あべ俊子文部科学大臣記者会見録(令和6年10月8日)

令和6年10月8日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

国民スポーツ大会(佐賀県)総合開会式の出席、STSフォーラム第21回年次総会の参加、高等教育の無償化に関する取組について、JAXAが受けたサイバー攻撃について、総理の「親ガチャ」に関する発言と教育費の負担軽減の認識、我が国の研究力向上に必要な方策について

あべ俊子文部科学大臣記者会見映像版

令和6年10月8日(火曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年10月8日あべ俊子文部科学大臣記者会見

令和6年10月8日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

あべ俊子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私のほうからは2件でございます。10月5日、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、佐賀県で開催されておりました「第78回国民スポーツ大会」の総合開会式に出席をさせていただきまして、選手の皆様を激励してまいりました。また今大会、国民体育大会から国民スポーツ大会、名称変更後初めて開催される本大会でございました。より魅力的なものになるよう大会の在り方の検討が進めている中で、このエンターテインメント性の非常に高い式典、またナイトゲームの開催など、様々な「新しい」取組に挑戦されているところでございまして、今後開催予定の自治体にも参考になるのではないかなというふうに思わせていただきました。選手の皆さんが大いに活躍されるとともに、この大会が実り多いものになることを祈っているところでございます。
 2件目でございます。一昨日、京都に出張させていただきまして、STSフォーラム第21回年次総会に出席をさせていただきました。2004年から継続して実は開催されているフォーラム、今年も、複数名のノーベル賞の受賞者の方々をはじめ、約80の国・地域から、科学技術関係の閣僚級、有識者の方々、1,400名が参加されているところでございまして、意見交換を通じて、昨今の国際情勢も踏まえた、科学技術政策の課題・認識を共有することができたところでございます。ずっと毎回来て、今回参加するのはずっとして皆勤賞だよという方もいらっしゃいまして、非常に世界各国の方々がこの会を楽しみにしてくださっている、それも交通費も自分で出して来てくださっている会なので、大変有意義な会だというふうに思いました。また、本会合の合間で、日独の科学技術協力協定の50周年を記念させていただきましてイベントで御挨拶をさせていただきました。特に、ドイツ教育・研究省の政務次官がいらしておりまして、またフィンランド科学・文化大臣、さらにはキプロスから研究イノベーションのデジタル政策副省(※)の大臣との会談もバイ会談で行わせていただきまして、今後の各国との連携強化、これについて意見交換を行いました。特に、キプロスとは科学技術に関する協力の覚書を締結させていただいたところでございます。また、その合間を縫いまして、京都府立医科大学、また京都大学のiPS細胞の研究所「CiRA」、また物質-細胞統合システムの拠点である「WPI-iCeMS」というところを視察をさせていただきまして、現場で働く研究者の現状と今後の展望についての意見交換をさせていただきました。各国の閣僚級の方々、世界をリードする研究者、また有識者の意見を聞きながら議論することは、国の政策を検討する上でも非常に重要なことだと思って大変勉強になりましたし、 また文科省として次に何をしていかなければいけないかということもしっかりと考えさせていただいた会でございました。
※「研究イノベーションのデジタル政策副省」は正しくは「研究イノベーション・デジタル政策副省」です。
 
記者)
 各党から選挙を前に公約というのが出てきていますけれども、高等教育の無償化ですとか、そういうことも出てきています。大臣の所感をお願いいたします。
 
大臣)
 昨日も代表質問の中で様々意見も聞かせていただいたところでございます。そうした中で、自民党の公約案における教育分野の施策といたしまして高等教育の無償化、この拡大が盛り込まれたという報道については承知しているところではございますが、党の公約案について文部科学大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。また、そうした中にございますが、高等教育の負担軽減、文部科学省としては、昨年12月に閣議決定されました「こども未来戦略」に基づきまして、令和6年度から、多子世帯及び理工農系の中間層の支援拡大を行っているところでございまして、令和7年度からは、子供3人以上を扶養している場合に、所得制限なく、一定の額まで、大学等の授業料・入学料を無償とすることとしているところでございます。これらの施策を着実に進め、また教育の機会均等、少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ、引き続き、教育費の負担軽減を着実に進めてまいりたいというふうに思います。
 
記者)
 朝日新聞の取材で、JAXAに対する一連のサイバー攻撃の中で山川宏理事長を含む幹部のアカウントが不正閲覧に悪用されていたことが分かりました。国家の機密情報を狙うサイバー攻撃が高度化する中で、この一連の被害を踏まえてJAXAの防御体制をどのように強化したのか、あるいは新年度予算等でどのように調達、政策を講じていくのか、所管する文科省としての御意見、御見解をできる限り具体的に教えていただければと思います。
 
大臣)
 昨年10月に判明いたしましたJAXAへの不正アクセスにつきましては、情報漏洩により、関係者の事業活動に著しく支障が生じているという報告はないというふうに承知をしておりますが、このような事態が発生したこと自体は、関係機関との信頼関係を損ないかねないことになっておりますので、非常に重く受け止めるべきと認識をさせていただいているところでございます。また、JAXAにおきましては、再発防止に向けまして、脆弱性の対応を迅速に行うため、このための体制整備、内部通信ログのいわゆる監視強化などの対策を実施するとともに、さらにセキュリティを強化するため、ネットワーク全体のさらなる監視体制、監視強化や、またなりすまし対策の強化の実施を進めているというふうに承知をしているところでございます。必要な予算については来年度概算要求に計上してまいります。文部科学省といたしましても、内閣サイバーセキュリティセンターをはじめる関係機関とともに協力をしながら、JAXAにおいて再発防止に向けて必要な対策を着実に実施するとともに、今後とも緊張感を持って情報セキュリティ対策の強化に取り組んでいただきたいというふうに考えているところでございます。
 
記者)
 一つ目の質問とも関連するのですけれども、就任時の記者会見で親ガチャに関して、これから総理の御意見を聞いてできることに取り組んでいくという御発言があったかと思うのですけれども、その後、親ガチャについて総理のお考えを聞く機会があったり、文科省としてどういうことに取り組んでいくみたいなことがあれば教えてください。
 
大臣)
 家庭の経済事情にかかわらず、子供たちの誰もが、質の高い教育を受けることができるチャンスが平等に与えられる、個性や能力を最大限に伸ばすことができるということは本当に重要なことだと思っておりまして、このことは石破総理とも共通の問題意識を持たせていただいているところでございます。文部科学省においては、これまで、幼児期から高等教育段階まで、切れ目のない教育費の負担軽減に取り組んでまいりました。とりわけ、高等教育費については、「こども未来戦略」に基づき、さらなる支援の拡充を図ってまいります。今後も、あらゆる人が最適な教育を受けられる社会を実現していくことができるよう、教育費の負担軽減にしっかり取り組んでまいります。
 
記者)
 冒頭2点目のSTSフォーラムの関係で、各国から来られている方と意見交換をして日本の科学技術政策で見えてきた課題があれば教えてください。
 
大臣)
 これは、シンポジウムに私ちょっと出席をさせていただいたのですが、なかなか聞きにくい部分もあったのですが、やはりいわゆる競争的資金の確保というのが各国はやはり厳しくなっていて、そこの部分をどうやってしっかりとした将来的な、特に若い研究者に予算をつけていくかということが非常に課題となっている感じでございました。そうした中で、プロジェクトベースでつけるのか、人につけるのかというのはちょっと議論がいろいろあるみたいでございまして、御存じのように、日本は非常に論文数が減ってきているという課題と、若手研究者がなかなかいろいろな課題があって海外に出てしまっていくという状況もある中にあって、総合的な対策が必要なのではないかと考え、今改めて御意見を京都大学、また府立大学などから聞かせていただいた上で、若手の研究者がもっともっと育成が加速するような方法を、対策を立てなければいけないというふうに思っておりますので、今文部科学省で既に行っている対策プラス何をしていかなければいけないかということを改めて今回のシンポジウム、さらには出席させていただきました会を通じまして共に考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 
(了)

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