あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和6年11月12日)

令和6年11月12日(火曜日)
教育、その他

キーワード

財政制度等審議会での教員給与制度の在り方等に関する議論、いじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議で示されたいじめ分析の専門家会議の新設、文部科学大臣再任に対する意気込み

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和6年11月12日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年11月12日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和6年11月12日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 昨日、第2次石破内閣において、文部科学大臣に再任をされました、あべ俊子でございます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 冒頭、私から1件でございます。昨日11日、財政制度等審議会が開催されまして、教員給与制度の在り方について議論が行われたというふうに承知をしております。8日の会見でも申し上げましたが、時間外在校時間の縮減を進めるためには、学校における働き方改革に加え、学校の指導・運営体制の充実が必要でございます。教育は、国を創るための「人づくり」でございまして、教育を行うのは「人」であることから、その「人」に対する財政措置が不可欠でございます。さらに、自治体ごとの在校等の時間の公表を制度化することなどによりまして、長時勤務を縮減するメカニズムを文部科学省としてはしっかりと構築をしてまいります。一方、財政審の資料において示された主な考え方、教職調整額10%、これを目指して段階的に引き上げつつ、その引上げは、時間外在校時間が一定の水準以下になることを条件として行い、10%に達する際に、所定外の勤務時間に見合う手当への移行を検討するというものでございまして、教師の長時間勤務を改善する方策として教職員定数の改善については、一切示されていないところでございます。このような考え方に対しまして、私どもといたしましては、教職員定数の改善を行うことなく、学校現場における業務削減の努力のみによって時間外在校時間の縮減をしようとするものであり、学校現場への支援が欠如しておりますので、教職員制度の改善をしっかりとまずは要求してまいります。いじめの認知件数は70万人を超えておりまして、今、不登校児童生徒の数は30万人を超えて過去最高となるなど、様々な学校現場での課題を抱えている中、時間外の在校時間等の縮減が容易でない地域・学校も存在するところでございます。教職員の定数の改善は不可欠でございます。にも関わらず、教職員定数の改善等も行わずに、時間外の在校時間の縮減を教職調整額の引上げの条件とすることは乱暴な議論でございまして、真に必要な教育指導が行われなくなるおそれがありまして、学校教育の質が低下するおそれがございます。また、教師には、高度専門職としての裁量性を確保することがまずは重要でございますが、仮に残業代を支給するという仕組みになれば、裁量性が著しく低下することになります。さらに、残業代の国庫負担に月20時間という上限を設ければ、自治体に負担を転嫁することになるわけでございまして、現在でも財政力の高い都道府県は多くの教師を配置する傾向にある中、自治体の財政力、この差によって教育格差がますます広がりかねません。以上のことから、実現性に乏しく、子供たちや教師への支援という視点に欠ける提案であるということを考えております。このため、文部科学省としては、時間外在校等の時間の縮減のための教職員定数の改善など、必要な手当てに関してまずはしっかりと要求してまいります。文部科学省の具体的な見解については、関連データとともにホームページに掲載しておりますので、ぜひ御覧ください。文部科学省といたしましては、学校における働き方改革の取組を徹底させていただきながら、教職員定数の改善と教師の処遇改善を一体的に進めていくことが不可欠であるというふうに考えておりまして、総合的な対策を進めてまいります。以上でございます。
 
記者)
 今、御発言がありました教職調整額の将来的な廃止を含めた財務省の案に対して、文科省のほうとしては条件なしでの引上げということを概算要求でも求めていますけれども、かなり隔たりがある中で今後、予算折衝をどのように進めていく考えかを改めて聞かせてください。
 
大臣)
 文部科学省といたしましては、令和7年度概算要求におきまして、教職調整額の引上げなどによる教師の処遇改善、また教職員の定数の改善、支援スタッフの更なる配置の充実などに必要な経費を計上しておりますので、しっかりとまずは確保してまいります。教育委員会や学校における業務適正化の取組を促すこと、処遇改善とあわせまして、学校現場を支える財政的な支援も行うことが重要だというふうに考えておりまして、引き続き、財政当局と丁寧に議論を進めてまいります。
 
記者)
 先ほど出た教員の給与の制度の在り方についてなのですけれども、論点の一つになっている教員の働き方改革について、勤務時間を短縮していくために、文科省としては、これを実効的に進めていくためにどう臨んでいく考えなのかということを教えていただきたくて、冒頭に出ていた長時間勤務を縮減するメカニズムの構築とあったのですが、これを具体的にもう少し言えることがあれば教えてください。
 
大臣)
 まずは、給特法に関してもでございますが、まず働き方改革のところでどうやって勤務時間を減らしていくかということに関してでございますが、まず教師の厳しい勤務実態がある中でございまして、時間外在校時間のいわゆる縮減を確実に進めなければいけない、そのためには、学校における働き方改革の更なる加速化と、学校の指導・運営体制、この充実が必要でございます。具体的には、長時間勤務を縮減するメカニズムの構築に向けまして、各自治体における働き方改革の取組を強化する仕組みといたしまして、自治体ごとの在校等の時間の公表をまずは制度化させていただきまして、各学校における取組を促進するため、働き方改革、これに関わる観点を校長先生の人事評価の中に一部導入をさせていただきまして、マネジメント力を強化することに取り組んでいきたいというふうに思います。その上で、「学校・教師が担う教師業務に係る3分類」に基づく業務適正化の徹底、また標準を大きく上回る授業時間数の見直し、実はいわゆる標準を上回る時間数をこちらでも調査しているところでございまして、4割弱の学校が大幅に時間数が多いというところもございまして、さらには校務DXの加速化など、学校における働き方改革の実効性に向けて取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。そしてさらに、学校の指導や運用体制の充実に関しましては、小学校の教科担任制の拡大、さらには生徒指導担当教師の配置の拡充など、教職員定数の改善が必要でございまして、文部科学省といたしまして、長時間勤務の改善を進めるためには、処遇改善だけではなくて、学校における働き方改革、学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めることが不可欠であると思っておりまして、総合的な対策を進めてまいりたいというふうに思います。
 
記者)
 先日開催されたいじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議において、国に提出された重大ないじめの調査報告、報告書を分析する専門家会議を新設するという方針が明らかになったと思うのですが、改めて大臣の所見についてお聞かせください。
 
大臣)
 先日、いじめ防止対策の関係省庁会議が開催されまして、私自身も出席をさせていただきながら、各省庁が取り組む八つの重点を置くべき事項について、改めて確認をさせていただきました。御指摘の専門家会議につきましては、各関係省庁の会議でも、いじめの重大事態に関する調査報告書を利用いたしまして、誰が・いつ・どのような対応を行えば、いじめが重大化しなかったかのいじめの端緒・予兆、この重大化の要因を分析させていただきながら、学校での未然防止に活用することが報告されておりまして、現在、こども家庭庁におきまして、専門家会議の新設について準備をされているというふうに承知をしているところでございます。この取組は、いじめの重大化を防ぐという観点から、非常に有意義なものと考えておりまして、文部科学省といたしましても、こども家庭庁に、しっかりと協力をさせていただきます。
 
記者)
 冒頭でも話題がありましたけれども、昨日大臣に再任されたということを受けまして、改めて補正予算ですとか年末の予算に向けて、それぞれ具体的にどのようなことに力を入れていきたいかというのを教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 文部科学省が担う、教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術、個人や社会の未来を切り開くために極めて重要なものだというふうに思っておりまして、また教師を取り巻く環境整備、さらには我が国全体の研究力の向上、スポーツ立国・文化芸術立国の実現をはじめとする重大課題に対応していくために、必要予算をしっかりと確保させていただきながら、施策を十分に実行することができるよう、文科省一丸となって全力で取り組んでまいります。具体的に言えばきりがございませんが、まず先ほど申し上げた、教師を取り巻く環境整備の教師の処遇改善、学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援の一体・総合的な推進について力を入れていきたいというふうに考えています。
 
(了)

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