あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和7年1月17日)

令和7年1月17日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

阪神淡路大震災から30年、福井県にある高速増殖原型炉「もんじゅ」と日本遺産「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群」の視察、茨城県にある原子力科学研究所と笠間市スポーツ関連施設等の視察、大学入学共通テストの今後の在り方について、大学入学共通テストを受ける受験生へのメッセージ、清泉女学院大学における一般選抜の中止と報道されている事案について、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉に向けた今後の取組、阪神淡路大震災の教訓を踏まえた防災教育の在り方、ポストISSにおける民間宇宙ステーションの民間管理の方向性について

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和7年1月17日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和7年1月17日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和7年1月17日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 阪神淡路大震災から本日で30年が経過をいたしました。改めて、多くの命を奪い甚大な被害をもたらしましたこの震災によって亡くなられた方々に哀悼の意を表します。また、文部科学省といたしましてはこの震災の経験と教訓を継承していきながら、引き続き災害発生時には万全の対応を速やかに行うとともに、防災、減災、国土強靱化についても決意を新たにいたしましてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
 冒頭、私から2件でございます。今週14日火曜日から15日にかけまして福井県をお伺いいたしました。日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」と、日本遺祭プレミアムの「御食国若狭と鯖街道」の認定地域である小浜市・また若狭町を訪問してまいりました。「もんじゅ」におきましては、廃止措置の進捗状況を確認するとともに、ともに現場で従事される方々との意見交換を行いまして、様々な技術開発、また実証を計画的に進めていく必要を改めて実感をいたしました。小浜・若狭町におきましては、伝統的な建造物の活用など、日本遺産として地域の文化資源の価値を高める様々な取組を拝見いたしまして、地方から発信される文化によって地方創生のモデルを直に学ぶことができました。今回の視察を通じまして得られたことを踏まえて、引き続き、原子力や文化政策を含めた地方創生につながる取組をしっかりと進めてまいります。
 2件目でございます。昨日1月16日に茨城県東海村にございます原子力研究開発機構の原子力科学研究所とスポーツを活用したまちづくりに積極的に取り組んでいる笠間市を視察をしてまいりました。原子力科学研究所におきましては、「JRR-3」と「J-PARC」を視察をさせていただきまして、研究炉、加速器が様々な分野の研究開発に貢献している様子、また女性研究者の活躍と能力の高さを改めて拝見させていただきまして、この基礎基盤、研究の進捗状況について意見交換を行いまして、こうした研究開発基盤の維持と利活用の推進がまさに重要であるということを感じました。また、笠間市におきましては小中学校のゴルフ部の指導者に外部指導員を活用していきながら、地域のゴルフ場を練習場として開放するなど、ゴルフを通じた地域活性化に取り組んでおりまして、様々な関係者が連携して地域資源を最大限に活用することはスポーツによる地方創生に重要であるということを感じま
した。今回の視察を通じまして得られたことを踏まえて、引き続きいわゆる関連施策の充実に取り組んでまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
 
記者)
 今週末に迫っている共通テストの受験者数についてお伺いをします。少子化の影響など含めて受験者数の減少傾向が進んでおり、今後も受験者数は減っていくことが予想されます。減っていくことで、共通テストを行う意義をどのようにお考えでしょうか。また、コスト面でも受験者数が減ると維持が難しいという面もあります。今後の共通テストのあり方について、大臣のお考えをお聞かせください。
 
大臣)
 大学入学共通テストにおきましては、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、また大学教育を受けるために必要な能力を把握するということを目的にしているところでございます。また、このテストの実施経費におきましては、主に受験者の検定料で賄われているところでございます。大学入学共通テストにおきましては、各大学が実施する試験等の組み合わせによりまして、大学教育を受けるに相応しい能力また意欲・適性等の評価・判定することに活用されているところでございまして、受験者数の動向にかかわらずその意義は変わらないものというふうに考えておりまして、今後、18歳人口が減少する中におきまして、大学入学共通テストの安定的な実施に向けまして、センターや関係者とも議論をしてまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 先ほどの共通テストに関して、明日から始まりますけれども、受験生や社会に何かメッセージがあれば一言いただければと思います。
 
大臣)
 明日18、19から令和7年度大学入試の共通テストが実施されるところでございまして、受験生の皆さんは試験に向けて準備を進めてこられたというふうに思います。明日からの試験では、今まで積み重ねてこられた力を存分に発揮ができることを、心から願っています。以上です。
 
記者)
 長野市の清泉女学院大学の件についてお聞きします。こちらの大学が一般入試、新学部についての一般入試を実施することを発表しておりましたが、目前になって中止というか取りやめにしました。これによって、受験しようとしていた学生にとっては受験機会を奪われたことになるのですけれども、この件についての大臣の受け止めと、文科省としての対応をお聞かせください。
 
大臣)
 清泉女学院大学におきまして、実施予定としていた一般選抜の募集を中止したとの報道は承知をしておるところでございまして、清泉女学院大学に関しまして、本件に関する事実関係について報告を求めているところでございます。一般に、大学入学者の選抜は、大規模な災害の発生などにより実施ができないような場合を除き、各大学が発表した日程、入試方法により実施することが求められているところでございまして、仮に募集要項を公表した後に入学者選抜を中止したのであれば、入学者選抜が行われると信じて準備を重ねてきた受験生や保護者、高校関係者をはじめとする、社会からの大学入学者選抜に対する信頼を損なわせかねず、誠に遺憾でございます。文部科学省といたしましては、大学からの報告を踏まえた上で必要な対応をしっかりととってまいります。以上です。
 
記者)
 視察された「もんじゅ」についてお聞きさせてください。意見交換されたとのことなのですけれども、現場からどのような声が聞かれたか教えていただければと思うのと、また廃止措置をこれからどのように進めていかれたいか、大臣としてのお考えを聞かせていただければと思います。
 
大臣)
 現場からの声も、また詳細に関してはまた担当の方に聞いていただければというふうに思いますが、今回、「もんじゅ」の廃炉に向けて、視察をさせていただいた感想といたしまして、この視察を通しまして、高速炉の研究開発の意義、再認識をさせていただいたところでございまして、具体的には、高速炉、高レベル放射性廃棄物の減容化、またこの有害度の低減等の観点から大きな利点が実は期待されているものというふうに承知をしているところでございまして、いろんな方々のお話も聞かせていただいた中で人材育成もまさに重要だというふうに考えた中で、「もんじゅ」の廃止措置作業を安全かつ着実に進めていく上で、研究者だけでなく、基盤を支える技術者の確保、さらには育成も重要であるということを改めて実感をいたしました。文部科学省といたしましては、地元の御理解をいただきながら、また引き続き「もんじゅ」の廃止措置が世界でこれから必要となる技術でありますので、安全を最優先にさせていただいた中で、計画的に、かつ着実に進むよう、原子力機構とともに取り組んでまいります。
 
記者)
 冒頭にもありました阪神・淡路大震災の発生から30年に関連してもう1問お伺いいたします。この30年間、防災教育に関しても様々な取組が行われてきましたけれども、改めて阪神・淡路大震災の教訓をどう活かし、今後どのようにさらに進化させていくべきなのかというところに関しても大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
 
大臣)
 阪神・淡路大震災によりまして、全国どこでも大規模地震が起こり得ること、またそれに備えることの重要性が強く認識されているところでございまして、まずハード面におきましては、震災をふまえて制定された地震防災対策特別措置法におきまして、国庫補助率が嵩上げをされたところでございまして、避難所ともなる特に公立小中学校の耐震化が進みまして、現在ではおおむね完了しているところでございます。今後は、体育館の空調を始めとした防災機能強化を進めていく必要があるのだと思います。また、阪神・淡路大震災におきましては、防災教育の重要性も改めて認識をされた中で、文部科学省といたしましては「防災教育の充実のための指針」というのを示させていただきまして、学校における避難訓練の計画的な実施と地域社会と連携した防災教育の推進体制等の取組を推進してまいりました。また、現在も震災の記憶、また教訓を風化させることなく、今後発生が懸念される大規模災害に備えるために教科等、横断的に実践的な防災教育を進めているところでございまして、さらに震災対応をきっかけに兵庫県で創設されました学校支援チームとの連携、これを含む、被災地外からの教職員等の派遣の枠組み、「D-EST」と言いますけれども、この構築にも取り組んでいるところでございまして、引き続き災害時の早期の学びの確保のためソフトとハード両面から学校の防災対策に取り組んでまいりたいというふうに思っています。以上です。
 
記者)
 今週15日に開かれた国際宇宙ステーションISSの小委員会、いわゆるISSの後継機、ポストISSでは日本は民間主体で管理等を進めるという素案が示されました。この民間となる意義について教えてください。一方で、JAXAはどうなってしまうのだろうかというところもあるので、JAXAのどのような役割を求められているのかという点もお願いします。
 
大臣)
 我が国におきましても、米国と同様に、ポストISSにおける宇宙ステーション、こちらを民間主体の管理等に移行していくことは商業的活動等の民間利用拡大の観点で意義があるというふうに考えているところでございます。一方、ポストISSにおきましてもJAXAの役割として、将来の宇宙探査のための技術実証、さらには科学研究の推進は引き続き重要だというふうに考えておりまして、その活動が民間による宇宙ステーション運営を支えることになるというふうに考えています。現在、文部科学省といたしまして将来の宇宙ステーションが民間による管理とする方向性で、我が国の地球低軌道利用を充実・強化するための検討を行っているところでございます。引き続き関係各方面と調整を行ってまいります。以上です。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室