永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年6月20日)

令和5年6月20日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

令和4年度科学技術・イノベーション創出の振興に関する年次報告(「科技イノベ白書」)の閣議決定、新たな教育振興基本計画の閣議決定、インド(G20教育大臣会合)・マレーシア出張、骨太の方針2023(経済財政運営と改革の基本方針2023)の閣議決定、GIGAスクール構想による一人一台端末の更新の費用負担、教員の働き方や処遇改善に関する集中改革期間について、「LGBT理解増進法」の成立、いじめ防止対策推進法成立から10年

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年6月20日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年6月20日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年6月20日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から本日3件ございます。
 まず1件目でございます。本日、「令和4年度科学技術・イノベーション創出の振興に関する年次報告」が閣議決定されました。今回の白書の特集テーマは、「地域から始まる科学技術・イノベーション」です。地域の特性や強み、革新的な技術をいかして、社会課題解決や、新たな価値創造に取り組み、地域の魅力を拡大させている好事例を取り上げております。この他、コラム等も用いまして、科学技術・イノベーション政策やその成果などを紹介しております。この白書が、国民の皆様にとって、科学技術・イノベーションの重要性や、関連施策への理解を深めるきっかけとなることを願っております。
 2件目でございます。先週16日(金曜日)の閣議におきまして、これは持ち回りではございましたけれども、新たな教育振興基本計画を決定いたしましたので、御報告いたします。第4期となる新たな計画は「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を総括的な基本方針とし、その下に「グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」など、5つの基本的な方針を掲げております。その上で、これらの方針の下、16の目標と、基本施策、指標を示しております。文部科学省といたしまして、本計画に基づき、今後、教育政策を推進してまいります。
 そして3件でございます。明日6月21日(水曜日)から26日(月曜日)までの予定で、インド及びマレーシアを訪問いたします。まず、インドにおきまして、ダルメンドラ・プラダーン教育大臣との会談の後、G20教育大臣会合へ出席する予定でございます。本会合では、5月に私が議長を務めましたG7教育大臣会合の成果について、発信をしてまいりたいと考えております。その後、マレーシアを訪問いたしまして、カレド・ノルディン高等教育大臣との面会、教育機関の視察等を行ってまいります。マレーシアとは、日本の大学といたしまして初めての海外分校設置など、高等教育分野におきまして重要なプロジェクトをともに進めていることもございまして、日マレーシアの教育分野におけます連携の強化を進めてまいりたいと、そう思っているところでございます。
 以上です。

記者)
 2点、質問させていただきたいんですけれども、まず1点目、先ほどの科学技術白書について、地域科学イノベーションというのは今回のテーマであって、その分析を踏まえまして今後、文部科学省として特に注力したい取組、そして大臣として意気込みを聞かせていただきたいというのがまず1点目です。もう1点目は16日に骨太の方針の閣議決定がありましたが、大臣の見解を教えていただければと思います。

大臣)
 今般の白書で扱いました「地域」の課題は、簡単でなく、また、絶えず変化をしております。この課題の解決には、高い研究力の力ですね、研究能力を持つ地方大学や高専、そして地方公共団体、産業界など、地域の強みですとか特色を理解する様々な関係者が協働することが重要だと考えております。文部科学省といたしましては、国際卓越研究大学への支援と地域中核・特色ある研究大学への支援を両輪といたしまして、我が国全体の研究力をけん引をする研究大学群の形成等に全力で取り組んでまいりたいと考えております。そして加えまして、共創の場形成支援プログラム等での地域の自治体ですとか、あとは企業等の連携ですね、企業等との連携による地域の社会課題解決や地域経済の発展に向けた拠点づくりを進めるとともに、地域の大学や高専などから生まれる技術シーズを活用したスタートアップ創出にも強力に取り組んでまいりたいと考えております。
 もう一つ、骨太方針ですね、先週の金曜日16日に閣議決定をされました骨太の方針2023には、質の高い公教育の再生、研究の質を高める仕組みの構築、文化芸術・スポーツの振興、官民連携を通じた科学技術・イノベーションの推進など、文部科学省の施策が項目として掲げられております。この中には、例えば、教師の処遇改善や働き方改革、指導・運営体制の充実もありますし、国策として推進をしますGIGAスクール構想の展開、また量子技術、健康医療、宇宙、海洋などの各分野への投資の抜本拡充、日本語教育の推進体制の大幅な強化・拡充など、当省の重要な施策がしっかりと盛り込まれているところでございます。文部科学省といたしましては、今般盛り込まれました重要な施策をしっかりと進めていくため、令和6年度の概算要求などに向けまして、鋭意検討を行ってまいりたいと思っております。

記者)
 2013年6月にいじめ防止対策推進法が成立してから今月で10年を迎えます。この間、子供達の目線から見ていじめを巡る状況が改善したのかどうか、具体的な指標などとともに大臣の評価をお聞かせください。また、現状では学校が多忙化しておりまして、先生方が子供達の話をじっくり聞いていじめを早期発見するという対応が難しくなっていると聞いております。学校でのいじめ防止対策についての課題や認識と今後の対応策についてお聞かせください。

大臣)
 いじめ防止対策推進法が施行されまして、いじめの認知件数は、平成25年度の約18万件から、令和3年度には約61万件まで増加しておりますが、文部科学省といたしましては、学校がいじめを積極的に認知をして、そして解消に向けて取組に着手しているものとして、肯定的に評価をしているところでございます。あわせまして、いじめの認知件数が増加しているにもかかわらず、いじめの解消率が令和3年度においては8割を超えている点についても肯定的に評価をしているところでございます。他方ですね、いじめの重大事態件数が増加傾向にありまして、中には被害を受けた児童生徒がいじめを苦に自殺するなど最悪のケースに至っている事案も発生するなど、いじめの積極的な認知や組織的な早期発見・早期対応をより一層徹底していく必要があると、そういうふうに考えております。そのために、文部科学省といたしましては、今年の2月に、犯罪に相当するいじめ事案については直ちに警察に相談・通報を行い、適切な援助を求めなければならないことなど、取組の徹底を求める事項について通知を発出したり、また今年度からいじめの重大事態について報告を求めまして、調査報告書を収集・分析をして、国における政策立案に活用するなど、いじめの防止対策の改善そして強化に取り組んでいるところでございます。それとですね、これは引き続きまして、こども家庭庁をはじめといたしました関係省庁とともにですね、各学校において、いじめの積極的認知や組織的対応が図られるよう必要な支援に取り組んでまいりたい、そう考えております。そして学校現場での多忙さが問題になっているというところでございますが、やはりいじめの早期発見・早期対応のための、教師だけではなくですね、様々な関係者との協力連携を行っているところであります。令和5年度予算におきましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実ですとか、24時間子供SOSダイヤルやSNSを活用いたしました相談体制の整備推進などを盛り込みまして、教育相談体制の強化に取り組んでおります。あわせまして、1人1台端末を活用いたしまして、悩みや不安を抱える児童生徒がSOSを発信したり、教員等とのチャットでですね、学校の先生と気軽に相談できるようにするなどの取組事例も積極的に全国に周知をしているところでございます。いじめの未然防止、それから早期発見・早期対応等に係る取組のより一層の充実に向けて取り組んでまいりたい、そう考えております。

記者)
 先ほどの骨太の方針に盛り込まれた、教員施策の3年の集中改革期間というところについて2点、伺いたいと思います。一つは骨太の方針の中には教科担任制ですとか教員業務支援員、給特法などの施策が書かれていますけれども、このほかにもたくさんの政策を文部科学省ではご検討されていると思います。こういうほかのいろんな政策を含めた集中改革期間の全体図というものをどういうふうにお考えなのか、また政策を具体化していく工程、スケジュール感について伺いたい、これが一つです。もう一つは3年の集中改革期間のゴールを一体どこに設定してらっしゃるのか、どうお考えなのかという点でございます。教員が多忙だというのは今の質問にもあったように間違いないし、実際になかなか十分には改善していない、この3年の集中期間が終わるとその頃には教員の多忙さというのはどういうふうに変化していくのか、そういうゴールをどう考えていらっしゃるのか、この二つを伺いたいと思います。

大臣)
 先週16日に閣議決定されました骨太方針の2023にはですね、「質の高い公教育の再生」に向け、2024年度から3年間を集中改革期間といたしまして、来年度から小学校高学年の教科担任制の強化ですとか教員業務支援員の小・中学校への配置拡大を速やかに進める、そして2024年度中の給特法改正ですね、給特法の改正案の国会提出を検討することなどが盛り込まれております。政府の重要課題ですとかそれに対する取組の方向性などを示します基本方針である骨太方針におきまして、これらの方向性が示されたことは教育行政の推進に当たりまして大変有意義なことであると、そう受け止めております。今後進めていくべき施策の全体像につきましては、5月の中央教育審議会への諮問におきまして明らかにしたところでございまして、働き方改革、それから処遇の改善、そして学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めていくことが重要だと思っております。今後ですね、骨太方針を踏まえまして、中教審におきまして具体的な制度設計の検討を進めることとしておりまして、スケジュールにつきましては、逐次、取りまとめいただくことも含めまして、来年の春頃に方向性を示すことを一つの目途と考えているところでございます。またゴール設定ということではございますが、学校におけます働き方改革は成果は着実に出てあるものの、依然として長時間勤務の教師も多くて、引き続きまして取組を加速させていく必要があるわけでございます。今お話申し上げましたような中教審への諮問ですね、これを総合的に検討を進めることとしておりますけれども、骨太方針では3年間集中改革期間として取組を進めていくことが盛り込まれておりますので、小学校高学年教科担任制の強化ですとか、あとは教員業務支援員の配置拡大などと並行いたしまして、他の施策について中教審におけます具体的な制度設計の検討を速やかに進めていただきたいと考えております。3年間の集中改革期間におきまして、上限指針の実効性向上に向けた枠組みの構築が重要であると考えておりまして、働き方改革を含みます教師を取り巻く環境整備に全力で取り組んでまいります。

記者)
 骨太の方針にこういう集中改革期間が盛り込まれているのは非常に重いと思います。そのことは日本中のたくさん働いている学校の先生はずっと見ていると思います。その先生達にこういう集中改革期間を通じてどういう状態、学校の先生達の働く職場環境はどういうふうに変わっていくのかということをもし大臣からの御決意をいただきましたけども、メッセージなどがあれば伺いたいと思います。

大臣)
 学校の先生の働く職場、学校の中で子供とですね、しっかり学校の先生が先生でしかできない仕事をしっかりと子供に向いてですね、できるように、そういう取組を今やっているところでございますので、先生が心置きなく子供達にですね、しっかりとした教育を一緒になって授けられるように、そういう気持ちで最終的にですが3年間が終わる頃にはできるように頑張りたいと思っております。

記者)
 先週、LGBT理解増進法が法改正しました。これまでも文部科学省は学校現場での子供達に向けた取組などを進められていると思いますけれども、この成立を受けて今後どのような取組を進めるのか、新たな施策など考えられていることがありましたら教えてください。

大臣)
 先週16日(金曜日)に、いわゆる「LGBT理解増進法」が国会で成立いたしましたことは承知をしております。これまでも文部科学省におきましては、学校教育や社会教育におけます人権教育を通しまして、多様性に対する理解、そして自他の人権の尊重等の態度を育む取組を進めるとともに、性的マイノリティの児童生徒等へのきめ細かな対応に資するよう、教職員向けの啓発資料ですとか支援の事例を提供するなどの取組に努めてきたところでございます。本法の趣旨や関係規定を踏まえまして、学校におけます児童生徒等の教育等につきましては、家庭・地域住民等の協力を得ながら児童生徒等の心身の発達段階に応じまして適切に対応いただくとともに、他の児童生徒等への配慮も行いつつ、性的マイノリティの児童生徒等への配慮を行っていただけるように引き続きしっかりと取組を進めてまいりたいと考えております。そして本法ができましてやはりどこが違ったか、違ってくるかというお話ですが、法律の第8条に、政府による基本計画の策定というのがあります。そして第11条に、関係省庁の連絡会議の設置について、それぞれ規定をされておりまして、今後、内閣府を中心としてこれらの策定作業等が始まるものと承知をしております。文部科学省といたしましても、関係省庁とともに連携をし、これらに適切に対応してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、教育委員会や学校等におきまして適切な対応がとられますように、引き続きまして取組を進めてまいります。

記者)
 骨太の関係でお聞きしたいんですが、GIGAスクールの1人1台端末のところの今回の書きぶりなんですけれども、これは引き続き公費で負担して保護者負担は発生しませんよというふうに理解していいのか、それも含めて今後の検討なのかというのを確認させていただきたいのと、仮に国費負担で行うという前提であれば財政負担は国費と地財措置でこれまで通り2対1でやっていくのか、その辺をどういうふうに考えておられますか。

大臣)
 GIGAスクール構想は、国が主導いたしまして開始したものでございます。持続的にこれを推進していくことが重要と考えております。先般、閣議決定されました「骨太の方針」でもですね、「国策として推進するGIGAスクール構想の1人1台端末について、公教育の必須ツールとしまして、更新を着実に進める。」旨を盛り込んだところでございます。早いところではですね、令和6年度に端末の更新を迎える自治体もございますことから、来年度の概算要求での対応も含めまして、これからですね、今後、これらの記述に基づき必要な予算の獲得に努めてまいりたいと思っております。そしてですね、お尋ねの国と地方の負担割合についてですが、今後の概算要求事項でございまして、現時点での明言というのは差し控えさせていただきますけれども、いずれにいたしましても、「国策といたしまして更新を着実に進める」という方針に基づきまして、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

(了)

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大臣官房総務課広報室