あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和6年11月8日)

令和6年11月8日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

国際卓越研究大学として東北大学を認定することについて,学校における働き方改革において、教師の勤務時間の縮減に向けた方策,通信制ZEN大学の設置への期待とその影響,国立大学の寄附文化造成に向けた取組,日本PTA全国協議会の不適切運営への疑いに対する報道について,日本大学ラグビー部の元部員が大麻強要や私物盗難された事案について

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和6年11月8日(金曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年11月8日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和6年11月8日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは1件でございます。大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の認定について、お知らせをさせていただきます。11月8日、東北大学、国際卓越研究大学として認定をいたしました。国際卓越研究大学の認定等に対する有識者会議の結論を踏まえまして、東北大学は国際卓越研究大学の候補となっておりました。今般、この国際卓越研究大学法に基づきまして、科学技術また学術審議会(注)及び総合科学技術・イノベーション会議の意見聴取を行った上で、所管大臣として東北大学を国際卓越研究大学として認定するということを判断させていただきました。今後、東北大学の体制強化計画につきましても、申請があり次第、国際卓越研究大学法に基づく意見聴取等の手続きを経まして、所管大臣として認可の可否を判断する予定でございます。以上でございます。
(注)「科学技術また学術審議会」は、正しくは「科学技術・学術審議会」です。
 
記者)
 今ありました国際卓越研究大の認定に関してなのですけれども、国際的な競争力だとか研究力の向上が期待される一方で、成果を求められて産業界との結び付きが強まって基礎研究がおろそかになったりだとか、学問の自由に影響があるのではないかという懸念の声もあります。こうした声に対して、大臣としてどのように答えられますでしょうか。
 
大臣)
 国際卓越研究大学におきましては、大学の持続的成長に向けて、人文・社会科学を含め、長期的視野に立った新たな学問分野、さらには若手研究者への投資など、すぐには成果につながらない次世代の知・人材創出に取り組むことを求めているところでございます。東北大学におきましても、人文・社会科学も含めた全学の研究力向上の道筋を示すとともに、若手研究者が独立した環境において自由な発想による多様な研究活動を行うための研究体制の確立を目指しているというふうに承知しているところでございます。今後、産業界との連携を通じまして、また事業規模の拡大を図りつつ、多様な学問の展開、若手研究者が活躍できる研究環境を実現していただきたいと考えているところでございます。
 
記者)
 公立学校の働き方改革についてお伺いします。現行の給与制度を見直して残業代を支給する仕組みにしたほうが長時間労働の是正につながるのではないかという声もあると思います。大臣、先日の会見で給特法の廃止を考えられていないとおっしゃられましたけれども、どのようにして勤務時間を減らしていくのか、大臣のお考えを教えてください。
 
大臣)
 教師の方々が厳しい勤務実態にある中でございまして、時間外在校等の時間の縮減を確実に進めるということが重要でございます。そのためには、学校における働き方改革の更なる加速化、また学校の指導・運営体制、この充実が必要でございます。具体的には、働き方改革の更なる加速化につきましては、長時間勤務を縮減するメカニズムの構築が重要だというふうに考えておりまして、各自治体における働き方改革の取組を強化する仕組みといたしまして、自治体ごとの在校等の時間の公表を制度化をしていきながら、また、各学校における取組を促進するため、働き方改革に関わる観点を校長の人事評価に導入をさせていただきながら、マネジメント力を強化することとともに、教師の健康・福祉を確保するために、勤務間のインターバル導入、この導入の促進にも取り組んでまいります。また、学校の指導や運営体制の充実に関しましては、教科担任制の拡大、さらには生徒指導担当教師の配置拡充などの教職員定数の改善が必要でございます。加えて、産休や育休、これを安心して取得できるような、産休や育休を取得する教師の代替者を安定的に確保できること、そのようにするための制度改正を検討させていただきます。さらには、処遇改善につきましてでございますが、教師が裁量性を持って教育活動に取り組みながら、高度専門職としての教師の職務の重要性にふさわしい処遇を実現していくことも重要だというふうに考えておりまして、教職調整額の引上げが必要でございます。加えて、個々の教師の職責、また職務の負荷に応じたメリハリのある処遇、これを実現するために、子供たちへの指導や保護者対応、学級に関わる様々な業務を担う学校担任に対しての手当の加算、さらには学校運営における重要な業務を担う「新たな職」について、この本給を改善しながら、さらには個人の業務の成果をより一層昇給、勤勉手当に反映させることなどを進めていきたいというふうに考えているところでございます。文部科学省といたしましては、長時間勤務の改善を進めるためには、処遇改善のみならず、学校における働き方改革、また学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めることが不可欠であるというふうに考えているところでございまして、総合的な対策を進めてまいります。
 
記者)
 大学設置の関係でお伺いします。先日、通信制の大学のZEN大学というところを認可されたと思います。大規模な通信制大学となるわけですけれども、大臣の開学に関しての期待をお聞かせください。また、一方で今、私立大学が定員割れの状況が非常に問題となっております。地方の特に大学については、こういった大規模な大学、通信制の大学に生徒が取られてしまうのではないかという懸念の声も聞かれますけれども、この件について大臣の受け止めをお聞かせください。
 
大臣)
 大学の設置認可にあたりましては、大学設置基準等の法令適合性、また十分な学生の確保見通しが有していることなどにつきまして、大学設置・学校法人審議会における審査の結果を踏まえて認可をさせていただいているところでございます。御質問のZEN大学を含め、認可した大学においては、計画の通りに、学生に対して質の高い教育を提供していただければというふうに考えているところでございます。
 また、もう一つの質問の、多くのいわゆる地方の私学の定員割れの状況にある中での影響でございますが、ZEN大学に限らず、時代の要請に応じた教育内容の改変に対応する大学、また学部が設置されることもまさに重要でございまして、新しい大学も既存の大学も、社会やまた学生のニーズに応じた教育の質向上に取り組んでいただくことが重要であるというふうに私どもは考えているところでございます。一方で、急激な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方につきましては、中教審に諮問をいたしまして、設置認可の在り方も含めて、御議論いただいているところでございまして、文科省としても、この議論を踏まえて、大学改革にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
 
記者)
 先ほどの東北大もそうなのですけれども、国立大学が本格的な寄附集めの組織を作って何十億と集めようという活動を始めます。日本の場合、寄附文化がなかなか育っていないのでパイ自体が限られている、そこに国立の大学が入ってくるとなると、かなり困窮児童であったりとか教育が届いていないとか、いろんなところに影響があるわけです。大学に競わせる、これはやるとして、文科省としてどうやってこれを、寄付のパイ自体を大きくしていくか、文科省はどのようなサポートをしていくか、地域で政治活動をやってきた人でないとなかなか地域の大変さは分からないのでどうやって大臣としてリーダーシップを取っていくかという点も合わせていただきたいです。
 
大臣)
 国立大学におきましては、法人化以降、約20年で寄附件数が2倍になっておりまして、金額のほうも約1.5倍に増加をしているところでございます。文科省といたしましては、個人寄附に関わるいわゆる税額控除の対象事業の拡大の税制改正、またさらには寄附金を含めた外部資金獲得の促進に向けた、例えばファンドレイザーなどのいわゆる体制整備の経営改善の経営改革の支援を進めているところ、さらには寄附文化の醸成、いわゆる成功事例を有するためのフォーラムの開催で、グッドプラクティスを共有していくなどに取り組んできたところでございまして、引き続き、各大学が寄附金をはじめとする外部資金を獲得しやすい環境の醸成に努めてまいりたいというふうに思っています。
 
記者)
 内閣府が日本PTA全国協議会に、不適切な運営が疑われるということで報告を求めておりますが、これについての大臣の受け止めを教えていただきたいのと、同協議会の会長経験者がこれまでもずっと中教審の委員などに入っていると思うのですけれども、実態として不適切な運営があったということであれば、国の審議会にこうした団体の委員が任命し続けられるということは問題があるのではないかと思うのですけれども、その点についても見解を教えていただければと思います。
 
大臣)
 御指摘の日本PTA全国協議会の件、報道は承知しているところでございまして、先日、事務方に対しても日本PTA全国協議会から報告があったというふうに聞いているところでございます。公益認定等の委員会から主に内部の組織運営、いわゆるガバナンスについての指摘を受けたものと承知しておりますところでございまして、まずは団体におきまして誠実に調査・回答をしていただきたいというふうに考えているところでございます。また、その際に、不適切と指摘された事実関係を明らかにするとともに、その原因究明、また再発防止、適切なガバナンスの構築に向けて努力していただくことを期待しているところであります。文科省としても、必要に応じて指導や助言などの対応をしてまいりたいというふうに思います。
 また、次の質問でございますが、不適切な運営があったならば委員を続けることに関して問題だということでございますが、御指摘の協議会の会長経験者におきましては、中教審において保護者の意見を表明いただくことの期待を勘案をして任命をさせていただいたところでございます。その上で、当該委員については、協議会の不適切な運営の疑いをもって直ちに委員を退いていただくことは考えてはおりませんが、同協議会においては、適切なガバナンスの構築に向けて努力していただくことを期待申し上げるところでございます。
 
記者)
 日本大学ラグビー部に関してお伺いします。先週、元部員と保護者が文科省で会見を行って寮内で大麻の強要があったことや窃盗被害が相次いでいたことについて、大学側に再調査を訴えるとともに、文科省に大学への指導を求めました。窃盗被害については警視庁でも捜査をしているということですが、この問題について大臣の御所感と、文科省としてどのように対応していくお考えかをお聞かせください。
 
大臣)
 この御指摘の記者会見につきましては、本年の1月に公表された日本大学の外部調査委員会の報告書では、対応が不十分であるという指摘がなされたということは承知をしているところでございます。日本大学においては、今回の会見の内容も踏まえ、大学全体で社会の信頼に応えることができるよう、改善計画に沿って、しっかりとした対応を徹底していただきたいと考えているところでございます。
 
記者)
 卓越大の認定に関連してなのですけれども、先ほどのやり取りとやや重複する部分があるかもしれませんけれども、改めて日本の研究力が低下する中での卓越大の意味であるとか期待であるとかということを教えていただけますでしょうか。
 
大臣)
 国際卓越研究大学、世界トップクラスの研究者が集まりまして相互に触発し活躍すること、また次世代、一流の研究者集団を育成し若手研究者に独立して存分に研究できる環境を提供することなどを通じまして、世界最高水準の研究大学を目指すこととされているところでございます。東北大学は、若手研究者が独立した環境で挑戦できる機会を拡大するために、全学において独立した研究体制への移行を図るなどの明確な戦略、さらには執行部が学内リソースの再配分の必要性を強く認識をしていきながら、改革の理念を組織に浸透させている点など、有識者会議において評価される意欲的な計画であるというふうに承知をしているところでございます。文部科学省といたしましては、初の認定校として東北大学が我が国全体の研究力をけん引していくことを期待申し上げているところでございます。
 
記者)
 給特法の改正についてなのですけれども、13%という文科省の案に対して、財務省は数年かけて10%の引き上げというような報告がございますが、これについてはどう考えていらっしゃるかお願いします。
 
大臣)
 財務省の案につきましては、その詳細な内容を承知しておりませんのでコメントは差し控えさせていただきます。
 
(了)

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大臣官房総務課広報室