永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年6月2日)

令和5年6月2日(金曜日)
教育、文化

キーワード

著作権セミナー(AIと著作権)の開催、こども未来戦略方針の素案、公立学校教員採用選考試験の早期化・複数回実施等について方向性の提示、いじめに関与した生徒の氏名開示、電動キックボードに関する安全教育

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年6月2日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年6月2日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年6月2日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から1件ございます。
 AIと著作権の関係に関するセミナーを、6月19日(月曜日)ですが14時から、インターネット配信にて開催をいたします。本日15時より、参加申し込みを開始することとしております。AIと著作権の関係については、様々な意見や懸念があることを踏まえまして、本セミナーでは、文化庁の担当職員から、わかりやすく説明する予定でございます。本セミナーは、どなたでも参加可能でございますので、参加を希望される方は、16日(金曜日)までに文化庁のホームページより申し込みをいただきたいと考えております。文部科学省といたしましては、本セミナーなど、AIと著作権の関係について、丁寧な普及・啓発に努めるとともに、今後、AIの開発やAI生成物の利用に当たりましての論点を速やかに整理をいたしまして、考え方を周知・啓発してまいりたい、そう考えているところでございます。
 以上です。

記者)
 先日、教員採用試験を1ヶ月前倒しにすることを検討するように要請するとしていましたが、5月から6月にかけて教育実習が行われるケースが多い中で来年度から一次試験を6月に実施することは難しいのではないかと思うのですが、この点についてはいかがお考えですか。また前倒しすることで受験者数をどのくらい増やすことを見込んでいるのか教えてください。

大臣)
 具体的に申し上げましてどの程度の受験者数の増加が見込まれるか推測することは難しゅうございますけれども、やはり教員免許状を取得しながらも採用選考を受験することなく、他の職種に流れる層も相当数いるというのが現状でございますので、今ですね、特にですね、中学校・高校については、新規受験者数が減少しておりまして、今後の教員採用選考試験の前倒しによりまして、これまで他の職種に流れていた層が教員採用選考の受験へ向かう流れができることを期待しているわけでございます。いずれにいたしましても、教職の志願者を拡大をするにはですね、採用選考の改善だけではなくて、やはり学校におけます働き方改革も含めて、文部科学省、それから教育委員会、学校現場が一体となって、多角的な取組を進めていくことが不可欠だと、そういう認識でございます。
 教育実習の実施時期との調整につきましては、大学におきまして、理論と実践の往還による能力育成の観点からも、例えばですね、1~2年生の早い段階から学校現場の活動を体験させるなど、学生が柔軟に教育実習等を履修する方法を検討するべきと考えております。この点、教育委員会から、採用選考試験の時期について早めに情報共有していただくとともにですね、学校に柔軟な学生の実習受入れの理解、そして協力というものをお願いしていく中で、解決をされていく課題ではないかというふうには思っております。

記者)
 昨日公表されたこども未来戦略方針の素案についてお伺いします。奨学金の返済など、高等教育段階の支援について今回の素案で書き込まれていましたが、小中学校段階の支援についてあまり書き込まれていなかったという印象です。少子化対策においてこの部分はとても重要な部分だと思うんですが、その部分が今回の戦略方針に盛り込まれなかったことに対する大臣の受け止めを教えていただけますでしょうか。

大臣)
 今回の素案におきましては、「公教育の再生に向けた取組を着実に進めていくことが重要である」との記載がございますが、私といたしましても、少子化対策の一環といたしまして、子供を安心して任せられる質の高い公教育の再生を集中的に進めることが極めて重要であると考えております。とりわけ教師は、本当に我が国の未来をつくる子供たちを育てるかけがえのない存在でございます。教育への投資は何よりも重要だと思っております。今後ですね、文部科学省といたしましては、不登校対策を含めまして、次代にふさわしい教育の保障、優れた教師の確保に向けた働き方改革、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実の一体的な推進というものを、日常的な活用も含めましたGIGAスクール構想の次なる展開等に全力で取り組んでいきたいと、そういうふうに考えております。

記者)
 冒頭にありましたAIと著作権に関するセミナーのことでお伺いします。先月、AI戦略会議のブリーフィングで文化庁の中原審議官からやる予定であるというところで発言を受けたところなんですけれども、この時の質疑応答で内容は著作権法の30条の議論で開発・学習段階と生成利用は別の位置づけであるというところを丁寧に説明していきたいというようなご発言がありましたが、今回、今発表のあったセミナーの内容も主にそういったものになるということなんでしょうか。

大臣)
 本セミナーでは、AIとの関係についてポイントとなります著作権制度の概要を説明した上で、AIと著作権の関係について説明をいたします。具体的には、「AIの開発・学習段階」と「開発されたAIを用いてコンテンツを生成したり、また生成されたコンテンツを更に利用したりする段階」の各利用行為に着目をいたしまして、それぞれについて、著作権法の考え方を説明する予定でございます。また、生成されたコンテンツが著作物になるか、ということですね、そういう論点も説明する予定になっております。

記者)
 これは今回だけなんでしょうか。それとも今後何かしら続く予定でしょうか。

大臣)
 事務方より説明いたします。

事務方)
 今回のテーマはAIと著作権ですけれど、引き続き著作権の関係で周知・啓発の場を持たせていただきたいと考えております。

記者)
 採用試験の早期化と複数化につきまして重ねて伺いたいんですけど、先ほど教育実習のところでありましたけれども、こちらもまた教職課程の見直しということになりますと現場の負担であるとか学生の負担もあると思います。そちらの負担についてのご所感と、先ほどの衆議院文科委員会の答弁の中でさらなる早期化の意向を示しておられましたけれども、そこにきましてもご所感をお聞かせください。

大臣)
 5月30日(注)に教員採用選考の早期化に関しまして、各都道府県・指定都市教育委員会に対しまして「方向性の提示」を行いまして、第一次試験について、まずは来年度については6月16日を一つの目安として、できるだけ前倒しを検討していただきたいとお示しをいたしました。教育実習のことは先ほど申し上げましたけれども、いろいろございますが、臨時講師をしながら受験をする方への配慮につきましては、各教育委員会におきまして、教職経験者を対象とした現職教員としての経験を適切に評価をします特別選考を導入・活用するなどによりまして、試験の負担に配慮することが考えられます。また、大事なことはですね、現下の採用倍率の低下ですとか、また受験者数の減少という状況を前にいたしまして、教員採用選考試験の早期化等の工夫改善をもっと進めていくという方向性を国とそれから教育委員会と、そして大学、学校をはじめ全ての関係者で共有して、連携・協力をしていくことが大事と、そういうふうに考えております。
 (注)「5月30日」は、正しくは「5月31日」です。

記者)
 今の質問の中にも関連するところなんですけれども、今回、共同実施を検討する方向性も文科省として示されていましたけれども、大臣として将来的にどのような教員採用試験の日程や方式が望ましいと考えていらっしゃるのかについてお聞かせいただければと思います。

大臣)
 今回の「方向性の提示」の目的は、質の高い教師をしっかりと確保すると、そのためには教師志願者の増加を図ることが大事と、そういうふうに思っているわけでして、文部科学省といたしましては、教員採用選考に関して、早期化などの対応がこれで十分と考えているわけではございませんで、更なる前倒し等も含めまして、来年度の各教育委員会の対応状況を見ながら引き続きまして検討してまいりたいと、そういうふうには思っております。また、現状、教育委員会それぞれで試験問題を作成・実施をしている第1次選考をより効果的に、そして効率的に行いまして、各教育委員会が第2次選考でより丁寧でそして人物重視の選考作業ですとか、学校現場の教育課程へのよりきめ細やかな支援に注力ができますように、そういう観点からもですね、全国の共通実施によります共通試験化に向けた検討を進めていきたいと、そういうふうに考えているところです。

記者)
 今おっしゃっていたさらなる前倒しのところなんですけれども、これは例えば今回、6月16日を標準日としたわけですけれども、これを5月に持っていくとかもっともっと早めていく可能性を検討していきたいと、そういうことでしょうか。

大臣)
 教員採用試験はだいぶ民間の企業、また他の公務員の試験に比べましてだいぶ遅いということがございましたので、今回は6月16日というものが来年度実施していただきたいなということでご提示させていただきました。しかしながらそれだけでいいというわけではありませんで、やはりほかの就職の試験がありますよね、いろいろ。そういうことも踏まえながら、もっとまた検討していくということが大変重要だと思っております。

記者)
 熊本県内で高校生がいじめを苦に自殺した案件についてお尋ねしたいと思います。この調査報告書には加害生徒の名前が記載されていたんですが、当初、遺族には公表されていませんでした。遺族がこれを不服として提訴した結果、高裁の判決が確定しまして、加害生徒の氏名を公表するようにということを熊本県に命じています。加害生徒の氏名公表については第三者機関や教育委員会に委ねられているんですが、国レベルで指針を示すべきだという有識者の指摘もあります。国の対応について教えてください。

大臣)
 しかしながら今のお話、熊本県の事例でございますが、申し訳ございません。承知はしていないというのが本音でございまして、どういう状況にあったのかというのも承知はしておりません。しかしながらですね、いじめというものは決して許されないことでありまして、いじめにより子供達が深く傷つく、今回の場合は命を落とされたということでございますので本当に大変なことだと思っておりますが、いじめの対応にあたりましては、まずはいじめを積極的に認知をして、そして1人の教職員が抱え込むのではなくて学校が一丸となって組織的に早期発見・早期対応に努めていじめを受けた児童生徒を徹底して守り通す必要があると思っています。文部科学省では、これまで研修等におきましていじめの積極的な認知や対応について周知を行うとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実ですとか、24時間子供SOSダイヤルの周知であるとか、またSNS等を活用した相談体制の整備の促進、そしていじめの未然防止教育の充実などに取り組んできたところでございますので、これを一層周知し、そしてしっかりと対応させていただきたいと思っております。また先ほどの事案につきましては後程、担当課から報告があるやもしれませんので、しっかりと対応させていただきたいと思います。

記者)
 以前もお伺いしたんですが電動キックボードのことです。昨日、学校安全行政担当者連絡協議会で試乗会が開催されました。改めて16歳以上なら誰でも乗ることができる特定小型原付の安全教育について学校における必要性と今後の対応を教えていただきたいのですが。

大臣)
 7月1日から改正道路交通法が施行されまして、16歳以上の者であれば電動キックボード等について、免許がなくても利用が可能となるわけでございます。このことを踏まえまして、文部科学省といたしましては、高校生等に対する正しい知識を周知するなど、安全教育の充実に努めていく必要があると考えております。これまでも、警察庁と連携いたしまして改正法の周知に取り組んできたところではございますが、文部科学省の安全ポータルサイトに電動キックボード等の安全利用に関する情報を掲載をいたしまして、改めてですね、昨日付きではございますが各教育委員会に対して安全利用に係る指導について事務連絡を発出したところでございます。さらに昨日、各教育委員会の安全担当者向けの連絡協議会におきまして電動キックボードの試乗体験会を開催をするなど改正法の施行前にですね、電動キックボード等の安全利用に関する正しい理解を促したところでございます。文部科学省といたしましては、引き続きまして、警察との連携を一層強化をいたしまして、高等学校等におけます電動キックボード等に関する安全教室の実施など、高校生等に対する交通安全教育の更なる推進に取り組んでまいりたいと思っております。

(了)

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大臣官房総務課広報室