令和7年5月13日(火曜日)
教育
保護者などから公立学校教職員への過剰な苦情や不当な要求への対応、いじめ予防に向けた今後の方策、教員の持ち帰り業務の把握手法、部活動内のいじめへの対応と部活動の地域展開
令和7年5月13日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年5月13日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
記者)
先週金曜日に行われた東京都教育委員会の有識者会議の中で、都内の公立校職員のうちおよそ2割の職員が保護者などから長時間の電話や暴言などのカスタマーハラスメントを受けた経験があるとのアンケート結果が公表されました。このことに関する文科省の見解と文科省で行っている対策などありましたらお願いします。
大臣)
御指摘の東京都の調査結果につきましては、報道によりまして承知をしているところでございます。保護者などから過剰な苦情、不当な要求などが教師の大きな負担になっているところでございまして、この事案に関しまして学校、教師を支援する体制の構築が必要であるというふうに私ども考えております。そのため、文部科学省におきましては教育委員会が保護者などから直接相談を受け付けたり、学校関係者が専門家に相談できるような行政による支援体制の構築に向けたモデル事業の実施、また都道府県教育委員会が作成した対応マニュアル、また手引き等の周知といった取組を行っているところでございまして、文部科学省といたしましては保護者対応に関する学校における業務運営の改善に向けまして、各教育委員会の取組も踏まえながらしっかりと取組を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。以上です。
記者)
筑波大学附属小学校で2023年度、6年度と相次いでいじめの重大事態が発生していたことが分かりましたけれども、それについての所感と、あといじめ対策は本当に難しいなと思っていますけれども、こちらの司令塔であるいじめ防止対策協議会のほうで未然防止という予防について議論しているのが6年ぶりだということが分かりまして、ちょっと消極的なのではないかなというふうに思うのですけれども、こういうことについて、未然防止についてこれからどういうふうに対策を取っていくのか、その辺も伺えたらと思います。
大臣)
筑波大学附属小学校におきまして、いじめ事案が発生いたしまして、それに学校として適切に対応できなかった事案が続いたことは大変遺憾でございます。文部科学省といたしましては、これまでも各学校に対しまして組織的な対応が行われるように促しているところでございますが、まずは附属学校の設置者である筑波大学におけるこの重大事態の調査結果、対応を注視しながら必要に応じて指導助言を行ってまいります。その上で、一般論として申し上げればいじめの積極的な認知、また組織的な対応のみならず、いじめの未然防止に係る取組については大変重要であると私ども考えておりまして、文部科学省といたしましては安全で安心な学校づくり、学級づくり、児童生徒自身が主体的に実施できるようになること、これが重要だと考えておりまして、これまでもいじめの未然防止に資する道徳教育、また人権教育を進めてきたところでございますが、取組のさらなる充実を図るために今年3月に開催いたしましたいじめ防止対策協議会におきまして、いじめの未然防止に係る推進方策について御議論をいただいたところでもございます。文部科学省といたしましては、この本協議会における御議論も踏まえまして、今後、いじめの未然防止教育のモデル事業等を進めるとともに、各学校におきまして早期発見と早期対応と再発防止に至る総合的な取組が行われるようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
記者)
教員の勤務時間の把握に関する持ち帰り業務についてお尋ねいたします。9日の衆議院本会議で石破首相が教員の持ち帰り業務について本来行わないことが原則としつつ、持ち帰りに実態がある場合は校長や教育委員会が把握に努め改善に取り組む必要がある、取組が適切になされるよう指導の徹底を図っていくといった趣旨の答弁をされていました。文科省は、ICTを活用した客観的な勤務時間の把握を想定していると思いますが、在校等時間が対象となり持ち帰り業務が含まれないとして、これまでの衆議院文部科学委員会では従来の教員勤務実態調査の継続を求める意見もありました。ICTによる勤務時間の把握によって原則行われないこととされている持ち帰り業務を教育委員会がどのようにして実態を把握すると想定しているのか、教えてください。また、指導の徹底を図っていくとのことですが具体的にはどのような指導を行っていくのか、こちらも合わせてお尋ねします。
大臣)
全国の教師の時間外在校等の時間の把握方法につきましては、過去に実施をいたしました教員勤務実態調査、これが大変学校現場の負担に大きい調査であったことから、今後は教師に追加的な調査負担を生じさせることがないように、基本的には教育委員会に対して実施する調査を通じて把握していく予定でございます。御指摘の持ち帰り業務につきましては、文部科学大臣の指針におきまして本来、教員の持ち帰り業務は行わないことが原則でございまして、仮に業務の持ち帰りが行われている場合には校長や教育委員会はその実態把握に勤めるよう教育委員会に対して通知を行ってきたところでございまして、具体的にどのように持ち帰りの実態を把握するかにつきましては、各教育委員会の状況等に応じまして教育委員会において判断されるべきものと考えておりますけれども、文部科学省としては引き続きこうした趣旨が学校現場で徹底されるよう、教育委員会に対してあらゆる機会を捉えて説明をして、また適切な対応を求めてまいりたいというふうに考えているところでございます。以上です。
記者)
一昨年、大阪市内の中学校で発生した部活内のいじめで男子生徒が自殺した件で2点お尋ねします。報告書では、顧問の忙しさがいじめの早期発見、解決への課題となったとの指摘がありますが、文科省としての受け止めと今後どう対応していくかをお聞かせください。また、部活動を地域展開しても学校がいじめの調査の主体となるべきという指摘もありました。この点、学校や教員は部活動にどのように関わるべきかを考えているか、大臣のお考えをお尋ねします。
大臣)
令和5年に大阪市内の男子生徒が自殺した事案につきまして、昨日12日、大阪市の第三者委員会がいじめの重大事態調査報告書を公表したことは承知をしておりまして、文部科学省としても大阪市より報告を受けたところでございます。当該報告書におきましては、当該生徒が自死に至ったのは部活動内の当該生徒に対するいじめが最大の要因であると考えるのが合理的であること、またいじめを認知するための組織的な取組が不十分であったこと、他業務により顧問が立ち会えないときがありまして、部活動でのいじめをキャッチする仕組みに課題があったことなどが指摘されているところでございまして、いじめにより尊い命が失われてしまったことは大変遺憾であると私どもも考えております。このような痛ましい事案を2度と繰り返さないために、文部科学省といたしましても学校組織として、学校で生じたいじめを早期発見、早期対応できるような体制構築が必要であることを周知していくこと、またこども家庭庁と連携しながら重大事態調査報告書の分析とガイドラインの改定などによって全国的対策の強化に全力で取り組んでまいります。また、部活動を地域展開した場合にもいじめの発見、また対応が適切になされることが私ども重要だというふうに思っておりまして、部活動改革に関する有識者会議におきましてはいじめを含めた生徒同士のトラブルに関する管理責任の主体の明確化、さらには保護者や学校を含めた関係機関との適切な連絡調整などが必要である旨が議論されているところでございます。文部科学省としては、こうした議論を踏まえた上で生徒の安全、安心、これを確保しながら各地域で部活動の地域展開が進められるようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
(了)
大臣官房総務課広報室