令和6年10月2日(水曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他
文部科学大臣就任について、大臣としての意気込みとやりたいこと、東京大学授業料値上げに関する学生への影響や授業料の在り方について、教師を取り巻く環境の整備に向けた方策について、日本の研究力の低下に向けた課題や解決方策、カーボンニュートラル実現に向けた原子力の研究開発の推進方策、旧統一教会に関する今後の対応について
令和6年10月2日(水曜日)に行われた、あべ俊子文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和6年10月2日あべ俊子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
おはようございます。この度、文部科学大臣を拝命いたしました、あべ俊子と申します。よろしくお願いいたします。教育、科学技術・学術、スポーツ、文化芸術、それぞれの分野、ここにおいての課題に向き合いまして、文部科学行政、前に進めていきたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いします。
記者)
大臣、官邸にいらしたときに、誰も取り残さないということもおっしゃっていましたけれども、これから一番力を入れていきたい政策、どういうことがありますでしょうか。お願いします。
大臣)
私自身、昨年から文部科学副大臣をさせていただいておりまして、様々な現場に赴きまして、様々な声を聞かせていただきました。そういう中で、実は副大臣のときの担当は今の大臣としての全体ではなかったので、しかしながら現場を見させていただいて、また私自身が看護師ということもございまして、やはり障害を持った子供たちの教育、また学校に行けなくて困っている子供たちの教育、様々な子供たち、またどうしても学校と様々向き合う中でも課題がある、そういうことも含めた形で、また外国人の子供たちも大変増えているところでございまして、誰も取り残さないということは大切だというふうに思っています。そうした中で、文部科学省が行う行政分野、個人、社会、この未来を切り開くために極めて重要な分野だと感じているところでございます。そのうえで、石破総理からいただきました指示を踏まえた上で、教師を取り巻く環境整備、我が国全体の研究力、この向上、スポーツ立国・文化芸術立国の実現をはじめとする重要課題に一つ一つ丁寧に取り組んでまいります。引き続き、今後は文部科学大臣として、国民の皆様が夢や希望を持っていく、それを実現できる社会を目指していきたいというふうに思っています。
記者)
国立大学の学費について伺いたいと思います。先日、東京大学が学費の値上げを決定しました。学生側が値上げに反対する中、夏休みの学生不在の中、不意打ちのような形で文科省の定める上限目一杯まで学費が引き上げられたというところです。法人化以降運営費交付金を減らされ続けており、今年6月、国大協がもう限界だと声明を発表しました。石破総理は総裁選で、親ガチャという言葉が嫌いだ、どのような人にも平等に教育は施されるべきと述べ、教育無償化を訴えられましたが、実際のところ学生に負担が転嫁されていると、このような現状があると思います。文科省では、7年度の予算で3%の運営費交付金の増額を概算要求しているところだと思うのですけれども、石破政権としては、今後、国立大学の運営をどう下支えしていくのか、学生に対してどういうふうに学費の負担軽減を図っていくのか、まずこれを伺わさせてください。
大臣)
国立大学の授業料につきまして、国立大学法人に自主性・自律性を持たせていただきながら、また教育の機会均等、また計画的な人材育成、こういうことを実現する観点から、適正な水準を確保しなければいけないと私どもは考えておりまして、国が標準額を示していきながら、その120%を上限として各法人が個別に設定する仕組みになっているところであります。授業料の改定に関しましては、各大学において、それぞれの置かれている状況に応じて、適切に御判断いただくものと考えておりまして、東京大学の授業料改定、他の大学にまずこの授業料改定に直接つながるかどうかという御懸念もあると思いますが、それはないものと考えているところであります。
記者)
石破政権としては、どう下支えしていくのかというところをちょっと補足でいただきたいのですが。
大臣)
石破総理からは、本当に大切な部分だというふうに、教育改革と言われているところで、教育改革は様々な角度があって、どの角度で総理がおっしゃっているかはまだ確認が詳細にできているところでもございますが、しかしながら、骨太の2024年を見たときでも運営費交付金やいわゆる私学助成の基盤経費、十分に確保されているということが骨太の中で言われておりまして、令和7年、この概算要求、この国立法人の運営費交付金としていわゆる対前年度として370億円増となる1兆1,205億を計上しているところでございます。文部科学省といたしましては、やはり国立大学に引き続き我が国の人材育成、学術研究の中核として安定的に教育研究が実施できるように、運営交付金の十分な確保に全力で取り組んでおります。また、親ガチャの件に関しましては総理のお考えをしっかり聞かせていただきながら、文部科学省としてできることは取り組んでまいります。
記者)
冒頭にもあった教師の環境整備についてお伺いいたします。中教審の答申を受けて、文科省では8月に教師を取り巻く環境推進パッケージを取りまとめまして、来年度予算案の概算要求のほうでも教職調整額を13%に引き上げるなどのことを盛り込んでいるかと思います。ただ、学校現場などからは、これらの予算を本当に確保できるのでしょうかというような声ですとか、長時間勤務の改善につながるのでしょうかといった疑問の声も上がっています。今後、実際にこの予算を獲得できるかどうかというところや給特法改正など、これらを着実に実行していくということが求められると思うのですけれども、これについての大臣の決意と、それから今実際に不登校ですとか障害のある子たちですとか、そういったような多様な課題を抱える環境で働いている学校の先生方へのメッセージも合わせていただければと思います。
大臣)
学校の先生は学校教育の充実・発展に欠かせない存在でございます。そうした中で、厳しい勤務実態が確実にあります。その教師を取り巻く環境の整備がまずは重要であり、長時間の時間の対応も含めてですが、そのために文部科学省といたしましては、小学校における35人学級、この計画的な整備の教職員の定数の改善、また教師を支援するスタッフ、この充実、学校・教師が担う業務の適正化、またICTを活用した業務効率化に取り組んできたところでございますが、学校の先生方の教師を取り巻く環境整備に関しては中央教育審議会の答申におきましても、特に3点、学校における働き方改革、ここのさらなる加速化、また2点目、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実、一体・総合的に推進する必要性が3点目ということでやってきたところでございます。これを踏まえた上で、令和7年度概算要求に関しては、教職員の定数の改善、また支援スタッフのさらなる配置充実、いわゆる教職の調整額の引上げによる教師の処遇改善などの必要な経費を要求しているとともに、骨太2024年、御存知のとおり2025年の通常国会にいわゆる給特法の改正案を提出するというふうに示しているところでございます。文部科学省としては、必要な予算の確保を含め、また学校現場で子供たちのために努力いただいている教師の皆様を取り巻く環境の整備に向けて全力で取り組んでまいります。本当に厳しい中で、私の友人の中にも学校の教員が何人もいますが、涙を流しながらこの子たちを守るのは自分たちなのだという気概を持って頑張っていますが、気概だけでできる話でもない、環境整備をどうやってやっていくのか、どのようにこの環境整備を一体となって総合的に支援していくかということは本当に大きな課題でございまして、これは予算がないとできない部分もかなりございますので、いわゆる交渉をしていく中にあって財源を確保していきながら環境整備、ただ、財源だけではない質も含めたメリハリをつけた形で、頑張っている先生方にしっかりと応援はできる体制を作っていきたいというふうに考えておりますので、皆さんからも応援、よろしくお願いします。
記者)
二つ教えていただきたいのですが、大臣は副大臣としては教育分野をずっと見てきたかと思うのですけれども、科学技術や学術の施策について横から見ていてどういうふうな印象をお持ちなのか、それともう一つは、石破総理からの指示にもあったかと思うのですけれども、研究力向上についてどのように取り組むのか教えてください。
大臣)
科学技術を横から見ておりまして、横から見るけれども口は出してはいけないので、担当ではないので、実は思うところはいろいろございますし、日本の研究力ということもかなり課題があるのだというふうに思っているところでございます。そうした中で、やはり大切なのが日本の研究力の低下、非常に私ども懸念をしているところでございまして、ここのところに関しては例えば論文数の指標、これが相対的に低下しているというのはいつも言われているところでございまして、その向上が急務であるというふうに強く認識をしているところでございます。また、文部科学省としては、イノベーション、この源泉である研究力を強化するために、大学の基盤的経費、これは運営費交付金などでございますが、確保すると同時に、いわゆる博士の後期課程の学生を含む若手研究者、女性研究者などの支援、さらには二つ目として自由で挑戦的な研究への支援、さらには国際頭脳循環の推進、なかなか国際機関の研究機関に行くと日本人研究者がまだまだ足りないということもございまして、ここも入れ、また我が国全体の研究力をけん引する多様な研究大学の振興などについて、今取り組んでいるところでもございます。また、文部科学省として、第6期の科学技術・イノベーション基本計画、これに基づきまして、引き続き関係省庁と連携していきながら、研究力向上に向けた取組を全力で進めていきたいというふうに思っているところでございますが、まだまだ足りないところがあるので、やはり研究者の方々の現場の声をしっかり聞かせていただきながら、さらには何を加速していかなければいけないのか、文部科学省と一緒に省庁連携でやっていくことがどこがあるのかということも模索していきながら、また御指導賜りたいと思いますのでよろしくお願いします。
記者)
原子力政策についてお聞きさせていただければと思います。カーボンニュートラルに向けて国のGX基本戦略でも原子力の最大活用が明記されるとともに、産業界などからも活用を求める声が上がっております。研究開発を所管される新大臣としてどのように原子力政策を進めていくのか、人材育成を担う大学などの面からも含めて教えていただければと思います。
大臣)
原子力、カーボンニュートラルの実現に加えて、エネルギー及び経済安全保障の観点からも大変重要でございます。そうした中で、文部科学省といたしましては、新試験研究炉の開発・整備の推進、こちらは福井のほうのいわゆる計画中のもんじゅのところでございますが、また新世代の革新炉の開発、この技術基盤の整備・強化、さらには廃止措置を含むバックエンド対策、ここのところの抜本的強化、また原子力科学技術に関する研究・人材基盤の強化、特にこの人材基盤に関してはなかなか、特に原子力関係に関しては時代によってちょっとバックアップがムラがあるということも私どもは承知しているところでございまして、国家として、また科学技術として、ここのところを安定的にしっかり行っていくということも重要ではないかというふうに考えているところでございますが、さらには東京電力の福島第一原子力発電所事故の対応、この幅広い原子力科学技術に関する取組、しっかりと進めていかなければいけないというふうに思っているところであります。
記者)
大臣は以前まで副大臣を務めていらっしゃったということで、この知見をどういうふうにして今後活かしていきたいというお考えなのかということと、あと実際に大臣になられるという報を聞かれたとき、どんな状況でどういうふうにお感じになられたのか、差し支えない範囲で教えていただけたらと思います。
大臣)
一つ目の副大臣の知見ということでございますが、現場を歩かせていただいておりました。私、以前から本当に副大臣を拝命する前からずっと議員としても取り組んできたいくつかの分野、そこのところは歩かせていただきながら、改めて文部科学省の三役として見させていただきますとまた違う視点ができていた。ただ、副大臣でございますので、副大臣がなかなかできる裁量権は限られているところなので、大臣になったので関わり方、取り組み方、またいわゆる官僚たちとの関係性も含めてしっかりと聞いていきながら何をすべきなのかを考えなければいけないという中にあって、大臣、文部科学大臣だと言われた瞬間に何を感じたかというと、私ですか、というのと、文部科学ですか、という2点です。
記者)
冒頭の方の質問と少しかぶるのですけれども、国立大の授業料の関連でお伺いします。先月下旬、東京大学が正式に授業料の値上げを決定して、先ほどほかの国立大への影響というのは特段ないのではないかとおっしゃっていらっしゃいましたけれども、そこをもう一度改めてお伺いしたいのと、あと今、授業料の標準額が約53万円ということで20年間据置かれている状況ですけれども、この金額について適正だと思われるか、どういった在り方が良いとお考えになるか、現時点のお考えを聞かせていただけますでしょうか。
大臣)
東京大学が授業料を上げたことに関しまして、やはりほかの大学に波及するのではないか、先ほどもお答えしたとおり、それぞれが置かれている状況と、また適切に判断いただくものと考えておりまして、必ずしも全体に波及するものではないということは先ほど申し上げたところでございます。また20年間の据え置き、この国が示す標準額の設定に当たりましては、国立大学の役割を踏まえながら、私立大学の授業料標準、また社会経済の情勢、特にまた大切なのは家計の負担のいわゆる状況も総合的に勘案する必要があるのだと考えているところでございます。文部科学省といたしましては、現在、中教審の「高等教育の在り方に関する特別部会」、また「国立大学法人の機能強化に向けた検討会」、これにおきまして、国立大学の法人化から20年を経た現状分析、さらには今後の対応を、幅広く御議論をいただいているところでございまして、国立大学授業料の在り方についても、その状況を踏まえつつ、丁寧に検討していくことが必要だというふうに思っております。授業料に関しては様々御意見があるところでございますが、交換留学をしている大学からはいわゆる諸外国との違いの部分をどう考えるかという御意見は様々いただいているところでございまして、これも含めてしっかり検討をさせていただきたいというふうに思います。
記者)
旧統一教会の関係でお伺いします。文科省は、旧統一教会に対して解散命令を請求している立場ですが、一方で自民党と旧統一教会のつながりということも指摘されております。そこで2点お伺いします。1点目、所管する大臣として大臣御自身について統一教会との関係も改めて御説明いただければと思います。加えて去年、解散命令請求をした後も自民党と統一教会との関係について様々な報道がなされており不信感を持つ国民もいます。このような状況を解散命令を請求している省のトップとしてどのように受け止めていらっしゃるのか教えてください。
大臣)
統一教会との私自身の関係ですが、私が知っている限り団体との関係はございません。今後も関係団体との関係で疑念が生じないようにしっかりと行動してまいりたいというふうに思っています。改めて解散命令請求の対応についてでございますけれども、旧統一教会に解散命令請求につきましては、昨年10月、法と十分な根拠、証拠に基づいて申し立てを行っていて、現在、東京地方裁判所において審理が進められていると承知しているところでございまして、この対応について、今後も、法令に則りながら、引き続き適正な対応をとってまいりたいというふうに思います。
(了)
大臣官房総務課広報室