令和7年8月29日(金曜日)
教育、その他
APEC文化ハイレベル対話等に係る大韓民国訪問、自殺予防週間に向けた関係省庁大臣メッセージ等の発出、令和8年度概算要求、いわゆる「高校無償化」の実現に向けた令和8年度税制改正要望、教員による私用携帯端末等の教室への持ち込み、悩みや不安を感じている児童生徒や保護者へ向けた大臣メッセージ
令和7年8月29日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年8月29日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは2件でございます。26日火曜から28日木曜まで、APEC文化レベル対話(注)に出席するため大韓民国を訪問いたしました。APEC文化ハイレベル対話でございますが、APECでは初めての文化に関する閣僚級会合となるものでございまして、今回は文化・クリエイティブ産業、この構築をテーマに議論を行いました。具体的には、経済協力の新たな触媒といたしまして、文化・クリエイティブ産業の在り方、また、デジタルとAIのイノベーションが牽引する文化・クリエイティブ産業の発展などにつきまして闊達な議論を行いました。あわせまして、今回の出張におきましてはソウル日本人学校を訪問いたしまして、教職員との意見交換、子供たちとの交流、授業の様子の視察等を行いました。また、ソウル大学半導体研究所を訪問いたしまして、両国における半導体研究、また半導体分野における人材育成の状況などについて意見交換を行いました。今回の訪問を踏まえまして、文部科学省としてはAPEC各国との更なる連携強化を図ることで文化施策の充実に取り組むとともに、教育・科学技術の一層の振興に向けて取り組んでまいります。
2件目でございます。来月の9月10日から16日は「自殺予防週間」となります。この週間に合わせて、本日、福岡大臣、三原大臣とともに若い世代の皆さんへのメッセージを発信いたします。また、自殺予防週間に先立ちまして、文部科学省としても長期休業明けに児童生徒等の自殺者数が増加する傾向にあることを踏まえまして、今月18日に大臣メッセージを発信したところでございます。児童生徒、学生の皆さんには、悩みや不安を一人で抱え込まず、御家庭や先生など信頼できる人に相談していただきたいというふうに思います。文部科学省としても、こうした悩みや不安がそれぞれの御家庭や学校現場において適切に受け止められるよう、引き続き教育相談体制を充実することをはじめとして、また児童生徒、学生等の命を守るための取組に全力を尽くしてまいります。以上です。
(注)「APEC文化レベル対話」は、正しくは「APEC文化ハイレベル対話」です
記者)
本日、文科省の概算要求が発表されると思いますが、特に力を入れた点や狙いについて教えてください。
大臣)
令和8年度概算要求については、骨太の方針2025なども踏まえた上で、総額6兆599億円の要求を行います。総額6兆円超えの要求は、平成20年度概算要求以来18年ぶりとなります。その中で、例えば教職調整額の引上げ、中学校35人学級の着実な実施、無償化のみならず、教育の質を充実させるための高校教育改革の推進、物価・人件費の上昇などを踏まえた国立大学等の教育研究基盤の維持、科学の再興に向けましてAI for Scienceの加速、それらに加えましてスポーツ、文化芸術も含めて必要な要求を盛り込んだところでございます。いずれの要求も文部科学行政の推進にあたって不可欠で重要なものと考えておりまして、全ての要求について必要な予算をしっかりと確保し、また施策を実行に移すことができるよう、文部科学省一丸となって全力で取り組んでまいります。以上です。
記者)
高校無償化の関連で二つお聞かせください。一つ目は、2026年度の税制改正要望において、高校無償化に向けた財源の確保を求める中で法人税の引き上げなども検討段階が出ているという報道が一部ありましたけれども、大臣はこちらについてどのような御見解でしょうか。2点目、高校の無償化の本格実施が来年度に迫る中で、詳細な制度設定とか枠組みというところが未だに示されておらず、学校現場からはとても困惑な声が聞かれているという話があります。この現状について、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
大臣)
本年2月の三党合意によりまして、いわゆる「高校無償化」を含む各施策の実現にあたりましては、安定財源を確保するということが示されたところでございます。これを受けまして、今般の税制改正要望におきましては文部科学省といたしましても、税制による新たな財源の確保方策について検討を開始するということを、税目を特定しない「事項要望」として提出をするものでございます。また、いわゆる「高校無償化」につきましてでございますが、三党の実務担当者において検討が今行われておりまして、令和8年度予算編成過程において成案を経てまた実現されるものと承知をしているところでございまして、文部科学省といたしましてはその状況を踏まえながら必要な対応をしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。以上です。
記者)
2点目の現状、学校現場が詳細が分からず困っていることについてもう少しお話しを。
大臣)
先ほど申し上げましたように、三党の実務者担当におきまして検討が今行われているところでございまして、成案を得ながら実現されるものというふうに承知をしているところでございますが、その状況を踏まえつつ必要な対応をしっかりして検討していきたいというふうに思っておりますので、詳細につきましては追って担当課に聞いていただければと思います。
記者)
愛知県の教員らが女子児童を盗撮してSNSのグループチャットで画像を共有した事件を受けまして、札幌市教育委員会が市内の幼稚園や小中高校の教職員に対して私用のスマートフォンやタブレットの教室などへの持ち込みを原則禁止する方針を固めているとのことです。教職員の業務に影響を与える可能性もありまして、各教育委員会としても対応が難しい案件だと思いますが、大臣の受け止めをお伺いしたいのと、こうした教職員に対して持込を制限するといった動きについて、他の自治体の動きで文科省として把握しているものがありましたら教えてください。
大臣)
文部科学省におきましては、7月に通知を発出するとともに緊急会議を開いておりまして、教員による私的端末での撮影禁止をはじめといたしまして、端末の使用に関するルールを整備するなど、取組を徹底していただくよう各教育委員会に対して指導を行ったところでございます。御指摘の報道につきましては承知をしているところでございますが、教室への持ち込み禁止を含め、端末の使用等に関するルールの内容については各教育委員会におきまして通知の趣旨を踏まえまして適切にご判断いただくものと考えているところでございます。また、私的端末の教室への持ち込みを原則禁止するルールを設定している事例は他にもあるものと私ども承知をしておるところでございます。引き続き、児童生徒性暴力等を根絶するため、様々な観点から取組を文部科学省としても強力に進めてまいりたいというふうに思います。
記者)
冒頭発言でも自殺予防に関して触れられておりました。18日に出された小学生から中学生、高校生、大学生、あと保護者向けのメッセージを拝見させていただいたのですけれども、改めて大臣の言葉で生徒の皆さんに対してどういうことを気にしてもらいたいのかというのを、可能であればカメラの方を見ておっしゃっていただければなということを、あと先ほどのご発言でなかった保護者とか周りを取り巻く大人の方々へのメッセージも合わせていただけたら幸いです。
大臣)
冒頭でも申し上げました、児童生徒の皆さんには、悩み、また不安、一人で抱え込まずにご家族、先生など信頼できる人に相談していただきたいと私ども思っております。必ず味方になってくれる人がいます。また、保護者の皆様におきましてはお子さまの態度に現れる微妙なサインに注意を払っていただき、不安、また悩みの声、耳を傾けていただき、受け止めていただくようお願いをいたします。文部科学大臣といたしましても、文部科学省一丸となって不安、悩みに寄り添いながら安心して学べる学校づくり、これに向けましてしっかりと取り組んでまいります。以上です。
(了)
大臣官房総務課広報室