永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年5月9日)

令和5年5月9日(火曜日)
教育、その他

キーワード

G7富山・金沢教育大臣会合、「生成AI」に関するガイドラインの検討、教員の働き方改革に係る踏み込んだ業務の適正化、埼玉県所沢市立中学校におけるいじめの重大事態

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年5月9日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年5月9日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年5月9日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは1件でございます。
 4月30日から5月4日にかけまして、スペイン及びフランスに出張いたしましたので、御報告を申し上げます。スペインでは、世界文化遺産の「サグラダ・ファミリア」の主任彫刻家であります外尾悦郎氏に文部科学大臣表彰状を授与いたしまして、文化芸術の振興や世界への文化発信に関する功績を称えることができました。フランスでは、パリ日本人学校を訪問いたしました。英語やフランス語のきめ細かな学習ですとか、また、現地の学校との交流など、国内での教育の国際化の検討に繋がる取組というものを視察をさせていただきました。また欧州宇宙機関のアシュバッハー長官と、月周回有人拠点「ゲートウェイ」に関します協力ですとか、また国際宇宙ステーション運用終了後の地球低軌道の活動のあり方などについて意見交換を行いました。さらに国際協力によります核融合実験炉であります「イーター」を訪問いたしまして、取組が進捗している状況を現地で把握するとともに、バラバスキイーター機構長ですとか、あとは日本人の方ですけれども鎌田副機構長との会談を通じまして、イーター計画に対しまして我が国が引き続き貢献する意志というものをお伝えさせていただきました。今回の出張を通じまして得た知見を踏まえて、引き続きまして、関連施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。

記者)
 G7の教育大臣会合が今週末から始まります。AIの進展など新たな教育課題も出てくる中、どのような議論を展開しどのような機会としたいのか、大臣のお考えや意気込みをお聞かせください。

大臣)
 この週末になります5月12日から15日にかけまして、G7富山・金沢教育大臣会合が開催をされます。2016年のG7倉敷教育大臣会合以降ですね、新型コロナウイルスのまん延ですとか、またロシアのウクライナ侵略、急速なデジタル化の進展等、世界は本当に様々な変化に直面をしてまいりました。このため、今回の教育大臣会合では、「コロナの影響を踏まえた今後の教育のあり方」という全体テーマに基づきまして、コロナ禍を経て再確認をされた学校の役割ですとか、教育を通じた国際交流の重要性などについて議論をしたいと考えております。今、AIはどうかというお話でございましたが、G 7の教育大臣会合における詳細な議論の内容につきましては、現在ですね、関係各国と最終的な調整を行っているところでありますので、現時点でのコメントというものは差し控えさせていただきたいと思っております。

記者)
 生成AIの取り扱いについてお伺いします。昨日、政府のAI戦略チームにおいて中教審が今月中旬にも教育現場における生成AIの利用に関するガイド作成に向けた方針を議論することが明らかになりました。大臣はかねてから速やかに策定を目指すとおっしゃられておりますが、改めて文科省として策定に向けた議論をどう進め、策定時期のめどがいつくらいになるかというのをどう思い描いていらっしゃるかをお聞かせください。

大臣)
 政府のAIの戦略チーム、これは2回目の会合が開催されたというのは知っておりますし、また、事務方のほうが参加をしているわけでございますが、文部科学省の中でというお話でございますが、ガイドラインの公表時期につきまして、具体的にいつかということを尋ねられましたけれども、やはり早急に有識者の方々の御意見聴取を行いまして、政府全体のいわゆる「生成AI」に関する議論の状況も踏まえて、できるだけ早く取りまとめたいというふうに考えております。また、ガイドラインではですね、生成AIについての説明、情報活用能力との関係の整備ですとか、また年齢制限や著作権、個人情報の扱いというのもありますし、また活用が考えられる場面、禁止すべきと考えられる場面、それの提示ですね、それと生成AI自体を学ぶ授業や具体の活用方法等の授業デザインのアイデアなどを取りまとめることを現時点では想像をしております。これらの方向性については、16日(火曜日)に開催を予定しております、中教審のデジタル学習基盤特別委員会にもご議論をいただきたいというふうには考えているところでございます。

記者)
 先日、教育勤務実態調査の結果が公表されたところですけども、先月28日の財務省の財政制度分科会で教員の働き方改革について教員が担う必要のない業務については文科省・教育委員会は強制的にでも教員の業務としない整備をするなど踏み込んだ業務の適正化を進めるべきと、強制的にという強い言葉で指摘されました。文科省では今後、教員の働き方改革について中教審等で議論されていくことと承知しておりますけれども、この財務省の指摘についてどのように受け止められますでしょうか。

大臣)
 財政制度等審議会におきまして、「踏み込んだ業務の適正化を行うべき」という指摘があったことは承知をしております。文部科学省といたしましては、平成31年の中央教育審議会の答申で示されましたいわゆる「学校・教師が担う業務に係る3分類」に基づきまして、業務の考え方を明確化した上でですね、また役割分担ですとか適正化を推進をいたしまして、令和4年度の教育委員会におけます学校の働き方改革のための取組状況調査におきましても、一定の改善がですね、見られたところでございます。一方で、学校以外の主体の協力を得る必要のある取組には課題がございまして、本年4月に取りまとめられました有識者会議の論点整理におきましても、やはり「3分類」につきまして、更なる役割分担・適正化を推進する観点から改善を検討することが論点として示されております。今後は、やはり論点整理で示された更なる働き方改革の推進方法、これを含めまして、中央教育審議会におけます検討に速やかに着手をする予定でございます。教育の質の向上に向けまして、働き方改革、処遇の改善、そして学校の指導・運営体制、これの充実というものを一体的に進めていきたいと、そう考えているところです。

記者)
 埼玉県所沢市立中学校でいじめによる不登校が1年2ヶ月続いた男子生徒について、この春にその生徒は卒業しているわけですが、卒業後の4月に重大事態と学校が認定していることが明らかになりました。いじめを理由とした不登校については茨城大付属小でも報告が遅くなったという問題がありましたけれども、法に基づいた対応がなかなか現場でされない現状もあるかと思います。埼玉の事案についても受け止めを伺えればと思います。

大臣)
 埼玉県所沢市立中学校の事案でございますが、今後、第三者委員会が設置をされまして、対応に問題がなかったかなどを含めて調査を行うものと承知をしております。現時点でコメントするということは差し控えさせていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、やはりいじめの重大事態の対応に当たりましては、やはり被害児童生徒やその保護者の方々のいじめの事実関係ですね、これを本当に明らかにしたいという本当に切実な思いというものを理解をしていただきまして、法律や国の基本方針、重大事態調査ガイドライン等に基づいて対応するということが重要だと思っております。文部科学省といたしましては、法や基本方針の周知徹底をさらに図るとともにですね、今年度からは、こども家庭庁とも連携をしながら、いじめの重大事態について国に報告を求めるということ、その中で、個別事案の進捗を確認しながら、必要な助言や支援というものを行ってまいりたいと思っております。やはり重大事態調査ですね、これの適切な運用、これをしっかりと対応しなければいけないと考えております。

(了)

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