第1節 快適で豊かな文教施設づくり

1.新たな時代に応じた文教施設への取組

(1)文教施設施策の基本的視点

 文教施設は,小・中学校や,図書館,スポーツ・文化施設などの地域のコミュニティの拠点や,大学の施設などの優れた人材養成や学術研究の拠点となるなど,文教施策を展開するための基盤として重要な役割を果たすものです。
 文部科学省では,国民の生涯にわたる学習や,文化・スポーツなどのニーズに対応するとともに,児童生徒の学習の場,生活の場としてふさわしい快適で豊かな文教施設づくりを進めています。また,防災・防犯意識が高まる中,児童生徒などの生命を守るため,文教施設における安全・安心の確保に努めています。さらに,「知」の世紀である21世紀において,知の創造と継承を担う大学の責務が一層重要となる中,国民や社会の期待にこたえて,国立大学等の施設・設備などの高度化,活性化をはじめ,未来を拓く教育研究環境の創造に努めています。

(2)学校施設整備指針などの策定

 学校においては,子どもたちが生き生きと学習や生活を行うことのできる安全で豊かな施設環境を確保し,教育内容・方法の多様化へ対応するための施設機能を備えることが必要です。このため,文部科学省では,小学校,中学校などの学校種別ごとに施設の計画・設計上の留意事項をまとめた「学校施設整備指針」を策定しています。この指針では,子どもたちの主体的な活動を支援するための施設整備の方策や,安全でゆとりと潤いのある施設整備の方策,地域と連携した施設整備の方策などについて示しています。
 特に,学校施設における防犯対策や学校施設の耐震化推進などの新たな課題に対応し,学校施設整備指針の内容を充実させるために,平成15年8月に「小学校施設整備指針」,「中学校施設整備指針」,「幼稚園施設整備指針」を改訂しました。さらに,16年1月に「高等学校施設整備指針」を改訂をしました(参照:https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/seibi/main7_a12.htm(※学校施設の整備に関する指針へリンク))。
 また,盲・聾・養護学校に関しても,近年の障害の重複化や多様化に対応するため,平成19年4月から現在の盲・聾・養護学校を,障害種別を超えた特別支援学校とすることなどを主な内容とする学校教育法等の一部改正が行われました(18年6月公布)。このことなどを踏まえ,18年7月から有識者による調査研究協力者会議において,現在の「盲学校、聾学校及び養護学校施設整備指針」などの見直しについて検討しているところです。

(3)学校用家具の充実

 学校用家具は,日常の学校生活の中で児童生徒が身近に使用するものです。また,ティーム・ティーチング(注1)やグループ学習,個別学習など,一人一人の個性を生かした多様な学習形態と密接な関係があるとともに,学校施設の使いやすさなどにも関係する学校施設計画上重要な要素の一つです。
 文部科学省では,児童生徒の体格や学習内容などの諸条件に適合する学校用家具の在り方について調査研究を実施しています。その成果を基に,学校用家具の導入についての手引書の作成や教室用机・いすの日本工業規格(JIS)(注2)の改正(原案の作成)などを行っています。

  • (注1)ティーム・ティーチング
     複数の教師による協力的な指導のこと。
  • (注2)日本工業規格(JIS)
     鉱工業品の品質の改善,生産効率の増進,生産の合理化などを図る目的で制定された規格。
▲木材を活用した机・いす
(京都府京北町立京北第一小学校)

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