永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和5年2月14日)

令和5年2月14日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

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日本大学の特別調査委員会の中間報告について、東京五輪等の不祥事に関する原因究明について、高校における障害者の定員内不合格について、研究者等の無期転換ルール及び流動性確保について

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和5年2月14日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年2月14日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和5年2月14日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

記者)
 元理事長による不祥事が発覚した日本大学について質問します。先週の末に日大の特別調査委員会、弁護士などで構成されるこちらが不正調査の中間報告を発表されまして、これまでに捜査当局の捜査等で判明していなかった、田中元理事長らによる新たな不正、これが被害金額にして4億3,000万円ほどのものが判明したと。そして今後、最終報告に向けて更に不正の洗い出しを進めていかれる方向だと、大学としては田中元理事長などへの損害賠償請求を含めて検討をされていると、このような報告がございました。伺いたいのは、今回の報告を含め、日本大学の改革への取組について、大臣はどのように評価されておられるか、これを伺いたいと思います。

大臣)
 2月10日ですね、一連の不祥事への対応の一環として日本大学に設置されました「不正事案洗い出しのための特別調査委員会」の調査結果の中間報告を公表されたと承知はしております。今回の中間報告では、医薬品等に関する調達において業者からリベートを受け取っていた事案、それと田中元理事長が日大病院に入院をした際に、特別室料ですね、が免除されていた事案など、新たな事案が判明したと報告を受けております。日本大学においては、自ら策定いたしました最終報告書に掲げます改善策を確実に実行するために、林理事長、新しく昨年就任されましたけれども、林理事長の下で改革に取り組んでいることと承知をしているわけでございます。今後もですね、調査を継続すると伺っておりますので、今回の報告も踏まえまして、しっかりと問題点を洗い出していただきまして、そして再生に向けた改革、これが進むことを本当に期待をしております。

記者)
 東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件・談合事件についてお伺いします。10日に今後の大会に向けた組織運営のあり方を検討するプロジェクトチームがガバナンス協会に向けた指針の案を公表しました。これはあくまでも今後の大会に向けたものということで、今回の汚職事件・談合事件そのもの、東京大会の事件そのものについての原因究明については文科省・スポーツ庁ではされる予定はないでしょうか。

大臣)
 不祥事についての原因究明ということでございます。今回の事案につきましては、現在、刑事手続き中でありまして、東京都においても契約手続き等に関します調査を行っていることから、まずは、文部科学省としては、その過程をしっかりと注視をしていくべきと考えております。このような中で、今回のプロジェクトチームでは、今後ですね、同様の不祥事の発生を未然に防止をするという観点から、刑事手続きですとか守秘義務に抵触しない範囲内におきまして、こういう制約があるわけですけれども、組織委員会の元職員からのヒアリングですとか、各種規程の内容の確認、更には東京都が実施をした昨年末に公表されました談合報道に関する調査の状況報告等を通じまして、東京2020大会組織委員会のガバナンスの実情や課題というものを把握をしてまいりました。また、海外の事例も参考にいたしまして調査・分析を行いまして、今月の10日に指針案として公表したところでございます。

記者)
 高校入試に関連してお伺いします。文科省は今年度初めて公立高校入試の定員内不合格の調査を行いました。そこでは定員内不合格の把握そのものをしていない県もあったようですけれども、今後、文科省として継続的な把握や、都道府県教委へ定員内不合格の改善について働きかけを行っていく意向があるのかどうかお聞かせください。あと、障害がある人などが高校への入学を希望して試験を受けて、高校が定員割れを起こしているにもかかわらず不合格とされてしまうケースが国内にあるようなんですけれども、こういったことについて、学習権の保障の観点から大臣としてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 ご指摘のように、文部科学省として本年度、「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」の中で公立高校入試における定員内不合格の数を調査をいたしまして、昨年末に公表したところでございます。次年度以降の具体的な調査項目につきましては、今後検討を進めて参りたいと思っておりますが、定員内不合格に関する実態把握にはですね、引き続きまして取り組むことを予定している次第でございます。また、本年度、定員内不合格の数を「把握をしていない」と、そういう回答をした都道府県の教育委員会につきましては、令和5年度の入試選抜以降ですね、状況を把握するよう依頼をしているところでございます。なお、本調査で把握をしている定員内不合格については、その理由までを調査しているものではありませんけれども、文部科学省といたしましては、仮に障害のみを理由として入学を認めなかったということがあった場合には、これはあってはならない、そういうことだと考えているところでございます。

記者)
 先週7日に文部科学省が公表された研究者等の無期転換ルールに関する調査結果を公表されました。この内容について大臣の率直な受け止めを伺わせてください。

大臣)
 無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で、いわゆる「雇い止め」を行うことは、労働契約法上の趣旨に照らして望ましくないと考えております。研究者等の雇用管理につきましては、各機関におきまして法令に基づき適切に対応する必要があります。文部科学省といたしましても、周知徹底を図るとともに、今般の調査結果を踏まえまして、改めて各機関に適切な対応を求めたところでございます。特に、昨年9月の時点で、今後の雇用契約の見通しが未定の方が4割、約4割ある点については、各機関におきまして、状況の把握、説明、それから相談などに取り組んでいただくことが必要だと考えております。文部科学省といたしましては、昨年9月に調査を行うとともにですね、それから昨年の11月、それから今年の2月にもですね、各機関に適切な対応を求めるように通知を発出しております。累次にわたりまして各機関には働きかけを行っておりますが、引き続きまして、しっかりと対応していただけるように取組んでまいりたいと考えております。

記者)
 今回、雇止めの問題というのも出てきていますけれども、この法律が、10年ルールは、研究開発力強化法という法令で改正後に設けられたものだと、この制度が研究力の強化につながっているというふうに大臣はお考えか伺わせてください。

大臣)
 我が国の研究力向上のためには、やはり研究者が多様な経験を積み能力を向上していくために、一定の流動性を確保した上で、安定的なポストの獲得も含めまして、将来への見通しを持ちまして、そして研究に専念できる環境を整備することが重要と考えております。研究者等に対します無期転換ルールの10年という特例につきましては、研究者は複数の有期雇用の契約を繰り返しながら、多様な教育・研究の経験を積んだ上で、そして安定的な職に就くという特性等を踏まえまして、創設されたものと承知をしているところです。令和5年4月以降にですね、この特例に基づきまして無期転換する研究者等が生じることも踏まえまして、まずは法律に則って各機関に適切に対応していただくとともに、また、法律の施行状況等の把握に努めていくことが重要と、そういうふうに考えております。

記者)
 法律を適正に運用することをしっかりとチェックしていく部分も大事だと思うんですけれども、未定の方はまだ4割いらっしゃる、当然雇用が継続されればいいんですけれども、今後更に契約終了になる方も出てくるのではないかと思います。流動性が大事だとおっしゃるという点ではそういった雇用契約が終了した人が今後どういうふうにポストをちゃんと得ているのか得ていないとか、そういったところまで把握する必要があるかどうかという点については大臣はどのようにお考えですか。

大臣)
 それはですね、まだ9月の時点での調査の結果ということで、昨年の11月にも2月にもしっかりと各機関でですね、対応していただけるようにという発信はしております。そしてその結果というのはまだわかりません。そしてですね、今お話申し上げましたように研究者というのはやはり複数の機関で研究をしながらですね、それぞれ自分のやっている研究の向上に努めていくというものがございます。そういう点に関しましてはですね、これからですね、累次にわたり働きかけをしておりますので、引き続きましてしっかりと見ていく、これが肝心であろうと、今現在はですね、そういうふうに考えている次第です。

記者)
 昨日、国会で大臣がおっしゃられていたんですけれども、オリパラの過剰な国費について厳正に回収してくれというような趣旨の話をされたかと思うんですけれども、具体的にはどのような形でお考えになっているのか教えていただけますか。

大臣)
 昨日、国会の委員会でも、その答弁させていただきました。東京大会に関わるオリンピック・パラリンピック経費等の国負担分につきましては、文部科学省が予算措置を行い、東京都に造成されましたオリパラ準備基金に拠出をしているところです。仮にですね、談合等の不正行為が事実であり、これは全部仮なんですけれども、当該不正行為を行った受託業者から組織委員会を通じ東京都に対して違約金等が納付された場合には、当該納付金額のうち国費相当額分については、過大に国費が交付されているものとして国庫への返還措置を講じることになるわけでございます。なお、具体的な返納の手続きや国庫への返納金額の算定については、今回の談合事件の事実関係が明らかになった上で適切に対応されるものと考えております。

(了)

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