永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年4月28日)

令和5年4月28日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

第4期海洋基本計画の閣議決定、私立学校法の一部を改正する法律の成立、教育未来創造会議第二次提言のとりまとめ、文部科学大臣科学技術顧問の任命、令和4年度教員勤務実態調査の速報値公表、コロナ禍の3年間の振り返りとこれからの学校教育への期待

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年4月28日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年4月28日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年4月28日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から本日はちょっと多くて5件ございます。
 本日の閣議におきまして、第4期海洋基本計画を決定いたしました。これまでの第3期の基本計画では「総合的な海洋の安全保障」が柱であったところ、これに加えまして、「持続可能な海洋の構築」を新たな柱に掲げました。文部科学省としては、総理の指示を踏まえまして、本計画の着実な実施に向けて、総合的な海洋の安全保障に資する海洋調査・観測等に係る研究開発、またもう一つ、持続可能な海洋の構築に資する北極・南極を含めた地球観測によります気候変動予測の高度化や、海洋科学技術に携わる人材の育成など、関係省庁と連携をしつつ、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
 2件目でございます。今国会に提出をしておりました「私立学校法の一部を改正する法律案」が、26日の参議院の本会議におきまして全会一致で可決をされまして、成立をいたしました。新制度の効果を最大限発揮させるためには、各学校法人や、学校法人に対しまして指導助言を行う立場にあります都道府県が今回の制度改正の趣旨や内容をしっかりと理解するとともに、学校法人が自ら率先してガバナンス改革を行っていただくことが重要であると考えております。今回の制度改正が、真に実効性のあるものとなりまして、私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるために、文部科学省におきましても、しっかりと取り組んでまいりたい、そう考えております。
 3件目でございます。昨日、教育未来創造会議におきまして、第二次提言として、「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ」、略称「J-MIRAI」と言いますけれども、取りまとめまして、本日閣議報告を行いました。今回の提言は、コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資に関しまして、コロナ後の新たな留学生派遣・受入れ方策、留学生の卒業後の活躍に向けた環境整備、そして教育の国際化の推進につきまして、今後取り組むべき具体方策等を取りまとめたものでございます。今後は、まず富山・金沢教育大臣会合、そして広島サミットを通じまして、G7各国間でですね、海外留学をはじめとした国際交流を推進してまいりたいと考えております。また、関係各省と連携いたしまして、施策の工程表を夏頃までに作成するなど、提言の着実な実行に向けまして、政府として全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 4件目でございます。この度、本年5月1日付けで、小安重夫氏を文部科学省顧問に任命することといたしました。小安氏は、科学者としての高い見識と、国内外の科学技術・学術分野の関係者との幅広いネットワークを有することから、「文部科学大臣 科学技術顧問」といたしまして、科学技術・学術行政に関します重要事項につきまして情報の提供ですとか、また助言等をいただきたいというふうに考えているところでございます。
 5件目になります。本日、「令和4年度教員勤務実態調査」の速報値を公表いたしました。今回の調査結果からは、平成28年度に実施した前回調査と比較して、全ての職種で平日・土日ともに在校等時間が減少していること、業務内容別では、成績処理や学年・学級経営、学校行事、部活動など様々な業務で減少が見られること、働き方改革の取組に一定の進捗が見られること、などが明らかになったものと考えております。一方で、今回の調査結果を基に推計をいたしました教師の月当たりの時間外在校等勤務ですが、小学校は約41時間、そして中学校は約58時間となっておりまして、依然として長時間勤務の教師が多く、引き続きましてこの取組をしっかりと加速をさせていく必要があると認識をしております。今後はですね、有識者等から構成されます調査研究会におきまして整理された論点を基に中央教育審議会におけます検討に速やかに着手をする予定でございます。私といたしましては、今回の調査結果等を踏まえまして、教育の質の向上に向けて、働き方改革、処遇の改善、そして学校の指導・運営体制の充実を一体的に進めていきたいと考えているところでございます。
 長くなりましたが以上です。

記者)
 幹事社から2点質問いたします。1点目は冒頭発言にあった勤務実態調査についてです。依然、長時間勤務の教員が多い状況が浮かびましたが、大臣の率直な受け止めを改めてお聞きしたいのと、給特法の改正も含めた改革の必要性について大臣の見解をお聞かせください。2点目は新型コロナです。5類感染症に移行することが正式に決定されましたが、この3年間を振り返っての思いと、5月8日以降の学校教育活動への期待について伺います。

大臣)
 それでは勤務実態調査の進展等についてお話し申し上げます。先ほども申し上げました通り、前回調査との比較では、在校等時間が減少しております。また働き方改革の成果が着実に出つつあるものだとは思っておりますが、やはり依然として長時間勤務の教師が多くて、引き続き取組を加速させていく必要があると、そういう認識でおります。今後は、中央教育審議会における検討、これ先ほども申し上げましたけれども速やかに着手をする予定でございます。あと今後の検討の具体的な方向性につきましては、現時点で決まっているということはございませんけれども、今回の検討は、給与をはじめまして、教職員定数ですとか支援スタッフ、勤務制度、それと校務の効率化の在り方など、様々な論点が総合的に、また複合的に関わる課題でありまして、しっかりと議論を行う必要があると認識をしております。私といたしまして、こうしたことを踏まえつつですね、スピード感を持って検討を進めまして、教育の質の向上に向けまして、先生方の働き方改革、そして処遇の改善、学校の指導そして運営体制ですね、この充実、これを一体的に進めていかないといけないと、そういうふうに考えているところです。
 コロナでございますが、5月8日に5類移行というのが決まりまして、そういうことが閣議決定されたわけですけど、3年間以上かかりました長期にわたります感染症対策の徹底、また児童生徒の学びの保障の両立に全力を尽くしてくださいました学校現場の皆様方に対しまして、改めて深く本当に感謝を申し上げたいと思っております。子ども達にとりましては、感染症対策によって本当に学校生活では様々な行動が制限されるということが生じた中でですね、不安なことや、また困難なことも多かったと思います。そんな一方でですね、当たり前と思っていた日常、これの大切さというのも実感できたというのも一つの思いであると思います。オンラインで学びを続けると、学び続けることができたというのも新たな経験でございましたし、子供たちの今後の人生の中で大きな力になる期間であったのではないかと、そういう面もあるなというふうには考えております。学校での学びというのはこれまで制限されてきた様々な教育活動、これを再開するわけでございますので、さらに充実した学校教育を展開していってもらいたいと思っております。ただしですね、単にコロナ禍以前の姿に戻るようなことではいけないというふうには思っております。具体的には、コロナ禍でGIGAスクール構想の下でですね、新たに生み出された多様な教育実践、これを取り入れたりですね、個別最適な学びと協働的な学びというものの一体的な実現ですとか、コロナ禍での活動の工夫や見直しも踏まえた、学校行事などの実施、そして児童生徒が本当に多様な他者とですね、交わること、豊かな体験活動の充実というのも必要かと思います。こういうものを通じていわばですね、新しい学びのあり方へと進化を図っていくことが重要なのかと思っております。こうした今後の学校教育活動につきましては、本日、各教育委員会等に対しまして周知を行う予定でございます。全国の子供たち一人一人がですね、毎日の学校生活を通じまして、健やかに成長していくことができますように、文部科学省といたしましても、引き続きまして、学校現場の皆様への支援にしっかりと努めてまいる所存です。

記者)
 今の新型コロナの関係で追加で伺いたいんですけど、5月8日以降の感染対策の変更点があればお願いします。やらなくていい事などがあれば。一部報道で感染不安の児童生徒については引き続き欠席扱いじゃなくて出席停止等の扱いにするという報道もありますけれども、この辺の事実関係も合わせてお願いします。

大臣)
 マスクの着用につきましては、先行して見直しを行いまして、新学期以降、学校教育活動に当たりましては求めないということを基本としておりますけれども、今般、新型コロナの5類感染症への移行にあたりまして、それ以外の感染症の対策についても見直しを行いまして、「衛生管理マニュアル」を改定することといたしました。その中では、感染状況が落ち着いている平時におきましては、健康観察や換気の確保、そして手指の衛生といった日常的な対応を継続しつつ、それ以外に特段の感染症対策を講じる必要がないということではございます。しかしながら他方ですね、感染症の流行時、これはインフルエンザも同じですけれども、活動場面に応じた対策を一時的に検討することが考えられることなどをお示しすることとしているところです。また、併せまして、社会一般におけます療養期間の考え方等を踏まえまして、省令改正を行いまして、新型コロナに係る出席停止期間の基準を定めることとしております。その後、教育委員会ですとか学校に対しまして通知を発出する予定となっております。今後、これらの考え方につきまして、様々な機会を通じてですね、教育委員会や学校に丁寧な情報発信を行うなど、5類感染症への移行後において、児童生徒が安心して充実した学校生活を送ることができますように、引き続きまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。先ほどお聞きになりました出席停止につきましては、引き続きまして校長が出席しなくても良いと認められた日として扱うということになります。

記者)
 3件質問させてください。今回の調査結果を受けて、先ほどの質問と被ってしまうかもしれないんですけど、文科省として教職員の長時間労働についてどの程度の危機感をもって受け止められているのかというのが一つ、二つ目が改廃を求める署名の動きもあった給特法についてどういった方針で議論を進めていくのか、また改廃については雇用調整額を上げるだけであれば教職員は残業をしてもいい環境を整えるだけで根本的な解決から遠ざかるのではないかという反対意見もあるかと思うんですけれども、その辺りをどう受け止めていらっしゃるかお願いいたします。

大臣)
 長時間労働のお話がございました。これは先ほどもお答えしたのかなとは思いますけれども、前回の調査と比較しまして、在校等時間、これは今回の調査結果では減少したということでございます。またこれはやはり減少した一方で、依然として長時間勤務という教師も多いという結果でございまして、重く受け止めております。そんな中で、学校教育の成否というのは教師にかかっておりますので、現場の教師がやりがいを持ってですね、働くことができますようにするとともに、優秀な学生が教師を目指すことにもつなげていくためには、働き方改革ですとか、やはり計画的な定数の改善、学校DXの推進、そして採用選考の改善等を通じて、教職の魅力を向上させること、これも重要というふうに新たな思いをしたところでございます。いずれにいたしましても、働き方改革、何か一つやれば解決できるといったものではなくて、国と学校と教育委員会が連携をいたしまして、それぞれの立場において、教師が教師でなければできないこと、これに全力投球ができるようにですね、環境を整備するということが重要と思っております。文部科学省が先頭になりまして、学校における働き方改革、これに必要な取組をしっかりと進めていきたいというふうには思っております。
 給特法のあり方についてもお聞きいただきました。今後の検討の具体的な方向性につきましては現時点で決まっていることはないんですね。まだございません。今後はですね、調査研究会におきまして整理された論点を軸にですね、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な取組を含めて、中央教育審議会におけます検討に速やかに着手をしたいと、そういうふうに考えているところでございます。
 もう一つ、実態調査の公表後の円滑な検討に資するようにということで、以前から有識者等から構成されます調査研究会において、給特法等の関連をする諸制度ですとか学校組織体制などに関する議論を整理したところでございます。4つですね、論点を大きく分けましてあります。1つ目が教職の調整額のあり方やメリハリなどの給与、2番目が勤務制度、そして3番目が教職定員数ですね、そして4番目が支援スタッフのあり方など、多岐にわたる論点、大きなところではこれが盛り込まれております。給特法のあり方に関します今後の検討の具体的な方向性、これは同じように決まっておりませんけれども、調査研究会においてですね、整理された論点を基に、処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含めて、中央教育審議会におけます検討に速やかに着手をしてまいります。

記者)
 勤務実態調査で引き続き伺いますけれども、文科省の推計のほうで小学校の約6割以上、中学校の7割以上の方が文科省の定めたガイドライン、指針に満たない勤務ということでオーバーしているというような状況もあるということなんですが、なかなかいろいろな取組、前回の調査以降、進めてこられているとは思うんですが、なおこれだけ多い基準を超える方がいらっしゃるということについて、なぜこういう状況になってしまっているのか、そういうところの分析とか評価を伺いたいのが1点です。

大臣)
 今回の調査は1週間の勤務実態を調査したものでございまして、調査対象週以外の週の勤務実態は不明でございます。ということで月45時間を超えて時間外勤務をしている教師の割合を正確にですね、本当にこの通りであるというふうに正確に把握することは困難でございます。その上で、仮に調査対象週と調査対象週以外の週の在校等時間が全く同じだと仮定した場合に、通常期の時間外在校等時間が月45時間以上のものの割合が概ね1週間に50時間以上の在校等時間の割合と考えられまして、その割合が小学校で64%、これは約ですね、そして中学校で約77%となっているわけでございます。前回調査との比較ではですね、在校等時間が減少しておりまして、働き方改革の成果というのが着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教師も多くて、引き続き取組を加速させていく必要があると、そういう認識でいるわけです。

記者)
 業務がやっぱりなかなか多いというところに煮詰りの原因があるのか、DXが進まないとか、その辺り、どの辺が煮詰まりがあるのか。

大臣)
 そういうことをですね、しっかりと調査の分析というものをいたしまして、中央教育審議会の方で議論をしていただき、何が悪かったのか良かったのか、そしてどうしたらいいのかということをお示しいただくと、そういうことになっております。

記者)
 中教審の検討なんですけれども、有識者による調査研究会では新たな手当を創設するなど、メリハリのあるあり方を検討すべきという論点整理をしています。先ほど大臣、この論点整理を軸に検討するというふうにおっしゃいましたけれども、そうすると新たな手当を創設するとか、その辺りが待遇改善に向けては検討の軸になるという理解でよろしいでしょうか。

大臣)
 そこのところまではですね、今ここで申し上げるべきではないかと思っております。やはり検査研究において整理をされました論点等を基にですね、教師の処遇を定めた給特法等の法制的な枠組みを含めて、中央教育審議会における検討に速やかに着手をしたいと、そういうことになります。

(了)

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