令和7年2月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他
国立極地研究所の視察、「自殺対策強化月間」におけるメッセージ発信、「戦略的創造研究推進事業」等における「令和7年度戦略目標」の決定、教員の時間外在校等時間の適切な把握について、選択的夫婦別姓について、令和7年度予算案の修正をめぐり3党合意された教育無償化の影響と課題
令和7年2月28日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年2月28日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私から3件ございます。2月25日、国立極地研究所を視察をさせていただきました。南極で採取されました約70万年前の空気が閉じ込められた氷に関する研究等を視察させていただきました。さらに現在、100万年を超える氷の採掘に進行中と説明を受けておりまして、地球環境変動の解明に向けまして、極域における研究観測の重要性を実感いたしました。また、南極地域観測隊が持ち帰りました大阪・関西万博に展示予定でございます世界最大級の火星の隕石を見せていただきました。万博を通じまして、南極地域観測隊や国立極地研究所の活動を皆様に知っていただく良い機会になるというふうに考えています。文部科学省といたしましては、引き続き南極及び北極における極域研究の推進に取り組んでまいります。
2件目でございます。3月は「自殺対策強化月間」となります。如何なる事情であれ、子どもたちが自ら命を絶つようなことがあってはならず、昨年令和6年でございますが、児童生徒の自殺者数が、暫定値ではございますが、過去最多の527人となったことについて、極めて重大に受け止めているところでございます。こうした状況を踏まえまして、この月間に合わせ本日、厚生労働省、こども家庭庁と共に若い世代等に向けましてメッセージを発信させていただくとともに、文部科学大臣として児童生徒、また学生等に対しましてもメッセージを発信いたしまして、教育委員会などに対しても通知を行わせていただきます。メッセージを通しまして、児童生徒、学生の皆さんには悩みや不安を感じたときには、誰かに話を聞いてもらい、悩みや不安を1人で抱え込まないということをお伝えしたいというふうに思います。また、学校関係者や保護者等の皆様におかれましても、児童生徒等の態度に現れる微妙なサインに注意を払っていただき、不安や悩みの声に耳を傾けていただくようお願いを申し上げます。
3件目でございます。この度、「戦略的創造研究推進事業」等における令和7年度の「戦略目標」を決定いたしました。「戦略目標」は、その時々の科学の潮流、また政策課題を俯瞰いたしまして、戦略的な基礎研究の大きな方向性を定めるものでございます。文部科学省といたしましてこの「戦略目標」の策定を通じまして、基礎研究と政策課題の橋渡し、先導的・独創的な研究の発掘と育成、分野融合などを推進をいたします。令和7年度は、分野横断の6つの目標を設定をいたしました。この目標に基づきまして、4月以降、JSTまたAMEDにおきまして公募を開始をいたします。多くの研究者の皆様から意欲的な提案をご期待申し上げます。以上でございます。
記者)
25日に栃木県の教員が管理職によって勤務時間を短く書き換えられたとして、県に調査などを要望しました。教員の時間外在校等時間を短くしていこうという過程においても、正確な実態把握というのが必要かなと思いますが、各教育委員会が公表する数字というものと実際の数字が一致していないというケースも指摘されていますが、今回の事案の受け止めをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣)
栃木県内の特定の公立小学校におきまして、学校管理職によって教員の勤務時間が短く書き換えられたとの報道があったことは承知をしております。こうした事態が生じたことは大変遺憾でございます。客観的な勤務実態の把握、働き方改革を進めていく上で必要不可欠なスタートラインでございます。文部科学省が定めるいわゆる「教員の勤務時間管理等に対する『指針』」におきましては、ICTの活用やタイムカード等による客観的な勤務実態の把握を求めるとともに、虚偽の記録を残すことがあってはならないことを示しているところでございます。校長や教育委員会は教員の在校時間を上限時間の範囲内とすること自体を目的とするのではなくて、把握した勤務実態を踏まえながら、業務や環境整備等の状況を検証・改善し、在校等時間の長時間化を防ぐことが、それこそが重要でございます。文部科学省といたしまして、改めて各教育委員会に対しまして在校等時間の客観的な把握を適切にまずは実施することについて、その趣旨が適切に学校現場まで浸透し確実に実施されるよう、機会をとらまえて(注)周知徹底するとともに、働き方改革の一層の促進、推進、また指導・運営体制の充実など、現在取り組んでいる教師を取り巻く環境整備、この推進に全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。以上です。
(注)「とらまえて」は、正しくは「捉えて」です
記者)
大臣は先日、選択的夫婦別姓を推進する自民党の有志の会合に出席されましたが、出席した経緯と選択的夫婦別姓に対する大臣の見解について教えてください。
大臣)
御指摘の議題に関しましては、大臣としてではなくて国会議員の一人として政務で出席をいたしました。予算委員会の当日でございましたので5分ぐらいで退席をさせていただきましたが、選択性別氏制度(注)の導入の是非に関しましては文部科学大臣は担当でないことで、この会見の場で個人的見解を述べることは差し控えさせていただきます。
(注)「選択性別氏制度」は、正しくは「選択的夫婦別氏制度」です
記者)
自民、公明、維新の3党合意に関して伺います。今週この3党による党首会談でいわゆる高校無償化について合意がなされました。このことについての大臣の受け止めをお願いします。
大臣)
25日、先日、自民党、公明党、日本維新の会の3党の合意文書が取り交わされたことは承知しているところでございまして、合意文書におきましては、全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、経済的事情による教育格差を是正し、子育て世代への支援を強化する観点から論点の十分な検討を行い、いわゆる高校無償化を始めとして給食無償化や高等教育の支援等の改革を実現することとされているところでございます。文部科学省といたしましては、希望する誰もが質の高い教育を受けられるよう、教育費負担軽減に取り組むことが重要であるというふうに考えているところでございまして、今回の合意内容実現に向けまして、3党を始めとする関係者の御意見もよく拝聴しながら取り組んでまいります。以上です。
記者)
3党合意に関連してお伺いします。26年度から私立校向けの支援が拡充されることで公立校離れの加速や私立校の授業料の値上げを懸念する声が上がっています。文部科学省としてこういった課題にどうやって向き合っていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
私立高校への授業料支援拡充によりまして、私立の高校への進学を希望する生徒が増加して公立高校の進学者数が減少する可能性があるなど、公立高校への一定の影響があるものだと私どもは考えています。また、高校無償化に関しまして、一般論として申し上げれば、教育基本法等のいわゆる規定の趣旨に鑑み、特に私立高校の授業料を含む経費につきましては、私立高校の建学の精神に基づく自主性の尊重に留意する一方で、支援の拡充に伴い各学校で合理性のない授業料の値上げが行われないようにする観点にも留意する必要があるのだというふうに考えています。今回の3党合意に対しましては、「令和8年度から収入要件を撤廃し、私立の加算額を45.7万円に引き上げる」とともに「低中所得者層の高校生等の奨学給付金の拡充、また公立高校などへの支援の拡充を行う」とされているというふうに承知をしているところでございます。高校教育全体にとって意義のあるものになるよう、本年度から取組を開始した大阪府、また東京都の先行事例の成果、課題なども踏まえながら、文部科学省といたしましても、今後、具体的に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
(了)
大臣官房総務課広報室