令和7年9月5日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他
「日本語教育の推進に関する基本的な方針」の改定、学習資料「一家に1枚」の令和8年度テーマの決定、NanoTerasu蓄積電流400mAでの安定運転の早期成功、「指定宗教法人の清算に係る指針」(案)の公表、自民党臨時総裁選の開催を求める政務からの声に対する大臣の考え、新学期始めにおける児童生徒の自殺の実態と今後の対応、「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理」(案)の公表
令和7年9月5日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年9月5日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは3件ございます。本日、「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」の改定を閣議決定いたしました。本基本方針でございますが、「日本語教育の推進に関する法律」に基づきまして令和2年に初めて策定されたものでございますが、同法律におきまして政府はおおむね5年ごとに基本方針を見直すこととされておりまして、今回、5年間の日本語教育を取り巻く環境の変化、また施策の推進等を踏まえまして改定を行ったものでございます。今回は、特に日本語教育機関認定制度の創設、また特定技能・育成就労の新制度の創設、外国人の日本語能力等の共通指標であります「日本語教育の参照枠」の取りまとめなどを踏まえた改定を行ったところでございます。我が国の在留外国人が増加する中にありまして、日本語教育の重要性は一層高まっているところでございまして、関係省庁と連携をし引き続き日本語教育の推進に取り組んでまいりたいというふうに思います。
2件目でございます。文部科学省におきましては、国民の皆様に科学技術への理解を深めていただくため、毎年、学習資料「一家に1枚」を制作をしているところでございます。この度、令和8年度版のテーマを「身近な現象から知る地球 自然と生きる列島」に決定をいたしました。令和8年は「海の日」制定から30周年、「山の日」制定から10周年でございまして、自然と関わりの深い年でございます。また、気候変動などによりまして自然災害のリスクが高まっている昨今におきまして、国民の皆様に自然現象への理解を深めていただくことは非常に有意義であるというふうに考えております。来年4月の科学技術週間に向けまして制作をいたしまして、その後、全国の学校、科学館等への配布を予定しているところでございます。
3件目でございます。私も6月に視察をいたしました宮城県仙台市にございます特定放射光の施設でありますNanoTerasuにおきまして、今般、目標としていました蓄積電流400㎃で安定運転に成功いたしました。本来であれば調整に2年かかるところ、予定よりも半年以上早期に実現したものでございます。この結果、NanoTerasuに供給する放射光、世界最高水準の輝度の下、強度が2倍になります。高解像度の分析等が可能になることによりまして、触媒・医薬品、また次世代デバイスなどの研究開発を加速し、より多くの研究成果の創出が期待されるところでございます。文部科学省といたしましては、引き続き地域パートナーとも連携しながら、NanoTerasuの安定的な運転・共用に努めるとともに、世界最高峰のビームラインの活用・高度化に努めることで成果の最大化をしっかりと目指してまいります。以上でございます。
記者)
先日、指定宗教法人の清算に関する指針案がまとめられました。旧統一教会の被害者家族救済が課題となっていますが、今回まとめられた指針について大臣の評価をお願いします。
大臣)
去る9月3日でございますが、検討会を開催いたしまして「指定宗教法人の清算に係る指針案」をとりまとめていただきました。指針案におきましては、相当多数の被害者がいることを見込まれることなど、指定宗教法人の特性を踏まえまして、清算人は財務状況の調査、また被害者に対する賠償にあたりましてできる限りの努力をして被害の回復を図ることや、また清算には全体として相当の期間を要することなどが位置づけられているところでございまして、指定宗教法人の被害者に対する賠償がしっかりとなされるよう、様々に配慮した内容をお示しいただいたというふうに受け止めているところでございます。今後は、意見募集手続きを経た上で来月にも文部科学省といたしまして指針を決定したいと考えているところでございます。以上です。
記者)
自民党の総裁選についてお尋ねします。文科副大臣も含めて、臨時の総裁選を求める副大臣や政務官が相次いで出ている状況について、閣僚のお一人としてどういうふうに受け止めているのかを教えてください。また、大臣御自身は臨時の総裁選を求めるお考えがあるのかどうかも合わせて教えてください。
大臣)
自民党総裁選に関する現職の副大臣、政務官の発言について、御指摘のような報道があることは承知しているところでございますが、自民党における活動に関しまして文部科学大臣として会見の場であるこの場でコメントをすることは控えさせていただきたいと思います。また、私自身に関しましてもこの場で一議員としてのコメントは極力控えるべきと考えているところでございますが、その上であえて申し上げれば私といたしましては前回の会見でも申し上げましたように、石破内閣の一員として行政を停滞させることなく、今ある課題に対して一つ一つ着実に真摯に取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。その意味におきまして、総裁選の前倒しにつきましては慎重に検討すべきと考えておりまして、現時点で前倒しを求めることは考えておりません。
記者)
ちょっと時期尚早かもしれないのですけれども、新学期が始まって早いところだと先週ぐらいから始まっているところもあるかと思います。先週のこちらの会見の場で自殺が増えるこの時期にメッセージを発しているということを大臣から伺いましたけれども、現在のところ今年はこれまでの傾向と何か違う、経過とかということで今、そのようなことがあれば教えていただきたいのと、あとこれから現状を踏まえどういうことを取り組んでいかれるのかという考えがおありであれば教えてください。
大臣)
御指摘のとおり、児童生徒の自殺者数は長期休暇明けの前後に増加する傾向があるということを踏まえまして、先月、文部科学大臣としてメッセージを発出した他に、長期休暇前の6月にも悩みを抱えた児童生徒の早期発見に向けた取組など、自殺の予防の取組強化については各教育委員会等に対しまして通知をしたところでございます。お尋ねの「自殺統計」における9月の自殺者数の暫定値につきましては、10月中に厚生労働省及び警察庁より公表される予定でございまして、文部科学省におきまして結果の見通しなどについてお答えすることは困難でございます。いかなる事情でありましても、子供たちが自ら命を断つ、そのようなことは決してあってはならないことでございまして、引き続き関係省庁としっかりと連携しながら自殺予防の取組に全力を尽くしてまいりたいと思います。すみません。私の小学校の同級生が自殺をしているので、本当にそんなことはあってはならないということと、小学校時代に体験したものですから本当に思いが。
記者)
先日、教員の確保ですとか質の向上の方策を盛り込んだ論点整理案が中教審のほうで部会で示されました。教職課程で学ぶべき内容の変遷などについて触れられていますが、教員の確保策についての大臣のお考えと今後の対策について教えてください。
大臣)
教師不足の現状、また実社会の課題と結びつきました探究的な学びに対応していくためには、多様な専門性を有する質の高い教師人材を十分に確保すること、これが重要だというふうに私どもも考えております。こうした背景のもとでございますが、昨年末の教師人材の質の向上と入職経路の拡幅の観点から中央教育審議会に諮問を行っておりまして、教員の養成・採用・研修のあり方につきまして御議論をいただいているところでございます。1日に開催されました教員養成部会におきましては、御指摘の教職課程の内容の精選を含みまして論点整理案について御議論をいただいたところでございますが、今後も詳細につきまして御審議いただくものというふうに私ども承知をしております。引き続き中教審の議論も踏まえまして、必要な改革を進めてまいりたいというふうに思います。また、教師人材の確保に向けましてはこれまでも給特法の改正など必要な改革に取り組んできたところでございます。そうした中、令和8年度概算要求におきましても関連する要求、これを盛り込んだところでございまして、引き続き必要な予算の確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。
(了)
大臣官房総務課広報室