令和7年9月30日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化
国民スポーツ大会総合開会式への出席・彦根城の視察、教育・文化週間と「映画 すみっコぐらし」のタイアップ、グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業(EXPERT-J)採択大学の決定、通学路の安全確保、埼玉県内私立高校の入学者選抜における業者テストの結果利用、教師の働き方改革推進と人事評価制度、次世代固体ロケット「イプシロンS」とH3ロケットの開発計画の見直し、南海トラフの地震活動の長期評価
令和7年9月30日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年9月30日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは3件でございます。9月28日に天皇皇后両陛下の御臨席のもとに滋賀県で開催されております第79回国民スポーツ大会の総合開会式に出席をさせていただきまして、選手の皆さんを激励してまいりました。本大会は、国民スポーツ大会への名称変更後2回目の大会でございます。環境に配慮した取組をはじめとして、スポーツの力を活用し持続可能な社会づくりに貢献していくなど、滋賀県では様々な創意工夫のもと、新たな取組に果敢にチャレンジされておりまして、今後開催予定の自治体にも参考になるというふうに感じたところでございます。選手の皆さんが大いに活躍されるとともに、本大会が実り多いものになることを心から期待申し上げているところでございます。また、大会に先立ちまして彦根城を視察いたしまして、世界文化遺産登録を目指している彦根城の価値などについて県の担当者から説明を受けたところでございます。文部科学省といたしましては、引き続き専門的、技術的観点から助言を行うなど、関係自治体の取組をしっかり支援をしてまいりたいというふうに思います。
2件目でございます。文部科学省では毎年11月上旬を「教育・文化週間」と位置づけまして、教育・文化に関する行事を集中的に実施いたしまして、教育・文化に関する普及啓発、また活動の充実を図っているところでございます。本年の「教育・文化週間」に向けまして、この度、「映画 すみっコぐらし 空の王国とふたりのコ」とタイアップをいたしまして、「教育・文化週間」の周知用ポスターを作成いたしましたので御紹介いたします。個性的なキャラクターたちが登場する「すみっコぐらし」、子供から大人まで幅広く愛されているところでございます。今回の映画は「冒険」がテーマでございまして、子供も大人も「教育・文化週間」の期間中に様々な関係イベントに参加、体験したり、博物館に出向いたりするなどの冒険に出かけて自分なりの宝物を手に入れてほしいという思いを込めましてこのポスターを作成したところでございます。今回のタイアップによりまして、国民の皆様にとって教育・文化がより身近なものになって関心や理解を深める一助になることを期待申し上げているところでございます。
3点目でございます。大学ファンドを活用いたしました「グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業」、EXPERT-Jでございますが、この採択大学が決定されましたので御報告いたします。本事業でございますが、本年6月に内閣府が取りまとめました「J-RISE Initiative」、この実現に向けた緊急的取組といたしまして、日本人をはじめとする優秀な海外研究者、大学院生に対しまして世界水準の処遇、研究環境を提供し、日本への定着を目指しています。今回の公募におきましては、科学技術振興機構、JSTでございますが、に設置されました外部専門家からなります委員会の審査を経まして、申請のございました13大学のうち11大学が採択されたところでございます。今後、本事業によりまして我が国の国際頭脳循環、これが強化されまして日本の研究力の向上が更に図られることを期待申し上げる次第でございます。なお、米国のビザ政策に関する方針を受けまして、本年5月に各大学に依頼を行っておりました米国の大学に留学予定の学生等への支援策の検討につきましては、9月25日時点で135大学に支援策を講じていただいておりまして、日本学生支援機構のWebサイトにおきまして情報提供を行っているところでございます。以上でございます。
記者:TBS)
先日、教員の働き方改革の中で三分類というものがなされました。その中で1点、子を持つ親としてというか、うちの前もそうなのですけれども、通学路で子供がすごく多く通るのです。そういうところのガードレール未設置があるとか、やはり危険な箇所というのはあると思います。学校外でということですけれども、具体的にどういうところがどういうふうにこういうことをケアしていったほうがいいのか、文科省としてやられることがあるのか、ちょっと教えてください。
大臣)
御指摘の通学路における対応につきましては、これまでも基本的には学校以外が担うべく業務というふうにされていたところでございますが、今般、指針に位置づけるに当たりまして改めてその趣旨を明確化したものでございます。通学路の安全対策につきましては、令和3年6月に千葉県の八街市におきまして発生した事故がございまして、これを踏まえまして文部科学省、また国土交通省、さらには警察庁が連携をしていきながら全国の自治体に対しまして合同点検を実施しているところでございます。令和5年度末時点で暫定的な安全対策を含めて全ての対策が完了したところではございます。さらに、文部科学省といたしましても警察OB等のスクールガード・リーダーの配置、さらには登下校時の見回りを行うボランティアに対する講習などに対する支援に取り組んでいるところでございまして、引き続き学校の負担にも留意をしていきながら関係省庁とも連携して必要な対策、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。
記者:朝日新聞)
高校入試での業者テストの結果の利用について伺います。平成5年の文科省の通知では、業者テストの結果を用いた入学者選抜はあってはならないというふうになっていますけれども、埼玉県内の私立高校で生徒側に業者テストの成績を持ってこさせるようなやり方で合格の確約や奨学金の確約をしているという学校があることが分かりました。これについての見解をお聞かせください。また、高校無償化の拡大が進む中で私立高校の中で奨学金競争と言えるような状況が起きているのですけれども、それについても御見解をお願いします。
大臣)
御指摘の報道は承知しているところでございまして、現在、学校を所管(注)する埼玉県におきまして事実関係、これを確認しているところというふうに承知しているところでございます。その上で、一般論として申し上げますと高等学校の入学選抜は公教育としてふさわしい適切な資料に基づいて行われるべきものでございまして、業者テストの結果を資料として用いた入学者の選抜が行われることはあってはならないというふうに思っておりまして、このことにつきましては平成5年に先ほどおっしゃってくださったように文部科学省から所管(注)庁等に通知をしているところでございます。また、いわゆる高校無償化につきましては現在、三党において具体的な制度設計について協議が行われているところでございまして、その影響についてコメントは控えさせていただきたいというふうに思います。また、いずれにしてもまず所管(注)庁また設置者及び学校において適切に御対応いただくべきものでございまして、文科省としてはその対応をしっかり注視をしてまいりたいというふうに思います。
また、御指摘の奨学金の件でございますが、現在、埼玉県において事実関係を今確認しているところというふうに承知をしておりまして、文部科学省といたしましてもその状況を注視してまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
(注)「所管」は、正しくは「所轄」です。
記者:教育新聞)
先ほどもちょっと出ましたけれども、9月26日に通知されました改正給特法に伴う指針の改正に関して、通知の中を拝見いたしますと人事評価制度についても触れていまして、別添で人事評価についての解説資料などもついていました。ただ、人事評価と聞くとちょっと身構えてしまう先生方もいらっしゃるかなというふうに思いますので、改めて今回の通知で人事評価制度というものを入れた狙いですとか、あと別添資料をどういうふうに活用してもらいたいかといったイメージなどを御説明いただけないでしょうか。
大臣)
改正の給特法におきましては、教育職員の業務量、適切な管理及び健康・福祉確保を図るために各教育委員会における計画の策定と実施状況の公表などを通じまして、学校における働き方改革を進めることにしているところでございます。学校における働き方改革の実効性を高めていくためには、1人1人業務改善を進める意識を持つことも重要でございます。また、今回の通知に添付いたしました人事評価に関する資料も一つの参考例として適宜参照いただきながら、教師の業務改善等をしていただきたいというふうに考えているところでございまして、加えまして人事評価制度、頑張っている教師に報いるための基本的な制度でございまして、地方公務員法に基づき適切に運用していただくよう、各教育委員会に対しまして指導を徹底してまいりたいというふうに私ども考えているところでございます。
記者:共同通信)
基幹ロケットについてお伺いします。先日の文科省の部会でJAXAがイプシロンSの第2段モータを従来のものに置き換えることを検討中であると報告しました。また、H3ロケット30形態の不具合が発覚し、再試験が必要となる見通しも示されました。影響について大臣の御見解をお伺いします。
大臣)
昨日29日でございますが、宇宙開発利用部会におきましてJAXAより御指摘のイプシロンロケットの開発計画の見直しを検討しているという旨の説明があったことは承知をしております。今回の開発計画の見直しにつきましては、打上げ能力が低下することの影響も含めましてJAXAにおいて検討が進められるものというふうに承知しているところでございます。文部科学省といたしましては、イプシロンロケットの早期の運用再開に向けまして、昨年11月に発生いたしました第2段モータの異常燃焼につきまして早期に原因の究明を図るとともに、開発計画見直しの検討を着実に進めて、また衛星側の要望に応えられるよう、JAXAに対して必要な支援を行ってまいりたいというふうに思っております。また、同部会におきましてはJAXAよりH3ロケット30形態についても報告がございましたが、再度の燃焼試験を通じて信頼性を高め、今後の打上げ実施につなげていただきたいというふうに私ども考えているところでございます。以上です。
記者:朝日新聞)
地震本部の地震調査委員会は26日に南海トラフ地震の長期評価を一部見直しまして、30年以内の発生確率を新たに20~50%または60~90%程度以上と発表しました。地震調査委員会の研究者も自ら分かりづらい面があるということを認めた発表形式ですが、複数のモデルによる幅のある数値を並列で発表することになっています。地震本部本部長のあべ大臣として南海トラフ地震対策で呼び掛けたいこと、また今回の見直しで重視したことの2点を教えていただければと思います。
大臣)
地震調査研究におきましては、この成果を国民や、また防災関係機関の対策、行動につなげていくことが重要だというふうに考えています。また、今回の発表にあたりましてはあらかじめ防災や広報の専門家等から構成されます広報検討部会におきまして社会への伝え方等を検討いたしまして、その結果を踏まえた上で防災対策に資する簡明なメッセージも示すことというふうにしたところでございます。今回の発表で重要なことは最新の科学的知見を取り入れても南海トラフ地震の発生確率が高いという評価は変わらないということでございます。国民の皆様には、防災対策や日頃からの備えに引き続き努めていただきたいというふうに思います。以上でございます。
記者:共同通信)
冒頭発言でございました「グローバル卓越人材招へい研究大学強化事業」についてお伺いします。英語圏の他国の大学と比べて日本への招へいには課題もあると感じますが、定着してもらうためには具体的にどのようにすればいいか、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
大臣)
今回の緊急的な措置の実施状況、また追加的措置の状況を踏まえながら、私ども必要に応じて追加公募を検討していきたいというふうに考えておりまして、またさらなる問いがございますときは担当のほうからお答えさせていただけたらというふうに思います。
(了)
大臣官房総務課広報室