あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年8月1日)

令和7年8月1日(金曜日)
教育、科学技術・学術

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令和7年度全国学力・学習状況調査の悉皆調査の全国データに基づく分析結果及び男女別集計の結果,令和6年度全国学力・学習状況調査の経年変化分析調査の結果,TICAD9及びイドゥリス、ガーナ教育大臣の表敬訪問,「2025年トカラ列島近海において継続する地震活動に関する総合調査」への助成,避難所に指定されている公立小中学校の体育館等の空調設置率

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年8月1日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年8月1日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年8月1日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件でございます。昨日、全国学力・学習状況調査につきまして、令和7年度悉皆調査の全国データに基づきます分析結果及び令和6年度経年変化分析調査・保護者に対する調査の結果を公表いたしました。経年変化分析調査におきましては、5教科のうち4教科でスコアの低下が見られました。また、令和7年度悉皆調査におきましても基本的な概念の理解・定着が十分でない児童生徒がいるなどの課題が明らかになりました。これらのことは大変重く受け止めております。今回の結果の理由につきまして、本調査で得られたデータのみからは断定はできませんが、家庭での勉強時間の減少、またテレビゲーム・スマートフォンの使用時間の増加といった傾向が明らかになっています。また、有識者からは新型コロナウイルス感染症による生活環境の変化が、この影響が中長期的に出ている可能性があるとも指摘されているところでございまして、明らかになった課題の要因につきまして今後、追加分析を行う予定でございます。一方、今回の調査結果からは主体的・対話的で深い学びや一人一台端末の活用に関する取組については一定の成果があると言えることも明らかになっているところでございます。文部科学省といたしましては、結果返却の時期を早めたことを生かしまして児童生徒1人1人の結果の振り返りを各学校で進めてもらいたいというふうに考えております。さらに主体的・対話的で深い学びを通じて、誰一人取り残さず必要な資質、能力を育成できるよう、今回の結果を学習指導要領の改訂をはじめとする各種教育施策の改善に生かしてまいります。
 2件目でございます。文部科学省におきましては、8月20日から22日に横浜で開催されますアフリカ開発会議(TICAD 9)でございますが、これに向けましてアフリカ諸国との連携強化を図るべく、昨年12月に省内PTを設置するなど、文部科学省における対応について検討を始めまして、今年の本年5月にはガーナ及びエジプトを訪問したところでもございます。これらの成果を生かしまして、今週の29日火曜日でございますが、ガーナ教育相のイドゥリス教育大臣の来日に合わせまして、文部科学省とガーナ教育省間の教育分野における関係強化のための意向表明書、LOIと言いますが、Letter of Intentでございますが、の署名式を行わせていただきました。今後は両省間におきまして政策対話を進めていきながら職業教育の訓練、またSTEM教育、特別支援教育などの幅広い分野の連携を図ってまいります。また、TICAD 9におきましてはさらにJICA及び世界銀行とのアフリカと日本の大学間のネットワーク連携強化を進めるためのイベント実施、エジプトの教育・技術教育省との教育協力関係の強化に向けました意見交換、教育・科学技術・文化・スポーツ各分野におけるテーマ別イベントなどの実施を予定しておりまして、引き続きアフリカ諸国とのさらなる連携、協力を深めてまいりたいというふうに思います。
 3件目でございます。本年6月21日より地震数が増加しているトカラ列島近海の地震に関しまして、観測強化による地震活動の原因解明や島嶼域における地震災害による社会的影響の解明等に向けた総合調査を実施いたします。このため、鹿児島大学理工学域理学系の八木原寛准教授を研究代表者とする研究提案に対しまして科学研究費助成事業、科研費でございますが、特別研究促進費による助成をすることといたしました。本研究の成果におきましては、国の機関また地方自治体等に提供することにしておりまして、継続する地震への対応力の向上、また住民の不安解消につながることが期待されるところでございます。文部科学省といたしましては、引き続き我が国の防災機能の強化に向けまして基礎研究の推進及び研究成果の活用をしっかりと図ってまいりたいというふうに思います。以上でございます。
 
記者)
 学校の空調設備の整備について伺います。7月30日午前にロシアのカムチャツカ半島付近で発生した地震で太平洋沿岸の幅広い地域に津波警報、津波注意報が発令され、多くの住民が猛暑の中、避難を余儀なくされたかと思います。文部科学省の2025年5月時点の調査では、避難所に指定されている公立小中学校の体育館の冷房設置率は24%にとどまっておりますが、整備の促進に向けてどのように取り組むか、大臣のお考えをお聞かせください。
 
大臣)
 ご指摘のとおり、避難所に指定されている公立の小中学校の体育館等における空調の設置率、本年5月1日時点で約24%でございます。空調設置率は、着実に向上はしているものの、近年の自然災害等の激甚化・頻発化を踏まえますと体育館の空調設備の整備は早急に進めていく必要があると私どもも考えているところでございます。文部科学省といたしましては、地方自治体に対しまして空調設備の整備、また臨時特例交付金(注)の活用を促していきながら効率的な整備事例を周知することによりまして、引き続き体育館空調の整備にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。以上です。
(注)「空調設備の整備、また臨時特例交付金」は、正しくは「空調設備整備臨時特例交付金」です。
 
記者)
 全国学力学習状況調査についてお伺いします。今回、初めて男女別の集計が行われました。いわゆる理系科目教科に関して、平均正答率に関しては小中ともに大きな男女差というものは見られませんでしたけれども、一方で教科が得意だ、または好きだと、そういうふうに答えている児童生徒の割合は女子が男子を下回る結果となりました。いわゆるアンコンシャスバイアスがあるという指摘もございますけれども、1点は、大臣はこの結果についてどう受け止めていらっしゃるかというところ、またこうした意識傾向が今後、将来的な進路選択にも影響する可能性があると思いますけれども、文科省として今後どういった取組をしていくか、コメントをお願いいたします。
 
大臣)
 今回の調査におきましては、理数教科の興味・関心について男女差が見られたところでございます。今回の調査結果だけで原因を説明することは難しいと私ども考えているところでございます。児童生徒の必要な資質・能力を育み、いわゆる理系分野についても興味・関心、これを高めて適切に進路指導できるようにすることは男女を問わず重要だというふうに考えているところであります。文部科学省といたしましては、理数教科の正答率・スコアに大きな男女差がなかったことを踏まえつつ、探求心等を涵養するための条件整備、さらには女子中高生との研究者等の交流機会の提供などに取り組むとともに、次期の学習指導要領の検討の中でもしっかりと議論していきたいというふうに考えているところでございます。以上です。
 
記者)
 学力調査関連でもう一つなのですが、今回の学力の低下に加えて社会経済的背景の低い層の方が、スコア低下が大きい状況もありました。格差の拡大ということも可能性が考えられますが、これについての大臣の受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
 
大臣)
 今回の経年変化分析の調査におきまして、5教科のうち4教科のスコア低下が見られたところでございまして、また社会経済的背景の低い層の方がスコアの低下が大きいこと、また勉強時間も短くテレビゲーム・スマートフォンの使用時間が長いことが確認されたところでございます。今回の結果は重く受け止めているところでございますが、調査から推定できるのは学力の特定の一部分だけであること、また直近の国際調査においては良好な結果だったことなどを踏まえますと、学力や格差の状況につきましてはさらに分析することが必要であるというふうに考えているところでございます。文部科学省といたしましては、現場での指導改善に活用できるよう、毎年度の悉皆調査の分析結果を発信し、また各学校での児童生徒の学びを保証する取組を支援したいというふうに考えているところでございます。その上で、スコア低下の要因につきましては専門的な知見を活用した分析を進めてまいりたいというふうに思います。
 
(了)

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