コラム

4.「文化力」で日本の社会を元気にする―「文化広報プロジェクト」

 河合文化庁長官(当時)は,就任以来「文化で日本を元気にしよう」という発想から,文化までもが東京に一極集中しがちな現状を改善し,それぞれの地域の持つ文化力を更に高め,発信していくための取組を提案してきました。
 その一環として,次の三つの文化広報プロジェクトを構想し,関係者との協働により実現しています。これらの取組は地域の人と人,人と文化をつなぎ,さらには観光や経済活動にも大きな刺激を与え,社会を活性化させるものとして高い注目を集めています。

1 関西元気文化圏

 平成15年3月,「日本の社会を文化で元気にしよう」「そのために,まず関西から始めましょう」という河合文化庁長官(当時)の呼びかけにこたえ,関西の自治体,経済界,関係事業者,報道機関などの代表者が集い,5月に「関西元気文化圏発起人の会」が,8月には「関西元気文化圏推進協議会」が発足し,「関西元気文化圏」の取組がスタートしました。
 「関西元気文化圏」では,趣旨に賛同する活動や事業の参加登録を広く募集し,共通ロゴマークや専用ホームページを活用して,積極的な広報を行っています。登録件数は平成18年11月現在で約5,800件に上り,地域的・量的な拡大を続けています。
 「国際文化フォーラム」や「舞台芸術国際フェスティバル」などの文化庁主催事業のほか,関西元気文化圏推進協議会による,独自の様々な主催事業が企画・実施されています。例えば,毎年1月に「関西元気文化の集い」を実施し,文化を通じて関西から日本を明るく元気にすることに貢献した人・団体に「関西元気文化圏賞」を贈っています。また,毎年11月には「関西文化の日」として,平成18年度は,趣旨に賛同した圏域の美術館・博物館など273施設の常設展が一定期間無料開放され,大勢の方が来館しました。

▲「関西元気文化圏推進協議会設立総会」にて関係者を激励する小泉内閣総理大臣(当時)

2 丸の内元気文化プロジェクト

 平成16年1月に文部科学省が丸の内に仮移転し,地域の一員として「大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会」に参加したことを契機に,同年5月から同協議会と文部科学省とが協力して「丸の内元気文化プロジェクト」を実施しています。
 このプロジェクトは,地域で働く人々の文化芸術に触れる機会を増やすことなどにより,地域の文化力を高め,文化力で街を元気にしていくことを目指すものです。
 様々な分野で活動を行っている芸術文化団体や地域内の企業,NPO法人などの協力により,落語会やコンサートを開催するなど,働く人々が文化芸術に触れることができる機会を提供しています。また,地域内で実施される文化活動や事業の広報活動にも取り組んでいます。

▲丸の内文化プロジェクト
講演会でフルートを演奏する河合文化庁長官(当時)

3 九州・沖縄から文化力プロジェクト

 平成18年3月に国立劇場おきなわで開催された「伝統文化の祭典 人間国宝 九州・沖縄」において,河合文化庁長官(当時)から「九州・沖縄から文化力プロジェクト」が提案されました。
 この呼びかけにこたえ,平成18年9月に,九州・沖縄・山口の関係者による「九州・沖縄文化力推進会議」が設立され,九州・沖縄・山口の圏域で継承・蓄積されている魅力あふれる文化を再認識し,圏域内における文化活動の充実とその発信に取り組む「九州・沖縄から文化力プロジェクト」がスタートしました。9月からは,専用ホームページでプロジェクトへの参加登録受付が始まっています。
 平成18年11月には,「第21回国民文化祭・やまぐち2006」が開催されたほか,九州,沖縄,山口の各県において様々な文化活動や行事が推進されています。「文化庁国際文化フォーラム」や「文化庁舞台芸術国際フェスティバル」などの文化庁事業も,アジアとの交流に重点を置くものなどを中心に,九州・沖縄地区で多数実施しています。
 「文化」は,芸術活動や歴史的建造物,伝統芸能などに限定されるものではありません。
 衣食住や生活様式,価値観など,人間の生活の営みのあるところすべてに「文化」は存在しています。文化の持つ,人々に元気を与え,地域社会を活性化させて,魅力ある社会づくりを推進する力が,「文化力」です。
 今後も,それぞれの持つ「文化力」を結集し,地域や日本の社会を元気にする取組を積極的に展開していきます。

▲「伝統文化の祭典 人間国宝 九州・沖縄」にて「九州・沖縄から文化力プロジェクト」を提案する河合文化庁長官(当時)

(詳しくは,文化力プロジェクトホームページ(参照:http://bunka-ryoku.goo.ne.jp/(※文化力プロジェクトホームページへリンク))をご参照ください)

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