永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年2月17日)

令和5年2月17日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

私立学校法の一部を改正する法律案の閣議決定について、伊国ヴァルディターラ教育・功績大臣とのオンライン会談について、H3試験機1号機の打上げ中断について、旧統一教会に対する報告徴収・質問権の行使について、23区内の大学の収容定員増抑制について、小中学校の教員不足について、広島市の平和教育の教材について、電気代等高騰による大学への影響について

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年2月17日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年2月17日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年2月17日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 本日、私からは冒頭3件ございます。
 1件目でございますが、本日、「私立学校の一部を改正する法律案」(注)が閣議決定されました。本法律案は、我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、今後も持続可能な発展を遂げるため、社会の要請に応えつつ、学校法人自らが主体性を持ちまして実効性のあるガバナンス改革に取り組むことができるように、私立学校法の改正を行うものでございます。具体的には、執行と監視・監督の役割の明確化、そして分離の考え方に基づきまして、監事や評議員会によります理事会へのチェック機能の強化、そして学校法人の規模に応じた意思決定のあり方の見直しなどを盛り込みまして、学校法人の管理運営制度の改善を図るものでございます。今後、国会審議を通じましてしっかりと説明をし、また速やかな成立を目指してまいります。
 2件目でございます。16日の木曜日、昨日になりますが、イタリアのヴァルディターラ教育・功績大臣と、オンライン会談を行いました。今年5月に開催されますG7富山・金沢教育大臣会合に、ぜひ、ヴァルディターラ大臣に御出席をいただきたい旨をお伝えをいたしまして、日本から提案をしました、コロナ等を踏まえた今後の教育のあり方という全体のテーマ案も賛同いただいたところでございます。教育大臣会合の開催に向けまして、引き続きまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 3件目でございます。本日、10時37分に、JAXA種子島宇宙センターより打ち上げ予定でございましたH3ロケット試験機1号機については、打ち上げに向けたカウントダウンにおいて、メインエンジンには着火したものの、固体ロケットブースターに着火せず、打ち上げが中断されました。現在、JAXAが状況を確認しているところでございます。本日、打ち上げは中止されましたが、JAXAによる確認作業、これを注視したいと思っております。
 以上でございます。
(注) 「私立学校の一部を改正する法律案」と発言しましたが、正しくは「私立学校法の一部を改正する法律案」です。

記者)
 旧統一教会についてなんですけれども、先週7日、3回目の質問権行使に対する回答があったかと思います。その日の、回答が返ってくる前の段階の会見ですけれども、その時に大臣が分析することが重要だと、回答を分析することが大事だとおっしゃっていて、それを踏まえて更に報告を求めたり質問を行ったりすることがあり得るとおっしゃっていました。現在の情報収集や分析の状況と今後どういうふうに情報を集めるのか分析していくのか、今後のご予定などがありましたら教えてください。

大臣)
 回答がありました資料の内容につきましては、現在、文化庁におきまして精査を進めているところでございまして、その詳細な状況につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきます。また、予断を持ってお答えすることはできないんですけれども、これまでもお話をしておりますように、資料を分析した結果を踏まえまして、更に報告を求めたり、質問を行うことはあり得ると、そう考えているところです。

記者)
 昨日の内閣官房の会議で東京23区の定員抑制を一部見直す案が大筋で了承されました。今回の不正緩和策に対する大臣の評価をお聞かせください。また一定期間後に増加分を戻す臨時的増加に限るという条件が示されましたけれども、この一定期間というのがどの程度の期間であるべきか、大学を所管する文科省として制度設計を進めるにあたって期間のイメージについてお答えください。

大臣)
 昨日開催されました内閣官房の有識者会議におきまして、文部科学省からの提案に基づきまして、23区内の大学の収容定員増抑制について、限定的な例外措置を講ずる旨の合意がなされたものと承知をしております。例外措置の要件といたしましては、東京への一極集中の是正という制度の趣旨を尊重しつつ、特に不足が指摘されておりますデジタル人材の育成を強化する観点から、高度なデジタル人材を育成する情報系学部・学科の収容定員増であること、また、一定期間後に増加前に戻すことを前提とした臨時的な定員増に限ること、そして、地方におけます就職促進策を組み込んだプログラムであることの3つを示したところでございます。今後、会議での結論を踏まえまして、全国知事会を初めとした地方の声も丁寧に聴きながら、地方大学の一層の振興に取り組むとともに、新たな例外措置の実現に向けて関係省庁と連携しながら速やかに対応は進めてまいりたいと考えております。「一定期間」の増加前に戻すことを前提とした臨時的な定員増に限るの「一定期間」はどのぐらいかということでございますが、「一定期間」の具体的な期間につきましては、今後の制度設計において速やかに検討してまいりたいと考えております。

記者)
 教員不足と少人数学級について伺いたいと思います。今、山口県と沖縄県で必要な教員が見つからないので新年度から逆に1クラスの児童の数を増やさなきゃいけないという事態になっています。文部科学省は今ちょうど小学校の35人学級による少人数学級を一生懸命推進しているわけなんですけども、こういう教員不足という壁にぶつかってそうした政策がなかなか思うように実行できなくなるような状態になってきてしまったのではないかとお見受けします。こうした事態をどのように受け止めていらっしゃって、また新年度・新学期まであと1ヶ月半しかないんですけれども、何らかの支援策などをお考えでしょうか。

大臣)
 いわゆる教師不足によりまして、山口県や、そして沖縄県において、令和5年度の暫定的な措置といたしまして、これまで独自で実施をしてきた少人数学級の一部を見直しするという検討をしているということは承知をしております。具体的には、山口県におきましては、中学2・3年の35人学級を38人学級に変更、そして沖縄県におきましては、国の標準を一部の学年で下回る県の基準に関し、やむを得ない場合に限り、国の基準の範囲内で個別の学級を編成する方向で検討していると、そういうふうに伺っております。いずれの場合におきましても、国の基準を下回る人数で学級を編制をするという前提と聞いておりまして、国におけます35人学級の計画的な整備に必ずしも反するものではないというふうに理解はしております。教師不足への対応に関しましては、昨年9月に行いました教育長会議におきまして、積極的な正規教員の採用や教師の確保に向けた取組の強化をお願いをしているところでございます。国といたしましては、小学校におけます35人学級の計画的な整備や、また、高学年の教科担任制の推進など、中長期的な見通しを持った計画的な採用に資するよう、今後ともですね、教職員の定数の改善に取り組むとともに、教師不足に対しましても実態を把握をしましてしっかりと対応していきたいと考えているところです。

記者)
 本日のH3のロケットの打ち上げの中断ということで、関係者の方がこれまで開発が遅れる中で続けていらっしゃったと思うんですけれども、初号機でつまずく形になりました。宇宙開発に与える影響等についてどのようにお考えなのか教えてください。

大臣)
 これはですね、本日打ち上げ予定でございましたH3ロケット試験機の1号機につきましては、本当に打ち上げ時刻前に自動で停止をしたと報告を受けているところでございます。現在、JAXAにおきまして状況確認中でございますので、今後の打ち上げの見通しについてはその結果等を踏まえまして、しっかりと検討していくことになろうかと思っております。

記者)
 与える影響についてはどのようにお考えですか。

大臣)
 これは今検討している、まだこちらのほうに正確な情報が上がってきておりませんので、それ以降ですね、しっかり報告を受けまして対応させていただきたいと思っております。またですね、新しいロケット開発、EUのほうでも大変、各国苦労をしているという話を思っておりますが、前を向いてしっかりと前進するように頑張ってまいります。

記者)
 本日閣議決定された私大のガバナンスに関する法改正についてお聞きしたいと思います。大臣は就任前になりますけれども、元々有識者の方々が評議員会にかなりの権限を持たせるという方向で考え方を示されて、それに対して色々な意見や反発があったということで更に再検討という形になって昨年示された方向性が今回の改正法案につながっていると理解しているところなんですけれども、昨年は再検討結果も示されたと思うので、方向性に関しても、まだやはり様々な意見や反論みたいなものがあったように記憶しておりますし、その後も関係者の方々がかなりロビー活動なんかもされていたということも耳にしているところです。今回法案提出されるにあって国会でしっかりと理解を得られるようにご審議いただくという発言があったと思うんですけれども、国会で理解されることも大事だと思うんですが学校法人側の理解というのは深まっているとお考えでしょうか。

大臣)
 昨年5月に公表いたしました私立学校の改正法案骨子というのは今般閣議決定された(注)わけでございまして、法律案と内容の変更というのは今おっしゃいますようにございません。骨子を公表してからの間、各私立学校関係団体と丁寧な調整を重ねてまいりました。所轄庁や、また、法人の規模に応じた取り扱いや、施行期日、また経過措置につきまして、本当に詳細な制度設計を行ってきたところでございますので、これからもですね、それぞれの団体の皆様方と丁寧に説明・御理解をいただくように頑張ってまいりたいと思っております。
(注) 令和5年2月17日(金曜日)に閣議決定されたのは、「私立学校法の一部を改正する法律案」であり、「私立学校法改正法案骨子」(令和4年5月20日公表)とは異なるものです。

記者)
 午前中の予算委員会でも質問が出ていたんですけれども、はだしのゲンについて伺います。広島市教委の平和教材から外れる経緯については午前中に詳細は承知していないということでしたけれども、大臣は今回の件を率直にどのように受け止められていますでしょうか。特に問題はないという認識でしょうか。

大臣)
 報道はですね、承知をしております。その上でこの詳細については把握しておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、その上で、一般論として申し上げますと、こうした補助教材につきましては、地域や学校、それから児童生徒の実態等に応じまして、教育委員会や校長がその責任の下、教育的見地からみて有益適切なものとしてその内容等を決めるというものでございます。そういうふうに考えているところです。

記者)
 大臣は読まれたことはありますでしょうか。

大臣)
 私はございません。

記者)
 平和教育の中で例えば漫画を使って被爆の悲惨さとかについて分かりやすく伝えること・教えていくことの意義とかについてもし大臣のお考えがありましたらお願いします。

大臣)
 はだしのゲンは漫画だということは存じ上げております。その中でですね、必要に応じて、分かりやすい内容といった観点から、漫画が用いられることについても否定されるものではないと思っております。いずれにいたしましても、各教育委員会、また校長先生ですね、の責任の下で、有益適切な補助教材、これを有効に活用していただきたいと、そう考えております。

記者)
 H3について伺います。先ほどの質問と被るんですけれども、今回、失敗ではなく中止ということですけれども、直近ではイプシロンの打上げの失敗ですとか、よくないニュースが続いている状況ですけれども、失敗とか中止というのは付き物だと思いますけれども、日本のロケット開発のイメージダウンにもつながりかねないかなと思うんですけれども、この現状についての所感をお願いします。

大臣)
 新しいロケットの開発というのは各国も苦労しているところでございます。先ほども申し上げましたように、やはり「失敗は成功のもと」でございますので前を向いてしっかりと進めていきたいと考えております。

事務方)失敗ではなく中断です。

大臣)
 申し訳ありません。苦労しているところでございますので、前を向いてしっかりと進んでまいりますのでよろしくお願いします。

記者)
 東京芸術大学が経費削減のため練習用ピアノの売却を決めました。背景には電気代が高騰して支出額が膨らんでいるという実情があるようなんですけれども、やはり動揺する学生もいるようでして、電気代高騰の影響が芸術や学びの場にまで及んでいることについて大臣の所感をお聞かせください。

大臣)
 光熱費を初めといたします物価高騰等への対応というのは、基本的には各大学の自助努力において対応していくものでございますが、国立大学は光熱費の価格が高騰する中でもやはり常時稼働を要します施設を多く有していることを踏まえまして、全ての国立大学に令和4年度の第2次補正の予算におきまして緊急的な激変緩和としての支援を行ったところでございます。令和5年度におきましても、引き続きまして、各大学の状況を注視しながら、その状況を踏まえつつ、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。なおですね、東京芸術大学につきましては、令和5年度の予算案におきましても対前年比増額となります運営費交付金を措置する予定でございまして、文部科学省といたしましても、継続的に、そして安定的な教育研究活動への支援、これをしっかりと進めてまいります。また、実は芸大に質問・確認をしてまいりました。今回撤去する練習用ピアノは5台でございます。5台の他に撤去後もですね、357台のピアノを保存していると伺っております。練習環境には全く影響を与えるものではないと、そう伺っている次第でございます。

(了)

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