永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和4年9月13日)

令和4年9月13日(火曜日)

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和4年9月13日(火曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和4年9月13日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和4年9月13日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 本日の冒頭発言はございません。

記者)
 1つ質問させていただきます。2025年デフリンピックの東京開催が決定しました。日本での開催は初めてですがこの受け止めと、スポーツを通じた共生社会の実現にこの東京開催がどのように寄与するとお考えかお聞かせください。

大臣)
 この度、オーストラリア(注)・ウィーンで開催されました国際ろう者スポーツ委員会の総会におきまして、2025年の夏季のデフリンピック競技大会の開催地に東京都が選定をされたことは、誠に喜ばしいことと考えております。今回の決定は、全日本ろうあ連盟をはじめといたしまして、東京都など関係者の方々の本当に熱心な取組によるものでございまして、これまでのご努力に対しまして、改めて敬意を表したいと思っております。デフリンピックの開催は、日本では初めてのことでございまして、東京パラリンピックのレガシーをさらに発展させる観点からも大変意義深いと考えているところでございます。本大会の開催を契機にいたしまして、デフリンピックを含みます障害者スポーツの理解啓発、そして環境整備ですね、などスポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組が一層促進されることを期待しております。文部科学省といたしましても、全日本ろうあ連盟や東京都と緊密に連携をとりながら、大会の成功に向けまして、必要な支援・協力を行ってまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。
(注)「オーストラリア」と発言しましたが、正しくは「オーストリア」です。

記者)
 先週、国連の障害者権利委員会が日本に関する報告書を発表しまして、日本の特別支援教育が障害児を分ける分離教育だというふうに捉えた上で、この教育体制を見直すように強く要請をしました。十分な予算の確保も含めてインクルーシブ教育について捉えなおしていくようにということが盛り込まれていましたが、この報告書を受けて、永岡大臣の受け止めや今後の文科省としての対応を教えてください。また、報告書の中に、2022年4月に文科省が出した特別支援教育に関する通知を撤回するようにという要請も盛り込まれていました。この通知を出された趣旨を改めて教えていただきたいというのと、この報告書に盛り込まれている撤回という要請を受けてどのように対応されていくかというのを教えていただければと思います。

大臣)
 8月22日から23日に、スイスのジュネーブにおきまして、障害者権利条約の対日審査が行われました。文部科学省も、政府代表団の一員として審査に対応をいたしました。この審査を受けまして、9月9日になります、障害者権利委員会の総括所見が公表されまして、障害のある子供の教育につきましては、個々の教育上の要請を充たす合理的配慮の保障、そしてもう一つ、インクルーシブ教育に関する研修の確実な実施などが勧告されました。文部科学省では、これまでもですね、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごせるように、通級によります指導の担当教員の基礎定数化ですとか、また、通常級に在籍いたします障害のある子供のサポートなどを行います「特別支援教育支援員」に対します財政支援や、また、法令上の位置付けなどに取り組んでまいりました。引き続きまして、勧告の趣旨を踏まえまして、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取組を進めていきたいと考えているところでございます。あとは、やはり、障害者権利条約に規定されておりますインクルーシブ教育システムというのは、障害者の精神的、また、身体的な能力を可能な限り発達させるといった目的の下に障害者を包容する教育制度であると、そういう認識をしております。これまでの文部科学省では、このインクルーシブ教育システムの実現に向けまして、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、それから、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備、これらを両輪として取り組んでまいりました。特別支援学級への理解の深まりなどによりまして、特別支援学校ですとか特別支援学級に在籍するお子様が増えている中で、現在は多様な学びの場において行われます特別支援教育を中止することは考えてはおりませんが、引き続きまして、勧告の趣旨も踏まえて、通級によります指導の担当教員の、先ほどもお話し申し上げましたけれども、基礎定数化の着実な実施などを通しまして、インクルーシブ教育システムの推進に努めてまいる所存でございます。そうですね、通知の撤回がありました、お答えいたします。昨年度、文部科学省が、特別支援学級の在籍児童生徒の割合が高い自治体を対象に行いました実態調査におきまして、特別支援学級に在籍いたします児童生徒が、大半の時間を通常の学級、普通学級でございますが、通常の学級で学び特別支援学級において障害の状態等に応じた指導を十分に受けていない、また、個々の児童生徒の状況を踏まえずに、特別支援学級では自立活動に加えまして算数や国語の指導のみを行うといった不適切な事例が散見をされたところでございます。こうした実態も踏まえまして、ご指摘の通知は、特別支援学級で半分以上過ごす必要のない子供については、やはり、通常の学級に在籍を変更することを促すとともに、特別支援学級の在籍者の範囲を、そこでの授業が半分以上必要な子供に限ることをですね、目的としたものでございまして、むしろインクルーシブを推薦(注)するものでございます。勧告で撤回を求められたのは大変遺憾であると思っております。引き続きまして、通知の趣旨を正しく理解をしていただけるように、周知徹底に努めてまいりたいと思っております。以上です。
(注)「推薦」と発言しましたが、正しくは「推進」です。

記者)
 通知についてもう1点、お伺いしたいんですけれども、文科省が通知を出された趣旨というのは今のご説明でよくわかったんですけれども、こうした通知が唐突に出たことで、現場ではかなり戸惑いの声も上がっていて。特に子供本人にどこで学んでもらうかというのを、保護者と教員が丁寧に議論をした上で決めたことが突然通知で変えなければいけないとなったときに、子供の学ぶ場をどのように変えていくかというところが、かなり混乱しているような地域もあるやに見えています。こうした通知が唐突に出たことで現場に戸惑いを与えていることであったり、子供の学びに影響をきたすかもしれないということについて、大臣はどのように考えておられるかというのを教えてください。

大臣)
 今お話し申し上げましたように、やはりある一定のご理解をしていただいていると、親御さんにも、それから学校の先生にもですね、考えております。しかしながら、この実態というのは、特別支援学級で半分以上過ごす必要のないお子さんについては、やはり通級の、普通の、通常の学級に在籍を変更することを促すとともに、やはり特別支援学級の在籍者の範囲を、そこでの授業が半分以上必要な子供に限ることを目的としたものでございますので、反対にですね、むしろインクルーシブを推進するものでございますので、勧告での撤回というのは大変遺憾であると申し上げましたけれども、やはりこの趣旨を、しっかりと教育委員会、それから親御さん、また、学校の方でもご理解をいただけるようにしてまいりたいと思っているところでございます。

記者)
 入試関連で1点、質問します。東京医科大学の不正入試問題を受け、東京地裁が、先週、受験した女性らへの性差別を認定し損害賠償を支払うよう大学側に命じました。この判決の受け止めをお尋ねします。また、文科省としてどのような対応をとってきたのか、今後はどうするのかについてもお聞かせください。よろしくお願いします。

大臣)
 9月9日(金曜日)になりますが、元受験生の女性ら28名が東京医科大学に対しまして起訴した訴訟におきまして、性別という属性を理由に一律に不利益に扱ったということで、不合理な差別を禁じました教育基本法ですとか憲法の趣旨に反するとしまして、27名につきまして、学校側に、合わせて約1800万円の支払いを命じる判決が出たことは承知をしているところでございます。この判決に対します当事者の反応が判明しておりませんので、コメントは差し控えたいと思いますが、文部科学省といたしましては、合理的な理由がある場合を除き、性別や年齢等の属性を理由として一律に取り扱いに差異を設けることは不適切であると考えております。東京医科大学の入試につきましては、不適切な事案であったといたしまして、不利益を被った受験生への丁寧な対応を含め、受験生の立場に立って適切に対応するよう指導しておりまして、引き続きまして、大学の対応を注視をしてまいりたいと考えているところでございます。また、文部科学省はどのような対応を行ってきたかということでございますが、これは、医学部医学科の入学者選抜におけます不適切な取り扱いが明らかになったことを受けまして、平成30年度に、東京医科大学を含めた国公私立全ての医学部医学科の入学者選抜を調査をいたしました。このうちですね、不適切な事案又は不適切である可能性が高いと言われたものは10大学になりましたが、令和元年度に、訪問調査を含めましたフォローアップ調査を実施した上で、平成31年度の入試の改善がなされたことを確認をしております。また、大学入学者の選抜の公正確保などに関します有識者会議が令和元年に、5月にですね、取りまとめました最終報告を踏まえまして、入試の共通ルールであります「大学入学者選抜実施要項」に、合理的理由がある場合を除きまして、性別等の属性を理由とする一律の取扱いの差異は不適切であることなど、公正確保に関しますルールを盛り込んだところでございます。今後とも、不適切入試の再発防止や大学入学者の選抜の公正確保につきまして周知徹底を図ってまいる所存でございます。

記者)
 静岡県牧之原市の認定こども園での通園バスの事故に関連してお伺いします。今月9日に関係府省会議が行われて、登園管理システム普及やバスの安全装置の設置支援などの再発防止策について話し合われることになりました。これらの導入に当たって、国が必要な経費を全額負担するということなのでしょうか。また、そもそも保育や幼児教育の現場の人手不足というのがこういう事件を招いたという指摘もありますが、文部科学省としてはどのように対応していきますか。

大臣)
 今、お話しいただきました、9月5日(月曜日)に発生いたしました痛ましい事案を受けまして、9月9日に、岸田総理から、関係府省が連携をして再発防止策に向けた検討を行うよう指示を出されるとともにですね、本件に関します関係府省会議が開催されまして、総理指示を踏まえました、1つ目が、送迎バスを有する全ての施設に対して緊急点検や地方自治体による実地調査を実施すること、そして2つ目が、安全管理マニュアルの整備、そして登園管理のシステムの普及や送迎やバスの安全装置改修支援などの具体的な緊急対策などについて議論がされたところでございます。今回の事案の詳しい原因、これは、警察や県による調査を待つ必要があると考えますが、文部科学省といたしましても、内閣府や厚生労働省等の関係府省と連携をいたしまして、同様の事案が二度と起こらないように、必要な対策を検討してまいりたいと思っております。やはり、今、支援のお話が出ましたけれども、これもしっかりと、調査の終了を待って、結論をいただいてからの話になろうかと思います。10月中には取りまとめが終わるということでございますので、そのときまでにはお答えができるかと思っております。以上です。

(了)

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