永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年6月27日)

令和5年6月27日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

G20教育大臣会合出席などインド・マレーシアへの出張、令和5年度「こども霞が関見学デー」のプログラム等、ロボット研究、国際卓越研究大学の審査状況、自然科学分野における「質の高い」論文への日本の貢献度、東京学芸大学附属大泉小学校におけるいじめ重大事態、各教育委員会における教師不足への対応、中央教育審議会における質の高い教師の確保に関する議論

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年6月27日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年6月27日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年6月27日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 本日、私からは冒頭、2件ございます。
 6月21日から26日にかけまして、インド、マレーシアへ出張してまいりましたので御報告申し上げます。インドでは、6月22日に開催されましたG20の教育大臣会合に出席をいたしまして、私からは、まず、ロシアによりますウクライナ侵略を強く非難をいたしまして、教育に及ぼす影響について懸念を表明をいたしました。その上で、本年のG 7の議長国として、5月に私が議長を務めましたG7教育大臣会合の成果について紹介するとともに、G7とG20が将来展望と課題意識を共有するものであることということを確認をいたしました。また、本会合の当日に、プラダーン教育大臣と会談を行いまして、日本とインドの人的交流の更なる活性化等につきまして認識を共有いたしました。次に、マレーシアでは、カレド高等教育大臣との面会、また教育機関等の視察を行いまして、教育分野におきまして、日本・マレーシアの連携を強めていくことの重要性を確認したところでございます。今回の出張を通じまして得ました知見を踏まえまして、引き続きまして、教育分野におけます国際貢献と、関連施策の充実に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 2件目でございます。夏休み期間中であります8月2日と3日を中心にいたしまして開催をする「こども霞が関見学デー」の実施について御報告いたします。文部科学省では、私、大臣という立場ですが、と子供達の懇談、それから58の体験型のプログラムとオンラインプログラムを実施をいたしまして、子供たちの社会体験と、親子のふれあい機会を提供したいと考えております。体験型プログラムの多くは事前予約というものは不要でございますので、多くの御家庭にお越しいただきたいとそう思っております。私自身、子供たちと直接話をする機会というのもございますのでそれも楽しみにしているところでございます。また、8月2日の11時より、文部科学省3階の講堂におきまして、NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」です。チコちゃんと一緒に、2025年の大阪・関西万博を学ぶ企画を、内閣官房主催で文部科学省と連携をいたしまして、実施を予定しているところです。できるだけ多くの親子の方々に参加をいただきまして、夏休みの楽しい思い出作りになればと、そういうふうに思っております。
 以上でございます。

記者)
 ロボット研究についてお伺いします。経産省が社会実装系にふれているので文科省の学術的な研究と二極化している状態にあります。その状態で大学ではロボットからAIに、ハードウェアからソフトウェアにシフトしています。データ駆動型科学を進める上でAIとかデータサイエンスは特に重要だ、その先にたぶん実験の自動化であったり研究の自動化などが登場するという流れになってくると思うんですけれども、限られたパイでやっているので情報にシフトしちゃうとハードウェアが弱くなってしますというところもあって、問題意識と方策、中長期的なあれなんですけどよろしくお願いいたします。

大臣)
 ロボット研究についてご心配いただきました。日本がですね、今後、ものづくりの現場をはじめといたします幅広い分野での生産性の向上を図りまして、科学技術のさらなる発展や、安全・安心な社会を実現するためにはですね、我が国が強みを有するロボット研究を関係省庁と連携をして推進することは引き続き重要だと考えております。文部科学省では、基礎的・基盤的なロボット研究を推進しておりまして、例えばですね、ムーンショット型研究開発制度においては、政府の研究開発目標であります、AIとロボットの共進化によります、自ら学習をし、そして行動し人と共生するロボットの実現に向けた研究開発に取り組むなど、ロボットの制御分野の研究開発や人材育成を行いまして、それらの成果をAI分野との融合連携にもつなげるべくですね、経済産業省などとですね、連携をしながら総合的に進めているところでございます。文部科学省といたしましては、引き続きまして、関係省庁とも連携しながら、ロボットの基礎的・基盤的な研究開発に取り組んでまいりたいと思っております。

記者)
 国際卓越研究大学の認定について伺います。一部の報道ですと認定校の候補を東大・京大・東北大の3校に事実上絞っているといった内容もありましたけれども、選考の過程について教えていただけないでしょうか。

大臣)
 報道についてそういうことがあったということは承知をしております。有識者会議におきまして、書面審査に加えまして、大学側との丁寧な対話を実施する方針を踏まえまして、申請がございました全10大学に対して、面接審査を実施したと承知をしております。また、今後、研究現場の状況等を把握するために、現地視察を行うということはちゃんと認識をしておりますけれども、7月の現地視察の対象大学につきましては、6月末までには公表する予定でございますけれども、公表前でございますので、私のほうからの発言というのは差し控えたいと思っております。

記者)
 話題変わりまして、シュプリンガー・ネイチャーが先日、2022年に主要科学誌に掲載した論文数などに基づいて世界の研究機関の研究力ランキングの最新版を発表しました。そこでは自然科学の分野で中国が米国を抜いて1位になったというところ、あと日本については前年度同様に5位ということなんですけれども、算出されたスコアについては10%近く落としていまして、トップ5の国の中では最もスコアを落としているという状況です。中国の躍進、また日本の現状について大臣の受け止めですとか背景として何があるのかという点を教えていただけないでしょうか。

大臣)
 シュプリンガー・ネイチャー社のネイチャーインデックスというランキングにおきまして、2022年の自然科学分野の「質の高い」論文への貢献度におきまして、中国が米国を抜きまして、世界1位になったわけですね。日本はですね、前年と同様に世界5位であったものの、やはり点数は減少していたと承知をしております。この結果はですね、我が国の研究力が相対的に低下をしていることを示す一つの指標であると考えられまして、我が国のですね、研究力の向上が急務であると認識をしております。やはり文部科学省といたしましては、科学技術予算の拡充を進めるとともに、またイノベーションの源泉でございます研究力の強化に、引き続き、取り組んでまいりたいと思っております。

記者)
 東京学芸大学付属大泉小学校でおきたいじめ重大事態についてお尋ねします。同校で昨年にいじめを把握した担任が半年にわたって管理職に報告せず、報告を受けた管理職というのもいじめが解消したと不適切に判断した結果、被害児童が転校を余儀なくされるといういじめ重大事態があったことが判明しました。大学側は文科省に5月に報告したということですけれども、この事案についての文科省の受け止めを教えてください。またいじめ防止対策推進法が成立してから10年が経過しましたけれども、このような事案が未だに国立大学附属の学校でも法の趣旨が浸透されていないということについて文科省として今後どのように対応されていくのか、ご見解をお聞かせください。

大臣)
 今朝ですね、朝刊で報道されております東京学芸大学の附属の大泉小学校の事案につきましては、5月31日に文部科学省にも重大事態の発生報告がございました。いじめの対応にあたりましては、やはりいじめを積極的に認知するとともに、一人の教職員が抱え込むのではなくて、学校が一丸となって組織的に早期発見・早期対応し、いじめを受けた児童生徒を徹底して守り通すということが重要でありまして、今般の事案について、大変遺憾に考えております。今後ですね、第三者によります調査委員会を設置をいたしまして、重大事態調査を実施するものと報告を受けておりまして、文部科学省といたしましては、大学から報告を受けつつですね、必要に応じて、指導助言等を行うなどしっかりと対応してまいりたいと思っております。先ほどのことですけれども、これと同種の事案が発生しないようにですね、改めて法や国の基本方針、重大事態調査ガイドライン等の周知というものを図ります。そして国立大学附属小学校における取組の徹底というものもしっかりと図ってまいりたいと考えております。

記者)
 先般、文部科学省のほうで実施されました教員不足に関する調査のほうで伺いたいんですけれども、調査項目の中で正規教員の比率に目標を持っているかというような項目があったと伺っておりまして、その中で調査対象だった68の教育委員会のうち50が設けているというような回答だったというふうに伺っております。大臣、この数字の受け止めと、それから各自治体として正規教員の比率はどのくらいの目標設定が妥当だというふうにお考えなのか、それから教員不足も言われておりまして教員採用試験の倍率が相当下がっておりますけれども、その中で正規教員を増やすというのはなかなか確保するのが難しいというようなご意見も教育委員会の中にはあります。この点どのように解消されていかれるお考えでしょうか。

大臣)
 教員不足のことでございますけれども、令和5年度当初の教員不足の状況につきましては、今、記者さんからお話がありましたように、各教育委員会にアンケートをしました。その結果、やはり令和4年度と比べまして、「改善をした」と答えた自治体が11あります。また「同程度」と答えた自治体が28あります。「悪化した」と答えた自治体が29となりまして、引き続き厳しい状況が明らかとなっております。こうした状況からですね、しっかりと教員不足に対応しなければいけないと、そういうふうに考えているわけですけれども、安定的な学校教育を実現していくためには、正規教員をですね計画的に採用していくことが重要でございますが、今回の調査におきましては、目標を設定していると回答したのは、68都道府県・指定都市などのうち50団体でございました。一方、設定をしていないと回答した都道府県等に対する聞き取りによればですね、全国平均より正規教員の割合が高いため目標を設定しなかった、というふうに答えた団体もございましたが、教員の計画的採用の重要性ですとか教師不足の状況等を踏まえればですね、全ての都道府県等において速やかに目標を設定していただくことが望ましいと、そういうふうに考えております。このため、都道府県等に対しまして、今月20日付けの通知になりますけれども、改めてその旨を依頼させていただいたところでございます。具体的な目標につきましては、自治体によりまして、教師の年齢構成ですとか少子化の状況などの事情が様々異なりますので、文部科学省はお示しすることはですね、目標をお示しすることはございません。任命権者でございます各教育委員会におきまして、それぞれの地域におけます児童生徒数の見通しですとか、正規教員の割合の現状等を分析するとともにですね、全国の状況も参照しつつ、適切に設定していただきたいと、そう考えております。

記者)
 教員の働き方改革を巡る中教審の動き、緊急提言のお話について伺いたいと思っております。昨日、中教審の質の高い教師の確保特別部会が開かれまして、更なる働き方改革の取組を中心に直ちに取り組むべき施策について7月下旬頃に議論を詰めて提言をするという方向になったと思います。大臣が諮問で示されている逐次取りまとめというものに沿ったものかなと思うんですけれども、こうした緊急提言の必要性をどう受け止められて、またどんな内容を期待されているのか、8月の末には概算要求もありますのでそこにつながることにもなるかと思いますのでお考えを伺いたいと思います。

大臣)
 昨日、中教審の「質の高い教師の確保特別部会」の第1回目の会議が開催されました。この部会ではですね、働き方改革、処遇改善、そして指導・運営体制の充実等に関する様々な意見が出されるとともに、例えば、働き方改革に関します取組につきまして、早期にメッセージを発信するべき、といった意見がございまして、次回以降ですね、直ちに取り組むべき施策に関して、議論を深めていく予定であると承知をしております。来年度の概算要求につきましては、これしっかりと具体的に申し上げる段階では今はございませんのでご了承いただければと思いますけれども、しかしながらですね、骨太の方針では、2024年度から小学校高学年の教科担任制の強化ですとか教員業務支援員の小・中学校への配置の拡大を速やかに進めることなどが示されております。こうした方向性ですとか、特別部会における議論も踏まえまして教育の質の向上に向けましてやはり働き方改革、それから処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実、これは一体的に進めてまいりたいと、そう考えております。

記者)
 もしそういう提言への期待などがありましたらもう少し伺えればと思うんですけれども。

大臣)
 それはですね、今ここで言うことはやはり差し控えさせていただきたいと思いますけれども、やはり日本の未来をつくる子ども達への教育に関しましての学校の先生に対しての対応等ですね、しっかりと中教審のほうでも考えていただければなと思っております。

(了)

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