あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年6月10日)

令和7年6月10日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

高校教育改革について,文部科学省の10月1日からの組織改正,農業高校への予算と対策の必要性、農業教育の人材確保,大学発ベンチャーに対する文科省の支援の在り方

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年6月10日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年6月10日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年6月10日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭はございません。
 
記者・北海道新聞)
それでは、幹事社から質問させていただきます。3党の合意によって今後予定されている私立校高校授業料無償化によって、私立校への人気集中や公立高校の定員割れ加速が懸念されていますが、報道によると、文科省は、こうした課題に対応するため、公立校の再編や魅力向上に向けた高校教育の改革計画を本年度中に作成するとされていました。事実関係やスケジュールなどを教えてください。
 
大臣)
はい。いわゆる高校無償化めぐります3党の実務者協議におきまして、国が「高校教育改革に関するグラウンドデザイン」を示した上で都道府県が実行計画を作成することなどにつきまして議論が行われていることは承知をしておりますが、文部科学省が高校教育の改革計画につきまして新たに作成する、策定する方針を固めたという事実はございません。いずれにいたししても、引き続き、3党の枠組みにおきまして、公立高校などへの支援の拡充、これを含む教育の質の確保などの論点が(注)検討が行われていくものというふうに承知をしているところでございますが、文部科学省といたしましても、3党における検討状況をしっかり踏まえつつ、高校教育改革、また高校教育の質の向上につながるよう、引き続きしっかりと対応してまいりたいというふうに思います。
(注)「論点が」は、正しくは「論点について」です
 
記者)
ありがとうございます。それでは、各社さんから社名、氏名を名乗った上でご質問ください。
 
記者)
先ほどの質問に関連してお尋ねします。その高校教育の改革について、大臣としてはその必要性をどういうふうに考えておられるのか、教えてください。
 
大臣)
はい。高校教育におきましては、やはり一人一人の生徒が多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越えて豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手になることができるようにすることが重要だというふうに考えています。このために、全ての生徒の学びの充実はもとより、多様な学習ニーズに応える柔軟で質の高い学びの実現、また、小規模校の教育条件の改善などを図る観点から、自治体、また産業界など様々な関係者と連携しながら高校教育改革に取り組んでいく必要があるというふうに考えています。いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、3党における検討状況を踏まえながら、高校教育改革と高校教育の質の向上、この両方にしっかりつながっていくように引き続き対応を検討してまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
昨日閣議決定されました文科省組織令の改正で、10月1日付けで健康教育食育課の総合政策教育局(注1)への移管と、総合教育政策局教育人材政策課を廃止し、初等中等教育局に教員職員政策課を新設することとしています。こちらの組織再編の狙いについて教えてください。
 
大臣)
本年の10月1日付の文部科学省の組織再編に関する文部科学省組織令の改正につきまして、本日閣議決定をしたところでございます。質の高い教師を安定的に確保していくべく、教師の養成・採用・研修と働き方改革、両輪として進めていくため、これらを一元的に所掌する「教員職員政策課」(注2)を初等中等教育局に新設をいたします。現在、給特法等の改正案を御審議いただいているところでございますが、この教育職員政策課を中心といたしまして、学校における働き方改革の推進を含めて、質の高い教師の確保に向けた取組を一層加速してまいりたいというふうに思っております。また、現在、初等中等教育局に置かれております健康教育・食育科につきましてでございますが、学校保健、健康教育につきまして、この学校段階を横断した司令塔としての役割が求められることなどを踏まえ、総合教育政策局に移管をいたします。新型コロナウイルス感染症の経験なども踏まえまして、児童生徒等及び学生の健康の保持増進を着実に図るために取り組みを進めてまいります。いずれにいたしましても、文部科学行政における現下の重要課題に対応するための組織改正でございまして、10月1日以降、新たな組織のもとでしっかりと取り組みを進めてまいりたいというふうに思います。以上です。
(注1)「総合政策教育局」は、正しくは「総合教育政策局」です
(注2)「教員職員政策課」は、正しくは「教育職員政策課」です
 
 
記者)
2点お伺いいたします。1点目は、農業高校の老朽化についてですが、先週、全国の農業高校の教師らが集まる全国大会が開催されました。そこでは、スマート農業などの時代の進展に対応した農業教育施設の整備のための予算措置を不十分とした農業高校が8割以上にも上りました。農業施設の老朽化が深刻であるといった調査が報告されており、文科省としての農業高校の予算問題の意識や対策の必要性についてどのようにお考えか、教えてください。2点目は、1点目に合わせていたしますが、農業教員が慢性的に不足して公務に支障をきたしているといった回答が6割以上にも上るという結果が報告されました。今まで以上に人材確保が必要となる中、全国高校協会と協力し文科省に要請しています。農業教育の人材確保について、どう対応されるか教えてください。
 
大臣)
農業高校の全国大会のところに、他の業務との関係で冒頭だけとなりましたけれども、この全国大会と同時に開催されました農林水産高校を応援する会に私も出席させていただいたところでございます。農業高校におきまして、実験・実習と(注)必要となる施設・設備の整備は大変重要であると認識しておりまして、文部科学省におきましては、産業教育の振興の観点から、こうした整備に要する経費の一部については補助を行っているところでございます。具体的には、農業高校の実習施設の整備を支援するための予算も計上しておりまして、令和7年度予算におきましては、いわゆる高校無償化に関する3党合意に基づく修正予算で10億円増額されたことを受けまして、専門高校の追加ニーズに対する支援を充実させるほかに、「DXハイスクール事業」によるスマート農業等に対応した人材育成及び最新機器等の整備など、ソフト・ハード両面にわたった学習環境の整備も進めているところでございます。今後、いわゆる高校無償化等に関する3党合意におきまして、農業高校をはじめとする「公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保」も論点の1つとされていることから、その検討状況、また国会におけるご審議も踏まえながら、文部科学省といたしましても、引き続き、農業高校をはじめとする専門高校の教育の充実に努めてまいりたいというふうに思います。また、農業教育の人材確保についてのお尋ねがございました。文部科学省といたしましても、農業教育の充実を図る上で、人材の確保、大変重要だというふうに考えておりまして、これまでも、企業等から転職をして農業高校をはじめとする専門高校の教員、実習助手になった方々の声を集めたサイトの開設・運営、また、特別免許状の円滑な活用に向けた指針の改訂など、取り組みを行ってきたところでございます。また、現在、産業界等から人材派遣を促進する教師等人材バンクの構築支援についても検討しているところでございまして、このこうした取り組みを通じまして、農業高校における教育の充実をしっかり図ってまいりたいというふうに思います。以上です。
(注)「実験・実習と」は、正しくは「実験・実習に」です
 
記者)
国が大学などを対象に実施する大学発スタートアップの実態調査で、2024年度は前年度から比較して増加して、合格数、社数ともに過去最多となりました。改めて、イノベーション創出の担い手である大学発ベンチャーについて、今後文科省としてどのような支援が必要と考えるが、大臣の見解を教えてください。
 
大臣)
6日に経済産業省が公表いたしました調査におきまして、2024年10月時点で大学発のスタートアップの数が5,074社となりまして、企業数及び増加数ともに過去最高を更新したと承知をしているところでございます。一方、我が国の大学発スタートアップでございますが、小規模にとどまることが多いといった課題も実はございまして、本年度から、大学発スタートアップと事業会社との連携によりまして、スタートアップの成長を目指す新たな取り組みを開始しているところでございます。これまで取り組んでまいりましたスタートアップ・エコシステムの構築、またアントレプレナーシップ教育に加えまして、今後は、創業後のスタートアップの成長支援、こちらの方も注力をしてまいります。引き続き、関係府省と連携しながら、大学発スタートアップの創出と成長に向けた支援を強力に進めてまいります。
 
(了)

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