「科学技術の振興に関する年次報告」(以下「科学技術白書」という。)は,科学技術基本法第8条に基づき,政府が科学技術の振興に関して講じた施策について,文部科学省が取りまとめて毎年国会に提出している報告書です。平成17年に我が国の人口が戦後初めて減少に転じ,少子高齢化に対する国民の関心が一層高まっていることから,平成18年版科学技術白書では,「未来社会に向けた挑戦―少子高齢社会における科学技術の役割―」を特集テーマとし,科学技術の現状や動向を紹介しています。この特集では,我が国が世界に先駆けて直面している人口減少・少子高齢化という課題に対応する上で,「人間力」の向上を通じた「科学技術創造立国」の実現が重要であるとし,活力ある豊かな社会の実現に向けて,科学技術の果たすべき役割について報告をまとめています(参照:https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200601/index.htm)。
我が国の科学技術行政は,複数の府省庁において実施されています。国全体として整合性を保ちつつ,効率的・効果的に科学技術の推進を図るためには,総合科学技術会議の示す方針などに基づき,関係府省庁間の科学技術に関する施策の重複の排除や,連携強化を推進するなど適切な調整を行うことが必要です。科学技術に関する経費の見積り方針調整制度は,こうした調整を行うための重要な手段であり,関係府省庁における科学技術に関する経費の概算要求に当たり,文部科学省は,総合科学技術会議の示す資源配分方針などを踏まえ,必要な調整を行っています。
我が国の科学技術・学術の現状を的確に把握することは,科学技術・学術行政を効果的に推進していく上で重要です。このため,文部科学省では,我が国や諸外国の現状を示す次のような調査やデータ収集などを行い,新しい政策の企画立案やフォローアップ(追跡調査)などに活用するとともに,出版物やホームページによる公開も積極的に行っています。
科学技術振興調整費は,総合科学技術会議のイニシアティブの下,我が国の科学技術政策上の重要な課題を解決するために用いられるトップダウン型の競争的資金であり,優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革,
将来性の見込まれる分野・領域への戦略的対応等,
科学技術活動の国際化の推進のために活用することとしています。
平成18年度は,第3期科学技術基本計画に示された科学技術システム改革を実現するため,プログラムの大幅な見直しを行いました。具体的には,総合科学技術会議の司令塔機能の強化,
人材の創造力発揮とイノベーション創出のための科学技術システム改革,
国民のニーズ等に対応した戦略的研究開発の促進,
科学技術活動の戦略的国際化の推進の四つの目標の実現に向けて,六つのプログラムを新設し実施しています(図表2-5-2)。
科学技術政策研究所では,科学技術に関する基本的な政策に関する基礎的な事項を調査・研究する中核的研究機関として,国内外の関係機関との連携・交流を図りつつ,以下のような調査研究活動を積極的に推進しています。
また,平成18年6月には,マネジメントの質的向上及び調査研究活動の一層効果的・効率的な推進を図るため,機関評価を実施しました。それに基づき,8月に今後5年間程度の当研究所の活動方針を定めた中期計画を策定しました。
このほか,「科学技術基本計画の達成効果の評価のための調査(レビュー調査)」や「科学技術の中長期発展に係る俯瞰的予測調査」などを定期的に行っています。
科学技術政策研究所の調査研究の成果については,出版物やホームページなどによって公開されています(参照:http://www.nistep.go.jp/(※NISTEP 科学技術政策研究所ホームページへリンク))。
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▲国際共同シンポジウムの様子(日米における21世紀のイノベーションシステム:変化の10年間の教訓) |