永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年8月1日)

令和5年8月1日(火曜日)
教育、スポーツ、文化

キーワード

第47回全国高等学校総合文化祭への出席、令和5年度全国学力・学習状況調査の結果、英語「話すこと」の課題への対応、学校教員統計調査における精神疾患を理由に退職した教員数、広島県の旧陸軍被服支廠の文化財指定にかかる要請等、山形県米沢市女子中学生熱中症事案を踏まえての熱中症対策、炎天下におけるスポーツ大会について

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年8月1日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年8月1日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年8月1日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 それでは、私から本日は2件ございます。
 1件目でございます。7月29日、30日に秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下が御臨席の下で開催されました第47回全国高等学校総合文化祭の開会式に参加をするとともに、高校生の発表・作品を拝見をしてまいりました。開会式のパフォーマンスやそれぞれの部門での発表・作品等はどれも大変素晴らしく、高校生の皆さんがこの大会に向けて懸命に打ち込んでこられたことが本当に強く伝わってまいりました。今後、8月4日まで開催されます今大会におきまして、様々な交流を通じまして、感性を磨き合うすばらしい機会となることを期待しております。
 2件目でございます。昨日、令和5年度全国学力・学習状況調査の結果を公表いたしました。調査の実施に御協力いただきました各教育委員会及び学校等に対しまして、改めて感謝を申し上げます。今年度の調査では、毎年度実施をしております国語、算数・数学に加えまして、4年ぶり2度目となります中学校英語を実施をいたしました。今回の教科調査の結果からは、算数の式を日常の場面と関連付けて読み取ることですとか、短い英語の情報を正確に聞き取ることは比較的できている一方ですね、情報と情報の関係を理解をしたり、また複数の資料をもとに、自分の考えを形成をして表現することや、また社会的な話題について自分の考えや理由を英語で表現することなどに課題があることがわかりました。また、質問紙調査の結果からはですね、主体的・対話的で深い学びに取り組んでいる児童生徒のほうが、平均正解率が高い傾向が見られること、また英語の授業において、実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合うなど言語活動に取り組む学校が増加しておりまして、また言語活動に取り組んでいると受け止めている中学校の生徒の方が、やはり英語の平均正解率が高い傾向が見られることなどが明らかになったところでございます。調査結果を踏まえまして、文部科学省といたしましては引き続き必要な支援に努めてまいりたいと考えております。また、各教育委員会及び学校等におかれましては、本調査結果を十分活用いたしまして、児童生徒の学力・学習状況の把握・分析及び教育施策の成果と課題の検証を行っていただくとともに、学校におけます児童生徒の教育指導や教育施策の改善・充実に生かしていただきたいと考えているところでございます。
 以上です。

記者)
 御発言ありました全国学力テストの件でして、英語の「話す」については正答率が12%、6割の生徒が全問不正解という結果でした。「書く」についても正答率が21%ということで、「読む」「聞く」に比べ低い水準となったわけですけれども、「話す」については設問が難しかったという指摘もございますが、今回の結果を大臣としてどう受け止めているかと、また英語力はグローバル人材の育成の観点から重要だと思うんですが、今後、文科省としてどのように話す力の向上を、改善に努めていくか教えていただけますか。

大臣)
 今回の中学校の英語の調査ではですね、学校現場におけます授業改善のメッセージとなるように、実際のコミュニケーションの場面などを強く意識をしながら問題を出題した結果ですね、全般的に設問設定等が複雑になっておりまして、生徒にとっては難しかったのではないかと思っております。また、全国学力・学習状況調査は、各年度の問題の難易度を厳密に調整する設計はとっておりません。過年度のですね、過去の正解率と単純に比較することは適当ではなく、生徒の英語力が高くなった、あるいは低くなったということは今回の結果だけでは判断することができないということを思っております。しかしながら、やはりですね、今回の英語調査の結果から、特に「書くこと」、それから「話すこと」について課題があることが改めて明らかになったととらえております。また、質問紙調査から明らかになりました、中学校におけます言語活動に関する授業改善の取組状況には、一定の進捗が見られるものの、言語活動及び言語活動を通して指導することについての十分な理解と取組など、「まだまだ道半ばである」と認識しておりますので、文部科学省といたしましては、今回の結果をしっかり受け止めまして、英語の学習指導の改善・充実のために取り組んで、しっかりと取組を強化してまいりたいと思っております。やはり英語の指導充実、これにしっかり取り組まなければいけないと申しましたけれども、このためにはですね、やはり「話すこと」に関する課題ですとか指導のポイントを解説した動画を新たに作成・配信をします。そして英語での発信力強化のため、デジタルを活用したパフォーマンステストの実施の促進もやりましょう。そして生徒の英語への関心と意欲の喚起などにつながります、オンラインなどを利用した国際交流活動の推進もやりましょう。そして生徒の理解の程度に応じた英語による授業を行いますように、教師の指導力・英語力向上のための、年間を通じたオンライン研修の実施等を進めてまいりたいと思っております。

記者)
 教員のメンタルヘルス対策について伺います。先日公表された学校教員の統計調査について、2021年度の精神疾患を理由に辞職した公立の小中高校の教員が953人で過去最多となりました。まずこの結果についての大臣の受け止めをお聞かせください。また、本年度も文科省としては7,000万円の予算計上をしてメンタルヘルス対策、原因分析、校外的な対策、検証も含めて実証事業に乗り出しています。教員不足の問題だったりとか、働き方改革の問題とかに直結する問題であって、このまさにメンタルヘルス対策について大臣としてはどうしていきたいと考えていらっしゃるのか、具体的な施策ビジョンなども含めてお聞かせいただければと思います。

大臣)
 やはり学校教員統計調査の中間報告におきまして、精神疾患を理由に離職をした公立の小中高校の教員数が過去最高となったことは承知をしております。精神疾患はですね、発症まで時間がかかることがありますし、また、その要因というのは個々のケースにより本当に多様であるために、具体的な要因につきましては一概に申し上げることができませんけれども、例えばですね、業務の質の困難化ですとか、教職員間の業務量や内容のばらつき、そして保護者等からの過度な要望・苦情・不当な要求などがあげられると考えております。文部科学省といたしましては、教師が疲労や心理的負担を過度に蓄積をして心身の健康を損なうことがないように、これまでも各教育委員会に対しまして、校長等によりますラインケアやストレスチェックなどの実施を、メンタルヘルス対策ですね、の充実を求めてきたところでございます。また、令和5年度より新たにですね、各教育委員会が、専門家等と協力をしながら病気休職の原因分析や、またメンタルヘルス対策等に関するモデル事業を実施をいたしまして、効果的な取組の研究ですとか事例の創出を行うこととしております。引き続きまして、やはり学校におけます先生方の働き方改革や教職員間のメンタルヘルス対策、これをしっかりと取り組んでいかなければいけない、そういうふうに思っております。

記者)
 広島県にある被ばく建物の旧広島陸軍被服支廠について伺います。広島県が3棟保有しているんですけれども、国の重要文化財指定を目指していまして、先般、自民党の議員連盟のメンバーが大臣のもとを訪れて保存に向けての財政支援などを要望されたと思うんですけれども、改めてこの建物の価値とか文化財指定に向けた所管大臣としての立場というのを確認させてください。あわせて活用策などを定めたりとか、地元の広島県広島市としっかり調整するようにというお話もあったということなんですけれども、文化財指定をするということになるといろんなハードルもあると思うんですが、このあたりについての大臣の考えをお願いします。

大臣)
 先月の20日になります、「原子爆弾被爆者救済並びに核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現を推進する議員連盟」からですね、広島県にございます旧陸軍被服支廠の文化財指定について要請がございました。広島県からは文化財指定の意見具申がなされておりませんけれども、私の方からはですね、面会におきまして、文化財指定をする場合について、当該建物、建造物の保存だけではなくて、活用について、地元でよく議論をいただくことが重要であるということをお伝えさせていただいたところでございます。地元の広島県広島市におきまして、今後ですね、この建造物の活用につきまして結論を出していただきまして、指定の範囲などを確定させた上でですね、早期の文化財指定等の御要望がしっかりとあれば、文化庁としても検討を、しっかり検討させていただきたいと、そう思っているところでございます。

記者)
 4棟残っていて3棟は広島県が持っているんですけれども、残り1棟は国の所有になっていまして、これは財務省の所管になるんですけれども、この1棟はまだ文化財の調査というのはなされていませんで、たぶん県としては全体で申請をしたいという考えだと思うんですが、国としての残る1棟についてのスタンスというか調査をするべきかどうかというのはどういうふうにお考えでしょうか。

大臣)
 国所有の1棟につきましては、財務省におきまして、広島県等とも連携をしながらですね、その保存に向けまして、安全対策工事等の検討が進められているものと承知をしております。文化庁におきましては、広島県所有の他の3棟と同様にですね、国所有の1棟につきましても、今後、保護措置が適切になされますように、専門的な知見から助言等を行ってまいりたいとそう考えているところでございます。

記者)
 調査というのは考えてはいらっしゃるんでしょうか。専門的な措置という中に文化財指定に向けた調査というのは入っているんでしょうか。

事務方)
 また細かい部分は文化庁からお答えさせていただきます。

記者)
 熱中症対策の関係で伺いたいんですけれども、山形県米沢市で部活動を終えた後の帰宅中に熱中症とみられる症状で中学生が亡くなったというような事案がありましたけれども、まずこの件に関して大臣としてどのような認識なのかというのを伺いたいというのが一つと、それから米沢市のほうは熱中症対策アラートが出た場合は部活動を中止するような、そういった方針を出している、今回のことを受けてそういったお話をされているようなんですけれども、これだけの熱波がきている中での部活動のあり方、どういう基準で中止とかの判断をすべきだと考えているのか、文部科学省としてどのように認識されておられるのかというのを伺わせてください。

大臣)
 山形県米沢市の事案につきましては、お亡くなりになった生徒さんに対しまして哀悼の意を表しますとともに、御遺族に対しまして心からお悔やみを申し上げたいと思います。今回の事故の要因ですとか、部活動中の対応などの詳細につきましては、山形県教育委員会を通じまして確認中でございまして、現時点でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。今年の夏はですね、やはり皆様方も御承知のとおり本当に本当に暑い夏になっております。暑さが続いております。そういうところでですね、やはりスポーツを行う際には、徹底した熱中症対策に取り組むことが本当に重要であると思っております。文部科学省といたしましても、熱中症対策についていろいろと過去にも取り組んでまいりましたけれども、その更なる徹底につきまして、今回改めて各教育委員会等に通知を発出をいたしました。各種の会議等を通じましても、各学校・教育委員会の取組を促してまいりたいと、そう思っております。

記者)
 部活動を場合によっては中止にするとかいう判断はあり得ると考えていますか。

大臣)
 今回、生徒さんが亡くなられたということを受けまして、「危機管理マニュアル」等におきまして、各種活動の判断基準や判断者を定めておくこと、それから児童生徒等が自ら体調管理を行うことができるように、帽子の着用ですとか水分補給、また体調不良の時の対応に関する適切な指導を行うことなどについて、昨日、改めてお話申し上げましたけれども、注意喚起を行ったところでございます。本件につきましても、詳細なところはまだ不明ではございますけれども、こういうことが起きませんように、しっかりと認識を新たにして、適切に対応いただくようにお願いしたいと考えております。

記者)
 おそらく市町村教委とか学校の判断になろうかとは思いますけれども、場合によっては中止という判断はあり得ると考えていますか。

大臣)
 それはやはり各学校、教育委員会等、各学校の判断になろうかと思っております。

記者)
 それに関連してなんですけれども、学校の部活動の練習だけでなくて、今、インターハイがありますし、あともうすぐ夏の甲子園も始まって、8月末には中学校の体育大会もあるんですけれども、そういうスポーツの大会というものの運営の在り方についてはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 昨年、実は12月にですね、策定いたしました「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」におきまして、大会の主催者は、参加をします生徒の健康と安全を守るために、夏季であれば空調設備の整った施設を会場として確保し、そのような環境を確保できない場合には、夏の時期を避けることなど、また各種目・部門の特性等を踏まえまして、大会等の開催が可能な環境基準として、気温や湿度、暑さ指数などの客観的な指数を示すことなどを示したところでございます。実際に高校野球選手権大会におきまして、地方大会によってはですね、決勝の開始時間を午前中ですとか午後遅めに変更したりとか、また今月6日から始まります全国大会等もですね、5回裏終了時に10分間のクーリングタイムを設定するなどの熱中症対策がとられているということを聞いているところでございます。文部科学省といたしましては、ガイドラインの内容につきまして、各大会等の主催者に対して、再度周知をしてまいりたいと、そう考えております。

(了)

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