第1節 科学技術・学術政策の展開

1.文部科学省が担う科学技術・学術政策−第3期科学技術基本計画の着実な推進に向けた取組−

 科学技術基本計画(以下,「基本計画」という。)は,平成7年11月に公布・施行された科学技術基本法に基づき,科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画として,政府が策定するものです。
 平成18年3月に策定された第3期基本計画では,世界的な科学技術競争の激化,少子高齢化の進展,安全と安心の問題や,環境問題などの地球的課題への科学技術の役割に対する国民の期待の高まりと,他方で見られる国民の科学技術への関心の低下を踏まえて,「社会・国民に支持され,成果を還元する科学技術」,「人材育成と競争的環境の重視−モノから人へ,機関における個人の重視」の2点を基本姿勢としています。
 また,第3期基本計画では,第2期基本計画の掲げる三つの理念(人類の英知を生む,国力の源泉をつくる,健康と安全を守る)を基本的に継承しています。さらに,社会・国民への説明責任を果たしつつ,科学技術の成果を還元していくという視点に立ち,三つの理念の実現のために科学技術政策が目指すべき具体的な政策目標として六つの大目標(1飛躍知(注)の発見・発明,2科学技術の限界突破,3環境と経済の両立,4イノベーター日本,5生涯はつらつ生活,6安全が誇りとなる国)を明示しており,目標に向けた施策展開を図るとともに,施策効果の評価を行っていくこととしています。
 そのほか,政府研究開発投資について,第3期基本計画期間中も対GDP比率で欧米主要国の水準を確保することが求められており,この場合,総額の規模を約25兆円とすることが必要であるとされています(第3期基本計画期間中に政府研究開発投資の対GDP比率が1パーセント,同期間中のGDPの名目成長率が平均3.1パーセントを前提)(図表2-5-1)。

図表●2-5-1 第3期科学技術基本計画(平成18〜22年度)の概要

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