永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年7月7日)

令和5年7月7日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

茨城県結城市・古河市の学校視察、富山県滑川市中学校教員の過労死損害賠償請求事件の地裁判決、大阪府の高校授業料の全面無償化案、古川聡宇宙飛行士のISS派遣、教員の労務管理と働き方改革、旧統一教会への報告徴収・質問権行使等

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年7月7日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年7月7日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年7月7日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私からは冒頭、1件お話申し上げます。
 7月5日水曜日に、茨城県の3つの学校を訪問いたしました。結城市立の絹川小学校では、下館河川事務所との連携によります、田川水門工事現場でのデジタル技術を活用した防災教育の様子を視察をいたしました。地域の災害リスクを踏まえた実践的な防災教育の充実を図る上で、参考になる事例でございました。また、結城市の江川北小学校では、学校図書館を活用した授業の様子を視察するとともに、先生方との意見交換も行いました。あわせまして、子供達と一緒に給食も試食をいたしました。本小学校では、読書への興味・関心を引き出す授業の工夫をはじめ、学校表彰ですね、校内表彰ですとか読書カードや、特色ある行事などをしまして、学校全体で取り組んでいらっしゃいまして、読書活動の推進を図る取組としてですね、大変参考になりました。もう1件行きました。茨城県立の古河中等教育学校でございます。ここはですね、中高一貫教育の取組を総合的な探究の時間におけます学習活動を視察をいたしました。生徒と意見交換を行いまして、学校教育の特色化、それから魅力化というものを進めまして、生徒の学習意欲の向上を図る取組として参考になりました。今回の視察を通じまして、防災教育・読書活動・探究の時間に関する先進的な事例というものを拝見することができまして、大変有意義な機会となりました。今後のですね施策検討につきましてしっかりと生かしてまいりたいと思っております。
 報告は以上でございます。

記者)
 富山県滑川市の中学校教諭の過労死を巡る訴訟で富山地裁が市と県に8,300万円の支払いを命じる判決を出しました。判決は部活動の指導は教員の自主的活動の範ちゅうとは言えないと指摘していて、時間外労働に該当すると判断しています。過労死ラインを超える教員数は改善しているものの、依然として長時間労働の教員が多い中、校長の安全配慮義務違反を認めた今回の判決について大臣の受け止めをお願いいたします。

大臣)
 富山県の滑川市の事案につきましては、亡くなりました教職員に対しまして哀悼の意を表しますとともに、また御遺族にですね、心よりお悔やみを申し上げたいと思っております。富山地方裁判所が、校長の安全配慮義務違反というものを認める判決を出したことは承知をしております。現在ですね、控訴期限前であることから、訴訟に関するコメントというものはちょっと差し控えさせていただきたいと思っております。子供のためと懸命に教育活動に従事をしていた教師に、このような事態が発生してしまうことは、本人はもとよりですね、やはりその御家族にとっても計り知れない苦痛であるとともに、児童生徒や学校にとっても本当に大きな損失であると、そう思っておりまして、あってはならないと考えております。文部科学省といたしましては、令和元年の給特法改正を踏まえまして、勤務時間の上限等を定める指針を策定するとともに、教職員定数の改善や、また支援スタッフの充実、学校DXの推進などを進めてきたところでございます。本年5月にはですね、働き方改革を含みます教師を取り巻く環境整備につきまして中央教育審議会に諮問いたしまして、総合的な検討を開始をしております。今後ともですね、教員が疲労や心理的負担を過度に蓄積をして心身の健康を損なうことがないよう、在校等時間や業務量の適切な管理をはじめ、学校におけます働き方改革を一層進めていきたい、そう考えているところです。

記者)
 大阪府が提案している所得制限を撤廃した高校授業料の全面無償化について伺いたいと思います。公費の補助対象となる授業料に上限を設けていることに私立学校側が大きく反発している事態となっています。この事態に対して大臣の見解を伺えますでしょうか。

大臣)
 大阪府が打ち出しました高等学校授業料の全面無償化の案はですね、標準授業料を超える分については、学校負担とすることで、保護者に負担をさせないものでございまして、このことにつきまして大阪府内外の私立学校関係者からやはり懸念の声が上がっていることは承知をしております。大阪府の授業料支援補助金制度というのは、国の高等学校等の就学支援金制度に加えまして、大阪府が独自に行っているものでございまして、今後の詳細な制度設計につきましては、大阪府知事の責任の下で行われるものでございます。その中でですね、やはり教育機会の確保や教育水準の維持向上といった公教育の原点に立ち返りまして、あくまで「子どもファースト」の視点でですね制度設計がなされるように、大阪府と私立学校をはじめといたします関係者の間で、丁寧な意見交換、そして合意形成を図っていただきたいと考えております。その上で、文部科学省といたしましても、求められれば必要な助言を行ってまいりたい、そう考えております。

記者)
 今、「子どもファースト」の視点でとおっしゃっていましたが、今反発しあっているように外からは見えますけれども、いがみ合うのではなくて府と私学が一緒になって子供達の教育を提供してほしいと、そういう子供達の目線で取り組んでほしいと、そういう思いということでしょうか。

大臣)
 これは大阪府とですね、やはり私立学校、大阪府にあります私立学校、近隣の私立学校も同じような思いがあるのかなとは思いますけれども、やはり関係者の間で丁寧な意見交換、そして合意形成を図っていただきたい、これがやはり子供が一番大事、「子どもファースト」というところになろうかと思いますので、そこのところはご理解いただければと思います。

記者)
 昨日、アメリカのNASAが宇宙飛行士の古川聡さんの宇宙飛行について早ければ8月15日に行うということを発表しました。この件についてまず大臣の受け止めをお願いします。

大臣)
 NASAから、古川飛行士が搭乗いたします宇宙船の打上げ日がですね、早ければ8月15日になると発表があったことは承知をしておりますけれども、正式な打上げ日については調整中というようなお話を聞いております。若田飛行士に続きまして、日本人宇宙飛行士が定期的にですね、ISSで活躍する機会を持つということは、やはり我が国日本にとりましても国際的なプレゼンスを発揮する観点からも大変有意義であると考えております。古川宇宙飛行士には宇宙開発・利用のさらなる進展に御尽力をいただきますとともにですね、今回のISSでの長期滞在におきまして、多くの人に夢と希望を与えていただけることを期待をしているところでございます。

記者)
 古川さんは研究不正で戒告処分を受けていらっしゃいますけれども、宇宙飛行にあたって大臣は古川さんにどのようなことを望まれますでしょうか。

大臣)
 日本人宇宙飛行士のISSへの滞在につきましては、JAXAが関係各極と調整をいたしまして決定するものでございまして、JAXAにおきましてこれまでの訓練結果等を踏まえて判断したと聞いております。古川さんはですね、日本人の宇宙飛行士が定期的に滞在すること、これは重要でございますので、しっかりと教育関連プログラムなどを通しまして宇宙開発利用のさらなる進展に大きな貢献をしていただきたいと考えております。

記者)
 幹事社から質問のあった地裁判決の関連で伺いたいんですけれども、先ほど大臣がおっしゃられたように働き方改革や人員充実などの必要性に取り組んでおられるというお話でしたが、一方、今回の判決におきましては管理職の労務管理の問題が問われたということだと思います。この点について文部科学省として教育委員会や管理職の労務管理について何か呼びかけとか取組、何かお考えのものはあるのかというのが1点と、それから部活動の話もありましたけれども、地域移行も進めていくというお考えでなさっていると思いますが、地域事情によってなかなか難しいところもあるというふうに伺っています。この点はどのように取り組んでいかれますでしょうか。

大臣)
 労務管理につきましてはですね、今諮問しております中央教育審議会のほうでもしっかりとした議論をしていただきたいと思っております。これはですね、今現在のこともありますので改めて、これは令和元年の給特法の改正によりまして「指針」を策定いたしまして、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間を当該教育職員の「在校等時間」として、管理の対象とすることを明確にしてですね、時間外勤務命令によらない業務を行う時間を含めて時間管理の徹底をお願いをしてきたところでございます。在校等時間ですとか、あと業務量の適切な管理につきまして、様々な機会を捉えまして、引き続きまして教育委員会に対し求めるとともにですね、教員が過重な疲労や心理的負荷を過度に蓄積をして心身の健康を損なうことがないように、学校における働き方改革これを進めていくというところでございます。
 それとあとは部活動ですね、これは令和4年度の教員勤務実態調査の速報値におきまして、業務内容別の時間、勤務時間では、学校の中でも中学校の先生の「部活動・クラブ活動」につきましては、前回の平成28年度の調査と比較いたしまして、平日では4分、休日では40分減少する結果となっております。平成30年に策定されました「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」や、また「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」による適切な休養日の設定や、部活動指導員の配置等の取組の成果が表れてきたものと考えております。一方でですね、部活動の状況別の働き方改革の取組状況の結果によりますと、ガイドラインで設定をしております日数を超えて活動しているケースは大幅に減少したものの、依然として存在はしております。文部科学省では、令和4年12月に策定をいたしました「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関するガイドライン」の周知・徹底とともに、教師の勤務状況の改善がより一層推進されますように、引き続きまして、部活動の地域連携ですとか地域クラブ活動への移行ですね、これは進めてまいりたいと考えております。

記者)
 統一教会について伺わせてください。質問権行使が6回に渡って、解散命令請求の判断が長期化していると思うんですが、それについて大臣のお考えを教えてほしいというのが1点と、もう一つは韓国の韓鶴子総裁が日本の政治家が家庭連合を破壊していると批判していますが、それについての受け止めがありましたら教えてください。

大臣)
 今皆様方が欲していらっしゃいます解散命令はいつというような話の中でですね、そういうことを聞かれてもというのが私の中にはすごくあります。なぜかといえばですね、宗教法人法に厳格に定められております要件をですね、しっかりと対応していかなければいけないということがありますので、法人の活動に係る十分な実態把握というものが不可欠であることから、着実に対応する必要があるというふうに御理解をいただければと思っております。その上でですね、具体的に必要な情報につきまして今後、報告徴収・質問権の行使に支障をきたす恐れがあることや、解散命令の請求に向けて収集した事実関係等、こういうものを踏まえながらですね、その事実が積み上がった時にはいろいろとあるでしょうけれども、きちんと対応していかなければいけないと思っております。
 それとですね、旧統一教会の総裁の話ですね、このことについては報道については承知をしておりますけれども、韓鶴子氏の発言の一言一言についてですね、私からコメントすることは差し控えさせていただければと思っております。文部科学省といたしましては、今お話した通りですね、現在、旧統一教会に対しまして、宗教法人法に基づきます報告徴収・質問権を行使しているところでございまして、具体的な証拠等を伴う客観的な事実というものを明らかにするための丁寧な対応を着実に進めまして、その上で、法律に則りまして、必要な措置を講じたいと、そういうふうに考えております。

記者)
 同じく質問権行使に関してなんですが、回答の分量が減ってきているようなんですが、十分な回答を得られているのか、どう感じられているのかというのが1点と、東京都の多摩市で旧統一教会による大規模な施設の建設が進もうとしているということなんですけど、それについて周辺の高校など地域の住民などから懸念の声が寄せられているということなんですが、それについてはどう受け止めていらっしゃいますか。

大臣)
 質問権を行使をするにつれてだいぶ返答が少なくなっているというお話でございますけれども、旧統一教会から提出された回答につきまして、その評価というものをお答えすることは差し控えさせていただきたいとは思っております。それでもですね、やはりこれまで直近の報告徴収・質問権の行使は、これまでに旧統一教会から提出されました基本的な資料を踏まえ、より具体的な事項について確認するためのものでございまして、報告を求めた事項が異なる以上ですね、やはり分量だけを見て単純に比較をするということはできないものと、そういうふうに思っておりますのでご了解いただければと思います。
 そして多摩市に旧統一教会が取得した土地のことでございます。旧統一教会が取得いたしました多摩市内の土地につきまして、今月3日、当該土地に現存します建物の解体工事が開催されたとの報道は承知をしております。本件土地の問題に関しましては、先月上旬に、旧統一教会の運営実態の把握と、その状況に応じた適切な対応を行うことにつきまして、多摩市長などから文化庁に要望書が手交されたと承知をしております。その際ですね、文化庁からは、旧統一教会の業務等に関する客観的な事実の把握に努めていることなどを説明したと聞いております。文部科学省といたしましては、多摩市からの御要望も受け止めた上でですね、引き続きまして、法令に則りまして適切に対応してまいりたいと考えております。

(了)

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大臣官房総務課広報室