第2節 生涯スポーツ社会の実現

 明るく活力ある社会を形成していく上で,国民のだれもが,いつでも,どこでも,いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現は,我が国の重要な課題です。
 スポーツ振興基本計画では,生涯スポーツ社会の実現に向けた数値目標として,「できる限り早期に成人の週1回以上のスポーツ実施率が2人に1人(50パーセント)となることを目指す」こととしています(図表2-8-4)。そのため,文部科学省では,次に述べるように,総合型地域スポーツクラブの育成やスポーツ指導者の養成・確保・活用などの取組を進めています。

図表●2-8-4 週1回以上運動・スポーツを行った者の割合の推移

1.総合型地域スポーツクラブの育成

(1)地域におけるスポーツクラブの現況

 我が国においては,学校と企業,特に学校が,スポーツの普及や競技者の育成などの様々な役割を担ってきました。このため,学校を卒業するとスポーツに親しむ機会が著しく減少する傾向が見られます。地域や職場を中心としたスポーツクラブも多く存在しますが,性別・年齢・活動種目が限定されているなど,だれもが,いつでも,どこでも,いつまでも,各自の興味・目的に応じてスポーツに親しめるとは言い難い状況にあります。

(2)総合型地域スポーツクラブの全国展開

 こうした状況を改善するため,スポーツ振興基本計画において,総合型地域スポーツクラブ(以下「総合型クラブ」という。)の全国展開を最重点施策として挙げています。
 総合型クラブとは,

  • 1子どもから大人まで(多世代)
  • 2様々なスポーツを愛好する人々が(多種目)
  • 3それぞれの趣向・レベルに合わせて参加できる(多志向)

という特徴を持ち,地域住民により自主的・主体的に運営されるスポーツクラブです。総合型クラブは,地域住民が日常的にスポーツ活動を行う拠点として,生涯スポーツ社会の実現に寄与することはもとより,地域の子どものスポーツ活動の受け皿としての効果や,スポーツ活動を通じた家族のふれあいや世代間交流による青少年の健全育成,地域住民の健康の維持・増進,地域教育力の再生などといった役割も期待されています。
 そして,総合型クラブの全国展開に関して,平成22年までの到達目標を以下のように掲げています。

  • 1全国の各市区町村において少なくとも一つは総合型クラブを育成する。
  • 2各都道府県において少なくとも一つは広域スポーツセンターを育成する。

 文部科学省では,全国的な組織基盤を有する財団法人日本体育協会を通じて,総合型クラブの効率的な育成を進める「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」や,総合型クラブ育成の中心的な役割を担うクラブマネジャーの養成講習会の開催などを実施し,総合型クラブの全国展開を推進しています。こうした取組の成果もあって,平成18年7月現在,全国786市区町村において,2,416の総合型クラブが育成されています(文部科学省調べ)。
 また,これら総合型クラブが継続的・安定的に運営されるために,広域スポーツセンターは個々の総合型クラブだけでは解決できない課題に対応し,適切な指導・助言を行うなど,総合型クラブの活動全般について効率的に支援する機能を持っています。平成18年4月現在,41都道府県において設置されています(文部科学省調べ)。

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(福島県南会津町ひのきスポーツクラブ)

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