永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年7月11日)

令和5年7月11日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

JST(科学技術振興機構)の大学ファンド運用状況や支援見通し、梅雨前線による大雨の教育施設の被害状況、高校野球における頭髪指導や監督負担の実態について、児童生徒の自殺予防通知、大学等の電気代高騰に関する対応

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年7月11日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年7月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年7月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

記者)
 10兆円大学ファンドについてお伺いします。科学技術振興機構が先週、大学ファンドの2022年の運用実績が604億円の赤字だったということを発表しました。その運用実績というのは国際卓越研究大学に認定された大学の助成額の財源にも相当するもので、この運用実績によっては対象大学への支援が困難になることも考えられますが、ファンドの運用状況や支援の見通しへの影響ということについて大臣の現時点の見解を教えてください。

大臣)
 令和4年度は、10兆円の元本の構築の途上でありまして、収益額はマイナス604億円となりましたけれども、将来の大学への助成財源となり得る利益は、742億円ございまして、運用開始以降の通算で681億円の助成財源が確保されてきております。これはですね、令和6年度からの助成開始に向けまして、JSTが助成財源の確保に着手に(注)取り組んだ結果と承知をしております。なおですね、助成開始後は、継続的な支援のためのバッファというものが確保する必要がありますので、助成財源の3分の1をですね、大学への助成に充てることとしております。引き続きまして、令和6年度からの大学への助成というものが開始できますように、取組を進めてまいります。
(注)「着手に」は、正しくは「着実に」です。

記者)
 昨日、九州北部などを襲った大雨についてお伺いします。現時点で把握している学校施設などの被害による休校の状況を教えてください。また被害校への対応や支援について検討しているものがあればあわせて教えてください。

大臣)
 本当にこの度の大雨によりまして、まずはお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げますとともに、被災された方ですね、心よりお見舞いを申し上げたいと思います。6月29日からの大雨によりますと、文部科学省関係の被害につきましては、10日月曜日14時時点でございますけれども、学校管理下におけます児童生徒等の人的被害としては報告は受けておりません。昨日休校となりました学校は1,681校ございます。物的被害といたしましては、学校施設で60件、そして社会教育施設等で40件、そして文化財で16件となっておりまして、床上浸水、土砂の流入、敷地斜面の崩れなどの報告を受けているところでございます。文部科学省の対応状況といたしましては、6月29日に災害情報連絡室を設置をいたしました。そこで教育委員会等に対しまして児童生徒等の安全確保等を要請をしております。引き続きまして、子供達の安全・安心な教育環境の確保に向けまして、関係自治体とよく連携をいたしまして、被害状況の把握を行うとともにですね、被災者に寄り添いながら、先手先手で被災地の支援に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 先ほど申し上げましたのは昨日休校となったのではなくて、昨日時点で休校となった学校でございます。申し訳ありません。

記者)
 高校の部活動のことでお伺いします。今、全国で夏の甲子園につながる選抜大会が始まっているんですけど、日本高野連が今年春に行った調査で部員の髪型を丸刈りに決めているという学校の割合がおよそ26%で、前回の5年前の調査では76%あったんですけれどもそこから大幅に減少しました。その一方で、監督の1か月の休みで無休と回答したのが18%に上るなど、指導者の働き方の過酷さも明らかになりました。学生スポーツを代表する高校野球の現場で変わり始めていることと、これからもっと変えなきゃいけないことがあると思いますが、これらの点について大臣の所感と部活動の現場に期待することをお伺いします。

大臣)
 まずは丸刈りのお話をさせていただきましょう。日本高等学校野球連盟におきまして、御指摘の実態の調査というものの結果を公表したことは承知をしております。高校野球におけます頭髪等のルールにつきましては、高野連の規定で定められているものではなくて、やはり時代の変化や地域の状況を踏まえまして、各学校において適切に判断いただくべきものと考えております。また今回の調査におきまして、監督自身の1か月の勤務のうち平均的な休みが、今お話ありましたように本当に「無休」とおっしゃいます監督が18%という結果であったということにつきましてでございますが、監督自身がですね、1か月のうちに、特に部活動の指導を休める日が「無休」と回答した監督は4.9%というふうになっております。また、昨年12月に策定をいたしました「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」におきましては、スポーツ医・科学の観点も含めまして、平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日は少なくとも1日以上の休養日を設定することとしておりまして、高等学校段階におけます部活動についても原則、適用とすることとしているわけでざいます。文部科学省といたしましては、監督に従事します指導者が勤務状況の改善の観点に加えまして、成長期にあります生徒が運動や休養を含めてバランスのとれた生活を送ることができますように、各学校においてこのガイドラインを踏まえた適切な休養日の設定について、促してまいりたいと考えております。

記者)
 昨日、文科省から夏休み明けには児童生徒の自殺者数が増加するということで児童生徒の自殺防止を目的とした通知が発出されたということですが、大臣から教育関係者に向けてこの夏休みで自殺防止に取り組む必要性などのお考えがありましたらおっしゃっていただければと思います。もう一つですが、暫定値ですが1月から5月末までに160人以上の児童生徒がすでに自殺しているということについての受け止めをお話いただければと思います。

大臣)
 まず、昨日10日になりますけれども、児童生徒の自殺予防通知を発出したことでございますが、やはり18歳以下の自殺は、学校の長期休業明けにかけまして増加をする傾向があるため、保護者、また地域住民の方、そして関係機関等と連携しながらですね、児童生徒の尊い命を救うために、昨日、長期休業前後におけます児童生徒の自殺予防に係る取組の充実を求める通知を発出いたしました。この通知ではですね、各学校におきまして、長期休業の開始前から1人1台端末等も活用しつつ、アンケート調査や教育相談等の実施を通しまして、悩みや困難を抱える児童生徒の早期発見に努めること、また長期休業明けの前後におきまして、学校として、保護者や地域住民、関係機関等と連携の上に、学校におけます児童生徒への見守り活動を強化することなど、児童生徒の自殺予防に係る積極的な取組の実施を各学校等に依頼をしたところでございます。また、1人1台端末を活用いたしました心や体調の変化の早期発見を推進するためにですね、無償・有償で利用できます健康観察・教育相談システムを一覧で整備をいたしました。Googleフォーム、またはMicrosoft Formsを活用いたしまして同様のアンケートフォームを作成するためのマニュアルを新たに作成いたしまして、今般の通知におきまして周知をしております。文部科学省といたしましても、先月取りまとめました「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づきまして、関係省庁とも連携しながら、子供の命を守るための取組というものに全部を尽くしてまいりたいと考えております。また、児童生徒の自殺の予防ということでございますが、やはり児童生徒が自ら命を絶つということは本来あってはならないことでございます。児童生徒の自殺者数が本当に数年増加をしているわけでして、大変重く受け止めております。令和4年の10月に閣議決定をいたしました「自殺総合対策大綱」では重点施策といたしまして、子供若者の自殺対策が挙げられておりまして、文部科学省といたしましても、命の大切さや尊さを実感できる教育ですとか、またSOSの出し方に関する教育を含みます自殺予防教育のさらなる推進、そしてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実、それからSNS等を活用いたしました相談体制の整備の推進、またタブレット端末の活用等によります自殺リスクの把握ですとかプッシュ型支援情報の発信の推進、それから教職員を対象といたしました自殺予防研修会の実施など、児童生徒の自殺防止にしっかりと取り組んでいるところでございます。引き続きまして、子供達が自ら命を絶つことがないように全力を尽くしてまいりたいと、そう考えているところです。

記者)
 今日も夏本番というか、かなり暑い日が続いております。昨年度から続いている電気代などの光熱費高騰に伴う各大学への対応について伺えればと思います。光熱費の高騰は各大学の研究環境の維持・向上にも強く影響を与えます。文科省は昨年度、補正予算などで国立大学に対応しました。今夏も暑いですから冷房を中心に光熱費がかさむ年だと思いますが、文科省としてのご認識、対応、検討状況などを教えていただければと思います。

大臣)
 たしかにここのところまだ梅雨が明けていないというのに暑い日が続きます。そして今日は35度、36度というような予報も出ているところでございまして、それぞれ大学等、他の施設でも大変光熱費は非常に御心配なことと思います。細かいところはですね、すいませんが事務方のほうにお聞きいただければと思っております。

(了)

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