永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和4年9月16日)

令和4年9月16日(金曜日)

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和4年9月16日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和4年9月16日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和4年9月16日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。それでは、冒頭、私から2件、お話をさせていただきます。
 1点目は、G7教育大臣会合の開催地の決定についてでございます。本日の閣議で、来年5月19日から21日に広島で開催されるG7サミットの関係閣僚会合の開催地につきまして官房長官からご発言がありました。当省関係では、教育大臣会合について、富山県と、そして石川県の共同で開催されることになりました。なお、具体的な開催日程等につきましては、今後、富山県、石川県ともご相談の上、決定していくこととなります。教育は、国際社会におきまして、常に重要なテーマでございます。私も、先日開催されましたG20の教育大臣会合にビデオメッセージを送る形で参加をいたしましたが、当該会合におきましても、誰もが享受できる質の高い教育、教育におけるデジタル技術の活用等、まさに世界各国が直面する課題について知見を共有したところでございます。日本では、開催する教育大臣会合は、倉敷教育大臣会合に続きまして3回目となります。富山県、石川県とも連携をいたしまして、来年G7教育大臣会合での成果を我が国の今後の教育政策に生かせるよう、しっかりと準備に取り組んでまいりたいと考えております。
 2件目でございます。一昨日、14日になりますが、できるだけ早く訪問をしたいと希望しておりました福島県に出張してまいりました。最初に訪問した「なみえ創成小学校・中学校」は、平成28年度末の一部地域の避難指示解除を受けまして、平成30年に新たに開校した学校でございます。今回、様々な授業などを拝見いたしました。特に、「ふるさと創造学」の研究発表では、地域の課題を解決しようと探究学習に取り組む子供たちの姿に触れることができました。ふるさとの未来を自分たちで一生懸命切りひらこうというその力強さというのを味わった感じでございました。また、ICTを活用いたしまして、いわき市に避難中の双葉町立双葉中学校と遠隔で交流事業を行うなど、様々な工夫がなされていることも非常に感銘を受けました。次に、伊澤双葉町長と吉田大熊町長を訪問させていただきまして、お話を伺いました。伊澤双葉町長からは、8月の特定復興再生の拠点区域の避難指示の解除を受けまして、これから学校再開に向けた検討の予定などのお話を伺いましたし、また、吉田大熊町長からは、来年4月の開校に向けまして建設中でございます、認定こども園と義務教育学校とが一体となった施設、「学び舎ゆめの森」の概要などのお話を伺いました。さらに、両町長からは、集団訴訟の裁判の確定を踏まえました中間指針の見直しのご要望もいただきました。最後に訪問いたしました、富岡町のJAEA廃炉環境国際共同研究センターでは、廃炉に向けた研究や人材育成の状況を伺いまして、若手研究者や海外からの研究者の方を激励をさせていただきました。この出張で、震災から11年が経ち、復興に向けた歩みが着実に進んでいることを実感したわけでございます。学校の児童生徒の教育環境の充実ですとか、また、東電の福島原発事故の被災者の皆様方に対する迅速・公平・適切な賠償、そして東電福島第一原発の廃炉の現場を支える長期的な取組への支援を、引き続きまして、着実に進めてまいりたいと考えております。今後も、文部科学大臣といたしまして、「東北の復興なくして日本の再生なし」と、その強い思いから、被災地の皆様に寄り添い、そして福島の復興・再生に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。私からは、以上でございます。

記者)
 1問お伺いします。一昨日、千葉県内の中学生が、起立性調節障害で登校できない児童生徒への教育機会確保のための支援が必要だとして、提言を文科省に提出しました。提言では実態調査の実施などについて求めていますが、こういった調査や教育機会確保に向けた支援を行うお考えはありますでしょうか。大臣の考えをお聞かせください。

大臣)
 生徒自身で社会的な課題を発見をして、試行錯誤しながら課題解決方法の、その策をですね、検討し、一つの提言書という形でまとめるといった活動は大変素晴らしい取組だと思います。ご指摘の起立性調節障害につきましては、思春期に発症しやすい、自律神経機能不全の一つで、立ちくらみや倦怠感、動悸、また頭痛などの症状を伴い、朝起きるのが辛くなることも多い疾病でございます。このため、不登校になって、そういう場合もあるということは承知をしているところでございます。文部科学省といたしましては、各学校におきまして、起立性調節障害について、教職員が理解を深め、そして児童生徒に対しまして健康相談や保健指導を行うなど、しっかり対応できるよう、事例を紹介した指導手引きを作成するとともに、指導主事を集めました会議などにおきまして周知を図ってきたところでございます。また、不登校となってしまった児童生徒に対しては、教育相談体制の充実とともに、ICT等も活用した多様で適切な教育機会の確保が図られるように努めているところでございます。引き続きまして、起立性調節障害を含めた健康課題を抱える児童生徒に対し、各学校におきましてきめ細やかな対応が行われるように取り組んでまいる所存でございます。以上です。

記者)
 私、こども基本法と学校教育の件で伺いたいと思います。現在、中教審で、学校教育の方針を示す次の教育振興基本計画が検討されていますけれども、8月下旬の前回会合で示された骨子案の中では、こども基本法ですとかこどもの権利に関する表記というのは見当たりませんでした。昨日、民間団体の方が大臣に要望されているところでもあるんですけれども、こうしたこども基本法と教育基本振興基本計画の在り方をどうお考えなのか。また、この問題っていうのは、どうしても文部科学省とこども家庭庁の2つの役所にまたがるところなので、どうしても行政の縦割りに陥りやすいという一面があるかと思うんですけども、そうしたこども基本法ですとかこどもの権利に関する考え方を学校現場に浸透させていく方法について、何かしらお考えがありましたら教えてください。

大臣)
 いろいろ、今お話しいただきましたが、これは児童の権利に関する条約ということでございます。これは、やはり学校の運用の見直しなどの場面におきまして、児童生徒の意見を聞くなどということは、やはり児童生徒の主体性を養うということにもつながりまして、大変教育的な意義を有するものと考えております。他方、ご指摘の児童の権利に関する条約に関しましては、平成6年度の通知は、年齢や成熟の度合いによりまして、児童生徒の意見が相応に考慮されるべき旨を示しているものでございます。これは、こども基本法の考えと軌を一にするものと考えていることから、やはり現時点におきましては、こども基本法の成立を契機に、通知を廃止することは考えておりませんが、しかしながら、文部科学省といたしましては、こども基本法の周知につきまして、内閣官房の取組も協力するとともに、教育的意義の観点からですね、児童生徒の主体性を育む取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

記者)
 すみません、最初に伺った教育振興基本計画のところはいかがでございましょうか。

大臣)
 次期の教育振興基本計画につきましてでございますが、現在、中央教育審議会教育振興基本計画部会におきましてご議論をいただいているところでございます。議論の中では、こども基本法を踏まえまして、子供の基本的人権の保障やこどもの権利利益の擁護の観点の重要性についても、委員から指摘をされているところでございます。こうした意見も踏まえつつですね、引き続きまして、審議を行っていただきたいと考えているところでございます。

記者)
 新型コロナワクチン接種の関係でお尋ねしたいんですけども、オミクロン株対応の新しいワクチンが承認されて、高齢者等から順次始まっていくと思うんですが、大学を拠点とした接種については、このオミクロン株対応ワクチンはどんなふうに対応されるのかお聞かせください。

大臣)
 大学の拠点接種は、職域接種の枠組みを活用いたしまして、大学等を中核といたしまして、まず自分の大学の教職員、そして学生、のみならずですね、近隣の教育関係者、また学生などへのワクチン接種を行うものでございます。これまで、1・2回、2回目の、いわゆる初回接種と3回目接種を合わせまして、延べ195万人分の接種を進めてきたところでございます。オミクロン株対応のワクチンの職域接種につきましては、14日に、官房長官から「これまでと同様に実施をする方向で調整をしている」という旨の発言がございました。文部科学省といたしましても、政府全体の方針を踏まえまして、大学の声も聞きながら、希望する大学等において拠点接種が実施をされ、そして、ワクチン接種を望む学生などの皆様方に、機会を提供できるように支援をしてまいりたいと考えております。以上です。

記者)
 一応、確認なんですけれど、そうすると希望する大学では、大学の拠点接種を同様にできるように調整されているということでしょうか。

大臣)
 はい。そういうことでございます。

記者)
 G7サミットについてお伺いします。今回、富山県、石川県共同開催となるということですが、2県を評価された点と、これまでに過去に例がない共同開催とされる理由、目的を教えてください。

大臣)
 開催地の選定に当たりましては、誘致に名乗りを上げてこられた地方公共団体の中から、会場、宿舎、警備等の様々な観点から検討を進めまして、政府として、富山県と、そして石川県に決定されたものと承知をしております。今、お話のように、これまで日本で開催いたしましたG7の関係閣僚会合では、複数の自治体によります共催実績はございません。今回が初めての試みと承知をしているところでございます。両県は、両方とも地理的に隣接をしておりますし、また、教育熱心な土地柄を生かしまして、インクルーシブ教育、ICT教育、そしてSTEAM教育、ウェルビーイング教育など、本当にポストコロナ教育を意識しました招致提案をされていたと承知をしているところでございます。両県の関心事ですね、こういうものを、しっかり、問題意識は、相互に、やはり親和性、そして補完性の高いものでございまして、両県のこれまでの取組、そして知見が、今回の教育大臣会合を一層有意義なものとしていただけると、私は大いに期待をしているところでございます。そうですね、開催予定日時ですね、そういうことは、今後の、両県とですね、両県の関係者の方々と十分に相談の上、決めていきたいというふうに考えているところでございます。

記者)
 ありがとうございます。現状想定でもよろしいんですが、教育と言っても幅広い分野あると思うんですけれども、議論の想定されるテーマ、考えがありましたらお願いいたします。

大臣)
 具体的なテーマにつきましては、今後、両県とも相談しまして決めていくことになりますが、やはり、コロナ禍が社会にもたらした影響ですとか変化ですね、教育がどのように対応し、そして、ポストコロナの社会で求められる人材を育てていくのかということが、一応、大きな柱となるのではないかと思っているところでございます。

記者)
 生徒指導提要に関連して質問させていただきます。先ほどの質問と被ってしまうんですけど、安全な生徒指導を考える会の方々が、大臣に不適切指導に関する要望書を出されたかと思います。様々な要望事項がありますが、この受け止めをお聞かせください。また、新たな生徒指導提要には不適切指導の項目が入りますが、こうした項目を盛り込む狙いと、学校現場での浸透に向けてどのように取り組まれるのかお聞きします。

大臣)
 昨日、こども基本法の成立を求めるPTの方、そして、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの方、また、安全な生徒指導を考える会の方のご訪問をいただきまして、こども基本法の精神の教育行政での実現などについて要望いただいたところでございます。具体的には、現在改訂中の生徒指導提要を受けまして、生徒指導上の不適切指導への対応を進めることや、こども基本法の精神・規定を受けました教育委員会や学校への周知等などについて要望をいただいたわけでございます。私の方からは、不適切な指導に係ります内容を生徒指導提要の改訂案に明記をしておりまして、今後、その周知徹底を図っていくこと、そして、こども基本法の周知につきましては、こども家庭庁の準備室とも連携をしつつ、積極的に対応していくことを申し上げました。私といたしましても、生徒、児童の主体性を育むことは極めて重要だと考えておりますので、こども基本法の周知については、しっかりと取り組んでまいるという所存でございます。また、教職員によります不適切な指導等が不登校や自殺のきっかけになる場合もあることから、体罰や不適切な言動等は、学校生活全体で、いかなる児童生徒に対しても決して許されないことだと考えております。私といたしましても、不適切な指導等による児童生徒の自殺をゼロにしなくてはならないとの決意を、昨日の要望でも申し上げた次第でございます。ご指摘の生徒指導提要の改訂案におきましては、児童生徒に対しまして懲戒を行う際には、本人や関係者の言い分をしっかりと聞き、また、事実関係の確認を含めて適正な手続を経ること、そして、指導を行った後には、やはり、子供1人、生徒1人を残さずに、心身の状況をですね、しっかりと観察をするなど、指導後のフォローが重要であることなどを明記をいたしました上で、さらに、不適切な指導と捉えられる例をですね、具体的に記載をいたしました。今後、生徒指導提要の改訂内容をしっかりと現場に周知をされ、活用いただくことが重要と考えているところでございまして、生徒指導担当者向けの研修会等にですね、様々な機会を通じまして、学校現場への浸透を図って参りたいと考えているところでございます。以上です。

(了)

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