永岡桂子文部科学大臣記者会見録(令和4年9月2日)

令和4年9月2日(金曜日)

永岡桂子文部科学大臣記者会見映像版

令和4年9月2日(金曜日)に行われた、永岡桂子文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和4年9月2日永岡桂子文部科学大臣記者会見

令和4年9月2日永岡桂子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

永岡桂子文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 本日は、冒頭から、私から3件のお話をさせていただきたいと思っております。
 まず1つ目ですが、今年5月に取りまとめられました、教育未来創造会議第一次提言につきまして、関係省庁との連携の下に工程表を取りまとめ、本日、先ほどの閣議で報告をしました。本工程表では、第一次提言におけます、未来を支える人材を育む大学等の機能強化、新たな時代に対応する学びの支援の充実、そして、学び直しを促進するための環境整備に関します具体的取組につきまして、今後10年間の政策実施プロセスを明らかにするものでございます。本工程表と関連いたしまして、先日29日に、岸田総理からは、第一次提言のフォローアップを随時行い、着実に具体化し実行するよう指示をいただいております。岸田総理のご指示を踏まえまして、政府一丸となりまして工程表に記載の取組の実行やフォローアップを行って参ります。
 2つ目になります。一昨日になります、8月31日でございます。理化学研究所の和光地区を訪問いたしました。量子コンピュータや、ウイルスを迅速に検出できる技術ですとか、自己修復・形状記憶機能を持つ新素材の研究の現場の視察をさせていただきまして、世界をリードします若手研究者の方々との意見交換を行わせていただきました。研究現場の視察では、我が国初の国産量子コンピュータの整備・公開に向けた研究開発の状況を実際に見て、そして先端的な重要技術を国が後押しする重要さですね、これを実感をしたところでございます。また、新型コロナウイルスなどを迅速に検出をできる技術、自己修復・形状記憶機能を持つ新素材、新規の素材が実際に自己修復する模様などを拝見をいたしました。世界最先端の研究開発現場を肌で感じることができたわけでございます。若手研究者の方々との意見交換では、3つばかりちょっと要点を整理させていただきまして、「研究活動と子育ての両立には課題があり、組織からの支援と周囲の理解が必要」ということ、それから「諸外国の研究環境は研究者に魅力的である。日本も研究者の待遇に力を入れるべき」だというお話、また、「近年、若手研究者支援は充実したが」、しかしながら。「今後は博士人材のキャリアパスを民間を含めて多様化することも重要」という、いろいろなご意見を直接お聞きすることができました。視察ですとか意見交換を通じまして、量子コンピュータの研究開発など世界最先端の研究開発、研究者が研究に専念できる環境づくりをさらに進めていきたいと改めて感じた次第でございます。
 3件目でございます。昨日開催されましたG20の教育大臣会合におきまして、私は、ビデオメッセージを送る形で参加をいたしました。この会合は、G20議長国のインドネシアの呼びかけによりまして、誰もが享受できる質の高い教育、それから②で、教育におけるデジタル技術、③は連携とパートナーシップ、④仕事の未来などについて各国が議論し、その知見を共有するために開催をされたものでございます。私からは、まず、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難をしました。その上で、岸田総理の掲げる「新しい資本主義」の実現に向け、特に「人への投資」をその中核と位置づけて取り組んでいることを申し上げた次第でございます。また、我が国の具体的な取組として、幼児教育の無償化や家庭の所得に応じた高等学校の実質的な無償化、また、高等教育における新たな修学支援制度の創設、GIGAスクール構想を踏まえた1人1台端末の活用などについて紹介をいたしました。文部科学省といたしましては、引き続きまして、教育分野におけますG20関係国・機関との連携・協力を進めてまいりたいと考えておるところでございます。私からは以上でございます。

記者)
 冒頭の未来創造会議の工程表について、着実な、具体化実行に向けた大臣の意気込みや、また、実現されることによる社会的意義についてお考えをお聞かせください。

大臣)
 教育未来創造会議の第一次提言の着実な実行ということは、やはりこれは、政府として喫緊の課題でありまして、具体的なスケジュールや方策を含めまして、政策実施プロセスを明らかにする必要がございます。そのために、関係省庁の協力の下に、今後10年間の工程表を作成をし、公表することといたしました。今後は、第一次提言の着実な実行に向けまして、工程表に基づきまして、令和5年度の概算要求に盛り込んだ事項の実現ですとか、また、法令改正などの取組を進めるとともに、会議におけますフォローアップ、これしっかりと、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

記者)
 今の教育未来創造会議の工程表について、追加で伺いたいと思います。この中で、先ほど大臣が冒頭発言でおっしゃった学びの支援の充実というのでは高等教育の修学支援新制度というものの拡充が、結局、大きなポイントになってくると思います。概算要求では事項要求になっているんですけれども、この会議の中では、大きなポイントは、やはり中間所得層ですね、もう少し対象を広げていくということになるんですが、これについては、やはり財源がいることなので、少し中期的に考えるということだと思います。この財源についてですね、自民党の調査会では、教育国債ということを提言されているし、これについて、末松大臣が退任の記者会見でも、教育国債の問題については言及されているんですけども、この教育国債とか財源の問題について、今、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 教育国債というような言葉というのは、まだ今のところ、実際に紙に出ているということはございません。教育国債の発行につきましては、安定的な財源の確保ですとか、財政の信認確保の観点から、やはり慎重に考えなければいけないと、そういう必要があるというふうに考えております。私といたしましては、そういう議論があるということを踏まえながらもですね、やはり、教育予算、これ引き続きまして、全力で確保するということでございますので、「人への投資」を通じて、成長と分配の好循環、これを実現するように頑張ってまいりたいと思っております。

記者)
 少し詰めるようで申し訳ないのですが、フォローアップのですね、その第一次提言のフォローアップをする議論の中でこの問題というのを取り上げていくべきだとお考えですか。

大臣)
 その教育国債につきましても議論としてあろうかとは思いますが、今、私の立場からは、そういう具体的な話は少々いたしかねるということでご理解をいただければと思っております。

記者)
 宇宙関連で1点お伺いしたいんですけれども、昨日、JAXAの記者会見で、今、開発を進めています、H3ロケットを2022年度内に打上げを目指しているという発表がありました。それに関して、大臣が期待されることを教えていただきたいのと、今後、文科省として、何か支援することなどありましたら教えてください。

大臣)
 H3ロケットにつきましては、開発過程におきまして、新たな技術的な課題が確認されたことを踏まえまして、今年の1月、試験機の1号機の打上げを見合わせたところでございます。その後、やはりJAXAにおきまして複数の対応ですね、策を検討しながら、試験を継続的に実施をしてきたと承知をしているところでございます。この夏までの試験を通じまして、試験機の1号機に向けた技術的な対応策が具体化されまして、厳しい作動条件の試験をクリアしたために、次の段階の試験に移行すること、また、試験機1号機の本年度内の打上げを目指して開発を進めるとの報告を受けているところでございます。H3ロケットは、やはり、我が国の基幹ロケットとして、極めて重要なロケットになりますので、今年の1月以降の開発は1つ進んだと思います。しかしながら、引き続きまして、気を引き締めて開発に臨んでいただきたいとも考えているところでございます。文部科学省といたしましても、JAXAとともに、やはり信頼性の高いロケットの開発に向けしっかりと取り組んでまいります。

記者)
 理系女子について伺います。教育未来創造会議の工程表にも書かれている、理系学生5割の目標達成に向けては、特に少ない理系女子の対策が重要だと思われます。女子の理系進出を阻んでいる一因に、女子は理系に向かないといったバイアスの存在が指摘されていますが、こうした考えを取り払っていくためにどのようなことに取り組むお考えでしょうか。また、理系女子の推進については、一部で逆差別などの意見もありますが、大臣はこうしたご指摘にどのようにお答えになりますか、教えてください。

大臣)
 教育未来創造会議の第一次提言を実現し、未来を担う人材を育成するためには、諸外国との比較をしても不足をしている、やはり、理系分野の修学ができる場を抜本的に拡充するなどの大学の構造転換を図るとともに、特に、今お話しいただきましたように、圧倒的に少数であります、理工系の専門性を持った女性の皆さんが活躍できる社会を構築していくことが重要だと考えております。まずは、社会全体で、理系学生を、特に女子学生の活躍を支える機運を醸成することが重要であり、5月24日に末松前大臣より発表をいたしましたメッセージの趣旨を、引き続き、社会全体に発信をし、取組を促していくとともに、大学におけます理系や文理融合などの、学部への編成支援ですね、とか、あらかじめ実施趣旨を明示した、女子を対象といたします選抜の促進ですとか、初等中等教育段階からの文理横断教育の推進や男女の違いに基づく先入観、ジェンダーバイアスと言いますけれども、それの排除などに取り組む必要があると考えております。女子は文系といった固定観念から離れまして、子供たちの持つ可能性を最大限に引き出すための必要な施策を全力で取り組んでまいりたいと思っております。しかしながら、今の話が、やはり日本の一般の考えであろうかと思います。私は、女性が理系に向かないと、進学する人が少ないということを聞いたときに、全体としてはそうだなとは思ってはおりましたが、実際にですね、私自身、女子校なんですね。そうしますと女しかいないもんですから、全員が普通に、理系に行きたい文系に行きたいという話はします。そんな中で、やはり世の中はジェンダーバイアスがかかっているのだなと。ですから、女性が理系に行くっていうことの不思議さというものは全く感じてこなかった一人なものですから、今、この議論をするに当たりまして、やはり、世の中のジェンダーバイアスというものをしっかりと覆して、男女一緒ということでね、進学先を決めていただける、そういう社会にしなければいけないと本当に感じているところでございます。

記者)
 令和5年度の概算要求に関連してお伺いします。今回の概算要求でも、博士人材の育成に関する施策というのが盛り込まれていましたけれども、キャリア支援などの特別な支援を必要とする場合もある博士人材をあえて育成する、その社会的意義について大臣の見解をお伺いしたいと思います。また、博士人材の減少が進む中で、今回、概算要求に盛り込まれた施策というのが、博士人材の確保のために確実に効果を発揮できるかどうかということについてもお聞かせいただけたらと思います。

大臣)
 我が国の国際競争力の低下が指摘される中でですね、やはり、科学技術・イノベーションを活性化するための最大の鍵は人材であるということでございます。中でも、課題を自ら設定をし、その解決を達成する、高度な問題解決能力を身につけた博士人材は、やはり研究開発はもとより、我が国の発展に向けて、社会的な多様な分野での活躍が期待されております。しかしながら、近年、我が国では経済的な不安ですとかキャリアパスなどの不安によりまして、修士、博士修了後(注)の進学者の数が減少傾向にあります。そんな中では、人口1人当たりの博士号取得者数というのが主要国に遅れをとっておりまして、支援を強化すべき危機的な状況にあると、そういう認識をしております。このため、独立行政法人の日本学術振興会によります「特別研究員」の支援であるとか、「大学フェローシップ創設事業」及び「次世代研究者挑戦的研究プログラム」によります博士課程の学生への経済的支援とそのキャリアパスの整備などを進めているところでございます。令和5年度の概算要求におきましても、これらの取組を充実強化することとしておりまして、高い意欲を持った優秀な博士課程の学生ですね、の育成、その社会での活躍機会の拡大を両輪で進めていきたいと考えているところでございます。
(注)「修士、博士修了後」と発言しましたが、正しくは「修士課程修了後」です。

(了)

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