あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年9月26日)

令和7年9月26日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

名古屋大学附属中高、三菱重工飛島工場への視察,「公立学校の教育職員の業務量管理・健康確保措置に関する指針」の改正,デジタル教科書の導入,「情報活用能力の抜本的向上を支える指導体制改善プラン」,子供達の「君が代」に関するアンケートの実施を求める石垣市議会の決議,教員の業務量適正化と事務職員の負担軽減

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年9月26日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年9月26日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年9月26日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件でございます。22日、名古屋大学教育学部附属中・高等学校及び三菱重工業の飛島工場を視察いたしましたので御報告を申し上げます。名古屋大学の教育学部附属中・高等学校におきましては、授業や生徒による研究成果の展示を視察するとともに、関係者と意見交換を行いまして附属学校における教育の取組について理解を深めることができました。また、三菱重工の飛島工場におきましてはH3ロケット、また国際宇宙ステーションに物資を補給いたします「新型宇宙ステーション補給機、HTV-X」でございますが、この製造過程を視察させていただきまして、我が国の宇宙活動を担う基幹ロケット等について理解を深めることができました。今回の視察を通じて得られたことを踏まえまして、また関連施策の充実に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。
 2件目でございます。本年6月に成立をいたしました給特法(注)の一部改正法を踏まえ、文部科学大臣が定める働き方改革等に関する「指針」を改正いたしました。関連の政省令改正、また留意事項などと合わせまして、本日、各都道府県・指定都市教育委員会等に対しまして通知を発出いたします。今回の改正におきましては、学校・教師が担う業務に係る「3分類」につきましてアップデートした上で指針に位置付け、徹底していくこと、また業務の精選、校務DXの推進による業務効率化を推進すること、ストレスチェックに関する取組などの健康確保措置を行うことなど、新たに示しているところでございます。学校における働き方改革を推進していくにあたりましては、教育委員会や学校関係の皆様はもちろんのことでございますが、地方公共団体の首長の皆様、また地域や保護者の皆様とも力を合わせた上で取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。各教育委員会におきまして、本指針に即した計画が策定され、学校における働き方改革が着実に進むよう、文部科学省としては今後とも改正法令また指針の趣旨の説明、自治体への伴走支援を行う他、教職員定数の改善、また支援スタッフの充実など、必要な条件整備を始めといたしまして教師を取り巻く環境整備の取組を総合的に進めてまいりたいというふうに思います。以上でございます。
(注)「給特法」は、正しくは「給特法等」です
 
記者:TBS)
 デジタル教科書の話ですとか、先日の学習指導要領で小学校、中学校に情報の時間を増やすというような流れになっていると思います。一方で、世の中では技術革新がかつてないほど早く進んでいて、これまで通りの動かし方だともしかしたら間に合わないのではないかというようなことも思ったりするのですけれども、大臣としてお考えがあればお願いします。
 
大臣)
 9月24日に中教審のデジタル教科書推進ワーキンググループにおきまして審議まとめを取りまとめさせていただきました。新しい形態の教科書の導入によりまして、自分で図を動かしたり、また実験などの動画を活用したりすることができるようになりまして、児童生徒にとってより理解しやすい教科書づくりが可能になります。現場におきまして紙・デジタルそれぞれの良さを踏まえて適切に授業をデザインすることによりまして、学習内容が児童生徒にとってより分かりやすくなるよう、文部科学省として一定の指針を示すなどの環境整備を推進する必要があるというふうに考えているところでございます。関係制度の見直しもまた必要となるため、導入時期につきましては次期学習指導要領の実施に合わせることを念頭に置いているところではございますが、それまでの間にもデジタル教科書活用の実証研究のさらなる積み重ね、積み上げなどを、積極的に取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。以上です。
 
記者:日経新聞)
 昨日の中教審の教育課程部会において、指導要領の改定に係る論点整理が取りまとまりました。ここで、小学校の総合的な学習の時間に情報の領域を加えたり、中学校で情報技術に関する内容を強化した情報技術科を新設したりする方向性が示されまして、これを支える条件整備の必要性も示されました。文科省からは、次期学習指導要領の全面実施を待つことなく指導体制を強化するため、情報活用能力の抜本的向上を支える指導体制改善プランが示されましたが、こうした指導体制の強化に向けた大臣の見解を教えてください。
 
大臣)
 中教審におきまして、学習指導要領の改訂に向けた「論点整理」が示されたことを踏まえまして、昨日、「情報活用能力の抜本的向上を支える指導体制改善プラン」を公表させていただきました。「論点整理」におきまして、次期学習指導要領に向けまして重要な検討事項の一つといたしまして、特に情報活用能力の抜本的な向上を掲げられているところでございますが、あわせまして教育内容の充実におきましては十分な条件整備が不可欠であるということも示されているところでございまして、文部科学省といたしましてはしっかりと支援をしていくため次期学習指導要領の全面実施を待たずして逐次、指導体制の充実に取り組むことにいたしたところでございます。今後、本プランを踏まえまして必要な予算をしっかりと確保していきながら、研修・動画コンテンツなどの開発、また外部専門人材の活用に関する調査研究など、様々な取組を進めてまいりたいというふうに思っております。各教育委員会等におきましても、こうした国の取組をベースにしていきながら創意工夫を生かしていき、また情報活用能力の抜本的向上に向けた指導体制の強化が図られるよう、しっかりと取組を促してまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者:朝日新聞)
 沖縄の石垣市議会でのことについて伺います。市議会で24日に子供たちが君が代を歌えるかなどを確認するアンケートの実施を市の教育長らに求めた決議案を賛成多数で可決しました。アンケートが実施されると子供への強制につながる恐れや、政治が学校教育に介入してはならないといった批判も出ていますけれども、大臣としての受け止めをお聞かせください。
 
大臣)
 お尋ねの件に関しましては報道により承知をしているところでございますが、それ以上の詳細は把握しておりませんのでコメントは差し控えさせていただきたいと思います。その上で申し上げますと、学校における国歌の指導でございますが、学習指導要領等を踏まえて児童生徒に我が国の国歌の意義をまずは理解をさせ、尊重する態度を育てるために行うものでございまして、児童生徒の内心にまで立ち入って強制しようとする趣旨のものではございません。あくまでも教育指導として進めていくことが重要だというふうに考えているところでございます。議会の決定を受けて教育委員会がどのように対応するかについては、教育委員会制度による教育の政治的中立性と、また継続性と安定性を担保しているという観点も踏まえた上で各教育委員会において適切に判断いただくべきものというふうに考えているところでございます。以上でございます。
 
記者:共同通信)
 今日示された給途法の改正に伴う指針の改定についてお伺いします。今回の改定の中にいわゆる業務の3分類についてのアップデートしたものが盛り込まれておりますけれども、8月の中教審特別部会での議論の中では、業務を一部分担するという趣旨でその分、事務職員の負担が増えるのではないかという指摘もありました。一方の負荷を下げるためにまた別のところに負荷が高まるということはない方向のほうがいいかとは思いますけれども、また業務量全体を減らしていくという取組を合わせて必要かと思いますけれども、そのあたりについての大臣の考えをお伺いできればと思います。
 
大臣)
 改正給特法におきましては、各教育委員会は文部科学大臣が定める「指針」に即しまして、教育職員の業務量の適切な管理、また健康・福祉を確保するための計画を策定するとともに、実施状況を公表する仕組みを設けておりまして、学校における働き改革を加速化させることというふうにしているところでございます。先ほど申し上げましたように今般、「指針」を改正いたしまして学校・教師が担う業務に関わる3分類につきましては内容のアップデートを行った上でその「指針」に位置づけ取組を徹底していくこととしたところでございます。また、御指摘のように事務職員の負担が過重なものにならないように事務処理の精選、また効率化をしっかり進めていくということもまさに重要なところでございまして、このため改正法の指針におきましてはそもそも学校や教師が担う業務を適正化するという観点から公務DXによる業務の効率化、また留守番電話の設置など、勤務時間外の外部対応を抑制する環境整備、さらには標準を大きく上回る授業時数の見直しや学校行事の精選などの取組も進めるように盛り込んでいるところでございます。その上で、令和8年度概算要求におきましては事務職員を含む教職員定数の改善、また教員業務支援員などの支援スタッフの配置、充実に関わる予算を、今要求をしているところでございまして、今後とも学校における働き方改革の推進に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
 
(了)

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