あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年1月24日)

令和7年1月24日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

愛知県立愛知総合工科高等学校専攻科の視察、理化学研究所の視察、国立天文台の視察、令和6年度地域中核・特色ある研究大学強化促進事業の採択、通常国会提出法案への意気込み、大分県立高校における推薦入試不適切の運用が行われていた件、高校無償化制度に関する政党間協議について、千葉県立高校における不適切指導、さいたま市立小学校のクルド人在留資格失効に伴う児童の除籍

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年1月24日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年1月24日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年1月24日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは4件ございます。21日火曜日、愛知県の名古屋市の愛知総合工科高等学校専攻科を視察をいたしました。学校では、産業界と連携した実習授業を視察をさせていただきまして、生徒の皆さんから自動運転技術や航空機の制作等に関するプロジェクトについて説明を受けまして、意見交換を行いました。また、同校におきましては小さな二輪倒立ロボットを使いながら、自律走行に必要な制御技術の演習を行ったり、またスタートアップ企業の経営者の方から直接指導を受けながら、バーチャルリアリティーを使いながら自動運転用の地図を作成するなど、産業界の伴走による専門性の高い実習に取り組まれておりまして、非常に感銘を受けました。また、ものづくりに興味を持ち、試行錯誤しながら課題に取り組む生徒の皆さんの姿は、大変素晴らしく、今後の産業界を支える人材として大きな期待をしているところでございます。文部科学省といたしましては、引き続き産業界と連携した専門高校の振興に取り組んでまいります。
 2件目でございます。1月22日、理化学研究所を訪問いたしまして、量子コンピューターの研究開発・利活用の促進に関する取組、認知症をはじめとする精神・神経疾患の克服を目指しました脳科学研究の現場を視察してまいりました。視察を通じまして、様々な分野におきまして世界最先端の研究開発が行われていることをまさに実感をいたしまして、またデータ、機器の共用に関する意見交換を行わせていただきまして、熱意ある女性研究者からの説明、また大学とは異なる、分野を超えた研究連携の取組を伺いまして、大変興味深く感じました。このような現場の状況を踏まえまして、文部科学省といたしましては、引き続き、イノベーションを創出する科学技術の振興、研究支援に取り組んでまいります。
 3件目でございます。昨日1月23日でございますが、国立天文台三鷹キャンパスを訪問してまいりました。国立天文台におきましては、最新のデータに基づくシミュレーション、また実は日本でしか作れない最先端の高度な機器が、少人数の技術者によって職人のように手作りされている現場を拝見いたしまして、大変感銘を受けるとともに、人材育成がまさに重要だということを考えました。加えて、宇宙科学分野、我が国が競争力を有する分野である一方におきまして、ハワイやチリに建設されている望遠鏡の運営が為替変動の影響で大変苦しいというお話もお伺いし、その状況を改めて認識いたしました。文部科学省としても、引き続き最先端の技術や研究者の知見を結集いたしまして、いわゆる進める研究プロジェクト等を、昨日伺ったお話も含めまして、しっかりと推進してまいりたいという思いを新たにいたしました。
 最後の4件目でございますが、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業:J-PEAKS(ジェイ ピークス)」について、令和6年度の採択大学が決定されましたので、ご報告をさせていただきます。本事業は、大学における研究力の飛躍的な向上に向け、強みや特色のある研究力を核とした戦略的な経営に基づく環境構築を支援するものでございます。今般、日本学術振興会におきまして、65大学の提案につきまして審査が行われまして、13大学の採択が決定されました。審査におきましては、研究力が向上した10年後の大学ビジョンやその実現に至るまでの具体的なプロセス等につきまして、優位性や発展性の観点を確認させていただきました。前回採択されました12大学と合わせまして計25大学、我が国の研究力を牽引する大学群の一翼を担うことになります。各大学が学長のリーダーシップの下、研究環境の充実や教員と職員の垣根を超えた人事制度の改革、またメリハリのある予算の配分など、大学におけるシステム改革の取組を大胆に進めていただくことを期待するところであります。文部科学省といたしましても、強みを持つ特定の学術領域の卓越性を発展させる地球規模の課題解決、社会変革につながるイノベーション、これをイノベーションを創出する、地方自治体などとの共同を通じまして、地域課題解決をリードするという観点から、各大学が設定したトップ10%の論文数、また大型共同研究・受託研究の件数、また外部資金の獲得金額などのアウトプット・アウトカム指標を達成できるよう、日本学術振興会と連携した伴走支援を行ってまいります。今後も、地域中核・特色ある研究大学への支援を総合的に推進をいたしまして、我が国全体の研究力強化に向けた取組を進めてまいります。以上でございます。
 
記者)
 今日から通常国会が始まって、文科省所管の法案も提出予定となっています。少数与党となって法案成立には野党の協力も不可欠になりますが、それを踏まえてこの国会にどう臨んでいくのか、大臣のお考えをお願いします。
 
大臣)
 本日より、第217回通常国会が開会となります。文部科学省といたしましては、大学等修学支援法の改正案、また給特法等の改正案の提出を予定しているところでございます。これらの提出法案におきましては、多子世帯の高等教育費の負担の軽減、また教師に優れた人材を確保していくために環境整備に必要となる重要な法案でございます。国会におきまして、与野党の先生方と真摯な議論を積み重ね、法案の成立に全力を挙げてまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 大分県立高校の推薦入試についてお伺いいたします。先日、毎日新聞の報道で大分県内の県立高校が2023年に実施した推薦入試で部活動を強化するため、事前に有力な中学生をリストアップして彼らが入学の意向を示して受験した場合には加点して合格に有利な扱いをしていたことが判明しました。文科省は県教員に対する調査を実施しましたが、このことに対する改めての大臣の受け止めと、今の同様の事例というのが他の都道府県でも行われている可能性もあるのかなと思いますが、現時点として文科省として通知なり調査など何か対策を検討しておられましたら教えてください。
 
大臣)
 ご指摘の事案につきましては、外部から情報提供があったことを踏まえまして、文部科学省の担当課から、大分県の教育委員会に対しまして調査報告を求めたところでございます。その結果、不適切な取扱いが確認されたため、昨年1月に改善を求める指導を行いまして、その後、大分県の教育委員会から改善が図られた旨の報告がございました。高校入試は、生徒の進路が決まる重要な機会でございまして、大分県教育委員会におきましては、その点を十分に認識をし、公平・公正な入試の実施に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。文部科学省といたしましては、大分県教育委員会における対応状況を注視していきながら、必要に応じて指導・助言を行うとともに、適切な入試の実施におきまして、全国の高校入試担当者向けの会議などにおいても周知をしてまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 高校無償化に関連してお伺いいたします。現在、高校生がいる世帯に対しては国の就学支援金制度によって支援が行われていますが、大臣はこの現行制度の意義についてどのように評価されていますでしょうか。また現在、自民・公明・日本維新の会の3党の実務者協議で今年4月から所得制限のない高校無償化について協議が進められていますが、維新が求める今年4月からの実施について課題はどのようなところにあると考えているのか、大臣としての見解を伺います。
 
大臣)
 高等学校等就学支援金制度におきましては、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図りまして、教育の機会均等に寄与することを目的としているところでございます。この目的に基づきまして、所得制限を設けることで捻出をいたしました財源によって低所得者世帯への支援を拡充するなど、限られた財源を有効活用することによって、教育の機会均等に向けて、制度の充実に取り組んでいるところでございます。お尋ねの、「今年4月からの所得制限のない高校無償化を実施する」という件に関しましては、現在、高校無償化のあり方について自民党と公明党と日本維新の会の3党の協議がまさに行われているところでございまして、政府の立場といたしましては、まずは政党間の協議の状況を注視をしてまいりたいというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、文部科学省といたしましても、引き続き、希望する誰もが質の高い教育を受けられるように、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない負担軽減に取り組んでまいりたいというふうに思います。また、4月からの課題についてでございますが、繰り返しになりますが3党協議が行われておりますので、政府の立場としてはまず政党間の協議の状況をしっかりと注視をしてまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
 
記者)
 千葉県の県立高校で2023年10月に2年生の女子生徒が自殺した件で、千葉県教育委員会が先日、高校側が授業に関する悩みを訴えた女子生徒のアンケートの回答を放置するなど不適切な対応が重なったことが要因だと外部の有識者らによる調査で認定されたと発表しました。このことについて大臣の受け止めをお願いします。
 
大臣)
 千葉県の高等学校におきまして、女子生徒が自殺した事案に関しまして、先日22日でございますが、千葉県教育委員会の会見を実施したことは承知をしているところでございまして、尊い命が失われたことは大変遺憾でございます。千葉県の第三者委員会の調査結果におきましては、当該生徒のアンケート結果につきまして、管理職への報告もなく、漫然と放置した対応には問題があったこと、教員であれば当たり前に行うべき指導を、いくつもの場面において不作為、又は不適切な指導に終始した点で大きな課題となることなどが指摘をされているところでございます。このような痛ましい事案を2度と繰り返してはならない、また千葉県教育委員会において調査結果、指摘されたことをしっかりと受け止めてまた再発防止に努めていただきたいというふうに考えています。生徒指導提要におきましては、一人で抱え込むのではなくチームで組織的に対応すること、また不適切な指導者等(注)は自殺等のきっかけになる場合もあり、決して許されないということを記載しているところでございまして、文部科学省といたしましては引き続きこれらの周知等を通しまして指導の徹底を図ってまいりたいというふうに思います。
(注)「指導者等」は、正しくは「指導等」です
 
記者)
 さいたま市の市内の小学校の6年生に在籍していたクルド人の子供について、さいたま市の教育委員会がこの子が去年の7月に在留資格を失ったということをきっかけに9月にこの子を小学校から除籍したということが分かりました。今4カ月半なのだけれども小学校に行けない、本当だったら4月から中学校なのだけれどもそれも行けないという状況になっていると。文科省は、国は外国人の子供の小中学校の教育については義務教育とは位置付けていないと、だけれども本人から希望があれば在留資格がない場合も学校に受け入れるのだと、そういう立場を今まで示してこられて、それを何回も国会でもそういうふうに受け答えされている。今回の場合は在留資格がないのだけれども学校に行きたいというふうに本人は言っているのです。今回のさいたま市のいきなり除籍してしまったという対応というのは文科省さんの従来のお立場から明らかに異なると。国の方針が周知されていないということだと思うのですけれども、これについてどういうふうに受け止めていらっしゃるか、今後調査などをされて指導をなさるお考えがあるか、これを教えてください。
 
大臣)
 御指摘の報道は承知しておりますが、事案の詳細については私は把握をしておりませんでして、一般論として申し上げれば外国人の子らが義務教育のいわゆる諸学校に就学を希望する場合においては、適切に受け入れることが重要であるというふうに考えているところでございます。いずれにいたしましても、その事案の詳細を把握しておりませんところでございますので、御指摘の事案については追って担当課にお尋ねいただければというふうに思います。
 
記者)
 調査はされますか。
 
大臣)
 詳細を把握しておりませんので、ぜひとも追って担当課にお尋ねください。よろしくお願いします。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室