永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年4月4日)

令和5年4月4日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

教育未来創造会議の提言を受けた令和6年度からの奨学金制度,大学ファンドの支援対象となる国際卓越研究大学の申請状況,こども政策担当大臣によるこども・子育て政策の強化(試案)における、学校給食無償化の課題整理や子供を安心して任せられる公教育の施策,大学におけるセクシャルハラスメントへの対応

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年4月4日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年4月4日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年4月4日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件ございます。
 令和6年度から実施予定の奨学金制度について、利用可能となる年収上限、また支援水準等の詳細を決定をいたしました。改正内容としては3点ございます。1点目でございます。修学支援新制度の多子世帯や理工農系の学生等の中間層への対象拡大、2点目、大学院段階におけます授業料の後払い制度の導入、そして3点目です。貸与型奨学金の減額返還制度の見直しを行います。主な点といたしましては、例えば1点目の就学支援新制度の対象について、現行制度では、住民税の非課税世帯等を対象としておりますが、新たに年収600万円程度までを支援対象に拡大をいたします。また、貸与型奨学金の減額返還制度につきましては、現在、本人の年収が325万円以下の場合に利用可能となっておりますけれども、ここのところの上限を400万円までに引き上げをすることにいたします。文部科学省といたしましては、これらの制度の実施に向けまして着実に準備を進めるとともに、引き続きまして、高等教育の負担軽減のため、奨学金制度の充実に努めてまいる所存です。
 2件目でございます。大学ファンドの支援対象となります国際卓越研究大学の申請状況について、お知らせをいたします。昨年12月より先月末までの期間、全国の国公私立大学を対象にですね、公募を行いまして、10件の申請を受け付けたところでございます。申請順に申し上げますと、早稲田大学、東京科学大学、名古屋大学、京都大学、東京大学、東京理科大学、筑波大学、九州大学、東北大学、大阪大学の合計10大学となります。また、今後の審査を行うために、文部科学省に有識者会議を設置をいたしました。選定に当たりましては、これまでの実績のみではなくて、変革への意志と将来構想に基づき実施をすることとしているところでございます。研究現場の状況把握や大学側との丁寧な対話を実施する予定になっているところでございます。
 以上です。

記者)
 今の大学ファンドの件なんですが、10件という数なんですけれども、この数に対する評価をお願いします。

大臣)
 今回、本当に多くの大学から申請があったということは、やはり私も嬉しいんですけれども、研究環境の改善ですとか、あと国際競争力の強化を図るために、大学ファンドによる支援への大きな期待がある、関心があるという現れであると感じております。今回の国際卓越研究大学制度の目的というのは、やはり世界最高水準の研究大学の実現でございますので、申請大学の変革への意思と将来構想に基づきまして、大学を選定することができますように、今後、有識者会議におきまして、大学側と丁寧な対話をしながら実施するなど、着実に取り組んでいきたいと思っております。

記者)
 2件伺いたいんですけれども、最初に冒頭の就学支援制度に関して、これ少子化対策であったりとか理系人材の育成という観点でたぶん狙いがあると思うんですけど、この制度の改善の狙いをもう一度改めてかみ砕いて説明いただきたいのが1点と、あともう1点が少子化対策の中で先日、たたき台に給食費の無償化に関して書き込まれたと思うんですけど、こちらは文科省の所管だと思うんですが、今後どのように議論を進めていきたいかお願いします。

大臣)
 たたき台に学校給食の無償化の課題が整理をということで盛り込まれたということでございますが、学校給食につきましては、一部の自治体や学校で実は実施されていないところがあります。また自治体間、それから学校間で実施状況に差がございますので、そういう点で小倉大臣が取りまとめた、今後のこども・子育て政策のたたき台の中で「学校給食費の無償化に向けて、給食の実施率や保護者負担軽減策等の実態を把握しつつ、課題の整理を行う」とされたところと承知をしております。今後、総理の下に設置されます新たな会議におきまして、こども・子育て政策の強化に向けまして更に議論を深めるとされていることから、文部科学省といたしましても、こども家庭庁と連携しながら対応してまいりたいと考えているところでございます。
 今の就学支援のことも、やはりこども・子育ての中では大変重要かと思っております。高等教育の学費の負担というのはそれぞれ子供もを持つ親にとりましては大変厳しいものがありまして、子育て支援には学費の負担を軽減するということは大変大きな意味があろうかと思っております。今般のたたき台では、まずは今後3年間優先的に取り組むものを「加速化プラン」といたしまして整理をしておりますが、先行いたしまして昨年から検討を進めてまいりました、教育未来創造会議の第一次提言等の内容も、この中で取り上げたところでございます。一方で、予算委員会をはじめといたします国会での議論や、各党からの提言、政府の会議での有識者ヒアリングなど、様々な関係者から高等教育費の負担軽減の大幅な拡大が求められているところでございます。今後の少子化対策につきましては、総理が主導いたします体制の下で、さらにですね、議論を深めまして、6月の骨太方針までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠、これをお示しすると承知をしているところでございます。文部科学省といたしましても、教育費の負担軽減を求める声、これにしっかりと応えますように、関係省庁と連携・協力しながら、この議論に積極的に参画をしてまいりたいと考えております。

記者)
 少子化対策のたたき台について伺いたいと思います。このたたき台の中で保護者が子供を安心して任せることができるよう、公教育を再生するための施策を進めていくということが明記されています。これは見ようによっては現在の公教育の中には保護者が子供を安心して任せられない部分もあるということなのかなと受け止めるんですけども、こうしたこども家庭庁ではここについていじめや不登校の問題と関連させて考えているということでした。こうした指摘をどのように受け止められて改善していくための施策をどのように考えでしょうか。

大臣)
 やはり公教育の再生等につきましては、たたき台における「こども・子育て政策の課題」の中で、「公教育を再生するための施策を進めていくことが重要」との認識が示されていると承知をしております。文部科学省といたしましては、保護者が本当に安心して任せることができるように、子供をですね、公教育を再生することは大変重要であると思っておりますし、また、教育行政を着実に進めていきたいと、本当に着実にしっかりと安心できるように子供が安心して通えるような公教育ですね、それを進めていきたいと思っております。例えば、不登校・いじめ対策につきましても、こども家庭庁準備室ともですね、連携をいたしまして、新たな不登校対策の取りまとめや、いじめ防止対策に関する関係府省連絡会議の開催などに取り組んできたところでございます。いずれにいたしましても、今後、岸田総理が主導いたします体制の下で、必要な政策強化の内容、また予算、財源につきましても更に議論を深めていくものと承知をしておりますので、引き続きまして、関係省庁と一緒になってしっかりと連携・協力してまいります。

記者)
 大学におけるセクハラ対策についてお尋ねします。国公立大学に尋ねたところ、5年間で少なくとも78人の教授らが懲戒処分を受けていました。私立大学では多くが処分を公表していないとの指摘もあり、この数は氷山の一角とも見られます。こうした被害の実態についての受け止めと、公表のあり方について大臣の見解を伺います。また文科省の対応状況についてもお願いします。

大臣)
 教育機関でございます大学においてハラスメントが生じることはあってはならないというふうに思っております。このため文部科学省におきましては、従来より、大学関係者に対しまして相談体制の整備とハラスメント対策の充実を促しているところでございまして、昨年11月22日にもですね、大学等におけるセクシャルハラスメントやその他のハラスメントの防止に向けまして、周知・啓発、それから相談体制の整備、また被害者救済のための適切な措置、行為者の厳正な処分及び再発防止の徹底等に確実に取り組むように全大学に通知を行っております。文部科学省といたしましては、大学におけますハラスメント根絶に向けて頑張ってまいりたいと考えております。
 大学関係者に対しまして相談体制の整備と、ハラスメント対策の充実を促してきたというのは今お話し申し上げましたけれども、未だハラスメントが散見されているという状況というものを踏まえまして、セクシャルハラスメント及びその他のハラスメントの防止のために昨年11月に各大学、全大学ですね、通知したところですので、今後はですね、引き続きまして大学向けの各種会議において周知するとともに本通知を踏まえまして各大学における取組の充実を一層促してまいります。

記者)
 国際卓越研究大学の件でお伺いします。私もこの取組は低迷する日本の大学の研究力浮上に向けた大きなチャンスとして期待しているんですけれども、世界中から優れた人材が集まる大学にしていくというのは大きなチャレンジなので大学側にもかなり実現の意思だとか色々審査を進められると承知していますけれども、永岡大臣は恐らく来年度に取組を始めるとしたら認定する大臣になられるのかなと思いますけれども、やはり選ぶ側にも、認定する側にも非常に、コミットメントだったりビジョンというのは求められるのかなと感じておりまして、審査にあたる意気込みというのを聞かせてください。

大臣)
 今回の公募に当たりましては、既存の取組の単なる延長線上にとどまる計画や、また大学の一部のみしか関与しないという計画ではなくて、本当に国内外の若手研究者を惹きつけるような、そして魅力的な研究環境を実現をして、そして世界の学術研究ネットワークを牽引する、そういう構想を求めております。私といたしましては、このような国際卓越研究大学の制度の趣旨に基づきまして、世界最高水準の研究大学を実現するための挑戦的な計画となっているかという点をですね、しっかりと確認をしていきたいと、そういうふうに考えております。やはり審査におきましても、その点をですね、丁寧に、そしてお話をさせていただくということになろうかと思います。

記者)
 奨学金についてお聞きします。先ほどもお話がありましたけれども年明けから次元の異なる少子化対策の柱の一つとして検討がされてきましたけれども、今回まとまった内容はいずれも昨年度末の段階で有識者会議が示した内容をおおむね踏襲するような形に収まっています。家計の事情によらない進学機会の確保であるとか、安心して子供を産み育てるための政府の取組として今回の奨学金の制度が十分だというふうに大臣ご自身はお考えなのか、評価についてお聞かせください。

大臣)
 先ほども申し上げましたけれども、教育費の家庭への負担というのは大変重くて、少子化の大きな要因であると、要因の一つであるということは明らかだと考えております。今般のたたき台ではですね、まずは今後3年間で優先的に取り組むもの、これを「加速化プラン」として整理をしているわけでございますけれども、先行いたしまして昨年から検討を進めてまいりました、教育未来創造会議の第一次提言等の内容も、この中で取り上げられたところでございます。また、このたたき台とともにですね、たたき台の中でですね、これで全部完了だというわけではないはずでございますので、これはしっかりと今後の少子化対策についてでございますが、総理が主導いたします体制の中で、更に議論を深めまして、6月の骨太方針までに将来的な子供もの予算倍増に向けた大枠、これをお示しするものと考えているところでございますので、文部科学省といたしましても、教育費の負担の軽減を求める声にしっかりと対応できるように、頑張ってこども家庭庁を初めとします関係省庁と連携を取りまして、議論に参画をしてまいる所存です。

(了)

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