第1節 快適で豊かな文教施設づくり

3.環境を考慮した文教施設づくり

(1)エコスクール(環境を考慮した学校施設)の推進

 近年,地球的規模の環境問題が世界共通の課題として提起されており,我が国においても,平成17年4月に京都議定書目標達成計画が閣議決定されました。文教施設についても,高機能化や快適性などが求められていることから,使用エネルギーの増加が予測されますが,その整備や維持・管理においては,環境への負荷の低減を図るなどの視点が重要となります。また,このような視点で整備された文教施設を活用して,環境教育や省エネルギー活動を実践していくことが求められています。
 文部科学省では,環境への負荷の低減や環境教育・環境学習に役立てるため,公立学校を対象にパイロット・モデル事業(実験的な事業)を実施するなどエコスクールの整備充実に向けて取り組んでいます(図表2-12-1)。これにより,エコスクールを整備した学校は,平成9年度から18年4月までに609校となっています。

図表●2-12-1 エコスクール(環境を考慮した学校施設)の趣旨

 また,地球温暖化防止に対して大きな効果が期待される省エネルギーに関して,各都道府県教育委員会などを通じ,児童生徒や教職員などへの省エネルギーの重要性についての指導や,学校現場での省エネルギー点検の実施を要請しています。

(2)屋外教育環境の充実

 たくましく心豊かな子どもたちを育成するために,校庭の芝生化や自然体験広場(学校ビオトープ(注))など学校の屋外教育環境の整備充実が求められています。校庭の芝生化などにより,スポーツ活動の活性化や環境教育の充実など教育上の効果や環境保全上の効果などが期待されます。
 文部科学省では,公立学校における校庭の芝生化などを国庫補助の対象としています。この国庫補助により300平方メートル以上の芝張りをした学校数は,平成9年度から17年度までで合計320校となっています。

  • (注)学校ビオトープ
     環境教育の教材として学校の敷地内に設けられた,地域在来の昆虫や動物などの生き物が暮らすことのできる草地や池などの空間のこと。

(3)学校施設の木材活用

 我が国の伝統的な建築材料である木材は,温かみと潤いのある教育環境づくりを進める上で効果的であり,たくましく心豊かな児童生徒の育成に寄与しています。また,地域の木材を利用することにより,校舎への愛着,地域文化の理解促進などの効果も期待されます。
 文部科学省では,公立学校の既存建物の床や壁などに木材を使用した改造事業などについて国庫補助を行い,学校施設における木材利用の促進を図っています。

▲安全で快適な芝生のグラウンド(広島県安芸高田市)

▲木材を活用した小学校の図書室(福井県越前市)

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