州の専管事項とされており、連邦レベルで我が国の「教育基本法」に相当するものはない。 |
|
但し、具体的な全国教育目標を定めた法律がある。 |
|
各州は州法(州教育法)を定めているが、その内容は一般に教育行政の仕組みや学校教育の基本的枠組みについての具体的、実務的な規定であって、教育の理念や原則を定めたものではない。 |
|
|
(2) |
イギリス |
|
我が国の「教育基本法」に相当するものはない。 |
|
教育制度の総合的な枠組みを定めた法律があるが、教育の理念などを定めた規定はない。 |
|
|
(3) |
フランス |
|
教育基本法と称する法律は何度か制定されているが、最近のものとしては、1989年に制定された「教育基本法」(通称「ジョスパン法」)がある。この法律は、教育を国の最優先課題とすることを公約した社会党政権下で成立した法律であり、6編36条からなる。 |
|
【教育基本法の主な内容】 |
|
 |
国民の教育水準の向上のための目標 |
|
 |
就学前教育の促進 |
|
 |
進路指導における生徒の主体性の重視 |
|
 |
学校運営に対する生徒の参加の促進 |
|
 |
教員養成制度の改革 |
|
 |
教員・父母・学生・地方公共団体の代表からなる審議会の設置 |
|
|
|
(4) |
ドイツ |
|
連邦国家であるドイツ連邦共和国では、教育に関する事項は基本的に州の専管事項とされており、連邦レベルで我が国の「教育基本法」に相当するものはない。 |
|
但し、高等教育については、「高等教育機関の使命」等について定めた「高等教育大綱法」が定められている。 |
|
各州は、初等中等教育法、高等教育法など個別の法律を制定しているが、教育基本法に相当する法律はない。ただし、教育の理念や目標を州憲法で規定している州がある。 |
|
|
(5) |
中華人民共和国 |
|
中華人民共和国では、1980年代以降、教育の改革・発展を円滑に進めるため、教育に関する法律制度の整備が進められる中で、1995年に「教育法」が制定された。内容については、従来の教育政策を踏襲し、教育を社会主義現代化建設の基礎として、国家が教育事業の優先的発展を保障するという基本原則が明確に規定されており、10章84条からなる。 |
|
【教育法の主な内容】 |
|
 |
社会主義建設理論等の指導の堅持 |
|
 |
社会主義教育の推進 |
|
 |
中華民族の歴史、文化、伝統の継承、高揚 |
|
 |
国家社会公共の利益への適合 |
|
 |
教育と宗教の分離 |
|
 |
教育の機会均等 |
|
 |
少数民族地区等への援助 |
|
 |
教育における標準語、標準文字使用の普及 |
|
|
|
(6) |
大韓民国 |
|
1948年に制定された憲法の精神に則り、1949年に教育の基本的事項を規定した「教育法」が制定され、以来38回の改正が行われてきたが、内容の一貫性が保ちにくくなり、さらに新規の内容を盛り込むため、改正の必要性が高まり、1997年に教育法が全面的に改正され、3章29条からなる「教育基本法」として新たに制定された。 |
|
【教育基本法の主な内容】 |
|
 |
教育理念 |
|
 |
学習権の保障 |
|
 |
教育の機会均等 |
|
 |
教育の自主性・専門性の保障 |
|
 |
教育の中立性 |
|
 |
義務教育、学校教育 |
|
 |
社会教育の奨励 |
|
 |
英才教育、科学技術教育、教育の情報化など特別な教育への支援 |
|
|
|
(7) |
ロシア連邦 |
|
1991年12月ソ連邦崩壊に伴いロシア連邦が誕生し、以後、市場経済体制への移行にあわせた教育改革が進められ、92年7月に「ロシア連邦教育法」が制定された。 |
|
【ロシア連邦教育法の主な内容】 |
|
 |
教育政策の原則 |
|
 |
就学前教育から成人教育までの学校制度 |
|
 |
教育行財政 |
|
 |
教職員の待遇 |