令和7年1月21日(火曜日)
教育、科学技術・学術
デジタル教科書の取り扱いに関する方針について、国立大学の授業料と運営費交付金の在り方、iPS細胞をはじめとする再生医療研究の推進の方策、高校授業料無償化に関する政党間の協議について
令和7年1月21日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年1月21日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
記者)
今日、この後に開かれる中教審のワーキンググループでデジタル教科書を正式な教科書として、紙とデジタルのどちらかを使うかは教育委員会が決める「選択制」の導入に向けて論点が示されると一部報道があります。この事実関係を教えてください。また、教科書が紙かデジタルかによるそれぞれのメリット・デメリットがあるかと思いますが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
デジタル教科書につきましては、中教審のデジタル教科書推進ワーキンググループにおきまして、児童生徒の学びの充実に向けて様々な観点から検討審議が行われているところでございます。メリット・デメリットにつきましては、例えば紙の方が、記憶等の点で良いなどと研究もある一方で、デジタルでも同等程度という研究もございます。また、デジタルならではの多様な機能を活用いたしまして、各自のペース、それぞれの子供たちのペースで学習していく、また考えを共有することができるなどの効果も実は指摘をされているところでございます。これまでの会議におきましては、全国一律ではなく、希望する自治体がデジタルを選択できるようにすべき、といった意見も多くあったと聞いているところでございます。本日の会議におきましては、こうした意見も踏まえた上で今後のいわゆる存り方について論点整理を行っていただきながら、検討がなされるものというふうに承知をしているところでございます。
記者)
国立大の授業料の標準額についてお伺いいたします。毎日新聞が実施したアンケートで、国立大の約3割が授業料標準額を見直すべきという回答を寄せました。運営費交付金の増額を求める大学も多いという結果も出ており、これについての大臣の受け止めと授業料、公費支援の存り方についてのお考えをお聞かせください。
大臣)
国立大学の授業料につきましては、標準額の120%を上限といたしまして、各法人が個別に設定する仕組みとなっております。まずは、各法人におきまして、それぞれの授業料について適切に御判断いただくものというふうに認識をしているところでございます。また、国立大学の支援に関してでございますが、令和7年度当初予算案につきましては運営費交付金1兆784億円を計上するとともに、先般の補正予算におきましては、設備の更新等につきまして、昨年度の補正の約1.5倍となる180億円を確保しているところでございまして、当初と補正を合わせて支援を行っていくことによって、各大学が安定的・継続的に教育研究活動を実施できるよう取り組んでまいります。また、お尋ねの国立大学における授業料と公費負担支援の存り方につきましてでございますが、「国立大学法人等の機能強化に向けた検討会」が今月15日に取りまとめました論点整理がございますが、こちらにおきましても、「法人、国、ステークホルダーの間で教育研究コストの適切な負担」について議論を深掘りしていくことが挙げられているところでございまして、この議論の状況も踏まえながら、丁寧に検討していくことが必要だというふうに考えています。以上です。
記者)
iPS細胞についての質問です。順天堂大学は、治療が困難な子宮頸がんの患者に対して、iPS細胞を使った免疫細胞を投与する医師主導の治験を始めたと発表しました。iPS細胞に関する応用が盛んになっている印象があるのですけれども、iPSをはじめとする再生医療研究の推進に関する大臣の考え方を教えてください。
大臣)
文部科学省におきましては、iPS細胞等の再生医療研究について、これまでも継続的に支援を行ってまいりました。今回の治験につながる研究も平成30年から令和2年まで支援しているところでございまして、革新的な治療法の開発に向けた大きな一歩として、治験の開始を大変嬉しく思っております。また、令和5年度からは、「再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム」を実施しておりまして、この有望なシーズに関しての研究開発を基礎段階から支援をしているところでございまして、実用化につなげていく取組を実施させていただいております。文部科学省といたしましては、日本が強みを有する本分野の研究分野(注)、いち早く国民の皆様に届けられるよう、引き続き関係省庁としっかり連携していきながら、支援をしていきたいというふうに思います。以上です。
(注)「研究分野」は、正しくは「研究成果」です。
記者)
世論調査のほうで、高校無償化を求める声というのが46%と多くあることが分かりました。自民、公明両党と日本維新の会との実務者協議で今年4月からの開始は困難との見解も示されていますが、これについての大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣)
御指摘の報道については承知しているところでございまして、個々の調査結果について、個別に訪問(注)することは差し控えさせていただきます。また現在、自民党、公明党、日本維新の会の三党による協議が行われていることも承知しているところでございますが、政党間での協議の状況については、文部科学大臣としてはコメントを控えさせていただきます。ただ、いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、令和7年度予算(案)におきまして4,074億円を計上した、また高等学校等就学支援金制度の着実な実施に努めるなど、引き続き希望する誰もが質の高い教育を受けられるよう、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない負担軽減に取り組んでまいります。以上です。
(注)「訪問」は、正しくは「コメント」です。
(了)
大臣官房総務課広報室