あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年5月20日)

令和7年5月20日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

国際卓越研究大学の第2期の申請状況,通学中の児童に車が突っ込む事案が続いていることへの対策,公立中学校の部活動の地域展開に向けた対応と費用負担,東北大学をはじめとするバイオバンクの研究成果と重要性,高校の授業料無償化の中での農業高校等の教育の充実、産業教育手当支給の実態

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年5月20日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年5月20日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年5月20日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件でございます。大学ファンドの支援対象となります国際卓越研究大学の申請状況についてお知らせをいたします。昨年12月24日から本年5月16日までの期間におきまして、全国の国公私立の大学を対象に公募を行いまして8件の申請を受け付けました。具体的には、申請順に大阪大学、京都大学、早稲田大学、東京大学、九州大学、東京科学大学、筑波大学、名古屋大学の合計8大学でございます。また、審査を行うための有識者会議を改めて設置いたしました。有識者会議におきましては、これまでの実績のみではなく、変革へのビジョンとコミットメントに基づきまして審査を実施することとしておりまして、研究現場の視察、また大学側との丁寧な対話を通じて段階的に審査を行っていく予定でございます。文部科学省といたしましては、有識者会議の審査を通じまして世界最高水準の研究大学の実現にふさわしい提案を選定していきたいというふうに考えております。以上でございます。
 
記者)
 国際卓越研究大学の2回目の公募についてお伺いします。今回応募してきた大学が1回目と同じところのみで数も減っていますが、大臣としての見解をお願いします。
 
大臣)
 本制度は、世界最高水準の研究大学となりますポテンシャルのある大学を認定する観点から認定基準を設定しているところでございます。認定基準等も踏まえまして、各大学で検討された上で、国内で高い研究力を有する8大学から意欲的な計画が提出されたものと認識しているところでございます。今後、有識者会議の丁寧かつ厳正な審査を通じまして国内外の若手研究者を惹きつける魅力的な研究環境を、実現をし、世界の学術研究ネットワークを牽引する大学を選定していきたいと考えています。以上です。
 
記者)
 5月16日の部活動改革に関する実行会議で最終とりまとめが了承されましたけれども、部活動の費用負担に関して受益者負担と公的機関のバランスのあり方を検討する必要があると、その中でも受益者負担の水準については「国において金額の目安を示すことを検討する必要がある」と指摘しています。こちらの地域展開後、部活動に係る受益者負担についてですけれども、文科省としてどれくらいの金額を目安として考え、いつ頃までに金額を示す御予定があるのかお聞かせください。またもう1点、部活動の費用負担では参加費の管理、ユニフォーム代ですとか楽器代、交通費などの移動費、指導者への謝礼等が生じるかと思うのですけれども、これらは受益者負担に含まれるとお考えでしょうか。文科省としての見解をお聞かせください。
 
大臣)
 先週の16日の有識者会議でまとめられました「最終とりまとめ」におきましては、受益者負担の水準につきまして「自治体間で大きなばらつきが出ないようにするとともに、生徒の活動機会を保障するという観点から国において金額の目安等を示すことを検討する必要がある」とされているところでございます。文部科学省といたしましては、最終とりまとめを受けまして現状の部活動等における保護者負担の額の水準、また地域移行に向けた実証事業における実績なども踏まえました上で、今年の夏ごろを目途に金額の目安をお示しできるように速やかに検討を進めてまいります。その際、お尋ねいただきました受益者負担に含まれる費用の範囲につきましてもしっかりと整理をしてまいります。以上でございます。
 
記者)
 子供の登下校時の安全対策についてお尋ねします。昨日、福岡県で小学生の列に車が突っ込む事故が発生しました。今月に入り同様の事故が大阪市や埼玉県三郷市など全国で相次いでいますが、文科省として注意喚起を行う予定はありますでしょうか。また、安全対策を強化するなど新たに対応を検討していれば教えてください。
 
大臣)
 今月1日木曜日に大阪の西成区で発生した事案、また14日水曜日に埼玉県三郷市で発生した事案に続きまして、昨日19日月曜日にも下校途中の児童4名が車に轢かれ病院に搬送されるという痛ましい事案が発生いたしました。今回の事故の詳細につきましては現在調査中と聞いておりまして、児童4名はいずれも意識があることを確認しておりますが、このような事案が立て続けに発生したことは誠に遺憾でございまして、負傷した児童の1日も早い御回復をお祈り申し上げるところでございます。また、児童を巻き込む事案が連続して発生するという異例の事態に大変心を痛めているところでございます。文部科学省におきましては、今月2日金曜日でございますが、大阪市の西成区の事案を踏まえまして改めて全国の教育委員会等に対しまして通学時の安全確保のための注意喚起を行ったところでございます。また、これまでスクールガード・リーダーの配置など、登下校の見守り活動に対する支援に取り組んできたところでもございますが、この度、児童が被害に遭う痛ましい事案が相次いで発生したことを踏まえましてまずは詳細な情報収集に努め、その原因等について分析の上、必要な対応をしっかりと検討してまいります。
 
記者)
 東北大学はメガバンクの統合データから潰瘍性大腸炎のリスク因子を発見しました。今回の政府の受け止めと、あとバイオバンクの重要性について大臣はどのように御認識なのか教えてください。
 
大臣)
 文部科学省におきましては、東北メディカル・メガバンクをはじめといたしましたバイオバンクの構築、いわゆる利活用を推進しているところでございまして、今回のような発症のリスクの予測を通じました早期診断と治療、また発症の予防の実現につながる成果が出ていることを大変嬉しく思っているところでございます。また、東北メディカル・メガバンク以外にも我が国には東京大学医科学研究所、また厚生労働省等が構築します様々なバイオバンクがございますけれども、国内のバイオバンクがその特徴を生かして連携を強化していくことも重要というふうに認識をしているところでございまして、文部科学省といたしましてもバイオバンク間のネットワーク強化に取り組んでいるところでございます。引き続き、世界に比類する規模の次世代の医療基盤の構築に向けました取組をしっかり推進してまいりたいというふうに思っております。
 
記者)
 先ほどの部活動の地域移行に関する有識者会議の提言についてお尋ねしたいのですけれども、地域移行が実行できているか否かというのは結構地域差があって、指導者がいなかったり部活動の受け皿となるスポーツクラブがそもそもなかったりという地域については地域移行のハードルが高いと言いますか、いろいろな課題があるかと思いますが、提言を受けて今後、文科省として具体的にどういうふうに対策を進めていくかというのがありましたら教えてください。
 
大臣)
 やはり地域間格差が今ある中にございまして、私どもとしてもしっかり対応していかなければいけないと思っておりますが、先週の16日の有識者会議でまとめられました「最終とりまとめ」におきましては令和8年度から13年度、これを「改革実行期間」というふうに設定させていただいておりまして、休日におきましては原則全ての部活動において地域展開の実現を目指すことなどが示されたところでございます。文部科学省といたしましては、この最終とりまとめを受けまして各地域で円滑に取組が進められるよう、地域クラブ活動の認定制度、この構築と、また地方公共団体への十分な財政支援、さらには相談窓口の設置、アドバイザーの派遣など、地方公共団体へのきめ細やかなサポート、最終とりまとめで示されました内容の周知と広報などに取り組むことが重要であると私どもも考えておりまして、今後、こうした取組を通じまして地域のさまざまな課題に対応させていただきながら、部活動の地域展開等の全国的な実施を推進してまいりたいというふうに思っております。以上です。
 
記者)
 2点お伺いします。1点目は農業高校など専門高校の支援についてです。各種の専門高校で来年度の生徒募集のPRなどが始まっていますが、一般的に施設整備が充実している私立高校に比べて農業高校は施設の老朽化が著しく、私立高校に入学生が流れるとの危機感が訴えられる声も全国の農業高校から強く出ています。また、文科省の支援策に応じられても県や市町村の自治体が半額負担などの制約があり活用しにくいとの指摘もあります。来年度から私立高校の実質無償化が始まる中でどう対応していくのか、大臣の農業教育への思いも合わせて教えてください。2点目は、農業教員などに都道府県が支給する産業教育手当について、大半が支給水準、給料の10%を下回っています。教員の時間外勤務や適切な処遇が社会問題化する中で今後の政府としての対応について教えてください。
 
大臣)
 いわゆる高校無償化を踏まえました対応方針でございますが、農業高校、我が国の重要な産業である農業の発展を支える重要な役割を担っていると認識をしておりまして、これまで私自身も石破総理とともに農林水産高校を応援する議員連盟に関わりまして、各都道府県の農業高校の先生方の声をしっかりお聞きをしながら支援を進めてまいりました。その上で、いわゆる高校無償化を踏まえました今後の対応につきましては3党合意において、農業高校をはじめとする「公立高校などへの支援の拡充を含む教育の質の確保」も論点の一つとされているところでございまして、その検討状況、また国会における御審議も踏まえつつ、文部科学省といたしましても引き続き農業高校をはじめとする専門高校の教育の充実に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。また、御指摘の産業教育手当でございますが、地方自治法及びいわゆる産業教育手当法に基づきまして「支給することができる」とされているものでございまして、支給内容に関しては各地方公共団体が条例で定めることとされているところでございます。当該経費に関しましては、給与月額の10%を普通交付税により措置をしてきているところでございまして、具体的な支給額、各地方公共団体が地域の実態を考慮しながら適切に決定しているものと承知をしているところでございます。文部科学省におきましては、昨年2月に各地方公共団体に対しまして事務連絡を発出いたしまして、改めて産業教育手当法の趣旨等を踏まえ適切に対応していただくよう周知を行ったところでございまして、各自治体の適切な対応を促してまいりたいというふうに考えております。以上です。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室