第1節 文化芸術振興の意義と文化芸術振興施策の総合的な進展

5.文化芸術活動に関する税制措置

(1)文化芸術団体に対する寄附金に関する税制措置

 一般に,企業が寄附を行った場合は,当該寄附金について,一定額まで損金算入することが認められています。さらに,芸術の普及向上や文化財などの保存活用,博物館の設置運営等を主な目的とする公益法人のうち,一定の要件を満たす「特定公益増進法人」に対する寄附金については,個人の場合には寄附金控除,企業などの法人の場合には一般の寄附金の損金算入限度額と同額までを別枠として損金算入することが認められています。
 例えば,芸術文化支援を行う企業相互の連携を図ることを目的とした社団法人企業メセナ協議会は,「特定公益増進法人」として認定されていますが,平成14年度からは,助成の対象となる分野,活動主体,活動形態を拡大しました。15年度からは,各都道府県の文化振興財団などとの提携を進め,芸術文化支援に関する相談窓口の全国展開を進めています。
 個人の寄附に関しても,平成17年分の所得税より,所得控除の対象となる寄附金の適用限度額が所得の25パーセントから30パーセントに引き上げられるとともに,平成18年分の所得税より,所得控除の対象となる寄附金の適用下限額が「1万円を超える額」から「5千円を超える額」に引き下げられるなど,個人レベルでも,文化芸術に関する支援を行いやすくなっています。

(2)文化財に関する税制措置

 文化財の分野でも,重要文化財などとして指定,選定,登録された家屋やその敷地については,固定資産税を非課税や2分の1課税とするなど,所有者が文化財を適切に管理する上で必要な税制上の優遇措置を講じています。また,重要文化財を国や地方公共団体などへ譲渡した場合は所得税が非課税(史跡などに指定された土地については,特別控除)となり,建造物(登録有形文化財・重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物を含む。)については,相続税の軽減も図られています。
 さらに,優れた美術品の美術館・博物館における公開を促進するために,登録美術品として登録された美術品については,相続税の物納の特例措置を設けています。

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