永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年4月11日)

令和5年4月11日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

子育て政策に係る子連れ優先入場の博物館の対応、茨城大学教育学部附属小学校のいじめ事案、教員に対する奨学金返還免除制度の議論、H3ロケット打上げ失敗の原因究明状況、早稲田大学における学生へのハラスメント問題、2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年4月11日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年4月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年4月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

記者)
 こども・子育て施策に関してお伺いします。岸田首相は国立博物館などで子連れが優先入場できる「こどもファストトラック」の実現を掲げています。博物館などを所管する文科省として今後どのように対応していくお考えでしょうか。ほかにも首相は子育てに関して社会全体の行動や意識を変えることを表明しています。文科省として教育現場などでこの制度に関して取り組むことはあるでしょうか。

大臣)
 「こどもファースト」のことでございます。国立博物館などで子連れの方たちが優先的に入場できるということでございますが、幅広い年代の方々が多く集まる施設につきましては、子供連れを優先する取組を行うことは「こどもファーストの社会」の実現に向けて社会全体の意識を変えていく観点から、大変意義深いものだと思っております。国立博物館等におきましても、子供連れの方をですね、優先的にチケット販売売り場へですね、案内するなど、試行的取組を行いまして、現在、本格的な実施に向けた検討を行っているところでございます。文部科学省といたしましては、引き続きまして関係法人と相談をしながら、効果的な取組の実施というものを促進してまいりたいと考えております。そして学校でのことということでございますが、社会全体の行動意識を変えること、学校現場ではどういうようなということでございます。学校現場における教職員につきましては、やはり子育てに理解のある職場風土の形成等の観点から、男性職員の育児休業等の取得促進に向けた環境整備に関する周知を行っているほか、学校におけます働き方改革の推進等の取組を今は進めているところです。また、学校教育につきましては、従来より、男女が協力して、家族の一員としての役割を果たして家庭を築くことの重要性などについて取り扱っておりますけれども、さらにですね、現行の高等学校の学習指導要領では、例えば家庭科で、少子化の進展に対応して、乳幼児と関わるための基礎的な技能など、関連する内容の充実が図られておりまして、昨年度よりその実施が始まったところでございます。これは男女ともにですね、一緒になって乳幼児、小さい子に対面で会ってもらうとか、小さい子と一緒に時間を過ごしてもらうというようなことも今考えているところです。文部科学省といたしましては、引き続きまして、こうした取組等を通じて、関係省庁と連携しながら、少子化対策に資する取組というものを進めていきたいと思っております。

記者)
 茨城大の附属小学校でのいじめ事案について伺います。重大事態と認定したにも関わらず法律に基づいた報告がなされていなかったということでしたが、一部報道で大臣は昨日、太田学長にお会いし口頭で指導したという話が出ています。大臣からどのようなことを伝えて、とりわけ大臣ご自身の思いに関する部分、どのようなことをお伝えになったのかというところをお聞かせいただきたいと思います。さらに太田学長から現段階でどのような、なぜこのようなことが起きてしまったのかということ、あと今後の調査方針なども含めてどんな説明があったのかというところもお聞かせください。

大臣)
 茨城大学の教養学部の附属小学校で発生した(注)いじめの重大事態につきまして、法律に基づいた調査が長期間ですね、実施されずに、文部科学大臣への発生報告もされなかったことについては、大変遺憾であると思っております。国立大学の附属学校というのは、地域でもですね、モデル校となるべき存在でありまして、こうした事態はあってはならないとそう考えております。昨日、茨城大学の太田学長や関係者を文部科学省に呼びまして、当該事案の顛末ですとか、また今後の対応について報告を聴取いたしました。私のほうからですね、まず速やかに第三者委員会を開催をすることで事実関係を明らかにして、そして再発防止に取り組むこと、また被害児童、そして保護者にもですね、きちんと寄り添って十分な心のケアですとか、また必要な学習支援に取り組むなど、信頼回復に向けまして全力で取り組むように強く要望したところでございます。文部科学省といたしましては、当該事案につきまして、引き続きまして、状況を注視しつつ、必要に応じて、指導・助言を行うなどしっかり対応をしてまいりたいと思っております。そして昨日の茨城大学との面談でございますが、事案発覚後ですね、2月16日には直ちに文部科学省に発生報告を行うということがなかったということでございますので、学長・執行部が中心となって、4月5日になりますが、調査委員会を設置をして、委員の人選を行っているところであることですとか、また今後、原因究明を行いまして、しっかりと再発防止に取り組むということが報告されたところです。
 (注)「茨城大学の教養学部の附属小学校で発生した」と発言しましたが、正しくは
 「茨城大学の教育学部の附属小学校で発生した」です。

記者)
 具体的にこのような長期間放置されていたという事実に関して大臣ご自身の思いとしては被害女児もおります、ご家族もおります。そのあたりについて大臣ご自身、お伝えになったこと、気持ちの部分であればお願いします。

大臣)
 今私が言ったことがですね、報告というか要望でございました。文部科学省からはですね、私達からはですね、しっかりとですね、5つの事項についてはっきりとお話をさせていただきました。1つ目が、当該重大事態について、第三者委員会を速やかに開催をして、事実関係を明らかにするとともに、再発防止策の検討等を行うこと、これが1つ目ですね。2つ目が、第三者委員会の委員の人選に当たって、茨城大学以外の専門家を調査委員とすることですね、それはやはり公平性であるとか中立性が担保された体制で委員会を立ち上げてほしいということです。そして3つ目、調査の開始前にですね、被害児童、そしてその保護者に対してもですね、調査の目的ですとか内容を説明すること、そして調査の進捗状況についても適宜説明をして、報告を行うことということもお話申し上げました。そして4つ目、被害児童及びその保護者に寄り添って、十分な心のケア、それからあとは必要な学習支援を行うこと、そしてまた最後になりますが、5つ目ですが本事案では、法律に基づいた対応がなされなかったことなど、大学のガバナンス上の課題もあることから、原因究明を行いまして、適切な再発防止策を講じることなどについてはしっかりと指導してまいりました。

記者)
 教員のなり手確保の関係でお尋ねしたいんですけども、先日、自民党の萩生田さんの特命委員会のほうで教員になった時に高等教育機関の貸与型奨学金の返還を免除する、かつての制度の復活が効果的なのではないかという意見が複数の有識者から出されました。そういう指摘があってまだ当然やるやらないを決める段階ではないと思うんですけど、こうした取組について文科省として検討する可能性があるのか、大臣の見解をお聞かせください。

大臣)
 ご指摘の意見につきましては、自民党内の途中経過というでございますので、教員確保のための方策の一つの議論ということでございますので、党の議論について個別の意見につきましてはコメントは差し控えたいと、そう考えているところでございます。以前ですね、やはり奨学金の返還免除、これを復活させるということでございますが、以前もあったわけで、それがなぜその制度がなくなったかということに関しましては教師不足が指摘される中では教職志望者を増やすこと、その政策に取り組むことは大変重要だとは思っておりますが、ご指摘の教育・研究職の返還免除制度については、特定のですね、職種のみに優遇することの公平性の観点からも廃止されたという経緯があることも踏まえまして、与党の議論も注視しながら慎重に検討する必要があると、そう考えているところです。

記者)
 宇宙施策について1点伺います。H3ロケットの打上げ失敗から1カ月あまりが経ちました。失敗の影響でH-ⅡAロケットの打上げ延期が決まるなど影響が広がっているかと思います。現在のH3の失敗の原因究明状況について何か進捗があるかどうかや、国の基幹ロケットが全て止まっていることで今後の宇宙政策に与える影響への懸念などはありますでしょうか。

大臣)
 H3ロケット試験機1号機の原因究明につきましては、先日、有識者会合からですね、報告がありました通り、JAXA及びメーカーにおきまして、原因究明に関連する試験を行うとともにですね、因果関係を洗い出す原因特定の解析を進めている状況と承知をしております。また、次の有識者会合は、今月下旬の開催を調整していると承知しておりますが、引き続きまして、早急、また丁寧な原因究明作業をですね、進めてまいりたいと考えております。

記者)
 茨城大の件に戻って恐縮ですけども、先ほど2月16日に学校側から説明があってという話だったかと思いますが、学校から報告があって文科省から今回指導をするということになったところまでに1カ月半くらいかかっているんですが、そこのご見解と言いますか、その間特に対応がなかったとするとそれはなぜだったのか教えてください。

大臣)
 これは、2月16日に重大事態の発生報告を受けまして、文部科学省の担当課におきまして、2月16日に重大事態が発生したという報告を文部科学省は受けております。いじめ防止対策推進法の第28条に基づいて、重大事態調査を速やかに実施すること等を色々と茨城大学には指示をしたところなんですね。それから色々時期が経ちまして、先ほど申し上げましたように、4月5日に茨城大学の総意として第三者機関を立ち上げるということになったという報告は受けております。

記者)
 2月16日に報告を受けてその後、何かしら第三者委員会などを設置するように求めて。

大臣)
 そうですね。求めました。

記者)
 その回答というか受け止めとして4月5日。

大臣)
 そうですね。4月5日、第三者委員会、これを設置することを決定したということを報告を受けております。

記者)
 2月16日以降、対応されてきたという理解でよろしかったですか。

大臣)
 そうです。大学側はそういうお答えを、大学からはそういうお答えをいただいております。

記者)
 大学でのセクハラ対応でお尋ねします。早稲田大学の渡部直己元教授の教え子だった女性がセクハラを訴えた裁判で先週、東京地裁が渡部氏と大学側に賠償を命じる判決を言い渡しました。判決では女性の相談を受けた別の教授が不適切な発言を述べた責任も認めました。元教授による行為に加え、セクハラ相談体制の不備なども指摘されたことへの大臣の見解をお聞かせください。またこうしたことが起きないよう早稲田大学を含む大学界全体に求めたいことについてもお聞かせください。

大臣)
 教育機関であります大学においてハラスメントが生じることは本当にあってはならないと思っております。文部科学省では、昨年11月22日に、大学等におけますセクシュアルハラスメントやその他のハラスメントの防止に向けまして、相談体制の整備ですとか、再発防止の徹底等に確実に取り組むように全大学に通知をしております。早稲田大学におきましては、再び同様の事案が起きないように、先ほど申し上げました通知の内容をですね、これも踏まえまして、相談体制の整備、被害者救済のための措置などを含めまして、適切に再発防止策を講じていただきたいと考えております。引き続きまして、大学に対して、ハラスメントの防止のために必要な取組、これを確実に行っていくよう強く促してまいりたいと考えております。そしてハラスメントの根絶にしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

記者)
 2030年の東京オリンピック招致についてお伺いします。一昨日の札幌市長選の結果を受けて昨日、札幌市の秋元氏とJOCの山下会長が当初の30年大会招致からその次の34年大会への目標変更を視野に入れて議論するというお話をされていました。あくまで当初の30年大会招致が基本線ということは承知はしているんですけれども、そういった目標変更を視野に入れていることについての大臣の受け止めをお伺いできればと思います。

大臣)
 2030年の冬季オリンピック・パラリンピックに関するご指摘の報道は承知をしております。現在、札幌市とJOCにおきまして、先月策定されました大規模なスポーツ大会の組織委員会等の適切な組織運営ですね、に関します指針等を踏まえまして、大会の運営体制等の見直し等に取り組んでいると承知をしております。大会の招致につきましては、現在、招致主体である札幌市とJOCですね、これが協働しまして、IOCと「継続的な対話」を行っている段階でございますので、これは2030年か2034年かということも含めまして、文部科学省としてはですね、引き続きまして札幌市、そしてJOCの動き、これを見守ってまいりたいと考えております。

(了)

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