永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年8月15日)

令和5年8月15日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

夏休み明けに悩みや不安を抱える児童生徒等への大臣メッセージ、「科学技術指標2023」及び「科学研究のベンチマーキング2023」の公表、博士課程への進学率の低下に対する奨学金の免除等の方策、大麻所持等の疑いによる学生の逮捕に対する日本大学の対応、東京書籍発行の高校向け教科書の廃刊、川崎市のプール止水作業失敗による教職員へ賠償請求、靖国神社の参拝

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年8月15日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年8月15日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年8月15日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 それでは本日、私から冒頭1件ございます。
 本日、夏季休業明けの新学期を迎える前に、悩みや不安を抱える児童生徒や学生さんの皆さんへ、私からですね、メッセージを文部科学省のホームページやSNSにて発信をいたします。長期休業明けに、児童生徒等の自殺者数が増加する傾向にございます。児童生徒や学生等の皆さんは、悩みや不安を抱えていても、決して一人ではなく、御家族、先生、周りの友人など信頼できる人に相談してほしいと思っております。私をはじめ、周りの大人は皆さんの味方です。文部科学省では、24時間子供SOSダイヤルで電話相談を受け付けておりまして、各地域にも電話やSNSで相談できる窓口がありますので、周りの人に相談しづらいときは、ぜひ利用してみてください。また、保護者や学校関係者等におかれましても、児童生徒等の態度に現れる微妙なサインに注意を払っていただきまして、不安ですとか悩みの声に耳を傾けていただきたいと思っております。文部科学省といたしましても、児童生徒や学生等の命を守るために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置充実ですとか、また1人1台端末を活用いたしまして自殺リスク等の早期把握、早期対応を支援するなど、引き続きまして、自殺予防の取組に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 以上です。

記者)
 日本大学アメフト部員が薬物を所持したとして逮捕された件に関して、日本大学は8日に記者会見を行いました。これを受けての大臣の所感と、現在、文科省と日大でどのようなやり取りを行っているか、いつまでにどのような報告を求めているかお聞かせください。

大臣)
 今月の8日火曜日でございますが、日本大学が実施いたしました記者会見に関しまして、日本大学の説明や対応を疑問視する報道があることは承知をしております。文部科学省といたしましては、先日10日木曜日でございますが、文部科学省に日本大学に来省を求めました。そして学校法人のガバナンスの観点から、法人内で情報伝達ですとか関係機関への連絡等の判断が適切であったのかなど、早急に検証するように指導を行ったところでございます。また、近日中に当該指導に関します文書を発出いたしまして、真相究明に向けました徹底した調査の実施、そして管理運営体制の再構築を理事長に対し強く求める予定としております。日本大学においてはですね、一連の不祥事を踏まえまして、ガバナンス体制の再構築など、学校法人の再生に向けた改革の途上でもありまして、学校法人として厳正な対処を行うとともに、一層の信頼回復に努めていただきたいと、そう考えているところでございます。

記者
 先日科学技術・学術政策研究所が、ベンチマークと指標を発表して、日本の注目度の高い論文のデータがまた下がったという報告があったんですけれども、これに対して大臣としての受け止めと、文部科学省としてこれからどういうふうに対処していくのか教えてください。

大臣)
 科学技術・学術政策研究所が8日に公表いたしました「科学技術指標2023」ではですね、我が国の注目度の高い論文数の順位の低下が示されたと承知をしております。この結果は、我が国の研究力が相対的に低下をしていることを示すということが考えられますので、引き続きまして、我が国の研究力の向上が課題であると認識をしたところでございます。また、博士後期課程の入学者数につきましては、2003年をピークに、減少傾向にあります。その原因として、科学者が腰を据えて挑戦的な研究に取り組める環境の不足であるとか、博士後期課程の学生の経済的な不安、キャリアパスの不透明さとかいったですね、若手研究者を取り巻く厳しい環境、それから諸外国と比べて研究開発費が必ずしも十分ではないということが考えられます。文部科学省といたしましては、引き続きまして、必要な予算の確保に全力で取り組むとともにですね、研究人材、資金、環境に関する施策を総動員して、我が国の研究力の抜本的な向上を図ってまいりたい、そう思っております。

記者)
 今、博士課程人材のお話があったんですけれども、博士課程を出るのにだいたい奨学金と言われる借金が500~600万とか、800万とかそれくらいできるんですけれども、以前は大学等に研究職で就職すると返済免除が得られたんですけれども、奨学金の返済免除がなくなったことも博士課程進学低下の原因の一つではないかと言われています。奨学金免除に関して大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 そこのところはですね、奨学金はいただきまして、以前、免除という話がございました。それはもうなくなっておりますけれども、今のところはですね、博士課程の皆様方が奨学金をいただくにいたしましても非常に返済しやすいというようなですね、対応を含めましていろいろな手段があろうかと思っております。

記者)
 教科書関連で質問します。東京書籍が先日、高校の地図教科書の大量訂正を受けてこの教科書を廃刊する方針を発表しました。この教科書を巡っては、地名の誤りなど約1,200ヶ所が訂正され、文科省も一部誤記を指摘しきれなかったことは遺憾とする見解も示しています。そこで3点お伺いします。1点目は大量訂正をきっかけに教科書が廃刊する事態に至ったことへの受け止めです。2点目は教科書検定で誤った記述を指摘しきれなかった文科省の責任をどのように認識していらっしゃるかという点です。3点目はこうした事態を防ぐために今後どのような対応策をとっていくかについてお伺いします。

大臣)
 東京書籍の高等学校用の「地図」の事案を受けまして、文部科学省といたしましては、今後このような事態が生じないよう校正作業に万全を期す体制を確立するように、東京書籍に強く指導したところでございます。これに対しまして、東京書籍からは、高校「地図」の編集・制作にかかる資源を他の学校種へ振り替えることなどによりまして、校閲をはじめといたします制作体制の強化と工程管理の徹底した改善を講じるなどの報告を受けております。今回の事案に限らずですね、文部科学省としては、発行する教科書に対する責任を十分に果たしていくことを強く求めてまいりたいと思っております。また、東京書籍が行いました訂正申請の大部分はですね、索引と本文におけます用語の位置との対応について、検定を経て本文の内容が確定した後にですね、発行者の責任において行うべき校正であること、また、検定申請後に生じました情勢変化を踏まえて、情報の更新を図る、検定後に必要な校正、さらにですね、内容が誤りでなくとも、より適切な表現に改める訂正など、検定で指摘される欠陥とは異なりまして、検定後に発行者による対応が求められるものでございます。一方で、訂正申請がありました約1,200件の訂正には、20件程度の本文での誤記等が含まれておりまして、検定の限られた審査機関の中で、一部の誤記等が指摘しきれなかったことは大変遺憾であると、そう考えております。文部科学省におきましても、引き続きまして、適切な検定審査に努めるとともに、発行者に対しまして、再発防止策を徹底し、そして今後このような事態が生じないよう、強く指導してまいりたいと考えております。そしてこれからの教科書検定の在り方を含めた文部科学省としての取組ということでございますが、今回の事案は、検定後に発行者が供給までに行うべき校正作業を十分に行えていなかったことが原因でありまして、これに対する再発防止策が東京書籍から公表されたものと承知をしております。文部科学省といたしましては、二度とこのような事態が生じることのないように、発行者におけます校正作業の体制確保等について指導をするとともにですね、教科書に対します一層の信頼確保のために、審査体制など不断に改善を図りながら、適切な検定審査に努めてまいりたいと思っております。

記者)
 プールの水を出しっぱなしにした場合の賠償問題に関して伺いたいなというふうに思っているんですけれども、先般、川崎市でしたか、プールの水を誤って出しっぱなしにして300万を超える損害でしたか、その半額を担当教員と管理職に求償するというような発表がなされたようですけれども、プールの水の出しっぱなし問題はここ数年、何度か繰り返し起きている問題で、その際に自治体の対応というのは全額賠償させるとか半額賠償させるとか、もしくは住民監査請求に対応するとか、いろんな対応をしているようなんですけれども、大臣としてこの件、教員の方からはちょっと重すぎてきついんじゃないか何ていう声も上がっていて、大臣としてはこれはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 お尋ねの事案につきましては、報道があった旨承知をしております。本件につきまして、川崎市からは、調査の結果、事故が発生した小学校の校長及び教員の過失によるものであると判断をいたしまして、両名に対しまして、損害請求をしたと聞いております。また、賠償請求にあたりましては、全ての責任を校長及び教頭に帰すべきではないという考えのもとで損害額の5割を請求したものと聞いております。個別具体の事案につきまして文部科学省から申し上げるものではございませんけれども、個別の状況に応じまして、教育委員会の責任のもとに、適切に判断をしていただきたいと考えております。なお、プールの運営業務等につきましてはね、民間事業者へ委託する教育委員会もあると承知をしておりまして、こういった取組は学校や教員の負担等を軽減する上でも参考になると、そう考えております。

記者)
 終戦記念日の関係でちょっとお伺いしたいんですけれども、大臣はこれまで靖国神社を参拝されるかどうかということを明言されておりませんけれども、これまでにされたのか、これからされるのか、あるいはされる予定等があるのか、終戦の日についての所感を伺えればと思います。

大臣)
 靖国神社参拝の件につきましては、参拝する予定は本日はございません。

(了)

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