永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年5月26日)

令和5年5月26日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」の成立,令和5年3月卒業者の就職状況,地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(基金事業)の公募開始,「GIGAスクール特別講座」(ドイツ、フランス)の実施,先進レーダ衛星「だいち4号」の打上げ,「富岳」を利用した国産生成AIの開発,教員の働き方改革・処遇改善,智証大師円珍関係文書典籍の「世界の記憶」国際登録

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年5月26日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年5月26日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年5月26日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から4件ございます。
 昨日の衆議院本会議において、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が全会一致で可決・成立をいたしました。本改正は、量子科学技術研究開発機構により設置されます放射光施設ナノテラスの共用を促進し、研究開発基盤の強化等を図るものでございます。今後、改正法の施行に向けまして、有識者会議の報告を踏まえた基本方針の策定等を行うとともに、より多くのアカデミア及び産業界の研究者の皆様方に施設を活用いただけますように、地域パートナーともしっかりと連携しつつ、積極的な広報活動に取り組んでまいります。私もナノテラスを視察をしたわけでございますが、愛称もナノテラスでとても素敵でありまして、親しみを感じました。またナノテラス、上から見ますと銀色に光って大変丸くて可愛らしい、そして素敵な施設でございます。ぜひですね近くで学びます学生さん皆さん方にも、最先端の科学技術に関心を持っていただきまして、将来を考える糧にしていただきたいとそう思っております。
 2件目でございます。令和5年3月に卒業した学生等の就職状況の調査結果がまとまりましたので、ご報告申し上げます。大学生の就職率は昨年と比べまして1.5ポイント上昇の97.3%、高校生の就職率は昨年と比べ0.1ポイント上昇の98.0%となりました。大学生の就職率は、新型コロナウイルス感染症拡大前の令和2年3月卒ですねの98.0%が過去最高値でございましたけれども、今回の数値はこれに近い水準まで改善してきているところでございます。また、高校生の就職率につきましても高水準を維持しております。文部科学省といたしましては、学校関係者や関係省庁などと連携いたしまして、未就職のまま卒業された方が一人でも多く就職できますように、引き続きまして学校や自治体等との取組を促してまいる所存です。
 3件目でございます。地域中核・特色ある研究大学の振興のため、新たに創設いたしました基金事業について、本日午後に、日本学術振興会より公募を開始いたします。本事業は、大学における研究力の飛躍的な向上に向けまして、強みや特色のある研究力を核とした戦略的な経営を支援するものでございます。申請を検討する大学においては、国際卓越研究大学とともに、我が国の研究力をけん引する大学群の一翼を担うことを意識をして、研究力向上に向けた大胆そしてかつ実効的な戦略を御提案いただくことを期待しております。
 4件目でございます。文部科学省では、G 7広島サミット及び関係閣僚会合を契機として、「GIGAスクール特別講座(国際交流)」というものを実施をしております。第1回目はカナダ大使館ですねでやりましてこれに引き続きまして、第2回目以降の実施予定をお知らせしたいと思います。第2回目は、ドイツ大使館との特別講座を6月5日14時から、そして第3回、フランス大使館との特別講座を6月19日に実施予定でございます。参加者は、1人1台端末を活用し、各国の歴史・文化などの紹介を聞いた後にですね、クイズなどを交えて交流をしていただくとそういう予定でございます。その後も、アメリカ、イギリス、イタリアの各国大使館との連携によりまして、同様の特別講座を実施してまいります。またとない機会ですので、全国の子供達にぜひ参加して欲しいと考えております。本講座がG7間の友好をですね一層深めまして、国際理解教育の推進の大きな一助となることを期待しております。
 以上でございます。

記者)
 幹事社から2点、お伺いさせてください。H3ロケット2号機について、衛星を載せずに打ち上げる方針が示されましたが、「だいち4号」の運用開始が遅れることについてのお考えをお聞かせください。2点目が東工大がスパコンの「富岳」を使って国内で生成AIの大規模言語モデルの開発を行うと発表しました。国内生成AIの開発推進なども含めてどういったことを期待されるか教えてください。

大臣)
 それではH3ロケットのほうからですね。先進レーダ衛星「だいち4号」は、やはり関係省庁を含めまして、今後の活用の期待も大きい衛星と承知をしております。その「だいち4号」を、できる限り確実かつ早期に打ち上げるためにも、次のH3ロケット試験機を、まずは早期に実証することが必要であると考えております。なおですね、現在運用中のレーダ衛星「だいち2号」これは、防災を含めまして、様々な分野で活用され貢献しております。現状は、安定的に運用されているとそういうことでございます。引き続きまして、「だいち4号」はもちろん、各種衛星をしっかりと打ち上げていけますように、H3ロケットの打ち上げ再開に向けて、全力で取り組んでいくという気持ちでござます。
 そして東工大の話がでました。生成AIの開発には、大量のデータを効率的に処理できる高性能な計算資源が必要不可欠でございます。一方で、「富岳」はですね、科学技術計算やシミュレーションに最適化されておりまして、必ずしも生成AIの開発に必要な処理を得意とするものではございません。東工大等の研究課題はですね、生成AIの開発の効率的手法を確立して、「富岳」の計算資源の提供を行うようにするものでございます。今後とも、生成AIの開発に関する産学官の「富岳」の利用が促進されることを期待しております。

記者)
 教員の働き方改革についてお伺いいたします。大臣が22日に諮問された働き方改革や処遇改善などの総合的な方策について今週、中教審での議論が始まっております。諮問では審議の状況に応じて逐次必要な部分について取りまとめを行うこととなりましたけれども、学校現場で頑張っておられる先生からは一刻も早い改善を求める声も聞いております。そこで諮問事項のうち、特に優先順位の高いものであったりとか今年度から取り組むべきであるとお考えのものがあればお聞かせください。

大臣)
 学校における働き方改革は、やはり教職員定数ですとか支援スタッフ、それから勤務制度、校務の効率化の在り方など、本当に様々でございまして論点がですね、総合的・複合的に関わる課題であると考えております。このため、今後のスケジュールについては、現時点で方向性を示す時期が決まっているものではありませんけれども、やはり一定程度は時間を要するのではないかとそう考えております。その上で、施策を迅速かつ着実に実施していくために、審議の状況に応じまして、場合によっては、逐次、取りまとめいただくことも含めまして、来年の春頃に方向性を示すことと、これを一つの目途として検討を進めてまいりたいと思っております。今お伺いいたしました、質問いただきました、どういうように逐次、取りまとめていくかというお話でございますが、これはどのような内容をですね、逐次取りまとめていただくかということは、今後の審議の状況によるものと、そういうふうに考えております。私といたしましては、教育の質の向上に向けまして、働き方改革、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実というものを一体的に進めていただきたいとそう考えております。

記者
 24日にありましたユネスコの執行委員会で滋賀県の園城寺などが所蔵する僧である円珍に関する資料が「世界の記憶」遺産に登録されることが決まりました。これは日本政府がユネスコの制度改革を求めて改められて以来、初の登録となります。円珍に関する文書が登録されたことと、また制度改革がなされたことに関して大臣として所感やご評価などがあればお伺いします。

大臣)
 一昨日ですね、ユネスコの執行委員会におきまして、ユネスコの「世界の記憶」について、我が国から申請案件でございます「智証大師円珍関係文書典籍」の国際登録が認められました。この「円珍関係文書」は、平安時代に中国・唐に渡り、日本に密教の教えをもたらした智証大師・円珍に関連する史料群でありまして、日本と中国の文化交流の歴史などを知ることができる大変貴重な資料であると承知をしております。この度の、ユネスコの「世界の記憶」への登録が認められたということは大変喜ばしいことであると、関係者の皆様方に祝意を表したいと思っております。

(了)

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