あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和6年11月29日)

令和6年11月29日(金曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

能登半島地震・豪雨の被災地視察、全国学力・学習状況調査結果の公表方法の見直し、夜間中学校の設置促進、三重県の私立高校におけるいじめ事案への対応、いじめの重大事態調査に関するガイドラインの周知徹底、バラバスキITER機構長との面会、中国の日本人学校における安全確保対応について、イプシロンSロケットの地上燃焼試験中の爆発について

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和6年11月29日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年11月29日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和6年11月29日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件ございます。一昨日27日でございますが、能登半島地震と豪雨の被災地を訪問させていただきまして、学校関係者、石川県知事と意見交換を行わせていただきました。現地では、学校が避難所となる中で、自らも被災者である先生方がその運営に関わる際の課題、災害時も子供たちの学びを継続するために、オンラインや学習を行ったり、自治体の枠を超えていわゆる別の学校で一緒に学んだりするなど、多様な学び方の工夫についてお話を伺わせていただきました。また、人口減少が進む中にあって、魅力的な学校づくりによって地域に人を呼び込もうという、復興プランの実現に向けた関係者の方々の決意もお伺いさせていただきました。文部科学省といたしましては、今回の視察でお伺いした被災地の現状また課題を踏まえつつ、今後とも、被災地に寄り添っていきながら、早期の復旧・復興に向けてしっかりと支援をさせていただきたいというふうに思います。
 
記者)
 先日開催された全国知事会で、全国学力調査のアンケート結果が報告されました。調査結果の公表方法に関しては、今後の文科省内での議論を注視していく考えを示されましたが、大臣の受け止めをお願いします。
 
大臣)
 全国の知事会で行われました全国学力・学習状況調査に対するアンケートにおきまして、毎年度・悉皆で実施することに肯定的な意見が多かったことを踏まえさせていただきながら、引き続き本調査を着実に実施をしてまいる所存でございます。一方、調査結果の公表、これに関しましては、都道府県別の結果を文部科学省が公表するという現行の方法に対しまして否定的な回答が一定数ございました。様々な個別の意見もございましたところでございます。文部科学省といたしましては、今回のアンケート結果も踏まえ、有識者会議において、調査結果の公表方法の在り方を議論をしていただく予定でございます。本調査、児童生徒一人一人の学力課題を把握し、エビデンスに基づく学習指導に生かしていくということのために実施しているものでございまして、調査結果の公表方法も含め、本調査をより良い形で実施することができるよう、関係者の意見を丁寧に聞かせていただきながら改善の方向について検討してまいります。
 
記者)
 27日に文部科学省のホームページで、夜間中学についての設置検討状況について公表がなされました。文科省として、夜間中学は少なくとも各都道府県、指定都市に1校は設置されるように設置を促進していると伺っております。今後の夜間中学の設置促進に向けた大臣のお考えをお聞かせください。
 
大臣)
 夜間中学、様々な事情によって十分な教育を受けられなかった方々に対して教育を受ける機会を保障するという本当に重要なものでございまして、全国各地で、関係者の御尽力の下、夜間中学の設置・検討が進められているところでございます。夜間中学には、学ぶことに対してまっすぐな情熱を持っている方々が多くいらっしゃるとお聞きしているところでございますが、私が副大臣当時にも夜間中学である徳島県立しらさぎ中学校を視察をさせていただいたときにも、熱心に勉強に励む生徒の皆さんの様子、また年齢や国籍に多様な生徒たちが、丁寧に生徒たちに指導している先生方の本当に熱心なお姿、誰も取り残さないというお姿を拝見いたしまして、その温かみ、学ぶ喜びにあふれる子供たち、生徒たちの学校の様子に、大変感銘を受けました。文部科学省としては、こうした夜間中学が全ての都道府県、指定都市に少なくとも1校設置されるように、引き続き各地域の取組を支援していきたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 先日26日に、三重県内の高校で当時高校生だった女性が同級生から性被害を受けたという訴えについて、被害者の御両親が会見を開きました。ここでは、2022年の秋に被害を訴えたものの、その後いじめの重大事態としての調査、第三者委員会の設置を再三求めてきましたが、学校側がなかなか動かないという現状があり、県が複数回にわたって指導し、昨年12月に第三者委員会が設置されたという経緯があります。この件について国としてどう把握されていらっしゃるのか、そして受け止めをお聞かせください。また、いじめの重大事態の調査に関しては、ガイドラインを今年8月に改定しております。ここで学校の対応の明確化がされてきたと思いますけれども、現場ではこれがしっかり伝わっていないのではないかという指摘もあります。この点について、国としてもどのように取り組まれるのか教えてください。
 
大臣)
 御指摘の事案につきましては、三重県から報告を受けているところでございます。また、現在、当該の学校の設置者においていじめの重大事態の調査が行われているというふうに承知をしているところでございまして、現時点で見解を述べることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。いずれにいたしましても、重大事態の対応に対しましては、被害児童の生徒、保護者のいじめの事実関係を明らかにしたいという切実な思い、これを理解し、法令やガイドラインに基づいて対応することがまさに重要でございますが、文部科学省としても、法令・ガイドライン、周知を徹底を図るとともに、重大事態についての報告を踏まえ、必要に応じて、助言や支援を行う、重大事態の調査の適切な運用を行ってまいります。そうした中で、ガイドラインが周知徹底されていないのではないかということでございますが、私どもは8月にガイドラインを改訂したことを踏まえまして、先月は、文部科学省の担当課が、延べ8千人以上の申し込みを得まして、全国の教育委員会や学校の生徒の指導担当者を対象とした、オンラインでの説明会を3回実施したところでございます。こうしたこのような取組を含め、各教育委員会、学校に対して丁寧に情報発信を更に行っているところでございまして、各種会議の機会に改訂内容の説明をすることも含め、今後とも、周知徹底に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
 
記者)
 ITERについてお聞きさせていただければと思います。今週、大臣をバラバスキ機構長が訪問されたと思いますが、何を話したかについて教えていただければと思うのと、あと先週、新スケジュールなどを含めた新計画が日本を含めた各極から支持されたと思いますが、その新計画に対する考えをお聞きさせていただければと思います。
 
大臣)
 26日に来日中のバラバスキITER機構長と面会をさせていただきました。機構長のほうからは、ITER計画の進捗の御説明をいただきまして、私のほうからは機構長のリーダーシップのもと機器の製造、また組み立て、据え付けなどが順調に進展していることについて感謝の意を申し上げました。また、意見交換におきましては、多くの日本人職員がITER機構で活躍することが、ITER計画の貢献の観点に加えて、我が国の人材を育成する観点からも重要であるという認識で一致をいたしました。引き続き、国内の大学に加えフュージョンエネルギーの産業協議会、外務省とも連携しながら、ITER計画の日本人職員の増加を目指していきたいというふうに思っております。また、新たなスケジュール・コストの提案についてとの関わりでございますが、先週フランスで開催されたITERの理事会、いわゆる計画の日程、コストを定める基本文書のベースライン、この更新を含む議論がされたというふうに承知をしているところでございまして、今回の理事会ではITER機構が提案した新しいベースライン、この全体的な方向性を支持しながら、引き続きリスクの削減、コストをさらなる合理化を図ることになったというふうに承知をしているところでございまして、文部科学省としては、引き続き、各極とも連携しながらITER計画に貢献をしてまいりたいというふうに思います。以上です。
 
記者)
 中国にある日本人学校のことについてお尋ねします。「南京事件」の追悼日に当たる12月13日に中国の日本人学校は休校にしたりだとか、オンライン授業に切り替える対応を取るという報道が出ています。この事実関係と、もし事実であるならばこの判断に至った理由を教えてください。
 
大臣)
 お尋ねの報道に関しては承知をしているところでございまして、中国深圳の日本人学校の登校中の児童が襲われた痛ましい事件を受けまして、政府においては、外務省を中心に邦人保護の観点から、日本人の安全確保に向けて全力をあげて取り組んでいるところでございます。文部科学省としても、全ての日本人学校などに向けて注意喚起を行ったほか、安全教育の研修を行うなど、外務省ともしっかり連携をしながら、学校の安全対策の徹底を行っているところでございます。また、スクールカウンセラーによる心のケアの支援も継続して行っております。文部科学省として、引き続き現地の状況を踏まえながら、丁寧な対応を続けているところでございますが、これ以上の見解に関してはまた担当の方にお尋ねいただければと思います。
 
記者)
 イプシロンSについて伺わせていただきます。先日種子島で行われたイプシロンSの燃焼試験中に爆発が発生いたしました。2度目の事象となりますが、大臣の受け止めをお聞かせください。また、宇宙基本計画の工程表上では今年度中にH-ⅡAとH3の打ち上げが控えております。今回爆発した2段モータとの共通部分は限られてはいますが、他の基幹ロケットへの影響をどのようにお考えかお聞かせください。
 
大臣)
 イプシロンのSロケット、第2段階モータの地上燃焼の実験が、2回連続の爆発ということの結果になりました。昨年7月の爆発を踏まえまして、対策を講じた上で今回の試験に挑んだと承知しておりますが、期待された成果が得られなかったことは誠に残念でございます。なお、今回の爆発により、半径20メートル程度の範囲のJAXAの試験設備に損傷が確認されているというふうに聞いておりまして、また、JAXAにおいて、26日付で理事長指示の原因調査チームを立ち上げまして、今後、原因調査が行われるということは承知しているところでございます。今回の燃焼試験に関しましては、開発途中段階の試験でございまして、まず必要な技術的な知見を積み重ねていきながら、イプシロンのSロケットの開発を着実に進められるよう必要な支援を文部科学省としても行いたいというふうに思います。その結果を受けてでございますが、JAXAがまず原因調査をした上で、対策を、H3などの打上げに対してしていくものと承知をしているところでございまして、その中で、H3の影響なども精査していくことがまさに必要だというふうに認識しております。なお、H3ロケットの固体ロケットブースタはイプシロンSロケットの第1段階モータと共通でございますが、今回の第2モータとは設計が異なっております。そうした中で、しっかりと私どもも支援をしながら、また結果もしっかり聞いていきたいというふうに思います。
 
記者)
イプシロンSの実証機では、ベトナムの衛星を搭載する予定でありますが、今回の事象を受けてベトナム側から打上げ時期とかロケットの変更などの言及は何かしらあったのでしょうか。
 
大臣)
 文部科学省としましては、これまで外務省を通じまして、ベトナム側に開発リスクも含め、密に情報共有を行ってまいりました。原因調査及び打上げスケジュールの見通しなどについても、今後も、しっかりコミュニケーションを取って対応をさせていただきたいというふうに思います。以上です。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室