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地域研究の推進

 近年,日本人の経済社会活動の広域化や国際貢献活動への参加の機会の拡大などに伴い,言語,文化などの異なる人々とのコミュニケーションの必要性が身近に感じられるようになっています。
 このような中で,相手国や当該地域の人々の状況や考え方をあらかじめ十分に理解してから行動することの重要性が広く認識されるようになり,世界各地の政治,経済,文化,社会制度などに関する総合的な情報の分析と蓄積を行う「地域研究」に対する期待が高まっています。また,科学技術・学術審議会学術分科会の報告「人文・社会科学の振興について−21世紀に期待される役割に応えるための当面の振興方策−」(平成14年6月11日)においても,諸学の協働による総合的な研究を進めるため,「地域」を対象とする総合的研究の推進が提言されています。
 このような状況を踏まえ,地域研究の推進のために以下のような取組を行っています。

(1)「世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業」(文部科学省)

 文部科学省では,我が国との関係で特に重要な地域について,現在の政治,経済,社会制度やその背景となる思想,文化,歴史との関係など,今後我が国が人的交流や国際貢献を進めるのに必要な社会的・政策的ニーズに基づくプロジェクト研究を,大学等への公募・委託により実施しています。平成18年度は,中東と東南アジアを研究対象地域として六つの研究課題を採択しました。

(2)人間文化研究機構における特定重要地域研究の推進

 人間文化研究機構では,学術的・社会的ニーズの高い特定重要地域の研究を推進するため,大学等と共同で研究拠点を設置し,拠点間のネットワークにより総合的に研究を推進する「地域研究推進事業」を,平成18年度に開始しました。まず,イスラーム地域を対象とし,早稲田大学と共同設置の「現代イスラーム地域研究センター」を中心拠点として,東京大学,上智大学,財団法人東洋文庫,京都大学と共同で研究拠点を設置してネットワークを組み,研究を開始しました。このほか,引き続き,現代中国を対象とする地域研究の研究体制の検討を進めています。

(3)京都大学地域研究統合情報センターの設置

 京都大学地域研究統合情報センターは,地域研究に関する情報資源共有化のシステムの形成,最新の情報技術を適用した「地域情報学」の開拓,世界諸地域の地域間比較研究(相関型地域研究)の推進を目的に,平成18年度に設置されました。同センターは,全国の研究者の協力の下,「情報学を適用した地域研究情報資源の共有化」,「21世紀の国家像−共存空間の再編」などの共同研究プロジェクトを進めています。

我が国における「地域研究」の推進体制について

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