永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和4年10月11日)

令和4年10月11日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会、今年のノーベル賞の結果について、旧統一教会に関連した悩みを抱える児童生徒に対する相談充実について、日本の大学が保管する先住民の遺骨問題、山口県教委が安倍元総理大臣の国葬儀の実施に当たって半旗の掲揚を求めたことについて、教科書会社との接待問題による茨城県五霞町の教育長辞職

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和4年10月11日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和4年10月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和4年10月11日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。それでは、冒頭、私から1件ございます。
 2020年(注)のカーボンニュートラルの実現やエネルギー安全保障の確保のため、原子力を含めましたあらゆる選択肢を追求することが重要でありまして、この認識の下に、文部科学省においても高速炉や高温ガス炉などの次世代革新炉ですね、について研究開発や人材育成等を進めているところでございます。また、グリーン・トランスフォーメーション、GXと申しますが、実行会議におけます岸田総理の指示を受けまして、資源エネルギー庁の審議会等におきまして、これら次世代革新炉の開発に係ります方向性の検討が進められております。その中で、原子力機構に対しまして研究開発基盤にかかる中核的な役割を果たすことへの期待についても議論が進められていると承知をしているところでございます。このため、今後の次世代革新炉の開発に必要な研究開発項目や基盤インフラの整備などの課題をですね、整理するべく、省内の有識者会議といたしまして「次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会」を立ち上げることといたしました。第1回は10月17日(月曜日)を予定をしているところでございます。この検討会によりまして整理された事項につきましては、科学技術・学術審議会等の関係審議会に報告するなどによりまして、次世代革新炉の開発に必要な研究開発施策のより具体的な検討につなげていきたいと考えているところでございます。以上です。
(注)「2020年」と発言しましたが、正しくは「2050年」です。

記者)
 先週に続いての質問で恐縮ですが、ノーベル賞が全部、全て発表になりまして、今回は残念でございました。去年、眞鍋先生が取られているので毎年毎年というわけにはいかないんだと思いますけれども、今、日本の科学技術力の低下が叫ばれる中、文科省としてもいろいろと対策を採られていると思いますけれども、今回の結果を受けて、更にブーストさせる何か秘策みたいなものが、もしおありになりましたら教えていただけますでしょうか。

大臣)
 先週もとおっしゃいましたけれども、やはりノーベル賞は、本当に、今年連続で取れなかったというのは私も残念には思っております。本当に、今回の発表に当たりましては、受賞について国民の皆さま方とともにですね、一緒になって関心の高さというものを再認識をしたというふうに私も感じているところでございます。我が国の優れた研究者がノーベル賞の受賞という形で世界的な評価を受けることは、国の誇りでもございますし、また、国民の皆さま方にとりましても大変励みになることだというふうに思っております。文部科学省といたしましては、ノーベル賞受賞につながるような成果がですね、継続的に創出されますように、世界と戦える優秀な若手研究者の育成ですとか、トップレベルの研究者が集まる国際的な研究拠点の形成、また、挑戦的な研究への支援などにも、必要な施策に今後も全力で取り組んでまいる所存でございます。以上です。

記者)
 先週、文科省では、旧統一教会に関する悩みを抱える児童生徒への給付体制の充実を求める通知を発出されました。その狙いと児童生徒の支援における学校の役割について改めてお考えをお聞かせください。

大臣)
 ご指摘の通知につきましては、9月30日(金曜日)になりますが、関係省庁の連絡会議の取りまとめにおきまして、相談内容が宗教に関することのみを理由として消極的な対応をしないことですとか、また、児童生徒の心理的・福祉的支援の観点から、スクールカウンセラーや、また、スクールソーシャルワーカーによる支援の推進を図ることとされたことを踏まえまして、10月6日になりますけれども、各都道府県の県教育委員会宛(注)にですね、発出をさせていただきました。この通知におきましては、学校におきましても、宗教に関することのみを理由として消極的な対応をすることなくですね、課題を抱える生徒、児童の早期発見ですとか、あとは、早期支援、それから対応などに努めることということと、それから児童生徒の心のケアを図る必要があると考えられる事案があった場合には、やはり学校内の関係者の方々の情報共有ですね、これが大事でございますので、スクールカウンセラー、そして、スクールソーシャルワーカーとともに教育相談に取り組むこと、とですね、各教育委員会、そして学校におきまして、学校における人権教育の一環といたしまして、児童生徒の権利を取り扱う場合には、法務省の人権擁護機関によります取組と適宜連携を図るということなどを周知しております。本通知に基づきまして、関係省庁とも連携をしつつですね、児童生徒の心のケアの充実に取り組んでまいる所存でございます。以上です。
(注)「県教育委員会宛」と発言しましたが、正しくは「教育委員会宛」です。

記者)
 以前質問させていただいたんですが、大学が保管している入手経路が不明な遺骨標本について、再度質問させていただきます。前回、盗掘などが疑われる遺骨についても、大学などが責任をもって対応すべきというふうにお答えいただいたんですけれども、文科省の責任をどうお考えかというのをお伺いしたいと思います。大学が対応しない場合には、対応するように指導するというのも一つの責任の果たし方かなと思うんですが、どのようなご対応を考えてらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 今おっしゃいましたように、3日の会見でも申し上げましたけれども、日本の大学が保管をします遺骨につきましては、他国の先住民ですね、の方々の遺骨も含めまして、その入手経路、それから権利関係はそれぞれ異なるというふうに考えております。基本的には、各大学におきまして個別に検討いたしまして、対応していただくものと考えているところではございます。文部科学省におきましては、必要に応じまして大学からの相談ですね、に乗るとか、あとは各大学におきまして適切に対応できるような、そういう協力体制ですね、これはしております。今、返還を指導すればいいのではないかということでございましたけれども、大学の保管する他国の先住民の方々の遺骨につきましては、仮にですね、違法に入手されたものであることが明らかになった場合には、法令等に照らしまして適切な対応を検討することになると考えております。ただしですね、やはり当該民族ですとか、また、当該国、政府ですね、からの申し入れによりまして必要な対応もまた変わってくると思っております。それによりますけれども、現段階では、確定的なお答えは差し控えさせていただきたいというところでございます。

記者)
 状況に応じて大学とともに対応するお考えであるということでよろしいんでしょうか。

大臣)
 はい。大学が相談に来てくださって、その内容がしっかりと分かって、その先に文部科学省が連携して進めなければいけないということであれば、きちんと対応はさせていただく所存でございます。

記者)
 安倍元総理の国葬についてお尋ねします。安倍元総理の地元の山口県教委がですね、国葬当日に国旗と県旗を半旗にして弔意を示すということを県立学校にはしていたんですけれども、今回新たに、校長が半旗にしていなかった場合、正当な理由がなければ、職務命令違反に当たって処分の対象になるという認識を先週示したということがありました。大臣は、以前この会見で、各教育委員会に弔意の表明などの協力はしないと表明いたしてましたが、山口県教委のこうした認識とか対応について、国の対応とですね、考え方と矛盾しないのかどうか、見解や所感についてあればよろしくお願いします。

大臣)
 今般の国葬儀の実施に当たりましては、国民一人ひとりに弔意を求めるものであるとの誤解を招くことがないように、国におきまして閣議了解を行わず、地方公共団体や教育委員会等の関係機関に対する弔意表明の協力方の要望も行わないということとしたところでございます。実際に半旗を掲揚するか否かは、それぞれの各地方自治体、公共団体におきまして判断すべきものと考えております。その上でですね、山口県の教育委員会においては、半旗掲揚を求める判断をされたものと承知はしているところでございます。通常ですね、懲戒処分をするに当たりましては、各都道府県教育委員会等がですね、事前に状況等の把握をするところでありますけれども、山口県の教育委員会からは、各校の対応状況の把握は予定していないと聞いておりますので、このことで処分をされることはないと考えております。そしてまた、どのような場面でですね、山口県の教育委員会の発言があったかというのは承知をしておりませんので、そのことに対しましてのコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。以上です。

記者)
 教科書会社による接待問題でお尋ねします。大日本図書から接待を受けた茨城県五霞町の教育長が7日に辞職しました。教育長が辞職する事態となりましたが、大臣の受け止めと文科省の対応状況についてお聞かせください。

大臣)
 大日本図書によります飲食等の無償提供を受けまして五霞町の教育長が辞任をした件につきましては、文部科学省としても、大変重く受け止めているところでございます。教科書は、全ての児童生徒が必ず使用するものでございまして、その選択には高い公正性、それから透明性が求められることから、教科書の発行者はもとより教育委員会におきましても、やはり採択の公正確保に関する文部科学省通知等を徹底していただきたいと考えております。なお、文部科学省より当該発行者に詳細な調査を指示しておりますけれども、現在、発行者におきまして、本事案の詳細な事実確認を進めるとともにですね、同様の事案の有無について、社内調査をするための準備を整えていると聞いております。文部科学省といたしましては、発行者に対しまして、調査に関する必要な指導を行うことによりまして再発防止の観点からの丁寧な、また、迅速な調査を促してまいりたいと考えております。以上です。

記者)
 冒頭の次世代革新炉の検討会についてお伺いします。高速炉と高温ガス炉について検討を進めていかれるということでしたけれども、現状では、研究開発や基盤インフラでそれぞれ実用化に向けてどのような課題があると認識されていますでしょうか。

大臣)
 いろいろな課題がございます。まずは、この検討会はですね、今後の次世代の革新炉の開発に必要な研究開発、そして、研究開発項目及び基盤のインフラのうち、今後10年程度ですね、の間に着手すべき事項につきまして、次世代革新炉の開発、燃料製造及びバックエンド対策等の観点から、原子力分野の学識経験者に加えまして、関連する民間の有識者等の皆さま方に公開でご議論をしていただくものでございます。これは、年内に4、5回程度開催した上で、年末までに論点整理を行うと承知しております。そんな中でですね、やはりこちらとしてはですね、この検討会で得られましたご意見につきましては、原子力科学技術委員会等の関連する審議会等にもやはり報告を行いまして、我が国の次世代の革新炉の開発・建設についての検討の加速化につなげていきたいというふうには考えているところでございますが、やはりこれですね、なかなかいろんな意見もございます、実際に。そういうところでは、やはり慎重にですね、議論を重ねながら、いろいろ反対の意見ということにも耳を貸しつつ、次の革新炉についての議論を深めていきたいと、そういうふうに思っているところでございます。以上です。

(了)

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大臣官房総務課広報室