令和7年2月4日(火曜日)
教育
(東京都や大阪府などの)自治体独自の高校授業料無償化に対する見解、米国における多様性を否定する動きについて、ハイブリット形態のデジタル教科書の発行を推進した場合の影響について
令和7年2月4日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年2月4日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
記者)
高校無償化の件についてお尋ねします。東京と大阪では独自の高校無償化策を図っていますが、このことについて大臣自身の評価をお聞かせいただけたらと思います。
大臣)
各地方自治体におきまして、地域によって、私立の高校の授業料の平均額、また私立高校に進学する生徒数が非常に大きく異なっています。例えば、授業料に関しては今最高のところが64万7,675円と、福井県においては34万7,472円になっています。また、私学に通っている生徒の割合も違っておりまして、全国平均は34.6%なのでございますが、例えば徳島県においては4.2%です。こういう地域の実情を踏まえた各地方自治体の努力によって独自の上乗せ支援が行われているものというふうに認識をしているところでございます。そうした中にありまして、ご指摘の東京都の例えば仕組みでございますが、都内の授業料平均額を参考に約48万円を上限に所得制限を設けず支援をしているというふうに承知しておりまして、また大阪の仕組みに関しては、いわゆる「キャップ制」と言われておりまして、学校の授業料が支援金額を上回る場合に、差額分を学校が負担するという必要があるものというふうに承知をしています。その上で、一般論として申し上げれば、授業料含めまして、私立の学校の建学の精神に基づき、自主性の尊重は重要なことではないかというふうに考えているところでございまして、一方で、文部科学省といたしましては、これまでも、支援の拡充に伴いまして、各学校で合理性のない授業料の値上げを行うことは望ましくない旨を周知したところでございまして、こうした点にも留意いただく必要があるというふうに思っております。基盤としての国の制度、文部科学省として考えるのは地域の実情を踏まえた地方自治体が独自に実施する支援とのバランスといった論点、これが総合的に考える必要があるのだというふうに私ども考えているところでございます。以上でございます。
記者)
アメリカの動きに関連してなのですが、トランプ大統領が就任式で「連邦政府が認める性別は男性と女性だけ」と宣言して、その前後にトランスジェンダーの女性を学校の女子スポーツから排除すると発言するなど、アメリカで反DEIと言われる多様性に逆行する動きが見られています。アメリカで留学された経験もある大臣がこうした動きをどう受け止められていらっしゃるかをお伺いしたいのと、また昨年12月の中教審の諮問ではまさに多様性や包摂性を重視する内容となっています。こうしたアメリカの動きが日本の教育現場に影響する可能性についてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣)
御指摘の報道は承知をしているところでございますが、これは外国政府の内政方針に関するものでございまして、文部科学大臣としてのコメントをすることは差し控えさせていただきます。また、日本の取組につきましてでございますが、我が国の実情を踏まえてこれまでも文部科学省においては、多様性に対する理解、また自他の人権の尊重等の態度を育む人権教育の取組、性的マイノリティの児童生徒へのきめ細やかな対応のための、教職員向けの啓発資料、支援の事例の提供等の取組に努めてきたところでございまして、私どもは引き続き、性的マイノリティの方々をはじめとして、個々人が持つ多様な背景に関わらず、全ての人がお互いを尊重し、誰もが生き生きとした人生を享受することができる共生社会を目指した取組を進めてまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
記者)
デジタル教科書の関連でお尋ねします。先日開かれた中教審のWGにおいて、教科書の一部が紙で一部がデジタルといったハイブリッド教科書を認めるべきかどうかという論点が示されました。ハイブリッド教科書については、作成できる教科書会社が限られてしまって寡占状態になってしまうのではないかという懸念もあるかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
ご指摘のデジタル教科書の在り方につきましては、中教審のワーキンググループにおいて、児童生徒の学びの充実に向けて、検討審議が行われている段階でございます。その上で申し上げますと、現に既に現状でも、各発行者が、ほぼ全ての教科でデジタル教科書を発行しておりまして、紙の教科書の多くもデジタルコンテンツに接続するQRコード、これがついているところでございまして、今後仮に、ハイブリッドな形態を含めまして、多様な形態の教科書が認められる場合においても、各発行社がこうした政策のノウハウ、また現場のニーズを踏まえて、それぞれに持ち味を生かして適切と考えるものを製作するということになるというふうに考えております。いずれにいたしましても、ワーキンググループにおいて引き続き活発な議論が行われることを期待しているところでございます。
(了)
大臣官房総務課広報室