あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年9月12日)

令和7年9月12日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、ミッドリーム日本語学校への視察,OECDの報告書における高等教育への公財政支出、STEM分野における博士号取得者の割合,筑波大学附属小で発生したいじめ事案に対する調査委員会の体制,「科学の再興」に関する議論と基礎研究の振興,自民党総裁選

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年9月12日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年9月12日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年9月12日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは2件でございます。一昨日10日でございますが、茨城県のつくば市にございます物質・材料研究機構、防災科学技術研究所を訪問いたしました。物質・材料研究機構におきましては、私たちの豊かな生活を支えている様々な製品、この基盤となるマテリアルに対しましてAIやロボットを駆使した次世代蓄電池の自動・自律実験等の最先端の研究設備を視察させていただきました。防災科学技術研究所におきましては、大型降雨実験施設で暴風雨を体験させていただくとともに、地震津波火山観測網のデータセンターを視察いたしまして、防災分野の基礎・基盤的な研究開発の重要性を改めて認識をさせていただきました。今回の視察を踏まえまして、マテリアル分野及び防災科学技術の研究開発と社会実装をしっかりと推進してまいりたいというふうに思います。
 2件目でございます。昨日、東京都新宿区にございます認定日本語教育機関のミッドリーム日本語学校を視察してまいりました。この機関は、今年3月に認定を受けた日本語教育機関でございまして、実際に外国人生徒が日本語を学ぶ様子を視察させていただくとともに、教員や生徒と意見交換を行いまして日本語教育の重要性を改めて認識をいたしました。今回の視察も踏まえまして、引き続き日本語教育の環境整備にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 先日、OECDが公表した報告書によりますと、日本の大学など高等教育機関への公的資金額が国際平均の約半分ということが分かりました。公的資金の質の少なさというのは、人材育成の面でも課題だと言えますが、大臣の考えをお聞かせください。
 
大臣)
 OECDの調査におきまして、我が国における在学者一人当たりの高等教育への公財政支出額については、国際平均の半分程度にとどまっていることは承知しているところでございます。高等教育は、ご指摘の多様な人材育成に加えまして、学術研究に基づく知やイノベーションの創出など重要な役割を担う国力の源泉でございまして、高等教育への投資、未来への先行投資というふうに考えているところでございます。文部科学省といたしましては、民間資金を含めた多様な財源確保にも留意しながら基盤的経費の確保、またさらには修学支援の新制度の実施など、高等教育への公的投資の一層の充実にしっかり努めてまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 東京都文京区の筑波大附属小学校で2024年度に児童がいじめ被害を訴えて退学した問題で、学校側がいじめの事実関係を調べる調査委員会について3人のメンバーのうち校長とく筑波大教授を委員とする方針を保護者に伝えていたことが明らかになりました。文科省がいじめ重大事態調査ガイドラインでは、学校当事者は第三者として認められないとしておりますが、調査委員のメンバーとして校長も含めた委員が調査を行おうとしたことは適切だったか、見解をお聞かせください。また、23年度、24年度と地域の公立校のモデル校と位置付けられる付属附属の学校でいじめの重大事態が相次いでおりますが、こうした事案でも保護者の方が子供の中学校への内部進学への影響を恐れてしまい、初期段階では学校側に強く訴えることができなかったという問題が発覚しております。これらのことへの大臣の受け止めも合わせてお聞かせください。
 
大臣)
 現在、当該学校におきましてのいじめの重大事態の調査に向けて取組が行われているところと承知をしているところでございまして、現時点で詳細なコメントを述べることは差し控えたいと思います。その上で、一般論として申し上げればいじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおきましては、必ずしも全ての調査委員が第三者で構成されることを求めているものではございませんが、特段の事業(注)がある場合を除きまして、第三者を加えた調査組織となることは望ましく、事案の特性等を踏まえつつ公平性・中立性を確保し、客観的な事実認定を行うことができる体制、これを検討する旨を示しているところでもございます。また、重大事態の対応にあたりましては被害児童生徒やその保護者のいじめの事実関係を明らかにしたいという切実な思い、これをしっかりと理解していただきながら、共通認識を図りつつ対応していくことが重要であるというふうに私どもも考えておるところでございます。内部進学への影響を恐れて学校側に強く意見を言えなかったのではないかという御指摘におきましては、内部進学の有無に関わらず、学校として児童生徒や保護者が相談したい、また配慮を求めたりしやすい環境を作ることは当然に必要でございます。例えば、相談窓口を設置してそれがしっかり活用されるよう運用することが不可欠というふうに考えているところでございます。文部科学省といたしましては、引き続き大学の対応を注視するとともに、大学において適切な対応が図られるよう、必要に応じて指導と助言を行ってまいりたいというふうに思います。以上です。
(注)「事業」は、正しくは「事情」です
 
記者)
 幹事社さんの質問にも少し関連するのですけれども、先日出たOECDの報告書によると2023年の博士課程修了者のいわゆるSTEM分野、科学、技術、工学、数学分野を専攻した方の割合が加盟国平均を下回っているという状況が明らかになりました。そうした現状についての大臣の受け止めと、合わせて当該分野の人材育成について今後どうしていくべきとお考えかお聞かせください。
 
大臣)
 我が国のSTEM分野の博士号の取得者の割合が低い要因、この一つといたしまして、我が国の博士号取得者の中で高い割合を占める医療・福祉分野に比べましてキャリアパスが不透明であることが考えられます。そのため、文部科学省といたしましては博士後期課程学生への経済的支援、またキャリアパスの整備、経済産業省とともに連携いたしました博士人材の民間企業における活用促進に向けたガイドブック、ロールモデルの事例集の作成と周知などに取り組んで今いるところでございます。技術革新をもたらすSTEM分野で活躍し社会をリードする博士人材の増加に向けまして、引き続き取組をしっかり進めてまいりたいというふうに思っております。以上です。
 
記者)
 科学技術関連で質問させてください。第7期科学技術基本計画の策定に向けて、「科学の再興」に関する議論が行われていると認識しております。実際にTop10%論文数を含めた国際競争力やAIの活用など、基礎研究を取り巻く環境について研究での検討が重要になってきていると思いますけれども、基礎研究の新興の重要性について大臣から考えを教えてください。
 
大臣)
 基礎研究でございますが、人類の発展の基盤となります重要な知的資産を創造し、ひいてはイノベーションの源泉を生み出すものでございまして、基礎研究力の更なる強化は喫緊の課題だというふうに私ども考えているところでございます。このため、文部科学省におきましては科研費、また創発事業等における新興・融合領域の挑戦に関する支援と「AI for Science」 による科学研究の革新と科学技術人材の育成・活躍促進などに取り組んでいるところでございます。現在、文部科学省におきまして第7期「科学技術・イノベーション基本計画」の策定に向けまして、研究力の抜本的強化による「科学の再興」につきまして議論を進めているところでございますが、こうした議論も踏まえながら我が国の基礎研究の振興をしっかりと図ってまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 閣議後会見の場で恐縮なのですけれども、自民党総裁選の対応についてお伺いします。10月4日投開票の総裁選では、現在、茂木前幹事長、小林元経済安保担当大臣が出馬を表明し、小泉農林水産大臣、林官房長官、高市前大臣が出馬の意思を固めたとの報道があります。あべ大臣におかれましては、自民党所属議員として現時点でどの方を指示されるか、対応される予定はありますでしょうか。また、現職の文部科学大臣として新総裁に望むことがあれば合わせて教えてください。
 
大臣)
 この場は文部科学大臣としての会見の場になりますので、自民党の活動に関するコメントは極力控えたいというふうに考えておりますが、その上であえて申し上げれば文部科学行政もそうでございますが、自民党あるいは我が国も様々な課題が取り巻いている状況の中にございまして、自民党総裁選を通じてそれらを一つ一つ取りこぼすことなく着実に進み、解決に導くことで国民の皆様の期待に応えることができる自民党になるべきだというふうに考えているところでございます。新しい自民党総裁には、それを実現する方がふさわしいと考えているところでございます。その上で、私自身が具体的に誰を支援するかについてのコメントは控えさせていただきますが、まだ決めておりませんが、いずれにいたしましても自民党に所属する1人の議員として適切に判断をしてまいりたいというふうに思います。
 
(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室