永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和4年11月11日)

令和4年11月11日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

旧統一教会への報告徴収・質問権の行使、G7富山・金沢教育大臣会合準備室の設置、「女性に対する暴力をなくす運動」の実施、令和7年度実施大学入学共通テストの問題例、科学技術関連の複数の基金創設について、文部科学省における博士号取得者の採用や活用について

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和4年11月11日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和4年11月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和4年11月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私からは本日、3件ございます。
 1件目でございますが、11月8日(火曜日)です、宗教法人制度の運用等に関します調査研究協力者会議により、宗教法人法に基づきます報告徴収・質問権の行使について、その一般的な基準が示されました。短い期間に精力的にご審議をいただきまして、本当に委員の皆さま方には、改めて本当に深く感謝を申し上げたいと思っております。私といたしましては、今後は、宗教法人審議会を構成いたします学識経験者や宗教家等の有識者の方からいただきましたこの報告書に照らしまして、報告徴収・質問権の行使について判断をしたいと思っております。この点、旧統一教会の事案につきましては、旧統一教会や信者等の行為に関する不法行為責任を認めた判決が多数あることなどから、基準でいいます「公的機関において当該法人に属する者による法令違反や当該法人の法的責任を認める判断があること」といった点に該当すると考えているところでございます。また、文部科学省におきまして把握をしている限り、令和3年までの民事裁判の判決において認められました損害賠償額も、多数の原告につき、累計で少なくとも14億円に及ぶことなどから、基準でいいます「法令違反による広範な被害や重大な影響が生じている『疑い』があると認められること」にも該当すると考えている次第でございます。以上のことから、この度、所轄庁でございます文部科学大臣といたしまして、旧統一教会に対して報告徴収・質問権を行使することとし、できるだけ速やかに、宗教法人審議会に具体的な事項とその理由を諮問したいと考えております。現時点におきましても、既に他省庁や旧統一教会の問題に詳しい弁護士さんですね、をはじめとする関係者から様々な情報を提供いただいておりますけれども、その情報を分析をし、そして、報告徴収・質問の内容を早急に検討してまいりたいと思っております。そして、11月1日付で、省内からの配置・関係省庁からのご協力を得まして、文化庁の宗務課に30名を新たに措置をいたしました。計38名で対応に当たっております。情報収集や分析を加速化させてまいりたいと思っております。私といたしましては、宗教法人法と、そして、同法に定める適正な手続に則りまして、収集をした事実関係に基づき、厳正に対処をしてまいる所存でございます。
 2件目でございます。来年、広島で開催されますG7サミットの関係閣僚会合といたしまして、「G7富山・金沢教育大臣会合」を5月12日から15日に開催をいたしますが、会合の開催に向けました準備を行うための「G7富山・金沢教育大臣会合準備室」を本日設置いたします。本準備室は、省内関係局課の職員及び開催自治体からの職員等計26名で構成されておりますが、このうち、当面は9名が本準備室に常駐いたしまして、開催に向けました調整業務に従事をいたします。文部科学省といたしましては、本教育大臣会合の成功に向けまして、開催自治体等と緊密に連携をしながら、引き続き、必要な準備を着実に進めてまいりたいと思っております。
 3件目でございます。3件目は、「女性に対する暴力をなくす運動」の実施についてでございます。期間は、明日12日から25日までの2週間とし、「性暴力を、なくそう」をテーマといたしまして、政府全体で広報・啓発活動を強化をしてまいります。文部科学省では、かねてより、子供たちを性犯罪・性暴力の加害者・被害者、そして傍観者にしないための「生命(いのち)の安全教育」を推進をしております。本日、この運動の実施にあわせまして、教職員支援機構と連携・作成をいたしました教員用の研修動画の公開、また、6月に公開いたしました児童生徒用の動画教材等の再周知を行います。各学校におきましては、1人1台端末等も利用いたしました動画教材の活用が進むよう、教育委員会や学校関係の皆さまのより一層のご協力をお願いしたいと思っております。また、引き続き、子供たち自身が、性に関して正しく理解し適切な行動がとれるよう、学習指導要領に基づく着実な指導に取り組んでまいります。加えまして、各自治体の保健部局が実施をいたします普及啓発・相談対応等の取組につきまして、教育委員会や学校との連携・協力が促進されるよう努めてまいります。文部科学省といたしましては、性犯罪・性暴力の根絶に向け、各学校におきまして性に関する指導や「生命(いのち)の安全教育」の取組が促進されるよう努めてまいる所存でございます。以上でございます。

記者)
 冒頭1問だけよろしくお願いします。先般公表されたですね、令和7年1月実施予定の大学入学共通テストの問題例に関する質問をさせていただきたいと思います。この度、発表された問題例ですと、新学習指導要領を踏まえた初めての試験になるということもありですね、新たな教科が加わったりだとか、教科の構成事体がずいぶん変わっていたりというところで、全く新しいテストとして、こう節目になるような問題であるのかなという印象があります。大学についてもですね、やはり、この受験の方向性を踏まえてですね、知識に加えて、思考力、問題ですね、工夫していろいろと提示してあったりということも特徴があったかと思います。公表された問題例に関してですね、今後の大学入試のあり方も踏まえてですね、どのようなご感想を持ったかというのを聞かせてください。

大臣)
 令和7年実施の大学入学共通テストの問題例につきましてご質問いただきました。文部科学省といたしましては、高等学校までに育成した知識、そして技能や、思考力、そして判断力ですね、そして表現力などの資質・能力を多面的・総合的に評価する入学者選抜を推進しておりまして、共通テストの内容も、多様な資質・能力の評価に資するものであることが必要と考えております。その上でですね、大学入試センターがこの11月9日に公表いたしました試作でございますこの問題は、従来の共通テストの方針を引き続き重視をしたもので、例えば、国語では様々な資料から読み取ったことを基にですね、レポートを書くという場面設定によりまして、言語活動を重視をして多様な資質・能力を問う問題が作成されていると受け止めているところでございます。大学入試センターにおきましては、試作問題のモニター調査の結果から、関係者からの意見も伺いまして、それを踏まえて、問題の内容ですとか分量などを検討すると承知をしているところでございます。共通テストは、引き続きまして、学習指導要領に基づく学習をしていればですね、これは対応できるという適切な試験問題となるように期待をしているところです。

記者)
 質問権について3点伺います。大臣がいつ決めたのかがまず1点、諮問ですけれども具体的にいつされるのかが2点、最後が相談窓口に関する要望が寄せられていると思うんですけれどもそれは根拠になっていないのか、これが3点目です。お願いします。

大臣)
 今のご質問ですが、これから、今お話しした通り、いつ決めたというところでございます。そして、もう1つありました、これからの行使ですね、行使につきまして、いろいろとご質問はございましょうけれども、やはり、そうそう簡単にご質問に答えて、中身を答えるというわけにはいきません。それはなぜかと申しますと、やはり、旧統一教会の方の質問等に関しますことは、事前に漏れてしまうということがあると大変問題があろうかと思いますので、ここでは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、全国弁連の皆さま方の情報というのは、大変、これからの質問をするに当たって、貴重なものであるということはお話しさせていただければと思っております。以上です。

記者)
 相談窓口も寄せられている情報というのも、今回根拠になっているんでしょうか。

大臣)
 それも1つの情報、重要な情報ということになっております。既に、法テラスの方に統一されるわけでございますが、そういうところも、重要な、行使をするというものの1つの要素と言って間違いはございません。

記者)
 何度もすみません。1個確認なんですけれど、今日までの間に、昨日決めたということなんですか。

大臣)
 ここのところで決めました。

記者)
 科学技術関連でお伺いしたいんですが、今回の補正予算で科学技術関連の複数の基金が作られると思いますが、それに関する大臣の受け止めと今後の期待について教えてください。

大臣)
 今回の補正予算についてご質問いただきました。今回の補正予算では、科学技術・イノベーション関係で、いくつかの基金が積めることになりました。我が国全体の研究力の発展に向けました、地域中核・特色のある研究大学の振興、そして、政府主導によります先進国との戦略的な国際頭脳循環・国際共同研究の推進ということ、2050年カーボンニュートラル実現に向けまして、基盤研究開発を支援をいたします革新的なGX技術創出事業、そしてもう一つ、国際展開をする大学発スタートアップの創出に向けた支援ということでございますが、これに関しまして、新たに基金を創設することにしております。まずは補正予算の成立に向けてしっかりと取り組むことが重要だと考えているわけでございます。文部科学省といたしましては、これらの基金を活用いたしまして、岸田総理が掲げます成長戦略の重要な柱であります、科学技術立国の実現に向けて全力で取り組んでまいります。

記者)
 宗教2世と学校教育の件について伺いたいと思います。一昨日8日の衆院の文科委員会で、被害者救済に当たっている全国弁連の参考人の弁護士の方が、学校の先生は被害に一番最初に気付き得る立場にあるので、専門家の研修を受けたり被害者の話を聞いたり、そうやって宗教2世の特色を理解してもらうことが大事だということを言っています。一方で、文部科学省は、10月6日付で、消極的な対応をしないようにという通知は出しています。ただ、現実に考えると、学校はなかなか、好んで宗教2世の問題に対応したことがないので、その特色をと言われても困るところがあると思うんですけれども、こういう宗教2世の問題についての配慮事項とかですね、そうしたものを学校現場の対応に、どんなふうに考えて、これからどのように対応していきたいとお考えでしょうか。

大臣)
 おっしゃいますように宗教2世の問題というのは、学校関係者にとりましても、新たな問題点と認識しなければいけないと思っております。昨日の「旧統一教会」の問題関係省庁の連絡会議のとりまとめでは、関係者が十分な理解と、そして認識に基づいて適切な対応を行えるように、法テラスを中心として共有されました知見等に基づきまして、各研修等の機会を通じて必要な知識と技能を身に着けることとされました。文部科学省といたしましては、本とりまとめの内容を踏まえまして、今後、法テラス等の関係機関からの知見等が共有された際にはですね、教育委員会から文部科学省に報告された内容もまた含めまして、学校関係者に適宜適切な情報共有を行えるように、関係省庁と連携しつつしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

記者)
 科学技術分野で1点伺わせてください。博士号取得者の活躍に関してなんですけれども、今、日本の博士号取得者の数は減少傾向にあるとされていますが、政府もいろいろと博士課程支援などの充実を図っているところだと思います。なので、今後、そういった歯止めもかかることも期待されるとは思うんですけれども、そういった博士号取得者を増やす対策とセットで、出口戦略と言いますか、社会でちゃんと活躍できるようなキャリアパス支援の充実が重要だと感じております。その点で、なかなかまだ日本の社会では、博士課程の専門性や強みについて十分理解されている現状ではないと感じているんですけれども、大臣は、博士課程取得者の強みとか専門性というところはどのように考えてらっしゃるのか、見解を伺わせてください。

大臣)
 博士号の取得者というものは、やはり専門的知見を備えるだけではなくて、やはり課題解決力ですとか、俯瞰的な視野からの提案力に強みを有していると、そういうふうに考えられております。文部科学省では、新しい政策の企画ですとか実行におきまして、博士号の取得者がこうした能力を存分に発揮をすることを期待をしているわけです。文部科学省では、近年ですね、博士課程学生さんの採用数を伸ばしております。博士課程の学生さんの皆さんにですね、国家公務員として働くキャリアパスがあるということをですね、今後更に広報して、そして採用活動を強化してまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。

記者)
 旧統一教会への質問権行使に関連して2点お伺いします。この件につきまして、今日、総理と何かお話はされたのでしょうか。それとですね、質問権行使のタイミングについて、年内のできるだけ早いうちにということだったんですけれども、もう少し具体的なスケジュールが、早よできるとか、スケジュール感の変更等はないでしょうか。

大臣)
 総理と、今日、閣議がございましたが、別に、「旧統一教会」についての話はいたしませんでした。それで、質問権の行使についてのスケジュール、タイミングということでございますが、現在、宗教法人審議会に諮問をいたします具体的な事項とその理由の精査等を進めているところでございまして、できるだけ速やかにですね、宗教法人審議会を開催したいと考えております。今のところはそれでよろしいでしょうか。

記者)
 1点だけ確認させてください。質問権の関係でですね、これまで不法行為責任を認めた判決が多数あるとおっしゃったと思うんですが、これまで2件というふうに発表している、宗務課は発表していると思うんですが、多数とした理由について少し。

大臣)
 使用者責任を認めた判例というのもございます。それが20ということでございますし、また、団体としての責任を認めたというものが2つということでございますね。

記者)
 不法行為責任というのは、使用者責任も含んで多数とおっしゃったという。

大臣)
 それは、先ほども申し上げております通り、他の全国弁連の皆さま方ですとか、情報をいただいておりますので、まだいろいろな内容のものが多数きておりますので、そこのところも含めまして、行使をしようということを決定させていただきました。

事務方)
 追加ですけれどもよろしいでしょうか、補足、すみません。そのお話ですけれども、18日の分も含めて、法人としての責任を含めた2件とそういう風に20件を合わせた22件を検討して、今回の考えに至っているということでございます。

記者)
 質問権のことでお尋ねですけれども、今、宗務課長がおっしゃっていただいたように組織の不法行為が2件と使用者責任が20件ということで、これだけ判例が積み上がっているとですね、宗教法人法の解散要件に該当するのではないかと、諮問を経ずにですね、というふうに思える一方で、総理はですね、国会で、解散請求にはまだ足りないんだというような発言もされたかと思います。この点について、大臣のご認識はどうなのかというところと、あと、何が足りないのか、調査でどういうことを究明したいのか、その辺り、調査で何を究明したいのか、その辺りの狙いについてよろしくお願いします。

大臣)
 今お話いただきましたけれども、総理の方の話とは、やはりちょっと違うのかなというふうには思ったりするんですが、私の方では、やはり宗教法人法に基づきまして、法に則っての判断というものが大変重要でございますのでそこからのお話になります。今、私が話そうとしているのはですね、やはりいろいろと、やはり言いにくいことばかりでございます、申し訳ないんですが。いろいろと何を言っていいのかなというのは、やはりこれから質問権を行使するに当たって、非常に、相手がいらっしゃるわけでございますので言えないということはご理解をいただければなと思っております。解散命令の要件というのは、やはり、今お話申し上げましたように、宗教法人法に厳格に定められておりまして、この要件に該当すると判断するためには、やはり法人の活動に係ります十分な実態把握が必要になると考えております。その、具体的に何を、既に把握をしているか、必要であるかということにつきましては、やはり、今後、報告徴収・質問権の効果的な行使に差し障りが生じる恐れがございますので、収集した事実関係等を踏まえながらですね、個別事案に応じまして判断をしていく必要があり、また、一概には申し上げられないということでご理解をいただければと思っております。

記者)
 念のため。認識の部分ですけれど、総理は解散請求には足りないっていう話を、答弁があったと思うんですけど、大臣的にはどういう。

大臣)
 解散請求に向けた質問権の行使ということをおっしゃったんだと思っております。こちらはですね、総理からいただきましたのは、この宗教法人法に則りまして、報告徴収・質問権ができることを進めてくださいというふうにお話はいただいております。

記者)
 言いにくいかもしれないですけど、大臣としてはまだ足りない、今の手持ちの情報ではまだ請求するには足りないということですかね。

大臣)
 いやいや。総理の方から報告徴収・質問権を行使するように今進めてくださいと言われましたので、私が、今のお答えというのは差し控えさせていただければと思います。

記者)
 大学入学共通テストの試作問題について加えてお尋ねします。試作問題をご覧になっての大臣の感想があればお聞きしたいのと、試験が変わるときに受験生の負担も大きいと考えますけれども、どのように対応策をとっていくのか。情報科を教える教員の指導体制も含めてお聞かせください。

大臣)
 やはり、今回公表されました試作問題、これ、大学入試センターにおきまして、各教科、そして科目の専門家によります検討を経まして作題をされたものと承知をしているところでございます。やはり、試作問題のうち、例えばですね、これは本当に初めての問題となります、「情報I」ではプログラミングの内容を含みます問題ですとか、また、国語ですね、これも様々な資料から読み取ったことを基にレポートを書くといった、言語活動を重視をいたしました多様な資質・能力を評価するための問題が作成されるなど、学習指導要領の趣旨を踏まえた内容と受け止めております。私といたしましては、やはりしっかりとですね、大学入試センターにおきまして、試作問題のモニターの調査ですとか、やはり関係者の意見も踏まえて、現在の高校1年生の皆さん方が初めてやる入試テストということになりますので、学習の成果がしっかりと出るようにですね、このテストによりまして、これを期待しているところでございます。私といたしましても、良質な試験問題となることを期待しております。以上です。

(了)

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