永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年7月18日)

令和5年7月18日(火曜日)
教育、スポーツ、文化、その他

キーワード

令和4年度文部科学白書の公表と今後の工夫、世界水泳選手権2023福岡大会、避難所となる公立学校施設における防災機能に関する調査、令和5年度日本遺産に関する評価結果、省内業務における生成AIの利活用、夏季休業後の自殺予防・不登校対策について、文化庁の京都移転に付随する業務の改善点等

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年7月18日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年7月18日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年7月18日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私からは本日、2件ございます。
 まず1件目でございます。本日、令和4年度文部科学白書を閣議で配布をいたしました。今回の白書では、特集といたしまして二つのテーマを取り上げております。一つ目は、昨年12月に中央教育審議会で取りまとめられました答申を踏まえまして、「令和の日本型学校教育」を担う教師に求められる資質能力や、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成など、教師の養成・採用・研修等についての取組を紹介をしております。二つ目の特集では、昨年の5月に取りまとめられました教育未来創造会議第一次提言においても示されました、成長分野をけん引する大学・高等専門学校の機能強化や、学び直しを促進するための取組について紹介をしております。また、昨年度同様、白書全体の記載内容ですとか分量を厳選するほか、紙の冊子を簡素化いたしまして白書のデジタル版へのアクセスを容易にするなどの工夫を行っております。文部科学省といたしましては、本白書で取り上げられております施策の更なる充実を図ってまいりたい、そう考えております。
 2件目でございます。先週14日にボートレース福岡で世界水泳選手権2023福岡大会の開会式に出席をしてまいりました。福岡市での世界水泳の開催は、2001年第9回大会以来22年ぶり2回目となりますけれども、今大会は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によりまして、2度にわたります開催延期を経験をしており、福岡市をはじめ大会関係者の開催に向けた御尽力に改めて敬意を表したいと思っております。また、これまでアーティスティックスイミングの女子ソロテクニカルにおきまして、乾友紀子選手、そしてミックスデュエットテクニカルにおきまして、佐藤友花選手と御兄弟の佐藤陽太郎選手、そして女子デュエットテクニカルにおきまして、安永真白選手と比嘉もえ選手がそれぞれ金メダルを獲得されたということで大変喜ばしく感じております。大会は7月30日まで続きますので、日本代表選手の皆さんの活躍はもちろんですけれども、世界のトップアスリートたちの姿によりまして、日本中が大いに盛り上がってくれることを期待しているところです。
 以上です。

記者)
 先日、避難所に指定された公立学校の防災対策調査が公表されました。断水時に使えるトイレの設置率が73%、冷房機器を備えている学校は65%にとどまっております。避難所の環境が劣悪なケースは大規模災害で度々指摘されてきましたが、それぞれの設置率についての大臣の受け止めと学校の設置者に求めたいことを伺えますでしょうか。

大臣)
 学校施設はですね、やはり災害時に地域住民の方々の避難所としても大変大きな役割を果たすということから、過去の災害での指摘も踏まえまして、防災機能の強化は非常に重要と考えております。先日公表いたしました避難所となります公立学校施設の防災機能に関する調査ではですね、前回の調査よりも取組は進んでおります。しかしながらですね、引き続きまして、断水時のトイレ対策や冷房機器等の防災機能を強化する必要があると認識をしております。特にですね、冷房機器の確保状況につきまして、今回の65%という数値は、体育館のほか、普通教室ですね、などの利用に加えまして災害時のみ機器を確保できる場合等も含んでおりまして、別の調査ではですね、主な避難施設となります体育館等への冷房設置率というのは約15%にとどまっております。このため、文部科学省では、関係府省とも連携をいたしまして、学校施設の防災機能強化に関する事例の周知を行うとともに、施設整備に対します財政支援の充実を図っているところでございます。各学校設置者に対しましては、防災担当部局との連携体制の構築を図るとともに、避難所となります学校施設の防災機能強化を一層ですね推進するよう求めているところでありまして、引き続き取組を発信してまいりたいと考えております。

記者)
 14日に文化庁から公表された今年度の日本遺産の審査結果についてお伺いします。17件のうち2件が、埼玉県行田市と北海道江差町の2件が再審査ということで発表がありました。これまで日本遺産は100件ほどありますけれども、再審査になりますと当然取り消しも可能性としてあり得ますけれども、これまで取り消された案件はないと認識しているんですけれども、今後、取り消しというものは濃い選択肢になってくるのか、今回再審査になった自治体に関してはどういった取組を求めたいかということをお伺いしたいと思います。

大臣)
 令和3年度よりですね、外部有識者からなります日本遺産の審査評価委員会におきまして、各地域における今後3年間の取組予定を示した地域活性化計画の内容が日本遺産の取組として適切でない場合等には認定を取り消すこともあり得るという一方でですね、先進モデルとなる地域につきましては重点的に支援を行うこととする総括評価継続審査を行っております。今回の再審査を要するとされました2件につきましては、審査中でございまして、詳細をお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、やはり大きく共通いたしまして日本遺産のストーリーを生かした取組が不十分ということ、ビジョンと事業との関係性が不明確ということ、また過去6年間の課題を踏まえた上での具体的な記載が不十分、そして民間事業者等との連携が不十分といった点が有識者の委員会から指摘をされているところでございます。再審査となりました2件につきましてはですね、今後修正・再提出いただきます地域活性化計画の内容等の審査が行われまして、年内を目途に再審査結果を公表することとなっております。対象地域におかれましては有識者委員会からの指摘を踏まえしっかりとですね、計画を再検討いただきたいと、そう考えているところです。

記者)
 冒頭でありました文部科学白書についてなんですけれども、この白書を大臣がお読みになった率直な感想をお聞きしたいと思います。白書で文科省の施策についてはよくわかったんですけれども、それが実際に教育とか研究の現場にどのようにつながっているのかというのがわかりにくかったので、例えばコラムなどで紹介していただけるとより深く理解できたかなというのが私の感想なんですけれども、大臣いかがでしょうか。

大臣)
 白書を読んでどう思ったかということでございますが、白書全部は読んではおりません。要所要所で読ませていただいております。白書を読みまして、令和4年度の文部科学省の取組を網羅的でわかりやすくまとめております。そして文部科学省の政策の全体像を知るということに関しましては非常に有益だと思っております。そのため、白書はですね、文部科学省全体の施策を広く国民の皆様に紹介する上で非常に重要なものであると実感しております。くわえまして、今回ですね、特集で取り上げました教師の在り方や成長分野をけん引します人材の育成をはじめ、文部科学省が継続的に取り組まなければならない諸課題につきまして、引き続きしっかりと取り組んでいかなければならないとの思いですね、これはやはり相当大きく感じました。今後とも、国民の皆様の文部科学行政について御理解・御協力をいただけるように、白書をはじめとした広報の充実というものにしっかり取り組んでいきたいと思っております。そして、文部科学省の白書というのは、やはり全体の施策を広く国民の方に紹介することを目的としておりまして、読み手であります国民の皆様とのつながりを意識をして、そして白書を作成し刊行することというのを大変重要だと思っております。そのため、今回の白書におきましても、例えばですね、海外の日本人学校といいますか在外教育施設で学ばれていた方のインタビューなど、四つのコラムを掲載をしまして事例紹介に努めているところでございます。また、ただいまいただきました御提案も踏まえまして、次回の白書におきましても、やはりコラムの充実等を通じました事例紹介の充実に努めまして、学校関係者をはじめとして多くの方の目に届きですね、幅広く活用されるように工夫してまいりたいと、そう思っております。

記者
 前も伺ったと思うんですけれども、生成AIの省内での活用について以前お伺いしたと思うですが、その時は具体的にはまだ特に省内では活用はされていないということだったと思うんですが、現在の状況としてはいかがでしょうか。今後、文科省の取組の中で活用していこうという方向性などがありましたら教えていただけますでしょうか。

大臣)
 文部科学省の中でも役所の中でですね、どういう場所でどういう取組をしているかというのは各場所場所で検討をしているところでございます。すべて大きなところで一つにまとめてというわけにはいかないわけでございまして、それぞれ部局によりまして対応させていただいているというところでございます。これもこれからですね、しっかり検討させていただきまして、それぞれ実践を踏まえながらですね、これをしっかりとやろうというふうなことに持っていきたいと思っております。やはり一番問題は作成された文書等がですね、本当のものであるか、正確なものであるかということが一番問題になろうかと思いますので、安全性・正確性や情報管理の安全性も含めまして活用方法をしっかりと今後検討してまいりたい、そう思っております。いろいろ各部署と言いましたけれども、各部署プラス手をあげていただきまして精鋭を募りまして検討会を開いております。予定です。

事務方)
 生成AIに関する省内の業務における活用については大臣から申し上げたように、現在まさにいろんなやり方について検証を進めているところでございます。これはいろんなやり方がありますしいろんな課題、問題点も出てくると思いますけれども、それを整理している途上でございますので、また整理された段階で皆さんにも御案内したいと考えております。

記者)
 まもなく夏休みに入ると思うんですけれども、子供の自殺も過去最多とかなり深刻な状況になっております。メッセージを出されるかもしれないんですけれども、今日現在で大臣のほうから一言、子供達であるとか親御さんに対してメッセージのようなものをいただきたくて、先日10日に文科省のほうから学校現場のほうにSOSの早期発見等の通知を出されていると思うんですけれども、そうしたものの自殺防止のトレンドを含めて大臣のほうから大臣の所感をお願いしたいと思います。

大臣)
 今お話ありましたように、10日にですね、18歳以下の自殺というのは学校の長期休業明けにかけて増加する傾向がありますということで、保護者、地域住民、また関係機関と連携をしつつですね、児童生徒の尊い命を救うために、10日の日に、長期休業前後におけます児童生徒の自殺予防に係る取組の充実を求める通知を発出いたしました。この通知ではですね、各学校におきましても、長期休業の開始前から1人1台端末等も活用いたしまして、アンケート調査ですとか教育相談等の実施を通して、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めること、また長期休業明けの前後におきまして、学校と保護者や地域住民、また関係機関等との連携の上で、学校における児童生徒への見守り活動を強化することなど、児童生徒の自殺予防に係る積極的な取組の実施を各学校等に依頼をしたところでございます。私といたしましても、こういうことをしっかりと通知をいたしましたので、またですね、夏休みが明ける前にはですね、こういうようなことをまた各教育委員会、関係機関等に発出してまいりたいと思っております。

記者)
 本来、COCOLOプランなどもされていると思うんですけれども、子供の自殺が最多になってかなり文科省もほかのこども家庭庁とか厚労省などとも連携しつつかなり対策も手厚いものになっていると思うんですが、今年の夏、そういうような取組がどのような効果を発揮するというふうに期待されているのか大臣のお考えを教えていただけますか。

大臣)
 まだCOCOLOプランも着手をしますというふうになっておりますが予算面におきましては来年度の予算というところにやっぱり終着するのかなとは思っております。そういう点におきましてもね、施策に関しましてこども家庭庁と関係機関とですね、しっかりと連携をするというのがやはり一番大きな課題であると思っております。それぞれ、文部科学省のほうは学校という場におきましての対応というのが多くなるとは思いますけれども、子供は学校だけで暮らしているわけではなくて家庭で、そしてまた学校以外の社会でですね暮らしているわけですから、そこの連携というのをしっかりしていきたい、そう考えております。

記者)
 7月15日で5月15日に文化庁が京都移転してから2か月となりまして、先日、都倉長官が祇園祭にも参加されたということで連携が進んでいると思うんですけれども、2か月経ってみてやはりまだ宗務課はまだ移転しておらず、世界遺産関係も国際協力室もこちらにまだ残っているという状況でして、大臣から見てこの2か月、京都移転してからの業務のやりやすさやりにくさ、課題があるというところなどお感じになるところがあればお聞かせいただきたいと思います。

大臣)
 文化庁が京都に移転をいたしまして、新しい文化行政というものがスタートしたわけでございます。文化庁の長官も東京と京都を行ったり来たりで大変だなと私は思っておりましたが、わりとお元気でございまして、非常にやりがいを持って対応していただいていると、そう伺っております。私も何かあれば京都の文化庁の方々にですね、対応をする、その対応というのはやはりよく映るテレビ画面ではございますが、そういうところで今のところは何の問題もないし、またこれからいろいろと文化関係の予算等がスタートするわけでございますが、そういう点では、本当に長官に任せてよかったと、そういうふうに考えている次第でございます。今やはり一番大きな問題というのは先ほど私申し上げましたけれども、京都の文化庁と東京のオフィスが離れているというところで、国会ですとか他省庁との調整の関係が急務であると、そう思っております。中長期にわたります大きな懸案や新たなプロジェクトに対応したりする場合には、機動的な迅速な対応が取りにくいといった課題が生じることも考えられますけれども、今のところは大丈夫というところですね。このためですね、こうした課題が生じた場合にもですね、適切に対応ができますようにテレビ会議システムな、ICTを積極的に活用いたしまして、適切な業務計画ですとか出張計画等を立てるということも大事ですし、また、日頃よりやはり京都部署と東京部署がですね、緊密に連携をするということを通じまして、円滑かつ着実な職務遂行ができますようにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

(了)

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